注文住宅でも安くなる?予算内に収めるためのコストダウンの方法10選

注文住宅は高いというイメージがあります。

高くなってしまう理由の1つに素材選びがあります。

注文住宅は安いものから高いものまで選択肢は自由にあります。

品質の良いものやその違いを知ってしまうと、それが使いたい欲望が生まれ、結果的に建築費が高くなってしまうケースが多いのも事実です。

また、注文住宅が高いという理由に設計料が別途かかるからというのもあります。

ハウスメーカーや工務店でも設計をする人の人件費はかかっています。

ただ、建築費の中に見えないように含まれているだけの違いです。

注文住宅でも安くなるの?

設備や材料の仕入値がかなり安いローコスト住宅にはかないませんが

その他のところでコストダウンすれば

注文住宅でもローコスト住宅のように建築費を安くすることができます。

ローコスト住宅がなぜ安いのかについてはこちらをご覧ください↓

今回は注文住宅でも建築費を安くするコストダウンの方法を10こ紹介します。

この記事が注文住宅を設計事務所に依頼して予算オーバーしてしまった場合のコストダウンにつながってくれば幸いです。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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コストダウンの方法10選

コストダウンの方法はたくさんありますが、金額の大きいものをとりあげます。

設計が進んでしまうとやり直しが難しくなってしまいます。

設計の早い段階で建築費を安くしたい旨を設計事務所にはっきりと伝えましょう。

注文住宅の場合はコストダウンすることだけを考えるのではなく、暮らしやすさや本当に自分が必要なものにはお金をかけるなどのメリハリも必要です。

①シンプルな外観にする 

シンプルな外観にするとは

・平屋より2階建て
・寄棟より切妻や片流れ
・凹凸より四角形


などの外観にすることです。

・平屋より2階建て
平屋の場合は2階建てに比べて基礎や屋根の面積が2倍になります。

基礎や屋根の面積が増えると材料や施工費も増えます。

2階建てのほうが基礎や屋根の面積を減らすことになりコストダウンに繋がります。

・寄棟より切妻や片流れ
寄棟の場合は切妻や片流れに比べて棟の数が多くなります。

屋根形状が複雑になると小屋組を構成する部材と施工費が増えます。

切妻や片流れのようにシンプルな屋根形状にしたほうがコストダウンに繋がります。

・凹凸より四角形
凹凸のある外壁の場合は四角形の外壁に比べて外壁の面積が多くなります。

外壁の面積が増えると材料や施工費だけでなく、コーナーの役物なども必要になります。

なるべく凹凸を作らずに四角形の外壁にしたほうがコストダウンに繋がります。

②シンプルな間取りにする

複雑な間取りや不整形な間取りはシンプルな四角形の間取りよりも材料ロスや施工費が多くなります。

また、複雑な間取りや不整形の間取りは構造部材や接合部などの加工手間が増えます

シンプルな四角形で間取りをつくるほうがコストダウンに繋がります。

③床面積を小さくする

床面積を小さくするとコストダウンに繋がります。

単純に1坪小さくするだけで30〜50万円ほど安くなります。

実際、床面積を小さくすると基礎や外壁、屋根の面積だけでなく内壁、床フローリングなどすべての面積が小さくなります。

建築費をコストダウンしたい場合は、余計なスペースを減らして床面積を少しでも小さくすることを心がけましょう。

④設備をコンパクトにまとめる

キッチン、トイレ、ユニットバスなどの水回りの設備は近い場所にコンパクトにまとめると配管する施工費が安くなります。

配管工事で大変なのは家から出た汚水を下水道までの接続する工事です。

家から出た配管はなるべく1つの経路で下水道に接続することでコストダウンする事ができます。

また、2階リビングの家など2階にキッチンやトイレ、1階にユニットバス、トイレなど水回りの設備を分けてしまうと配管が長くなり施工費が増えます。

水回りの設備を分ける場合は1階と2階で近い位置に設置すると配管が短くなるのでコストダウンに繋がります。

⑤子ども部屋は家具で間仕切る

子どもが2人以上いる場合は2部屋作らずに、8帖ほどの部屋を家具で間仕切ると内壁や床面積が少なくなるので安くなります。

子供は大きくなれば家を出ていってしまいます。

2部屋作ってしまうと後々に物置部屋になったりと無駄に床面積が増えてしまいます。

出入口や照明、スイッチなどの工夫は必要ですが、子ども部屋を家具で間仕切ればコストダウンに繋がります。

⑥和室は作らない

建築費を安くしたいのなら和室をつくらない方がいいと思います。

和室は造作部材が多くあり、ひとつひとつのが高いということもありますが、なれていない大工さんだと上手く納まらないです。

ハウスメーカーだとしっかりとした和室を作ったことがない大工さんが多いかもしれませんね…

和室を作らずに、リビングの一角に畳のスペースをつくるなどの方がコストダウンに繋がります。

⑦既製品の家具を利用する

造付けの家具だと高くなるので、既製品の家具を加工して利用することで安くすることができます。

既製品の家具は施工会社の掛率にもよりますが、かなり安く購入することができます。

既製品の家具を加工するのは大工さんや電気屋さんになるので設置する際は図面を用意してしっかりと打ち合わせしましょう。

造作家具を安くする方法についてはこちらをご覧ください↓

⑧ローコスト住宅の仕様を利用する

ローコスト住宅を作っている工務店などでローコスト住宅と同じ仕様でつくると安くなります。

仕様とは、設備のグレード、材料や仕上材などが決められたスペックのことです。

ローコスト住宅を作っている工務店は仕様で決められた設備や材料などの仕入値が安いので、同じものを使えば安くなります。

