メリットとデメリットのある「2階リビング」で実際に暮らした感想
2階リビングに住んでいる友達が遊びに来てくれました。
いろいろと話が弾んだのですが、2階リビングの家って実際に住んでみてどうなのかいろいろと聞きながらメリットとデメリットを一緒に考えてみました。
補足)学生時代からの友達で、一緒の建築好きということもありよく遊びにきてくれるのですが、実際につくるまで3年近く一緒に考えた家です(ほぼモンストw)。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
2階リビングの5つのメリット
①広い空間が取れる
②勾配天井と高窓
③日当たりがよい
④1階の構造が強くなる
⑤通りからの視線が気にならない
①広い空間が取れる
木造住宅の場合、壁量計算をしなければならないのですが、2階のほうは必要な壁量が少なくても良い傾向があります。
壁が少なくてすむので広い空間を作ることができます。
②勾配天井と高窓
屋根形状にあわせて勾配天井をつくることで高い天井の部屋を作ることができます。
高窓とあわせて空間を考えると光の差し込む開放感のあるリビングにすることができます。
友達の家の場合は片流れ屋根の家なのですが、2階の梁の上の壁の強度は面積が大きくなると風などの力を受けてしまいます。
そのため屋根勾配を緩やかにして、高くなる方の壁の面積をなるべく少なくするようにしました。
もちろん束組みのところを筋交いを入れて強度を増すこともできますが、
壁面に対して垂直方向の強度は増すことが難しい(垂直方向の強度が保証された建築金物は見たことがない)と思います。
勾配天井と高窓のある2階リビングを作るには片流れ屋根にすることも1つの方法です。
片流れ屋根に関してのメリットとデメリットをまとめてありますので、こちらの記事をご参照ください↓
③日当たりがよい
1階より2階の開口部のほうが近隣の建物からの影が落ちてこないので日当たりは良くなります。
2階は広い空間がとれることもあり光が部屋の隅々まで届きます。冬は明るくて暖かな居心地の良い空間になります。
④1階の構造が強くなる
寝室や子供部屋を作る場合、どうしても壁で間じ切らなければならないので壁が多くなります。
1階は壁量が必要になるので壁が多く必要です。
2階リビングの場合は1階に寝室や子供部屋を設けるので壁量的(構造的)に有利になります。
⑤通りからの視線が気にならない
2階にリビングがあるので、通りからの視線が3mほど高い位置になります。開口部のカーテンを全面にあけても視線が気になりません。
広い道路からの視線や近隣建物の2階からの目線などはありますが、近くからの視線や話し声などが聞こえてしまう心配は特にないので安心してくつろげます。
2階リビングの5つのデメリット
①玄関からの動線が長い
②階段の上り下りが大変
③広い空間のためエアコンが効かない
④子供の帰宅がわかりにくい
⑤1階の防犯面が弱くなる
①玄関からの動線が長い
階段を使って2階リビングへ行くのですが、玄関からリビングやキッチンまで動線がどうしても長くなります。
2階リビングでくつろいでいる時に、来客が来た場合には動線が長くて玄関まで行くのが面倒です。
インターホンはモニター付きのものにするのが良いでしょう。
リビング側から操作して玄関の鍵をロック解除できるものは今のところ住宅用サッシでは出ていませんが、IoTが進むとそのうち出ると思います。
②階段の上り下りが大変
どうしても階段の上り下りが必要になります。買い物から帰って、大きな荷物を2階まで上げるのは大変です。
緩やかな勾配で広めの階段を作るようにしましょう。
風呂なども毎日階段を上り下りするのが面倒なので、
2階でキッチン、ダイニング、リビングだけでなく風呂や脱衣室などいつも使う場所も2階にまとめてしまうほうが良いと思います。
③広い空間のためエアコンが効かない
夏場の冷房エアコンですが、広い空間や勾配天井のために熱気が上にたまってしまい効きづらい場合があります。
屋根に近いので天井が暖まりやすいことなどもあり、高気密・高断熱の家でもやはり夏場の冷房エアコンは効きづらいです。
すこし冷房能力の高いエアコンにするか、サーキュレーターをうまく利用して空気を循環させるようにしましょう。
④子供の帰宅がわかりにくい
普段は2階のキッチン周りで作業しているので子供部屋が1階にあると学校からかえってすぐに自分の部屋へいってしまい、子供の帰宅がわかりにくいです。
学校から帰ったらおやつを食べるためにいったん2階に顔を出すことや学校で何があったのか話をするなど家族のあつまる習慣作りは必要です。
⑤1階の防犯面が弱くなる
2階で昼間は生活することになるので1階の玄関が開けっ放しだと、そぉ~と1階に泥棒がはいっても気づかない場合があります。
玄関の閉め忘れがないようにオートロックにすることや窓にはルーバーや面格子を設けるなど防犯面を強化しましょう。
設計段階で気をつけること
2階リビングのメリットとデメリットを見てきたわけですが、設計段階で特に気にした点など簡単ではありますがあげておきます。
①階段を緩やかにする
②なんでもない部屋を作る
③キッチン脇に外部スペースを設ける
④広いテラスが欲しくなる
⑤水周りの設備の配管に気をつける
①階段を緩やかにする
登りやすい緩やかな勾配にするのはもちろんですが、踏面はなるべく広くとりまわり階段の踊り場部は斜めの踏面を作らないようにしましょう。
階段に関しては長く住まうためには設計段階で注意が必要になります。こちらの記事をご参照ください↓
②なんでもない部屋を作る
スペースに余裕があれば、納戸などのなんでもない部屋(特に機能のない部屋)を2階に作っておいたほうがいいと思います。
洗濯物をたたんで置けるスペースやリビングから少し離れて集中したいときなどの書斎、来客が泊まるときの部屋など特に機能のない部屋が2階にあるととても便利です。
③キッチン脇に外部スペースを設ける
生ゴミや空き缶を室内に置きっぱなしだとニオイの原因となります。キッチン脇にバルコニーやテラスなどの外部スペースがあることで、いったんそこに置いておけるので便利です。
2階リビングは一般には風通しがよいのですが、キッチン脇の外部スペースに屋根がある場合など常時開放して通風・換気をとることもできます。
④広いテラスが欲しくなる
テラスやバルコニーは洗濯物を干すだけではもったいない
通りからの視線を気にすることなく、晴れの日はアウトドア気分を楽しめるスペースとなります。
狭いテラスでも工夫次第で快適に過ごせるスペースとなります↓
リビング・ダイニング・キッチンと一体的につながったテラスやバルコニーが欲しくなりますので設計段階でテラスやバルコニーを広めに取っておくようにしましょう。
⑤水周りの設備の配管に気をつける
最近は2階の床下や天井がそのままみえる住宅も多くなっていますが、天井フトコロが少ないと排水などの配管がうまく勾配が取れなかったりします。
水周りの設備の配管をどこにするのか、あとからのメンテナンスも考えて設計段階でしっかりと決めておくことは重要です。
実際暮らしている感想
実際に私は家にいる時間のほとんどを2階で過ごしているのですが、1階とは違う開放感があり、自分の時間に集中しやすいなどのメリットを強く感じています。
2階リビングはメリットとデメリットもありなかなか決めるには家族の同意と勇気が必要です。
敷地が広くあり南側に十分な庭が取れる敷地条件が良い場合は問題ないのですが、人通りがあり狭い敷地に建てる場合は2階リビングを検討するのもいいと思います。
実際に暮らしてみないとわからない点などがありますのでこの記事が家のプランを決める参考になれば幸いです。
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アーキトリック一級建築士事務所