市街化調整区域って建物を建てられるの?市街化調整区域で住宅をつくる場合の基礎知識
田舎暮らしをしたくて地方の土地を探しているとき、せっかくいい土地を見つけても「市街化調整区域」だったなんてことよくあります。
市街化調整区域って
建物を建てられるの?
市街化調整区域とは市街化することを調整している区域です。
市街化調整区域で住宅を建てる場合は、市街化区域で住宅を建てるより少しハードルは上がります。
しかしながら、しっかりと手続きを行えば自分好みの自然環境にあった住宅を建てることができます。
今回は
田舎暮らしをしたくて、せっかくいい土地を見つけたのに「市街化調整区域」だった人や
「市街化調整地域」の土地を購入しようかどうか迷っている人に
市街化調整区域で住宅をつくる場合のメリット・デメリットや注意点などをご紹介できればと思います。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
市街化調整区域のメリット・デメリット
市街化調整区域で住宅をつくる場合の代表的なメリットは以下の通りです。
・土地が広くて割安
・周りに自然環境がある
・都市計画税がかからない
土地が広くて割安
市街化調整区域は、建物の建築や建て替えが制限されるため、市街化区域より土地の価格が安くなっています。
都道府県知事の許可なく建築物を新築することができないので住宅を建てる場合は手続きが必要となります。
土地代が安くても、かかる費用や実際に住むまでの期間には余裕を見ておきましょう。
周りに自然環境がある
周りに農地があったり、自然環境には恵まれています。
自然の野山で子供を育てたい人にとってはとてもよい自然環境の土地があります。
都会の狭い土地では、遊びの種類もコスト高になりがちですが、自然環境を相手に子供が勝手に遊びを見つけます。
休日は近くの畑から取れたての野菜でBBQなんてことも、ご近所のことを考えずにゆったりと家族で過ごせます。
都市計画税がかからない
都市計画税は、原則として市街化区域内の土地及び家屋の所有者に対して市町村が課税する税金です。
ただし市街化調整区域の土地・家屋に課税しないことが課税の均衡を著しく失する特別の事情がある場合には、当該市街化調整区域のうち条例で定める区域内に所在する土地及び家屋について課税されることがあります。
※詳しくは市町村にお問合せください。
市街化調整区域で住宅をつくる場合の代表的なデメリットは以下の通りです。
・インフラ整備が遅れる
・学校、病院、スーパーなどが遠い
・行政書士費用がかかる
インフラ整備が遅れる
市町村が推進する市街化の地域から外れてしまうため、道路の舗装や下水道の整備など生活するためのインフラ整備は遅れがちになってしまいます。
土地に接続している道路が公道であれば、電気やガス、水道設備は整っている場合が多いのですが、下水道はないことは多多あります。
浄化槽や上水道、雨水の排水などの設備にかかる費用などには余裕をみておきましょう。
学校、病院、スーパーなどが遠い
「市街化調整区域」は、平たく言ってしまえば農業や林業の用地が広がる人の住まない地域です。
当然ですが、市街地の学校、病院、スーパー、コンビニ、駅といった生活に必要な施設からも遠くなってしまう場合が多いです。
※既存宅地の場合は生活に必要な施設が最低限あったりします。
行政書士費用がかかる
建築許可が必要になるために市街化調整区域で住宅を建てる場合は行政書士費用が別途でかかります。
地目が農地だったり、分筆や土地の境界確定が必要な場合なども別途申請手続きの費用がかかります。
不動産取引をしている会社が市街化調整区域の土地の売買実績があるかどうかなどしっかりと調べたほうがいいと思います。
市街化調整区域の基礎知識
次に、そもそも市街化調整区域とな何なのかや建築許可についてみていきたいと思います。
市街化調整区域とは
市街化を抑制する地域のことで、住宅や施設などを積極的に作って活性化を行わない地域のことです。
市街化を目的とはしていませんので、人が住むために必要な一般的な住宅や商業施設などを建築することが原則として認められていません。
※市街化調整地域かどうか調べるには市役所の「都市計画課」に調べたい土地の住所を伝えれば教えてくれます。
建築許可について
市街化地域と比べると新築や増築などについての厳しい制限はありますが、絶対に禁止されているというわけではありません。
自治体に申請し建築許可が下りれば、住宅を建てることが可能となります。
すでに一定数の家が建っており、上下水道が整備されている既存宅地などでは、自治体によっては新しく建物を建てられる場所もあります。
建て替えや増築を行う際も基本的に自治体に申請し建築許可を受け、容積率や封ぺい率などの制限を守ることが必要となります。
