【終の住処】夫婦2人が老後に住む終の住処で求められる設計条件
夫婦2人が老後に住む終の住処を建てたいと思っている人は多いと思います。
夫婦2人が暮らす終の住処を建てるなら平屋の小さな家がおすすめです。
なんで平屋の小さな家がおすすめなの?
平屋の小さな家だと以下のようなメリットがあるからです。
平屋の小さな家のメリット
・修繕費が安い
・光熱費が安い
・掃除が楽
・移動が楽
・断捨離できる
などのメリットがあります。
私は18年間(2024年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、
老後に建てる注文住宅に数多く関わってみて、終の住処に憧れるようになりました。
今回は一級建築士の私が考える夫婦2人が老後に住む終の住処で求められる設計条件をご紹介します。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・終の住処で求められる設計条件
・終の住処を実現するためのポイント
上記のことがわかります。
40代から老後のことを考えて行動すれば60代で新たに終の住処を建てることは可能になります。
40代は住宅ローンの返済がまだ残っていたり、子供の教育費がまだかかって大変だと思います。
しかしながら、この時期を如何に節約して貯蓄や投資にお金を回すことがとても重要にないます。
40代になったらこの記事を参考に終の住処について真剣に考えてみましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
終の住処で求められる設計条件10選
終の住処で求められる設計条件は以下の10つになります。
終の住処で求められる設計条件10選
①30坪以下の平屋
②建築費用が2000万円以下
③2LDKの間取り
④建具は全て引き戸
⑤全てにおいてバリアフリー
⑥高気密高断熱の住宅性能
⑦メンテナンスフリーの素材選び
⑧ゆったりと過ごせるLDK
⑨勾配天井で空間を広く見せる
⑩中庭を作る
①30坪以下の平屋
終の住処で求めれられる設計条件のひとつ目は、30坪以下の平屋であることです。
30坪以下の平屋が夫婦2人が暮らすにはちょうど良い広さになるからです。
30坪だとLDKはどれくらい取れるの?
LDKは20〜25帖程度の広さが取れます。
LDKの最低限の広さが16帖なのでゆったりとしたLDKになります。
LDKの広さについてはこちらの記事をご参照ください↓
30坪以下の平屋にすると建蔽率が60%として、土地の広さが50坪(166㎡)以上必要になります。
駐車場や庭、隣家との距離も必要になるので60坪(198㎡)くらいの広さは必要になります。
郊外の土地なら坪単価20万円以下でザラにあるので1,500万円以下で土地を手に入れることも可能です。
②建築費用が2000万円以下
終の住処で求めれられる設計条件は、建築費用が2000万円以下であることです。
老後の生活のことを考えると建物にあまりお金をかけない方がいいからです。
2000万円以下だとどのくらいのグレードになるの?
30坪以下の平屋だと坪単価70万円程度になります。
ローコスト住宅の坪単価が30〜60万円なので、
坪単価70万円ならば一般的なローコスト住宅をベースに高気密高断熱の仕様で建てることが可能です。
建築費用が2000万円以下で建てるとなると、部屋やLDKの広さを最小限にするなど建築面積を減らして30坪以下の間取りを考える必要があります。
ちなみに、住宅金融支援機構のフラット35を利用した人たちのデータでは以下のような平均値になっています(2023年)
坪単価 | 住宅面積 | 住宅価格 | |
全国平均 | 106.9万円 | 119.5㎡(36.1坪) | 3,861.1万円 |
首都圏 | 115.1万円 | 120.4㎡(36.4坪) | 4,190.2万円 |
東海圏 | 106.7万円 | 121.0㎡(36.5坪) | 3,893.4万円 |
近年の坪単価の上昇により、一般的な30坪以下の平屋では3,000万円ほどかかる計算になります。
③2LDKの間取り
終の住処で求めれられる設計条件は、2LDKの間取りであることです。
夫婦2人が暮らす間取りなら2LDKが無駄がなく、ちょうどいいからです。
部屋数は2部屋必要になるの?
