男の隠れ家とは?敵兵からの防衛や殲滅を目的とした城虎口から考えてみる
「隠れ家」という言葉から皆さんは何をイメージしますか?
山里にある温泉宿や繁華街から少し離れた場所にある居酒屋、または子供の頃の秘密基地などなど…
一部の人だけに知られた落ち着ける場所というイメージを思い浮かべるでしょう。
会社では上司や部下との人間関係に四苦八苦、家に帰れば子供達の遊び相手、休みの日は妻のご機嫌とりのための家族サービスに勤しむ男性にとって誰からの干渉も受けずに引篭れる「隠れ家」(秘密の場所)というのはとても魅力を感じ、そんな場所をいくつか知っておきたいものです。
この「隠れ家」の究極ともいっていいものが城ではないかと思う今日この頃です。
男の隠れ家
城といえば近代以前の軍事的な防衛施設でありますが、引き篭りながらも外の状況を把握できる櫓、食料や武器の備蓄、援軍要請のための補給路の確保、守りながらも攻めてくる敵兵を殲滅する曲輪や虎口、馬出しなど、篭城戦に備えた様々な設備や考えぬかれた設計はまさに「男の隠れ家」の究極と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか⁉︎
もちろん現代において戦国時代のような敵兵からの防衛や殲滅を目的とした城のつくりはいささか大袈裟ではありますが、これを「隠れ家」としての見立てた時に奥まった落ち着ける場所とは何なのか、必要な仕組みとは?などが見えてくると思います。
虎口とは
城の設備には様々なものがありますが、ここではアプローチという視点で、防衛上の通路である虎口について着目してみます。
虎口(こぐち)とは中世以降の城郭における出入り口のことで、「こぐち」には狭い道・狭い口という意味がある。「小口」とも書く。「虎口(ここう)」とよむ場合は、中世の戦場や陣地における危険な場所を意味する。後略
wikipedia
平入り 坂虎口 喰違虎口 枡形虎口 馬出し
形態は様々ありますが、
奥まった空間へ至るまでのアプローチとして考えると、これほどまでに演出された通路はよっぽど「奥の方に大切なものがある」ということを暗示する構成となっており単なる通路というよりそれに至るまでの大切な場所(空間)と考えられます。
ここからは奥の方にある天守や櫓などがよく見えたりもします。
この場所に侵入した敵兵を奥の壁の狭間や櫓から狙い撃ちするためでもあるのですが…奥の方からは誰が来たかが見渡せる構成となっています。
奥の間にあるもの
虎口を奥まった空間へ至るまでのアプローチとして考えてみたわけですが、
•目標とする建物に視線を向けさせること
•そこにすぐにはたどり着けないこと
•奥には大切なものがある事を意識させること
•奥からは外の状況がわかること
などなど、いろいろな演出により空間的な奥行きを生み出してると考えられます。
現代の住宅でこれらの要素を設計に取り込んだとして、そこまでして隠した奥の間には何があるのか…
そこは誰にも邪魔させずに安心して趣味に没頭できる落ち着いた空間であることは間違い無いでしょう。
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