地目が農地の場合
地目が農地の場合は農地転用が必要になります。
農地転用をする場合には、都道府県知事の許可を受けなければいけません。
農地の所有者が自らが使用して農地以外の方法に使用するのであれば農地法第4条申請
農地を譲渡して他人が農地転用の効果を受けるというのであれば、農地法第5条申請
別途で申請費用が必要になります。
※不動産で紹介される土地の地目は宅地がほどんどです。
※転用許可できない農地もあるので、詳しくは市町村の農業委員会へ問い合わせてみましょう。
※地目を調べるにはその地域を管轄する法務局で登記記録を見ればわかります。
迷ったら既存宅地が狙い目です
不動産で紹介される市街化調整区域の土地が安くても、住宅を建てるために必要な生活インフラの整備や建築許可の申請費用などがかかってしまいます。
市街化調整区域の土地探しで迷ってしまったら、既存宅地の土地を選ぶことをおすすめします。
既存宅地とは
既存宅地とは、その土地が市街化調整区域に指定される前から「宅地」として利用されていたことを法的に確認した土地のことです。
・市街化区域に隣接している
・市街化区域と日常生活圏内である
・おおむね50以上の建物がある
・市街化調整区域になる前に宅地であった
などの土地のことです。
既存宅地の購入にはトラブルもあるので、不動産取引をしている会社が市街化調整区域の土地の売買実績があるかどうかなどしっかりと調べたほうがいいと思います。
トラブル例に関してはこちらをご参照ください。
建築許可は必要
建築許可とは市街化調整区域で開発行為を伴わない建築の許可のことです。
市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域ですので、建築は原則的に禁止されているのですが、次のような場合には、建築を行なうことができます。
1.開発行為(土地の区画形質の変更)を行なうための許可(開発許可)を受けた区域内で行なう、開発許可条件に適合する建築
2.開発行為を伴わない建築で、都道府県知事の許可を得て行なう建築(都市計画法第43条)
1の開発行為を受けた造成地など売れ残っている場合もありますが、当初の開発許可条件に適合させるのは難しいので、実質的には2の都道府県知事の許可を得て行なう建築(都市計画法第43条)が必要になります。
既存宅地のメリット
市街化調整区域で住宅を建てようとした場合に既存宅地を選ぶメリットとしては以下の通りです。
・道路が整備されている
・電気、電話、ガス、上下水道が整備
・コンビニや日用品を取扱う店舗
自給自足の生活がしたかったり、いくら開拓精神にあふれた人でも生活インフラや最低限の店舗は必要だと思います。
いきなりの田舎暮らしは少しハードルが高いので、少し歩けば住宅があったり、住民同士のコミュニティーのある既存宅地の土地がおすすめです。
土地購入前のチェック項目
土地購入する前に自分の目で土地を探す時のチェック項目は以下の通りです。
①基準法上の道路に接しているか
②雨水の排水、水路や側溝の有無
③水道本管の位置
④電柱や電話線の有無
⑤下水道の有無→浄化槽
⑥農業振興地域の指定の有無
→解除手続き
⑦地目は何か→農地転用
⑧道路との段差の有無→土盛
⑨分筆や境界確定の必要性
行政書士や不動産業者に相談する時も上記の項目を頭に入れて話をしましょう。
※不動産取引をしている会社が市街化調整区域の土地の売買実績があるかどうかなども重要です。
まとめ
今回は舎暮らしをしたくて、せっかくいい土地を見つけたのに「市街化調整区域」だったので土地を購入しようかどうか迷っている人に、市街化調整区域で住宅をつくる場合のメリット・デメリットや注意点などをご紹介してきました。
まとめるです。
メリット・デメリットは以下の通りです。
・土地が広くて割安
・周りに自然環境がある
・都市計画税がかからない
・インフラ整備が遅れる
・学校、病院、スーパーなどが遠い
・行政書士費用がかかる
市街化調整区域とは市街化を抑制する地域のことで、住宅や施設などを積極的に作って活性化を行わない地域のことで、
人が住むために必要な一般的な住宅や商業施設などを建築することが原則として認められていませが、
自治体に申請し建築許可が下りれば、住宅を建てることが可能でした。
田舎暮らしをしたくて、探し出した自然環境のいい土地が「市街化調整区域」だったとしても
生活インフラの整備や建築許可の申請をすれば住宅を建てることは可能なので
あきらめずに、不動産業者や行政書士、市町村などに相談することをおすすめします。
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