夫婦2人が各1部屋ずつは必要になります。
高齢になると介護ベッドを設置するスペースが必要になるからです。
また、夫婦がそれぞれ自分の部屋を持っていると、夫婦喧嘩などで顔を合せたくない時に部屋に篭ることができます。
いくら夫婦が仲が良くても、自分の部屋がある方が安心して眠れますよね。
④建具は全て引き戸
終の住処で求めれられる設計条件は、建具は全て引き戸であることです。
将来、車椅子での移動を考えた時に全てを引き戸にしておけば開け閉めが楽になるからです。
なんで開き戸だとダメなの?
開き戸だと扉を開け閉めするのに車椅子が邪魔になり開けづらく閉めづらいからです。
全てを引き戸にすることが難しい場合は省スペースのバリアフリードアを検討しましょう↓
扉が2枚のパネルの折れ戸になっているタイプの開き戸で省スペースでの開閉が可能です。
引き戸にする場合も床レールがないものを選びましょう。
レールの段差がなければ車椅子での移動がスムーズになります。
⑤全てにおいてバリアフリー
終の住処で求めれられる設計条件は、全てにおいてバリアフリーであることです。
快適に暮らすために障害となるものがあると暮らしていて不便さを感じてしまうからです。
全てにおいてバリアフリーとは床の段差や出入口の幅だけでなく、
温熱環境や掃除のしやすさなども考慮することが必要です。
終の住処をバリアフリーにするための注意点についてはこちらの記事をご参照ください↓
バリアフリー以外でも配慮することってある?
バリアフリー以外で配慮することは、
バリアフリー以外の設計的な配慮
・寝室とトイレの距離
・部屋ごとの温度差をなくす
・掃除のしやすさを考える
・維持費のかからない素材選び
・軒の出に配慮する
などが挙げられます。
部屋ごとの温度差をなくすためには床下エアコンが効果的です。
床下エアコンに関しての記事はこちらをご参照ください↓
⑥高気密高断熱の住宅性能
終の住処で求めれられる設計条件は、高気密高断熱の住宅性能であることです。
高気密高断熱の住宅性能にするとエアコンなどの光熱費を抑えることができるからです。
その他で光熱費を抑える方法はあるの?
庇や軒先を作り太陽光をうまく利用すると光熱費を抑えることができます。
冬は太陽光が部屋に入るように、夏は太陽光が入らないように庇や軒先を設計しましょう。
太陽光をうまく利用すると冬はポカポカ暖かく、夏は涼しい室内環境を実現することができます。
高気密の住宅を実現するには玄関のサッシを開き戸にする必要があります。
引き戸にすると隙間がどうしてもできてしまうので注意しましょう。
また、床断熱にすると床下がどうしてもひんやりと冷たく感じてしまいます。
基礎断熱にして床下を室内の温熱環境に近づけると冬場の床の冷たさを解消することができます。
⑦メンテナンスフリーの素材選び
終の住処で求めれられる設計条件は、メンテナンスフリーの素材選びをすることです。
メンテナンスフリーの素材を選ぶと日々の掃除が楽になり、さっと拭くだけで部屋の綺麗さが保てるからです。
メンテナンスフリーの素材ってどんなものがあるの?
床材のワックスフリーコーティングや人工木のウッドデッキなどがあります。
また、クロスなどにも抗菌、汚れ防止機能がついているものなどがあります。
日頃の掃除はさっと拭くだけで、綺麗さを長く保ってくれる素材選びをしましょう。
住宅設備に関してはTOTOの「きれい除菌水」を利用したキッチンやユニットバス、トイレなどがあります。
「きれい除菌水」は菌の発生を防いでくれるので、トイレの黒ずみや排水溝のヌメリなどがなくなり、掃除する手間がなくなります。
外壁ではケイミューの光セラ18など光触媒を塗布することで、雨の日に汚れを洗い流してくれる素材もあります。
また、ニチハのマイクロガードも「セルフクリーニング機能」で外壁の汚れを洗い流してくれます。
⑧ゆったりと過ごせるLDK
終の住処で求めれられる設計条件は、ゆったりと過ごせるLDKであることです。
普段は家にいることが多くなるので、夫婦の距離を保ちながら自分のことに集中できるからです。
どのくらいのLDKが必要なの?
