住宅ローンの借入可能額はどう決まるの?注文住宅の適正な予算の決め方
住宅ローンで借入して家を建てたいけど、金融機関から借入できる金額がいくらになるのか不安を抱えている方は多いと思います。
住宅を建てる際に暮らしのイメージを考えることも大事ですが、同時に予算のことも考えておかないと…
暮らしのイメージは出来たけど、自分には予算がない!
なんてことになり、関わった人たちに迷惑をかけてしまい後で大変なことになります。
借入可能額は金融機関によって決められているので、希望する額の融資を受けられない場合もあります。
住宅の借入可能額ってどう決まるの?
金融機関が定めている指標によって決まります。
この指標で計算すると自分がいくらまで借入できるのかが分かります。
今回は、自分の住宅ローンの借入額がいくらになるのか悩んでいる人に、借入可能額の決まり方などを紹介します。
この記事で住宅の予算を決めたり、住宅ローンの借入額を設定する時のお役に立てれば幸いです。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
住宅ローンの借入可能額の決まり方
金融機関が借入可能額を定めるときに使われる指標はの代表的なものは以下になります。
- 返済負担率
- 融資率
- 金融機関の借入限度額
- 安定して支払い可能かどうか
- 担保価値
返済負担率
返済負担率とは「年収に占める年間返済額の割合」のことです。
住宅ローンの審査を行う際に金融機関が重視する項目のひとつで、
借入希望額がこの返済負担率を超えると、返済負担が大きいと判断されて減額されたり、審査から落とされたりします。
なお、ここでの年収は手取りではなく額面収入となります。
■返済負担率(%)
=年間の返済額合計÷額面収入×100
■年間の返済額合計
=額面収入×返済負担率(%)÷100
フラット35では、年収400万円未満の場合は返済負担率30%以下、年収400万円以上の場合は返済負担率35%以下と定められています。
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例①)
年収300万円の人がフラット35を利用する場合
300万円×30%÷100=90万円
となり、これを12ヶ月で割ると
90万円÷12ヶ月=7万5000円
年収300万円の人は7万5000円が毎月の返済額の上限となります。
35年ローンの場合は金利のことを考えなければ
90万円×35年=3,150万円
が借入可能額となる計算になります。
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例②)
年収600万円の人がフラット35を利用する場合
600万円×35%÷100=210万円
となり、これを12ヶ月で割ると
210万円÷12ヶ月=17万5000円
年収600万円の人は17万5000円が毎月の返済額の上限となります。
30年ローンの場合は金利のことを考えなければ
210万円×30年=6,300万円
が借入可能額となる計算になります。
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民間銀行の住宅ローンの返済負担率も金融機関ごとにさまざまで、その内のほとんどが以下のように細分化されています。
民間銀行の返済負担率の例
・年収→返済負担率
・100万以上300万未満→20%以下
・300万以上450万未満→30%以下
・450万以上600万未満→35%以下
・600万以上 →40%以下
フラット35の返済負担率の例
・年収→返済負担率
・400万未満→30%以下
・400万以上→35%以下
年収400万の人の返済負担率を比べてみると、
民間銀行の方は30%、フラット35の方は35%となり、民間銀行の方がフラット35と比べて厳しくなっていることが分かります。
融資率
融資率とは「購入する住宅価格に対する借入金の割合」のこと。
簡単に言うと、物件価格に対して借り入れで賄う部分の割合です。
この融資率によって金融機関の金利が設定されています。
■融資率
=借入額÷住宅の建設費×100
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例③)
住宅の建設費が4,000万円で頭金が500万円用意していた場合
借入額は
4,000万円-500万円=3,500万円
融資率は
3,500万円÷4,000万円×100
=87.5%
となります。
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フラット35では、この融資率が90%を超えてしまうと、金利が上がってしまいます。反対に融資率が90%以下だと金利が安くなります。
最近では住宅ローンも低金利が続き、比較的借り入れしやすくなっています。
ただし、住宅ローンの支払いは長期間にわたります。
長い間返済していく中で、金利がたとえ安くても、総返済額になると大きな差が出ます。
フラット35の金利
・融資率→金利
・90%超える→1.56%
・90%以下 →1.30%
※2020年5月時点
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例④)
住宅の建設費3,000万円で頭金が500万円ある場合
頭金500万円→
融資率
2,500万円÷3,000万円×100
=83.33%
よって、フラット35の金利は1.30%
借入額2,500万円で返済期間が35年の総返済額は3,113万円
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例⑤)