ローコスト住宅の仕様を利用するときはしっかりと内容を確認しないと、オプションなどで割高になってしまう場合もあるので注意しましょう。

⑨設備にお金をかけない

システムキッチンやユニットバス、トイレ、照明器具など住宅設備にあまりお金をけないことで安くすることができます。

住宅設備の機能やグレードの種類は多いので、ついつい欲しいものを選んで予算オーバーしがちです。

設備は必要最低限にして、どうしても欲しい機能だけをオプションで選びましょう。

建築費に対する設備費が占める割合は大きいので、ここが金額的におさえられればでコストダウンに繋がります。

⑩内装や外構はセルフビルドで

内装や外構工事はセルフビルドで仕上げると安くすることができます。

今ではブロック塀やフェンスなどホームセンターでも安く売っているので、セルフビルドで仕上げる人が増えています。

内装に関しても、量産クロス(F☆☆☆☆)など完了検査で通る最低限のもので仕上げておき、

検査後に漆喰や左官壁などセルフビルドで住みながら仕上げていく方法があります。

内装や外構の自分では難しいところだけを工務店にお願いして、仕上げはセルフビルドで作ればコストダウンに繋がります。

セルフビルドに関して、どこまで自分でできるのかや難しいところなど知りたい方はこちらをご覧ください↓

コストダウンしない方がいいところ

コストダウンしない方がいいところは以下のとおりです。

・木材の等級
・耐震耐風性能
・断熱性能
・外壁、屋根の仕様

木材の等級

住宅で使用する木材には等級があります。

価格が安いすぎひのきべいつがなどは品質などの等級が低かったり、しっかりとした乾燥材を使ってなかったりする場合があります。

乾燥していなかった木材が沿ってしまい外壁に亀裂ができてしまったなんてことも…

構造材になる木材は組み立ててしまうとやり直しがとても大変です。

目に見えない箇所でもコストダウンしない方がいいと思います。

耐震耐風性能

耐震耐風性能をコストダウンすると、筋交いのある耐力壁を減らしたり、柱、梁などの構造材の寸法をギリギリまで小さくすることになります。

これだと、建築基準法ので定められた基準や壁量計算、木造住宅工事仕様書をクリアしているだけの住宅になります。

近年は大型の台風などで突風による建物の倒壊などが増えてきています。

高スペックの耐震耐風性能は必要ありませんが、建築基準法ので定められた基準などをクリアしているだけでは少し不安だと思います。

設計事務所では構造材の寸法や壁量計算などの安全率は高めに設定しているのですが、この性能はコストダウンしない方がいいと思います。

断熱性能

断熱性能をコストダウンすると、断熱材の厚みやサッシの断熱性能が低くなりUa値やηac値が基準を満たすことができなくなります。

平成28年に省エネ基準が改正されました。

静岡県では地域区分6に該当し、Ua値0.87、ηac値2.8となっています。

この値は300㎡未満の住宅でも建築士は説明義務があり、省エネ基準に適合していない場合は適合するための措置をお施主さんに説明しなければなりません。

お施主さんが省エネ基準に適合していないことを了解した上で断熱性能をコストダウンするなら問題ないのですが…

断熱性能は夏の暑さや冬の寒さから室内環境を快適に守ってくれるだけでなく、エアコンなどの光熱費の削減、結露によってカビやダニなどの発生などに影響するとても重要な性能だと思います。

省エネ基準は努力義務ではありますが、Ua値やηac値をしっかりと計算して決めた断熱材の厚みやサッシのグレードはコストダウンしない方がいいと思います。

外壁、屋根の仕様

外壁と屋根は常に雨風にさらされている場所です。

当然ですが、日々劣化していきます。

外壁と屋根をコストダウンすると材料の保証期間や耐用年数が短くなります。

屋根材は安いからといってカラーベストで仕上げると10年に一回は塗替えが必要で30万〜50万円かかってしまいます。

最近では外壁がサイディングの住宅が多いのですが、サイディングにも塗膜性能保証により価格に開きがあります。

建築費をコストダウンできたはいいけど、後々のメンテナンス費用が高くなってしまいます。

外壁と屋根の仕様は後々のメンテナンス費用のことまで考えて、コストダウンしない方がいいと思います。

まとめ

今回は注文住宅でも建築費を安くするコストダウンの方法を10こ紹介しました。

まとめると以下になります。

①シンプルな外観にする
②シンプルな間取りにする
③床面積を小さくする
④設備をコンパクトにまとめる
⑤子ども部屋は家具で間仕切る
⑥和室は作らない
⑦既製品の家具を利用する
⑧ローコスト住宅の仕様を利用する
⑨設備にお金をかけない
⑩内装や外構はセルフビルドで


また、コストダウンしない方がいいところは

・木材の等級
・耐震耐風性能
・断熱性能
・外壁、屋根の仕様


となります。

設備や材料の仕入値がかなり安いローコスト住宅にはかないませんが

まとめにあげた方法でコストダウンすれば

注文住宅でもローコスト住宅のように建築費を安くすることができます。

実際、私の事務所兼住宅も③④⑦⑧⑨⑩などの方法でローコスト住宅を実現しています。

設計事務所とつくる注文住宅のよさは間取りの自由度だけでなく、コストの面でも自由度があるところだと思います。

注文住宅を作る場合は

・予算をしっかりと把握し
・設計事務所にはっきりと予算をいう
・できる範囲でコストダウンをはかる


建築費としてうかせたお金で暮らしやすさや本当に自分が必要なものにお金をかけるという予算の使い方を心がけましょう。

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アーキトリック一級建築士事務所

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