LDKの最低限の広さは16帖ですが、20〜25帖程度は必要だと思います。
キッチンをアイランド型にすると夫婦で料理を作ったりできます。
リビングを広めのソファーにすれば、子供が泊まれたり昼寝を楽しんだりできます。
LDKで過ごす時間がいちばん長くなるので、ゆったりと過ごせる広さにしましょう。
⑨勾配天井で空間を広く見せる
終の住処で求めれられる設計条件は、勾配天井で空間を広く見せることです。
勾配天井で空間を広く高く見せることができると普段の生活に高揚感が生まれ楽しく暮らすことができるからです。
勾配天井とは1階の屋根の形状を利用して傾斜をつけ、高くした天井のことです。
勾配天井についてはこちらの記事をご参照ください↓
天井を高くすることって必要なの?
天井を高くすることで空間的な面白さが生まれます。
空間的な面白さは暮らしている人のこころのあり方に影響すると思います。
マンションではなくせっかく平家に住むのであれば勾配天井をうまく作り、
空間的な面白さを楽しみましょう。
⑩中庭を作る
終の住処で求めれられる設計条件は、中庭を作ることです。
植物に囲まれた生活をすると季節のうつろいや自然を身近に感じることができるからです。
中庭があれば、家庭菜園もできるので老後の豊かな暮らしを実現することができます。
中庭は手入れが大変じゃない?
確かに中庭の手入れは大変かもしれませんが、
老後のゆったりとした時間を過ごすには庭いじりは最高の趣味だと思います。
せっかく日本に暮らしているのだから、季節のうつろいや自然を身近に感じられる中庭を作りましょう。
終の住処を実現するためのポイント
終の住処を実現するためのポイントは以下になります。
終の住処を実現するためのポイント
・40代から老後に向けて行動する
・自宅を売却して住宅ローンを返済する
・子供が独立したら安い賃貸に引っ越す
・浮いたお金を20年間貯蓄や投資に回す
・60代でも健康的に生活できる身体を作る
40代から老後に向けて行動する
終の住処を実現するためのポイントは、40代から老後に向けて行動することです。
40代から行動すれば、退職するまでに少なくとも20年間は貯蓄することができるからです。
まだ、住宅ローンの返済や子供の教育費が大変なんだけどどうすればいいの?
子供が独立するまで頑張りましょう。
子供が独立すれば、生活費にも余裕ができます。
20代で子供が産まれた家庭では大学を卒業するまで22年かかるので、自分が40代になる頃には子供が独立してくれることになります。
住宅ローンの返済が大変な場合は、子供が18歳になりひとり暮らしで家を出たら自宅を売却して住宅ローンを完済することもできます。
60歳以降の豊かな暮らしを実現するために40代から行動しましょう。
自宅を売却して住宅ローンを返済する
終の住処を実現するためのポイントは、自宅を売却して住宅ローンを返済することです。
子供が独立し、家を出たら自宅を売却して安い賃貸に引っ越す方法が一番の近道になるからです。
なんで自宅を売却して安い賃貸に引っ越すのが一番の近道になるの?
住宅は15年を超えたあたりからメンテナンスや維持費にお金がかかってくるからです。
自宅を売却すればメンテナンスや維持費を貯蓄に回すことができます。
また、築年数が15〜20年の戸建ては高値で売却することができます。
住宅ローンを返済しても、まだ手元にお金が残ることなんてことザラにあります。
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不動産取引の経験が無い方でも、安心して利用できるサイトになります。
共有持分や再建築不可物件などにも対応しているのでどんな建物でも無料で査定することができます。
子供が独立して、家を出たら大きい家にそのまま住んでいるのは勿体無いですよね。
査定は無料なので、自宅はどのくらいで売れるのかを一度査定してみましょう。
子供が独立したら安い賃貸に引っ越す
終の住処を実現するためのポイントは、子供が独立したら安い賃貸に引っ越すことです。
住宅ローンの返済額よりも安い賃貸に引っ越すことで、月々浮いた分のお金を貯蓄や投資に回すことができるからです。
安い賃貸ってどのくらいがいいの?
