床下エアコンに最適な第一種換気とは?実際の設計から設置方法を考える
床下エアコンを設置する場合は換気設備と一緒に考えることが重要となります。
基礎内断熱をした床下に暖かい空気をうまく充満させるには、プランによって床下エアコン1台では不十分な場合があります。
また、床下から室内にうまく暖かい空気を吹き出させるにはしっかりとした換気計画を考えないと失敗すると思います。
床下エアコンに最適な換気方法ってなに?
床下エアコンに最適な換気方法はまだしっかりと確立されていないのですが、今までの経験からの最適な換気のセオリーがあります。
今回は、いま設計中の住宅で床下エアコンを採用するにあたっての設置方法についての考え方をご紹介できればと思います。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
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目次
第一種換気にする理由
温暖地の普通の住宅の換気を考えるとき第三種換気が多いと思います。
第三種換気とは排気は換気扇、給気は自然給気のグリルをもうけて換気する方法です。
冬場は暖かい空気が換気扇によって外に排出され、給気グリルから外部の冷たい空気が室内にそのまま入ってくるため、せっかく暖かくした室内の温度が下がってしまいます。
高気密高断熱の住宅では、温めた空気が外に逃げてしまうのを防ぐため第一種換気が採用するケースが多くなっています。
第一種換気とは
第一種換気は給気、排気ともに機械換気で行い強制的に換気をします。空気の循環を管理する上では最も安定しています。
しかし、他の換気方式よりも設備が複雑になるため高価になりがちです。
熱損失を少なくする
第一種換気には通常は熱交換器が設置されています。これにより、冬季など内外の気温差が大きいときに、換気で失う熱量(熱損失)を少なくすることができます。
また、後述する全熱交換型の換気では、室内の湿度を保持するため、冬に外が乾燥しているときや、梅雨や夏に外が蒸し蒸ししているときに空調を利用して快適な湿度を維持しやすくなります。
快適な湿度を維持する
第一種換気にはの熱交換器は顕熱交換式と全熱交換式の2タイプがあります。
顕熱交換:温度のみを交換
室内のじめじめした湿気は室外へ排出し、室内の快適な温度は室外へ逃がしません。
全熱交換:全ての熱(温度+湿度)を交換
室内の快適な状態をそのままキープします。冬には室内の排気から水蒸気を回収して室内に戻すので、室内の乾燥防止にもなります。
冬場の床下エアコンの使用時は室内が乾燥する傾向にあるので冬場の室内の快適な湿度を維持するには全熱交換式のものが望ましいです。
マーベックスの澄家DCについて
マーベックスの澄家DCとは床下に設置するタイプの全熱交換型の第一種セントラル換気システムです。
床下に設置するので、天井あらわしの住宅でも天井ふところを気にせず設計することが出来ます。
床下エアコンとの相性
床下エアコンだけを設置しても、エアコン本体から吹き出す空気は設置した場所から遠い部屋の床下に設けたガラリからしっかりと出てくれません。
部屋自体を排気して負圧にすることで床下の空気を室内に取り込むことが出来ます。
マーベックスの澄家DCは室内に設けた排気口と床下に新鮮な空気を充満させることで床下エアコンから吹き出す空気を室内の排気口に導くことが可能となり、床下エアコンとの相性はとても良いシステムだと思います。
※一般的な天井に設けるロスナイの場合、部屋に圧力差を設けることが出来ないため床下エアコンが期待通りに機能してくれません。
床下を換気するメリット
床下を換気するメリットとして床下を新鮮な空気で充満させることが出来ます。
床下エアコンは床下を温めることによる輻射熱とエアコン本体から吹き出す空気を室内へと導き足元から温める効果があります。
床下エアコンで吹き出す空気を新鮮な空気で循環させることが可能となります。
また、建ってから1〜2年は基礎から水分が発生するので床下を換気し空気を循環させることでカビの発生も防ぐことが出来ます。
床下で排気するデメリット
床下で排気するので埃などが下の方に落ちて、排気口に溜まりやすいといったデメリットがあります。
メンテナンスについては以下の通りです。
・熱交換素子:1年に1回の掃除、10年交換
・給気フルター:3ヶ月に1回の水洗い、1年〜1年半で交換
・排気フィルター:3週間に1回の掃除、1年〜1年半で交換
一般的なロス内の場合
・排気側(24h換気):3ヶ月に1回の掃除、水洗い5〜6回で(約2〜3年)交換
・給気側(24h換気):3ヶ月に1回の掃除、1年で交換
排気フィルターの掃除やフィルターの交換は増えますが、床下に設置するので天井で脚立を使っての換気扇の掃除の大変さに比べれば楽にメンテナンス出来ます。
実際の設計からの検討
いま設計中の住宅は南側にLDK、北側に部屋があり中廊下で繋がっているプランになっています。
基礎の立上がりで止まることなく床下に空気が流れるようになるべく耐力壁以外は立上がりを設けない基礎設計をしています。
そのため、地中梁を設けて補強しています。基礎設計に関して簡単な構造計算での地中梁の設計方法に関してはこちらをご覧ください↓
プランからの床下エアコンの検討
最初の設計では南側のLDKに設ける家具の下部に1箇所だけ床下エアコンを設置する案で進めていました。
洗面脱衣室や北側の部屋に空気を送るために送風機(中間取付型ダクトファン)でチャンバー付きガラリに接続し強制的に室内にエアコンの空気を送り込むことを考えていました。
しかしながら、チャンバー付きガラリでダクト接続してしまうと床下に暖かん空気が充満しないのため、床を温めて発生する輻射熱が期待できません。
そのため、チャンバー付きガラリに直接的にダクト接続しないでガラリ下部付近にダクトの吹き出し口を設置する案に変更しました。
床下エアコンの吹き出し口付近からフィルター付きのダクトで空気を吸い込み送風機(中間取付型ダクトファン)で洗面脱衣室や北側の部屋へと空気を送ることになるのですが…
いま設計しているプランでは床下を均一に温めることができるのかといった不確定要素があり、床下エアコンを2箇所に設ける案の検討も同時に進めました。
メンテナンスのしやすさを重視
第一種換気は天井にロスナイを設ける案とマーベックスの澄家DCを床下に設ける案で検討を進めていました。
施主との打ち合わせで高気密高断熱の住宅を希望されていたので、第一種換気で設計を進めたいのですが…
第一種換気をうまく機能させるためにはメンテナンスをしっかりとしなければなりません。
施主が高齢になると天井に取り付けられたロスナイを脚立を使ってのメンテナンスが大変になるのでマーベックスの澄家DCを床下に設置する案を採用することにしました。
マーベックスの担当者との打ち合わせですが、床下エアコンを採用している住宅によく採用されているということもあり、とても丁寧に対応してくれました。
マーベックスとの打ち合わせで、床下エアコンを2箇所に設ける案の方が床下を均一に温めることができるとの経験上の意見をいただき、床下エアコンを2箇所に設けマーベックスの澄家DCを採用する案に決定しました。
まとめ
今回は床下エアコンに最適な第一種換気とは何かについて実際の設計から設置方法を考えてみたわけですが設計する上でのポイントは
・基礎設計で立上がりを少なくし地中梁で補強
・プランによって床下エアコンが2箇所も検討
・メンテナンスのしやすさを考える
・マーベックスの澄家DCの採用を検討する
となります。
床下エアコンから吹き出す空気をうまく床下に充満させることや、床下に設けたガラリから室内に空気を吹き出させるためには換気計画と一体で考えるようにしましょう。
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