住宅の建設費3,000万円で頭金なしの場合
フラット35の金利は1.56%
借入額3,000万円で返済期間が35年の総返済額は3,895万円
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頭金が500万円と頭金なしの場合の総返済額の差額は782万円となり頭金があった方が安く済みます。
金融機関の借入限度額
借入限度額は、年収や返済負担率などに関係なく定められています。
・財形住宅融資→4000万円
・フラット35→8000万円
・一般的な民間銀行→1億円
と上限額が設定されています。
借入限度額は、それぞれの金融機関で独自に定めているもので、最近の民間銀行の住宅ローンでは、1億円以上でも借りられるところも増えています。
安定して支払い可能かどうか
住宅ローンの借入金額を決める上で、安定的にローンを返済し続けることが可能かどうかが一つのポイントとなります。
見られるところは
・勤め先
・年収
・勤続年数
などで
公務員など安定性のある職業だったり、年収が多かったりすると、借入希望額での住宅ローン審査を有利に運べます。
自営業や正社員でもインセンティブ契約の場合、収入が多くても安定性を欠くために減額されるケースもあります。
※インセンティブ契約とは活躍に応じてボーナスが支払われる契約のことです。
勤め先が官公庁や上場企業の場合、借入金額だけでなく金利も優遇されます。
担保価値
担保価値も借入可能額を決める条件の一つとなります。
担保価値は大きく分けて2種類あります。
・物的担保
・人的担保
物的担保とは、物品、土地や建物の権利など特定の財産のことです。
人的担保とは、住宅ローンを支払えなくなった場合に、第三者(保証人・連帯保証人・連帯債務者など)に債務を負わせられるかどうかのことです。
支払いが滞った際に、しっかりと回収できるかどうかが担保価値を決めています。
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住宅ローンの借入可能額は以上のような条件で決められます。
特に返済負担率については事前に試算できるので、どのくらいであれば毎月返済していけるか気になる場合には自分で計算してみると良いでしょう。
ただし、住宅ローン以外にも車のローンやカードローンなどがあれば、それらも含めての計算となります。
また、それぞれの家庭によって生活費や教育費など、予算の使い道はまったく異なります。
住宅にかける予算の決め方
金融機関の借入可能額の決まり方について見てきましたが、
次は実際に住宅にかける予算を決めるときの目安について見ていきましょう。
住宅にかける予算の目安は以下のようなことを心がけるといいかと思います。
- 借入額は年収の7倍
- 返済額を手取りの25%以下
- 退職時のローン残高は1,000万以下
住宅にかける予算の目安についてはこちらをご参照ください↓
建築費用からの予算決めの注意点
実際にかかる建築費用は建設会社から提出された見積りから分かりますが、これだけで予算を決めてしまうと思わぬ落とし穴があります。
というのも、建築費用以外にかかる費用がかなりの金額になるからです。
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例⑥)
延べ床面積が36坪で4LDKの2階建ての木造住宅を1,000万の土地に1,800万で建てた場合
・外構工事→180万
・家具家電とカーテン→200万
・地鎮祭→8万
・印紙代→2万
・表示登記費用→7万
・不動産取得税→64万
____________________________
・合計461万
建築費用以外に最低でも461万はかかる計算になります。
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建築費用以外にかかる費用についてはこちらをご参照ください↓
住宅ローンを実際に審査してみる
建築費用と建築費用以外にかかる費用を合わせて、自己資金をいくらにするかが分かれば借入額がいくらにするのか設定できると思います。
それが、借入可能額の範囲内かどうかは前述したことを参考に計算してみるのもいいのですが…
実際に無料の住宅ローン審査をして見た方が早いのです。
住宅ローンの審査するときに複数の金融機関に個々に審査の申し込みをするのは手間がかかってしまいます。
一度の入力で最大6銀行まで審査してくれるこちらのサイトがおすすめです↓
複数の金融機関で審査してもらうことで比較できるので、自分に合った金融機関が探しやすいです。
また審査は無料でスマホから簡単に入力できます。
住宅本舗の住宅ローン仮審査申し込みはフラット35や借り換えにも対応しているのでとても便利です。
まとめ
今回は、自分の住宅ローンの借入額がいくらになるのか悩んでいる人に、借入可能額の決まり方などを紹介してきました。
まとめると以下になります。
返済負担率
融資率
金融機関の借入限度額
安定して支払い可能かどうか
担保価値
■住宅にかける予算の目安
・借入額は年収の7倍
・返済額を手取りの25%以下
・退職時のローン残高は1,000万以下
■建築費用からの予算決めの注意点
→建築費用以外にかかる費用がかなりの金額になる
となります。
建築費用以外にかかる費用のことも考えれば、自己資金はしっかりと貯めておいた方がいいと思います。
具体的な自己資金の額は、金利のことを考えるて融資率を90%以下にすることを目標にすればいいと思います。
この記事で住宅の予算を決めたり、住宅ローンの借入額を設定する時のお役に立てれば幸いです。
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