照明効果でこれだけ違う!これだけは知っておきたい照明計画の基礎知識

一般的に夕方から夜に住宅の照明を使うことが多いと思います。

昼間はしっかりと開口部から自然光を取り入れることができる住宅のなら16時~24時の8時間は照明の光のもと過ごしていることになります。

これは人工的な光のもと人生の約1/3をすごしていることになります。充実した人生を送るために重要な要素のひとつであり、

しっかりとした照明の知識と計画が必要となります。

今回は知っておきたい照明計画の基礎知識をあげて照明について考えていきたいと思います。

照明器具の具体的な種類についてはこちらをご参照ください↓

住宅を設計する段階ではよく照明計画をメーカーが出してくれますが、

それに自分なりにひと工夫することやこういう雰囲気にしたいというイメージをしっかりと持つことで、

自分のライフスタイルにあった照明計画が出来るようになります。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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色温度による感じかた

人間には体内時計というものがあり太陽の光などの1日の明暗の周期に同調しているといわれています。

これは概日リズム(サーカディアン・リズム)というもので、

よく体をしっかりと目覚めさせるには

朝起きて朝日を浴びることが望ましい

といわれるのは朝日などの光の刺激は概日リズムを修正する効果があるからだといわれています。

地球環境は無意識のうちに私たちに大きな影響を与えています。

夕陽のような暖かみのある電球の下では、落ち着き感や和やかな雰囲気を感じ、

日中の太陽光のような白っぽい蛍光灯の下では躍動感や活発さを感じます。

照明計画する上で最初におさえておきたいのが照明の色温度です。

色温度(K:ケルビン)

色温度(K:ケルビン)とは光の色を表す単位のことです。

黒体(光をまったく反射しない黒い物体)に高熱を加えた際に放射される光の色をそのときの黒体の温度で表現しています。

色温度が低いほど赤みがかった光色、色温度が高いほど青みがかった光色となります。

色温度による感じかた
ENDO照明 光育より

自然の生活リズムに合わせて各部屋の色温度を変えていくのが理想です。
朝は朝日(おおむね2000K)とともに起床して十分に太陽の光を浴びてから朝食をとり、体を目覚めさせてから一日をスタートしたいものです。

気持ちよく目覚めるために寝室には朝日を取り入れられる開口部を設けることが望ましいのですが、

夜は遮光性のあるカーテンを閉めて寝ているので朝日を取り込むことが難しい場合は起床時に合わせてタイマーで照明がつくようにセットすることも出来ます。

体を目覚めさせて一日をスタートするためには朝食をしっかりととることも重要です。そのためにダイニングでは3500K~4200Kの色温度が理想です。

ダイニングテーブルにペンダントライト(2700K)がある場合、窓を開けて自然光をとりいえれるか、

曇りの日は昼白色(4000K)のダウンライトやシーリングライトで補助的に明るさを確保してあげるのも効果的です。

照度(LX:ルクス)

昼間は働いている環境下での色温度となるわけですが、昼光色(6700K)や昼白色(5000K)の色温度が一般的です。

ここで押さえておきたいのが照度という明るさの単位です。

照度(LX:ルクス)とは光に照らされている面の照明の明るさを表す単位です。
書類を見たりコンピューターを使用したり、細かい作業を行う場合など750LX~1000Lx以上が必要な場合があります。