夫婦2人なら2LDKで十分です。
郊外の賃貸なら家賃6万円のとことはザラにあります。
30年の住宅ローンを3,000万円借り入れると月々の返済額は約104,401円になります。
月々4万円浮いたとして、20年間で960万円を貯蓄に回すことができます。
さらに、持ち家の場合にかかっていた税金や維持費は20年で平均約600〜800万円になります。
合計で1,560〜1,760万円は貯蓄できる計算になります。
40代は収入が増えて贅沢な暮らしをしたくなる時期ですが、
この時期に節約した生活を送ることで60代での「終の住処」の実現に一歩近づきます。
浮いたお金を20年間貯蓄や投資に回す
終の住処を実現するためのポイントは、浮いたお金を20年間貯蓄や投資に回すことです。
月々4万円浮いたとして、20年間で960万円を貯蓄に回すことができるからです。
投資するなら何がいいの?
投資するなら長期で積立てていく新NISAがおすすめです。
月々4万円の積立をすると年利6%で運用できれば20年後には1,814万円にすることができます。
60代での退職金(平均約1,600万円)を足せば、3,414万円以上を手にすることができる計算になります。
さらに、持ち家の場合にかかっていた税金や維持費は20年で平均約600〜800万円になります。
これを足すと60代で手にすることができる合計額は4,014〜4,214万円となり、
土地代を合わせても3,000万円の平屋を建てることも可能となります。
老後の豊かな暮らしは40代で如何に支出を減らすかにかかっています。
60代で小さな平屋を現金一括で建てることができれば、これまでかかっていた税金や維持費などを最小限に抑えることができます。
60代でも健康的に生活できる身体を作る
終の住処を実現するためのポイントは、60代でも健康的に生活できる身体を作ることです。
人生100年時代です。
60代でも健康的に生活できる身体があれば、残りの30年も豊かな暮らしを実現することができるからです。
健康的に生活できる身体づくりはどうすればいいの?
適度な運動と食生活を見直すことが必要です。
特に食生活は重要で、いま食べているものが10年後のあなたの身体をつくると言われています。
40代〜50代で健康的な食生活や適度な運動を心がければ、60代でも健康でいられます。
40代〜50代は取引先との会食などが増えて食生活が乱れがちになります。
家での晩酌を控えたり、会食ではなくゴルフやテニスなどのスポーツ接待で健康的に身体を動かすようにしましょう。
まとめ
今回は老後は終の住処でゆったりと暮らしたい人や夫婦2人が暮らす終の住処はどのようなものが可能か知りたい人に対して、
私が考える夫婦2人が老後に住む終の住処で求められる設計条件をご紹介します。
まとめると以下になります。
終の住処で求められる設計条件10選
①30坪以下の平屋
②建築費用が2000万円以下
③2LDKの間取り
④建具は全て引き戸
⑤全てにおいてバリアフリー
⑥高気密高断熱の住宅性能
⑦メンテナンスフリーの素材選び
⑧ゆったりと過ごせるLDK
⑨勾配天井で空間を広く見せる
⑩中庭を作る
終の住処を実現するためのポイント
・40代から行動する
・自宅を売却して住宅ローンを返済する
・子供が独立したら安い賃貸に引っ越す
・浮いたお金を20年間貯蓄や投資に回す
・60代でも健康的に生活できる身体を作る
40代から老後のことを考えて行動すれば60代で新たに終の住処を建てることは可能になります。
40代は住宅ローンの返済がまだ残っていたり、子供の教育費がまだかかって大変だと思います。
しかしながら、この時期を如何に節約して貯蓄や投資にお金を回すことがとても重要にないます。
40代になったらこの記事を参考に終の住処について真剣に考えてみましょう。
この記事が少しでも老後のことを考えて40代から行動する人のお役に立てれば幸いです。
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