設計事務所と工務店ってどう違うの?注文住宅を頼む場合に知っておくべきこと

同じ注文住宅を建てる場合でも設計事務所か工務店のどちらに頼むのかを悩んでいる人は多いと思います。

こだわりのある注文住宅を建てるのであれば工務店より設計事務所の方が実現しやすいと思いますが…

最近では設計・デザインに力を入れている工務店もあるので一概にどちらがいいかを判断することは難しくなっています。

設計事務所と工務店の注文住宅ってどう違うの?

大きな違いは設計事務所は設計・監理だけを行い、建築工事までしないところにあると思います。

設計事務所の注文住宅では、この設計・監理が独立していることでよりクライアントのニーズに寄り添った注文住宅を建てることができます。

今回の対象者は以下の人たちに向けて記事を書いています。

この記事の対象者

▶︎設計事務所と工務店の注文住宅なら違いがわからない人

▶︎設計事務所に注文住宅を頼もうとしている人

上記の方々に対して、設計事務所と工務店の注文住宅の違いや頼む場合に知っておくべきことを紹介します。

この記事で設計事務所に注文住宅を頼むという選択肢が少しでも増えてくれれば幸いです。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!

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設計事務所と工務店の違い

設計事務所と工務店の大きな違いは以下になります。

設計事務所と工務店の違い

・細部の納まりとデザイン

・相見積もりの有無

・工事監理者が施主側かどうか

この違いによって施主の注文住宅に対しての関わり方が違ってきます。

細部の納まりとデザイン

設計事務所と工務店の注文住宅では細部の納まりとデザインに違いがあります。

工務店の注文住宅は工事のしやすさや工事費用を重視する傾向があるのに対して、

設計事務所は見た目の美しさや機能性を重視しているからです。

例えば、工務店の場合は住宅用サッシや建材など既製品を利用して細部の収まりを決める傾向がありますが、

設計事務所の場合は木製サッシや造作工事で細部を納めようとします。

設計事務所の納まりは手間がかかりますが、その場にあったオンリーワンのデザインを生み出すことができるので、

細部の納まりまでこだわりたい人には設計事務所の注文住宅の方が向いているかもしれません。

相見積もりの有無

設計事務所と工務店の注文住宅では相見積もりの有無に違いがあります。

工務店の注文住宅では工事まで工務店が請負うので相見積もりしません。

一方、設計事務所の注文住宅では複数社から相見積もりを取り施工会社を選定します。

相見積もりがあると施工会社を競わせるので、適正な価格で工事を行うことが可能になります。

最初から工事を請負う工務店が決まっていると価格交渉がとても難しくなります。

建築についての素人が工務店に値引き交渉したとしても、いいように説得されるのがおちです。

複数社からの見積もりがあれば、

「他の会社はその工事をこの価格でやっているのになぜできないのか?」

など交渉材料が増えるので値引き交渉しやすくなります。

工事監理者が施主側かどうか

設計事務所と工務店の注文住宅では工事監理者が施主側かどうかに違いがあります。

注文住宅では工事監理者が必要になります。

工事監理とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。

工務店の場合は工務店の設計担当が工事監理者になるので、手抜き工事を見逃すなど工務店側に有利な監理をすることがあります。

一方、設計事務所の場合は施主側の代理として工事監理をすることになるために、

手抜き工事はもちろん、第三者による公正な工事監理が行われます

設計事務所が工事監理に入ると、工事が始まってからの施主の安心感が断然違ってきます。

設計事務所の注文住宅で知っておくべきこと

設計事務所の注文住宅で知っておくべきことは以下になります。

知っておくべきこと

・設計事務所は工事は行わない

・完成まで時間がかかる

・決めることが沢山ある

設計事務所は工事を行わない

設計事務所の注文住宅では設計事務所は工事を行わないことを知っておきましょう。

工事については施工会社が行い、設計事務所は工事監理として図面通りに施工するように指示を出すことになります。

実施設計で納まりが曖昧な箇所は、施工会社に施工図を作らせて打合せを重ねて納まりを決めていきます。

設計事務所は工事を行わないので手間や工事費用などよりも見た目の良さや機能性を重視する傾向があります。

手間や工事費用にとらわれてしまうと自由な発想が生まれてこないので、施主が工務店の言われるがままに無難に納めてしまい後で後悔することがあります。

設計事務所がいる場合は専門的な知識や今までの経験からその場にあった独自の納め方を現場で一緒に考えながら決めていきます

とことん考えた上で決めるので施主が後悔することは少なくなります。

完成まで時間がかかる

設計事務所の注文住宅では完成までに時間がかかることを知っておきましょう。

いろいろと理由がありますが、簡単にいうと全てがオーダーメードで、ゼロベースで設計を始めるからです。

完成まで時間がかかる理由についてはこちらの記事をご参照ください↓

設計事務所の注文住宅の流れは以下になります。

①予算とイメージづくり
②設計事務所選び
③基本設計
④設計監理等業務委託契約
⑤実施設計
⑥相見積もりと施工会社選び
⑦見積り調整
⑧工事請負契約
⑨着工
⑩中間検査
⑪竣工、引き渡し