 JIS照明基準により場所の用途や作業内容に応じて推奨される照度の基準が制定されています。

温度と照度の関係において光が人間に与える心理的効果として「クルーゾフ効果」というものがあります。

ENDO照明 光育より

オランダの物理学者クルイトフ(Kruithof)が1941年にKruithof Curveというデータを発表しています。

色温度により人間が快適と感じる照度の範囲が異なるというもので、色温度が低いと低照度で色温度が高いと高照度が快適であるということを説明するのに便利なデータです。

コンビニは白い光で明るいことを誰もが体験されていることでしょう。コンビニは短時間で買い物をするため、

日中のように快活な雰囲気が店に求められます。そのため多くの店が5000Kほどの白い光を採用し、1000Lx前後の全般照度になっています。

一方、高級レストランのような長時間在室するような空間は落ち着いた雰囲気が必要です。

店内は少し暗め(100~200Lx)の照度となり、暖かい光の照明(2700K)にすることが多いです。

このように照明計画においてクルーゾフ効果を利用してお店の雰囲気を演出する場合が多いです。

均一な明るさより局所的な明るさを

均一な明るさより局所的な明るさを

夕方から夜にかけて住宅の照明は明るさを確保する役割ですが、仕事から帰ってきてからすることといえば、

キッチンで料理したり、食事を食べたり、リビングのソファーでボ~っとしたり、テレビを見たり、音楽を聴いたり、読書をしたり、趣味のプラモデルを作ったり…

と様々な場面で必要な照度基準が異なります。

それぞれにシーンに合わせて色温度や照度を変えられる調色・調光できるLEDの照明器具などもあります。

しかしながら、部屋全体を均一に明るすることよりも必要な箇所を局所的に明るくするほうが夕方や夜の雰囲気を演出するのには効果的だと思います。

私が照明計画でよく心がけているのは、リビングやダイニングの基本照明はダウンライトやシーリングライトで部屋全体は色温度2700K、照度100~200Lx程度におさえます。

ペンダントライトでダイニングテーブルを照らし、リビングの天井や壁は間接照明ブラケットで照らして反射光により部屋を明るくしたり、

読書するソファーのそばにフロアスタンドで読書に必要な照度を確保することなど様々な照明器具の組合せで局所的に明るさをとっていきます。

また、キッチンは手元は明るく自分の影が落ちないようにすること、棚下灯やユニバーサルダウン、スポットライトで調理台を照らすように計画しています。

リラックスできる明るさとは

リラックスできる明るさとは

キャンプの焚火や暖炉、キャンドルの火には1/fゆらぎがありリラックス効果があるといわれています。

たしかに、キャンプやBBQのとき日も落ちて寒くなり焚火や備長炭を囲んで友達とお酒を飲みながらたわいもない話をしているひと時が最高に心地いいと感じます。

大学の恩師の家で研究室の仲間と集まったとき、暖炉のゆらゆらと揺らめく炎とマキがパチパチ燃える音でをききながら家の中で暖炉を囲めるスペースがあるのがとても魅力的に感じながら楽しい時間を過ごしたのを思い出します。

いつまでも燃えている炎を見ていたいと思ってしまうのは自分だけでしょうか…

いまから家の中に暖炉を作るのは条件が揃わないと大変な工事になってしまいますが、照明の電球に調光機能を設け薄暗くして屋内用のバイオエタノール暖炉暖炉型ヒーターなどを設置することなとをおすすめします。

■ wifi対応のLED電球

スマートフォンとWi-Fi環境があれば 口金(E26)の電球を取り替えるだけですぐに使え、 生活シーンに合わせて明るさや光の色を無段階で調節できる

■ バイオエタノール暖炉

植物由来の再生液体燃料であるバイオエタノールを使用した地球に優しいオシャレな暖房器具で煙や煤が発生しないので煙突いらず、部屋を暖めるだけでなくオレンジ色の炎はもはや鑑賞用のインテリアです

■ 暖炉型ヒーター

まるで本物のような炎のゆらめきと質感を再現、電源を入れるだけで暖炉のある暮らしが楽しめます

料理をおいしく見せる照明とは

料理をおいしく見せる照明の選びかた

夕食を美味しくいただくには、新鮮なサラダやお肉が本来の色を鮮やかに発色する照明選びが必要です。
ここでおさえておきたい光の性質は演色性というものです。

演色性(Ra:アールエー)

演色性(Ra:アールエー)とは照射した物体の色を再現する光源の性能を表す単位です。

一般にRa80以上であれば色彩の見え方を実用的に満足できるといわれています。

太陽光(自然光)をRa100として、白熱電球やハロゲン球はRa100と非常に高いのですが一般的な蛍光灯はRa60~70となります。

蛍光灯の明かりでは色がきれいにみえないので飲食店で白熱電球やハロゲン球が多かったのはこのためです。

今ではあたり前になっているLEDですが以前に比べ演色性はRa70~95とかなり改善されています。

忘れがちですが、ダイニングテーブルにペンダントライトを取り付ける場合は設計段階でしっかりとダイニングテーブルとイスの寸法を考慮して取り付けることに注意しましょう。

寝室で眠気を誘う照明効果とは

人間には体内時計(日概リズム)というものがあり太陽の光などの1日の明暗の周期に同調していると前にも述べましたが、夜に眠気を誘ってくれる鍵を握っているのが「メラトニン」というホルモンです。

