床下エアコンは基礎設計が重要!簡単な構造計算による地中梁の設計方法

床下エアコンを設置する時、エアコンから吹出す空気を上手く隅々まで送るために、ベタ基礎の設計が重要になります。

空気が各部屋の隅々まで送るためには、ベタ基礎の建物内の立上がりをなるべく減らしたいのですが…

減らすと耐圧盤のスラブに不均等に荷重がかかり、割れてしまう可能性があります。

耐圧盤スラブに不均等な荷重をかけないように地中梁の設計をする必要があります。

今回は、いま設計中の平屋の住宅を例に簡単な構造計算をしてみたいと思います。

※建築知識のバックナンバー2009年 03月号「梁せいやスパンなんて簡単だ![木造]構造計算イラストガイド」を参考にしています。

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Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
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地中梁の位置を設計する

地中梁の位置の設計の前に、ベタ基礎スラブ配筋スパン表(全建総連)を用いるためには、スラブの短辺5m以下、長辺7.5m以下にしなければならないので、自分の場合は概ね20㎡以下になるように地中梁の位置を設計していきます。

地中梁の梁成を構造計算する

まずは、地反力Rを求めます。

地反力R=接地圧Pなので

接地圧Pを求めるためには建物の総重量を計算します。

※自分の場合は構造計算ソフトを用いて計算してあります。

※下記のまとめに重量目安の計算法を記載してあります。

建物総重量=1204.72KN

接地圧P=建物総重量÷基礎底盤面積

1204.72(KN)÷150.71(㎡)=8.00(KN/㎡)

→地反力Rは8.00(KN/㎡)となります。

①等分布荷重を求める

次に、地中梁にかかる等分布荷重を求めます。

等分布荷重=地反力R×負担幅

なので

8.00(KN/㎡)×3.64(m)=29.12(KN/m)

となります。

この数値は耐圧盤の自重、地中梁の自重、1階床荷重が含まれています。

地中梁にかかる荷重は柱から伝わるもの以外は低減してよいので、キャンセル荷重(18.0KN/m)を引きます。

29.12(KN/m)-18.0(KN/m)=11.12(KN/m)

→地中梁にかかる等分布荷重は11.12(KN/m)となります。

※キャンセル荷重に関して、今回は18.0(KN/m)で計算しましたが、厳密に計算すると以下のとおりになります。

1階床荷重:1.74(KN/㎡)×負担幅3.64m=6.3336(KN/m)

耐圧盤の自重:24(KN/㎥)×耐圧盤の厚み0.15m×負担幅3.64=13.104(KN/m)

6.3336+13.104=19.4376(KN/m)

この数値を使っていいのか、構造専門ではないので疑問としてあります…

②最大曲げモーメントを求める

最大曲げモーメントを求めます。公式は

Mmax=W×L×L×1/8

11.12(KN/m)×4.55(m)×4.55(m)×1/8=28.78(KN・m)

→最大曲げモーメントMmaxは28.78(KN・m)となります。

③地中梁の梁成を求める

最大曲げモーメントがでたら後は梁成を求める公式に代入して計算します。

公式は

梁成=√(最大曲げモーメントKN・m)×106/(地中梁幅mm)×(応力係数=1.0N/m㎡)+70mm

なので、

√28.78×106/300×1.0+70=379.73(mm)

よって、梁幅300mm、梁成400mmで設計します。

地中梁の必要鉄筋総断面積を計算する

地中梁の梁幅と梁成を設定した後は、必要鉄筋総断面積を計算してみます。

公式は

必要鉄筋総断面積=(曲げモーメント)×106/(鉄筋の許容応力度Lft)×0.875×(引張り側主筋中心から圧縮側端部までの距離)

なので

28.78×106/195(表より)×0.875×325=519.00m㎡

(D10とD16の許容応力度Lftは共に195N/m㎡)

D13の断面積が127m㎡なので

519.00÷127=4.09(本)

5本以上あればいいので、設計では3-D13を引張り側と圧縮側に使います。

まとめ

建物総重量を計算するのが少し面倒ですが、

重量目安として

□ 屋根重量:屋根面積×0.940(KN/㎡)
□ 外壁重量:外壁面積×0.890(KN/㎡)
□ 内壁重量:内壁面積×0.350(KN/㎡)
□ 床重量:床面積 ×1.740(KN/㎡)
□ 基礎底盤重量:基礎底盤体積×24(KN/㎥)
□ 基礎立上り重量:基礎立上り体積×24(KN/㎥)

で建物の総重量が計算できます。

床下エアコンを検討する際は地中梁の構造計算をし、梁幅や梁成、必要鉄筋の種類や本数などをしっかりと計算で導き出して設計することを心がけましょう。

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