【セルフビルドと法律】現場写真と軽微な変更について

セルフビルドで木造住宅や倉庫などの「四号建築物」を建てる時に、素人だと難しいのが建築確認申請や中間・完了検査申請などです。

「四号建築物」とは
・木造
・平屋か2階建て(3階建て以上でない)
・述べ面積が500㎡以下
・高さ13m以下
・軒高9m以下
※RC・S造は平屋で200㎡以下

「四号建築物」の建築確認申請について
※建築確認申請の書き方のpdfデータはこちら
※資料は一般財団法人静岡県建築住宅まちづくりセンターより

建築確認申請や中間・完了検査申請などは建築士事務所に頼んだとしても注意しなければならないことがあります。

セルフビルドに関して知っておきたいことについてはこちらへ↓

建築士に頼んだから
後はお任せで大丈夫でしょ?

実際にセルフビルドで建てる場合で、建築士事務所に建築確認申請や中間・完了検査申請をお願いしたとしても、書類や図面の作成だけで現場での監理料は含まれていないケースが多いです。

その場合、工事の現場写真は自分で用意しなければなりません。

また、工事途中で工事が難しくて作り方や大きさなどを変更した時には計画変更申請が必要になる場合もあります。
(軽微な変更の場合でも変更前と変更後の図面や書類が必要)
追加で建築士事務所から申請料を要求されたなんてケースも多々あります。

せっかくセルフビルドでやるので、なるべくなら申請料を安くおさえたい場合は以下のポイントに注意して工事をする必要があります。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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セルフビルドの注意点

セルフビルドって
そもそも素人で大丈夫なの?

■木造建物については、作ること自体に資格は必要なし

資格要件があるのはあくまでも設計工事監理だけであって、【施工】ではありませんから、

建築士に設計と工事監理を依頼して、施工を自分でやるのは大丈夫

延べ面積が100㎡を超える場合は、その設計工事監理は、建築士の資格を持った者でないとできない。

※ 静岡県(浜松市裾野市)では
無資格者が設計できる防火地域及び準防火地域以外の建築物で60㎡以内(防火地域又は準防火地域内は延べ面積10㎡以内)
( 昭和59年3月23日条例第20号 )

■電気配線には電気工事士の資格が必要
■公設の水道管に繋ぐ給水工事は自治体の指定した業者でないと施工できない
■ガスの工事も業者のみ
■電話線の配線も業者のみ
■エアコンの取付けは資格を必要としない

※コンセントの移設や切り替え、内外接続線を壁に固定する作業などは、「電気工事士2種」の資格がないと行うことがでない。

セルフビルドに関して知っておきたいことについてはこちらへ↓

現場写真について

工事監理を自分で行う時は現場写真が必要となるので、しっかりと工程ごと写真を撮るようにしましょう。

中間検査申請

下記のリンクから第四面の工事監理の状況についての書類をご参照ください。
※中間検査申請の書き方のpdfデータはこちら
※資料は一般財団法人静岡県建築住宅まちづくりセンターより

中間検査申請の時に、特定工程までの内容を記述し写真を添付しなければなりません。

特定工程は以下

1.敷地の形状・高さ・衛生及び安全

2.主要構造部及び主要構造部以外の構造耐力上主要な部分に用いる材料(接合材料を含む)の種類、品質、形状及び寸法

3.主要構造部及び主要構造部以外の構造耐力上主要な部分に用いる材料の接合状況・接合部分の形状等

4.建築物の各部分の位置・形状及び大きさ

5.構造耐力上主要な部分の防錆・防腐及び防蟻措置及び状況

なんだか聞きなれない言葉ばかりなので簡単に撮る写真を説明すると以下となります。

1.敷地の状況のわかる全景写真
・道路境界のわかる箇所
・下水の接続位置

2.基礎工事の配筋写真など
・砕石ランマー転圧状況
・防湿シートの施工状況
・捨てコンクリート
・配筋・型枠・かぶり厚
・コンクリート打設状況
・アンカーボルトやホールダウンアンカーの写真
・柱、梁の木材や構造用合板などの写真

3.柱や梁、火打ちや筋交いの木造の骨組みのわかる写真
・土台、火打ちなどの施工状況
・床の構造用合板の釘打ちの施工状況
・アンカーボルトやホールダウンアンカーの接合状況
・建築金物などの接合状況

4.基礎のでき型などの写真
・形状、大きさ、敷地境界までの距離がわかる写真

5.防腐・防蟻の処理を行った時の写真

完了検査申請

下記のリンクから第四面の工事監理の状況についての書類をご参照ください。
※完了検査申請の書き方のpdfデータはこちら
※資料は一般財団法人静岡県建築住宅まちづくりセンターより

完了検査申請の時に、中間検査申請時からの続きの特定工程までの内容を記述し写真を添付しなければなりません。

特定工程は以下

1.居室の内装の仕上げに用いる建築材料の種別及び当該建築材料を用いる部分の面積

2.天井及び壁の室内に面する部分に係る仕上げの材料の種別及び厚さ

3.開口部に設ける建具の種類及び大きさ

4.建築設備に用いる材料の種類及びその照合した内容並びに当該建築設備の構造及び施工状況(区画貫通部の処理状況を含む)

