床下エアコンで失敗した!?設計段階で配慮すべきことと今後の対策について
床下エアコンって足元から暖かでいいですよね、冬場でもエアコン一台で家中があったかいなんて、夢のような話です。
これまで設計事務所として床下エアコンを設置した経験はありませでしたが、実際に設置してある住宅へ見学に行いき良さを実感していました。
そんな中、ご高齢のお施主さまから床下エアコンの設置を了承していだだき、無事に設置することができました!
初めての試みを快く了承していただき、お施主さまにはとても感謝しています。
実際に床下エアコンを設置し、3ヶ月運転してみての感想ですが、
足元が冷たいと感じることがなく、とても良い温熱環境を実現できました。
床下エアコンで失敗したところってあるの?
しっかりと調べて設計したので、大きな失敗はありませんでしたが…
小さな失敗やもう少し設計段階で配慮すればよかったことはあります。
今回は、床下エアコンの設置で不安を抱えている人に、自分の失敗したことやもう少し設計段階で配慮すれば良かったことをご紹介します。
この記事で、失敗しないように注意点などがわかり少しでも不安を解消してもらえれば幸いです。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
初めての設置で注意したこと
設計事務所としては初めての経験だったのでしっかりと配慮して設計しました。
配慮した項目の代表的なことは以下になります。
・基礎内断熱の採用
・地中梁の設計
・Jotoシロアリ保証1000
・床下エアコンの機種選定
・ワイヤードリモコン
・床下換気システムの採用
(マーベックス澄家DC)
・メンテナンスの容易さ
・外皮計算Ua値の検討
・サッシの性能
・基礎耐圧盤下の断熱
床下エアコンの設置にあたり設計段階で配慮した項目のまとめはこちらをご覧ください↓
床下エアコンでの失敗
しっかりと調べて設計したので、大きな失敗はありませんでしたが…
小さな失敗やもう少し設計段階で配慮すればよかったことはあります。
小さな失敗は以下になります。
・ワイヤードリモコンの位置
・床下換気ダクトの配管
・コンセントを設置する位置
現場で修正してなんとか納めましたが、設計段階でも少し想像できていれば避けられたことです。
ワイヤードリモコンの位置
ワイヤードリモコンの位置はしっかりと設計段階で検討して、図面で位置を指示する必要があります。
私の場合、床下エアコンを途中から2台に増やしたので、リモコンを2つ描くのを忘れていました。
電気屋さんが2台を1つのエアコンで操作するのだと間違えて配線していて、現場で修正しました。
しかしながら、気密工事を行なった後の変更だったため、思い通りの位置に配線することができませんでした。
床下エアコンのすぐ上の開口部の近くになってしまいました。
開口部の近く位置だと室温より開口部からの冷気で冷やされた温度を拾ってしまい温度センサーがうまく働かない問題があります。
ワイヤードリモコンの設置についての注意点はこちらをご参照ください↓
床下換気ダクトの配管
床下換気システムの換気ダクトが思ったより大きく、床下エアコンからの暖かい空気を送るのを妨げてしまうことも失敗のひとつです。
特に配管の集中するタコ足?のところは空気を送るのが難しいところです↓
床下が均一に温まってしまえばいいのですが、運転してすぐには空気が届かないので遅れて温まる部分ができてしまいます。
これは現場でも設計上でもどうしようもない失敗です。
コンセントを設置する位置
コンセントの位置も現場での修正で納めた失敗です。
最初は床下エアコンを床面より下に埋め込もうとしていたのですが、
実際にエアコン機器を見てフィルターの取り外しが難しくなることに気づきました。
そこで床面と同じレベルで床下エアコンの下端を設置することにしました。
当然、コンセント位置の変更が必要でした。
床下エアコンのコンセント位置はエアコンの上側に横向きに設置するのがいいと思います。
一般のエアコンもそうですが、エアコン上部に隙間がないとそこから空気を吸うのが難しくなるのでどうしても隙間が必要になります。
その隙間にコンセントを設置すると外から配線が見えないのエアコンをスッキリと納めることができます。
設計段階でのもう少しの配慮
設計段階でのもう少しの配慮としては以下のことが挙げられます。
・床伏図での大引きの配置
・基礎立上りの配置
・気密性を考慮したサッシ
床伏図での大引の配置
床伏図での大引きの配置も設計段階でもう少し配慮が必要だったと思います。
以下の写真は大引きの間隔を910mmにした時(左側)と950mmにした時(右側)の床下エアコンの納まりの違いです。
大引きの間隔を910mmにした方(左側)はカーテンの引き込みのための袖壁が必要だったので寸法を詰めたので、
エアコンの左右のスペースが設置基準ギリギリの寸法になっています。
これだとエアコンを取り替える時にとても大変になります。
そこで、エアコンを隠している家具ごと取り外せるようにしました。
大引きの間隔を950mmにした方も家具が取り外せるようにしましたが、こちらは左右に余裕があるのでそのままでも取り外せます。
サッシの大きさを小さくして、大引きの間隔を950mmにした方がよかったところだと思います。
基礎立上りの配置
基礎立上りの配置も現場で修正した箇所になります。
基礎立上りがあると床下エアコンの暖かい空気の流れを止めてしまいます。
実際に現場を見て奥の部屋へ暖かい空気が届きずらそうだったので基礎立上りを減らして開口を作ったのですが、
実際には床下換気システムの機械や換気ダクトがあるのであまり変更した効果は少なかったと思います。
基礎立上りは設計段階で壁量計算や偏心率などのバランスをとって必要な箇所に配置しています。
私は基礎にホールダウンアンカーなどでなるべく負担をかけたくなかったためにこのような配置にしたのですが、
基礎立上りを減らすためにはもう少し外周部で壁量をとった方がよかったのかもしれません。
気密性を考慮したサッシ
サッシはサーモスXの樹脂とアルミの複合サッシを採用しました。
気密性を考えると樹脂サッシがよかったかなと思います。
また、お施主様に玄関サッシを一本引きにしたいとの要望があったので採用したのですが、
気密性を考えれば、玄関サッシは開戸にした方がよかったと思います。
断熱材も敷き込みよりも吹き付け断熱の方が気密性を取ることができます。
気密工事(フィルムなどの施工)は専門の業者がいないので大工さんが施工することになるのですが、
慣れていないと大変難しいので、施工手間が増える可能性もあります。
設計段階でもう少し気密性能について考慮していればよかったよかったと思います。
まとめ
今回は、床下エアコンの設置で不安を抱えている人に、自分の失敗したことやもう少し設計段階で配慮すれば良かったことをご紹介してきました。
まとめると以下になります
ワイヤードリモコンの位置
床下換気ダクトの配管
コンセントを設置する位置
床伏図での大引きの配置
基礎立上りの配置
気密性を考慮したサッシ
どれも施工段階で修正して納められた箇所でしたが、設計段階でもう少し配慮した方がよかったことだと思います。
これから、床下エアコンの設置を考えている人は以上の事柄に注意しながら設計段階から綿密に配慮するようにしましょう。
この記事で、失敗しないように注意点などがわかり少しでも不安を解消してもらえれば幸いです。
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