高齢者等配慮対策(バリアフリー)等級3で贈与税の非課税措置を受ける方法
自分の住宅を新築する場合に父母や祖父母などの直系尊属からお金をもらうと贈与税がかかります。
住宅を建てるためにお金をもらう場合は最大で1,200万円まで贈与税がかからない制度があります。
詳しくはこちらをご覧ください↓
「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
上リンク先の国税庁のサイトに書かれてあるのですが、少しわかりづらいのです。
今回は「省エネ等住宅」の中の高齢者配慮等対策等級3以上の住宅で非課税措置を受ける場合の手続きの流れや注意点などご紹介できればと思います。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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省エネ等住宅とは
省エネ等住宅(質の高い住宅)とは以下の基準を満たしている住宅になります。
①断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上
②耐震等級(構造躯体の転倒等防止)2以上、または免震建築物
③高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上
①〜③のどれかひとつの基準を満たすことが必要となります。
各等級は住宅性能表示制度の性能等級と同じものとなります。
長期優良住宅や住宅性能表示制度を使わない場合は、住宅性能証明書が必要となり申請が必要です。
高齢者等配慮対策等級3とは
高齢者等配慮対策等級とは高齢者等に配慮した住宅のことで段差の解消することや通路・出入口の幅、手すりの設置などの基準を満たす必要があります。
等級3の場合のポイントは以下の通りです。
①段差の解消
・玄関出入口:くつずりと玄関外側20mm以下、くつずりと玄関土間5mm以下
・玄関の上がりかまち:等級3は指定なし
・勝手口等の出入口、上がりかまち:等級3は指定なし
・バルコニー出入口:等級3は指定なし
・浴室の出入口:20mm以下の単純段差または浴室内外の高低差120mm以下+またぎ高さ180mm以下+手すり
②手すりの設置
・階段片側
・便所、浴室
・玄関、脱衣室に下地の準備
③通路・出入口の幅員
・通路の幅:780mm(柱等の箇所は750mm)以上
・玄関は有効750mm、浴室は有効600mm以上
・玄関・浴室以外の出入口(バルコニー・勝手口等は除く)は750mm以上
④寝室・便所・浴室の大きさ
・浴室:短辺1,300mm以上かつ面積2.0㎡以上
・便所:腰掛け式で長辺1,300mm以上、便器前方または側方に500mm以上のスペース
・寝室:内法面積で9㎡以上
通路の幅ですが柱芯で910mmの場合
910-105(柱寸法)-25(PB厚)=780
となるのですが
柱寸法が120mm角を使用する場合は足りなくなるので注意が必要です。
建具の出入口ですが、有効幅が750mm以上なので開戸のとびら、引き戸の引き残し、折りたたみ代などを考慮しなければなりません。
既製品の建具を使用する場合は柱芯で910mmでは有効開口750mm以上確保することが出来ないので注意が必要です。
住宅性能証明書の発行までの流れ
まちづくりセンターの評価課などで申請を受け付けています。
高齢者等配慮対策等級3の場合は添付図面は平面図のみとなりますが、評価課の担当者によってその他の添付図面を要求されるので事前に打ち合わせが必要です。
住宅性能証明書の発行の流れは
申請(確認申請時)→完了検査(建物工事完了時) →建物登記→住宅性能証明書の発行
確定申告するまでに書類を揃えなければならないので、建物登記や証明書発行までの時間的な余裕を考慮しておきましょう。
※今年度の贈与の非課税措置を受けたい場合には来年の3月15日までには住宅に住んでなければなりません。
住宅の完成が年度またぎの場合
住宅の工事が遅れてしまい契約年度で完成しそうにない場合は建設業者から税務署に書類を提出する必要があります。少なくとも棟上げまでは契約年度内に完了するようにしましょう。
確定申告までに住宅性能証明書などの書類が揃わなかった場合は書類を後日送る形でその年度の確定申告をすることになります。
前述したように3月15日までに書類を揃えればいいので登記を2月中に行えば住宅性能証明書の発行までなんとか間に合うと思います。
住宅の完成が年度をまたいでしまっても、その後の手続きを滞りなく行えば大丈夫です。
※今年度の贈与の非課税措置を受けたい場合には来年の3月15日までには住宅に住んでなければなりません。
まとめ
今回は高齢者等配慮対策等級3で贈与税の非課税措置を受ける方法をご紹介してきたのですが、もう一度ポイントをあげると
・省エネ等住宅の基準をどれかひとつ満たすこと
・まちづくりセンターの評価課に事前相談する
・住宅性能証明申請をする
・完了検査を受ける
・建物登記をする
・住宅性能証明書を発行してもらう
となります。
贈与税はもらう金額によってはかなりの税率なので、住宅を建てるための資金として贈与を受ける場合はこの制度利用を考えて節税しましょう。
※確認申請を同じまちづくりセンターで行うと割引が受けられます。
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アーキトリック一級建築士事務所