完了検査申請の場合は中間検査申請時に提出した写真は必要ありません。写真を撮る箇所は以下になります。

1.床、壁、天井の仕上げの写真
・F☆☆☆☆の材料を使用することの明示など

2.キッチン周りの写真
・火気使用室(キッチン)の不燃材料の明示など
・換気設備の施工状況

3.窓や出入口のサッシの写真

4.建築設備の施工、設置写真
・ユニットバスやトイレ、エコキュートの写真
・給水・排水配管の施工状況
・24時間換気扇の設置写真
・住宅用火災警報器の設置写真
・浄化槽等がある場合はその施工状況

追加でとっておきたい現場写真
5.屋根工事
・野地板、アスファルトルーフィングなどの施工状況
・屋根材の施工状況
・樋の施工状況

6.外壁工事
・外壁の木下地の施工状況
・防水シートの施工状況
・サイディング、左官仕上げの施工状況

7.断熱工事
・床、壁、天井の断熱材の写真
・床、壁、天井の断熱材の施工状況

8.防水工事
・ケイカル板下地の施工状況
・FRP防水の施工状況
・サッシ枠との取合い部分
・トップコートの仕上げ写真

9.完成した建物の全景写真

ひとりで工事をしながらだと写真を撮るのをつい忘れてしまいがちです。

施工が進んでしまうと隠れてしまい後から写真を撮ることができないので、しっかりと特定工程ごとの写真を撮っていきましょう。

※工事写真をひとりで撮るときはこちらがあると便利です。
伸縮式ホワイトボード

軽微な変更と計画変更申請について

セルフビルドしていて多いのが作るのが大変になってしまい、当初の計画から勝手に変更してしまうケースです。

確認申請した建築物は基本的には提出した図面通りに作ることが必要です。

どうしても変更したい場合は、以下の項目のどちらに当てはまるかどうか変更する前に各自治体、建築士、まちづくりセンターなどに相談しましょう。

変更事項軽微な変更計画変更申請
道路幅員増加減少
接道長さ増加減少
敷地面積増加減少
建築物の高さ減少
(最低限がある場合を除く)
増加
階数減少増加
建築面積減少
(最低限がある場合を除く)
増加
床面積減少
(最低限がある場合を除く)
増加
用途変更類似の用途相互間左記以外
基礎ぐい・間柱・床・屋根版・小梁位置
(構造的に影響がない)
左記以外
柱・梁・壁など
(構造耐力上主要な部分)
材料・構造の変更(同等以上)左記以外
壁・間仕切位置(主要構造部・防火上主要なもの以外)・材料・構造の変更(同等以上)左記以外
開口部位置・大きさ・種類(採光・換気・排煙その他防火避難関係対象以外のもの)左記以外
天井の高さ排煙規定対象以外のもの左記以外
建築設備
(排煙機など)
材料・能力の変更(同等以上)・位置の変更左記以外
擁壁位置・材料・構造の変更(同等以上)左記以外

軽微な変更

上の表で「軽微な変更」の場合は、完了検査申請の時に軽微な変更説明書を書き、変更前と変更後の図面を添付しましょう。

※図面を変更する場合は、追加料金が発生しないか建築士事務所に確認しておきましょう。

計画変更申請

もし「計画変更申請」が必要な場合はもう一度、建築確認申請を出すのと同じ書類・図面が必要になります。

工事が完成してからの計画変更申請はとても大変ですので、建築確認申請時から工事内容を変更する際は事前に相談するようにしましょう。

変更手数料が必要になるので建築士事務所では計画変更申請となったら別途の追加料金が発生する場合が多いです。

※「軽微な変更」と「計画変更」の判定については各自治体で基準を定めている場合がありますので確認が必要です。

セルフビルドでやる場合は、なるべく「軽微な変更」で済ませたいところです。

まとめ

建築確認申請や中間・完了検査申請などは建築士事務所に頼んだとしても注意しなければならないことのまとめです。

①建築士事務所が現場監理までしてくれるのか
 まずは確認する

②中間・完了検査申請の
 特定工程の現場写真をしっかり撮る

③軽微な変更や計画変更に
 あてはまるかどうか注意する

などです。

建築士事務所によっては現場監理まで含めて安い料金でやってくれるところもありますが、正直なところセルフビルドの場合は工程管理が難しいので現場監理まではやらないケースが多いです。

建築設計事務所が現場監理までしてくれる場合でも、自分でしっかりと現場写真をとり、

軽微な変更内で工事を済ませるなどの注意をすれば、安くしてもらえる場合もあります。

セルフビルドでせっかくやるのですから、ブログなどで工事日記をつけ、写真を撮っていくと以外に人気ブログになったりするかもしれませんね。

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アーキトリック一級建築士事務所

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