海外を忙しく飛び回っている人は時差ぼけで睡眠のリズムが狂ってしまいがちなのでメラトニンサプリでとっている人も多いと思います。

メラトニンは夜に分泌され、体温や脈拍、血圧を下げて人間を自然に眠りへと導く作用があるとされています。

夜に蛍光灯やスマホから発せられるなどの青白い波長の強い光の刺激を受けることで、メラトニンの分泌は抑制されてしまいまので、

できれば、眠る1~2時間前はこのような強すぎる光を避けることが必要です。

私の場合は、眠る前の寝室の明るさは「ほの暗い環境」を作り出すような照明計画を心がけています。具体的には色温度2700Kで照度20Lx程度です。

直接的に照明の光が目に入らないようにベッド上の枕のほうようり足元のほうにダウンライトを配置したり、

均一な明るさの全般照明(全方向で光が拡散する照明でシーリングライトなどのこと)をつけるなら調光機能を取付けたりしています。

寝室でのやることといったら、化粧をしたり、本を読んだりと手元や照らしたい面だけフロアスタンドやアームライトなどで局所的に明るさをとることにしています。

間接照明で演出したりランプ型のコンパクトスタンドなどもあり夜のほの暗さの中ぼ~っと眺めていられるインテリアも充実してきています。

寝室で眠気を誘う照明効果とは

寝室を真っ暗にすることは感覚が遮断されるため逆に脳が敏感になり目が覚めやすくなる場合があります。

そんな場合にお勧めなのは、間接照明をつけっぱなしにして寝ることです。
子供の頃、親から電気をつけっぱなしにして寝てしまい、おこられた経験から罪悪感のようなものもありますが…

LEDの寿命は約40,000時間ですので睡眠が一日8時間の人は

40,000÷8÷365で毎日つけても約13.6年間の寿命があることになります。

また調光機能で照度を下げることでLED電球の発熱量が下がますので、電源回路の破損を軽減しさらに寿命を延ばすことも考えられます。

LEDの間接照明は長寿命で省エネなのでつけっぱなしにしても大丈夫です。

LEDのシーリングライトの場合は調光機能を利用して照度を落としてつけっぱなしでも良いのですね。

照明計画のまとめ

知っておきたい照明計画の基礎知識として、いろいろな用語説明をしてきたわけですがもう一度確認すると

・色温度(K:ケルビン)
・照度(LX:ルクス)
・演色性(Ra:アールエー)


があります。下記はあくまでも私が心がけている照明計画になります。

キッチン
・調理台は手元が明るくなるようにする
・ダウンライトをの配置に注意する
・作業する時の影が落ちないようにする

ダイニング
・部屋全体は色温度3500K~4200K
・ペンダントライト(2700K,Ra80以上)で
 ダイニングテーブルを照らす
・自然光を取り入れる開口部をつくる
・テーブルとイスの配置を考慮する

リビング
・色温度2700Kで照度100~200Lx程度
・間接照明やブラケットの反射光で
 部屋を明るくする
・読書などの明るさはフロアスタンドで
・局所的な明るさをこころがける
バイオエタノール暖炉暖炉型ヒーター

寝室
・色温度2700Kで照度20Lx程度
・朝日を取り入れる開口部をつくる
・起床タイマーで照明がつくようにする
・足元側にダウンライトを配置する
・シーリングライトは調光機能を付ける
・間接照明やランプ型のコンパクトスタンド
・眼にLEDの明かりを直接的に入れない
・LED間接照明などはつけっぱなしで

廊下
・フットライトなど人感センサー付きにする
・コンセントライトなど人感センサー付きに
・物置や下足入れなどにも照明をつける
・物置内部には掃除機充電用のコンセントを

生命が地球に誕生して約39億年前、ヒト属が日常的に火を使い始めたのは170万年から20万年前と広い範囲で説が唱えられていますが、火を利用していたわれわれの先祖であるホモ・サピエンスが世界各地に広がったのが約6万年前とされています。

商業的に電球が生産され始めたのは1881年(イギリスのジョゼフ・スワンは試行錯誤の改良実験により電球の特許を取り「スワン電灯会社」を創立した)の約140年前です。

電気が各家庭に行きわたり暗くなればあたりまえのように照明をつける、繁華街は夜でも照明の明かりにあふれているというような現代になったのは人類の歴史からすればごく最近のことです。

朝日とともに起床し、日中は働き、太陽の沈む前に夕飯の支度をし、ランタンの明かりで夕食をいただき、夜は焚火の炎をみながらゆっくりと過ごして、暖かくなってうとうとししてきたら寝る…

照明によって確かに夜でも昼間のように明るくはできますが、夜の暗闇にはそれなりの楽しみ方があるわけです。

長々と書き綴ってしまいましたが、あなたのライフスタイルにあった照明計画やイメージづくりの手助けになったら幸いです。

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