床下エアコンのエアコン機種ってなにがいいの?必要暖房能力から選定してみた
住宅業界で何かと話題の床下エアコンについて長野県や寒冷地では一般的になっているのですが、私の住む静岡県ではなかなか見かけない設備です。
実際に設置されている長野の住宅に見学させてもらいましたが、寒冷地にもかかわらず床下からじんわりとあったかで、冬場でも素足に半そででも大丈夫なくらいの暖かさでした。
いま設計中の住宅にぜひとも採用してみたい!
という思いで、いろいろと調べたり実現のために計算したりと試行錯誤で設計中です。
今回は床下エアコンの機種の選定について調べたことをご紹介できればと思います。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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必要暖房能力について
まずは床下エアコンの必要暖房能力について考えていきます。
住宅の外皮平均熱貫流率及び平均日射取得率(冷房期・暖房期)計算書よりQ値を求めます。
外皮計算書についてはこちらをご覧ください↓
外皮計算書から求められたUa値があればQ値を求めることが出来ます。
床面積によって換算式が変わりますが一般的な換算式は以下になります。
[Q値]=2.5409×[Ua値]+0.4345
(100~160㎡)
その他の換算式(参考)
[Q値]=2.8592×[Ua値]+0.4569
(100㎡未満)
[Q値]=2.2999×[Ua値]+0.5436
(160㎡以上)
いま設計中の住宅のQ値を上記の式より求めてみます。
[Q値]=2.5409×0.44+0.4345=1.55(w/㎡K)
必要暖房能力は以下の式から求められます。
[必要暖房能力]=(Q値+C/10)×床面積×(設定温度-最低気温)/1000
C値に関しては設計段階なので気密測定が行えないのですが、C値=1.0を目標に気密工事をするので
[必要暖房能力]=(1.55+1/10)×142.43㎡×(23-0)/1000=5.405(kW)
よって必要とされる暖房能力は5.4kW以上のものを選択することになります。
ワイヤードリモコンについて
床下エアコンの場合床下の狭い空間に空気を送り込むため本体についた温度センサーが正しく作動しません。
また、床下に本体を設置するためにエアコン本体をワイヤレスリモコンで操作することは難しいです。
※リモコン中継器がありますが、USB端子がついていない機種には対応できません。
そのためワイヤードリモコンで操作することになるのですが、ワイヤードリモコン(本体からコードでリモコンが接続されたもの)があるエアコンとなると代表的なメーカーはダイキンか三菱のルームエアコンになります。
ダイキン
ダイキンの場合はKRC081A1というワイヤードリモコンとなります。
※こちらのワイヤードリモコンはリモコンコードと変換コネクタが別途必要となります。
また、ルームエアコンによってはリモコンの温度センサーを優先することに対応していない機種があるので注意が必要となります。
リモコンの温度センサーを優先することができる機種は、以下が現在確認が取れています。
■RXシリーズ
■AXシリーズ
■DXシリーズ
しかしながら、壁掛けエアコンを使用する場合は据付場所が1800~2000などと指定されているため、床下エアコンとしての利用はダメであり、保証の対象外になる可能性があります。
※あくまで設置する方の自己責任となるため、お施主様には十分な説明が必要となります。
三菱
三菱の霧ケ峰はどの機種もワイヤードリモコンの接続が可能となります。
三菱のワイヤードリモコンはMAスマートリモコン/PAR-40MAとなります
リモコンの温度センサーを優先させるためにはルームエアコン設置の際に基盤でリモコンの温度センサー優先にする設定をすれば可能となります。
しかしながら、三菱の霧ケ峰はメーカーとして床下エアコンとしての利用はダメであり、保証の対象外になります。
※あくまで設置する方の自己責任となるため、お施主様には十分な説明が必要となります。
まとめ
エアコンメーカーとしては、壁掛けエアコンを床下エアコンに利用することはすすめておらず、保証の対象外になる可能性があるので、あくまで設置する方の自己責任で行うことになります。
しかしながら、床下エアコンの床下からじわ~っと暖かくなり、冬場でも素足に半そででも十分な温熱環境は床暖房やエアコンでは再現できない暖かさだと思います。
何より、壁掛けエアコン1台で家中が十分に暖かくなるのはとても経済的です。
お施主様にはリスクを十分説明した上で、いま設計中の住宅に採用していきたいと思っています。
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