①と②は決まっているとして

③基本設計
→2〜3ヶ月
⑤実施設計
→1〜2ヶ月
⑥相見積もりと施工会社選び
→1ヶ月
⑦見積り調整
→1ヶ月
⑨〜⑪建築工事
→5〜6ヶ月
_______________________________
合計期間:10〜13ヶ月

基本設計から始めて引渡しまで約1年かかる計算になります。

※あくまで、基本設計や解体工事、造成工事がないなどスムーズに行った場合の合計期間になります。

決めることが沢山ある

設計事務所の注文住宅では決めることが沢山あるため、施主が頑張らないと後から後悔する場合があります。

施主が頑張らないといけないことについてはこちらの記事をご参照ください↓

例えば、キッチンやユニットバス、トイレなどの設備を決める場合でもショールームに行き実際に見ていちから決めていくなど、打合せには時間がかかります。

工務店の場合は標準仕様が決まっているため、選択肢の中から選ぶことが多いので設計事務所の注文住宅より決めることは少ないです。

メーカーのショールームにはコーディネーターがいるので自分の好みに合わせてカスタマイズしてくれますが、それでも決めなければならないことは沢山あります。

とことんこだわりたい人には楽しい時間ですが、決めるのが苦手の人には苦痛になるかもしれません。

自分で決めることができなければ、コーディネーターや設計事務所にお任せする方が全体のバランスが取れると思います。

気になるオプションは全て選んでおき、見積もりがオーバーしたらそれらを取りやめるなどあまり悩まないようにしましょう。

両方のいいところを活かすには

設計事務所と工務店の両方のいいところを活かす方法があります。

設計デザインは設計事務所が主導して工務店が施工会社会社として設計段階から参加する方法です。

それを行うには以下のことに注意しましょう。

両方のいいところを活かすには

・設計デザインは設計事務所

・設計段階での工務店の参加

・工務店の仕様を使う

両方のいいところを活かす方法についてはこちらの記事をご参照ください↓

設計デザインは設計事務所

設計デザインは設計事務所が主導した方がいいと思います。

というか、そうしないと設計事務所が関わる意味がなくなってしまいますw

設計事務所と工務店の相性が良ければいいのですが、設計デザインのことで工務店が主導してしまうと設計事務所の立場がなくなってしまいます

それに、どうしてもコストのことを考えながら設計デザインすると…

思いきったデザインができなかったり、無難なデザインになったりして設計事務所の本領を発揮できない注文住宅になってしまいます。

あくまでも私(設計事務所)としての意見ですが、初めからコストを前面に出して設計デザインはしない方が自由に発想できるのでいいと思います。

設計段階での工務店の参加

設計段階で工務店が参加すると現実的な予算や施工方法のことを考えながら設計ができるので、うまくまとまるケースがあります。

具体的には実施設計の段階で工務店に打合せに参加してもらうのですが、

設計事務所としてもデザイン性を保ったままコストダウンする施工方法などアドバイスが得られるのでとても助かります。

しかしながら、設計事務所のこだわりを理解できない工務店だとうまくいかない場合があります。

工務店の仕様を使う

工務店で得意な工法や仕様があるので、その仕様を利用して実施設計するとコストダウンができる場合があります。

これは設計事務所の判断にもよりますが、設計事務所にも注文住宅のデザイン性を落とさないための標準仕様があります。

工務店の仕様を利用するのは設計事務所の理解が必要になるので、しっかりと工務店の工法や仕様を利用して設計してもらえるか確認をとりましょう。

まとめ

今回は設計事務所と工務店の注文住宅なら違いがわからない人や設計事務所に注文住宅を頼もうとしている人に対して、

設計事務所と工務店の注文住宅の違いや頼む場合に知っておくべきことを紹介してきました。

まとめると以下になります。

設計事務所と工務店の違い

・細部の納まりとデザイン

・相見積もりの有無

・工事監理者が施主側かどうか

知っておくべきこと

・設計事務所は工事は行わない

・完成まで時間がかかる

・決めることが沢山ある

両方のいいところを活かすには

・設計デザインは設計事務所

・設計段階での工務店の参加

・工務店の仕様を使う

設計事務所の注文住宅では、設計・監理が独立していることでよりクライアントのニーズに寄り添った注文住宅を建てることができます。

やってもらう工務店が決まっている場合でも設計事務所が注文住宅に関わると設計打合せや工事監理がスムーズに進みます。

施主のこだわりが隅々まで行き届いた注文住宅を作るなら断然、設計事務所に頼んだ方がいいと思います。

この記事で設計事務所に注文住宅を頼むという選択肢が少しでも増えてくれれば幸いです。

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