現場監理の心構え!施主からのクレーム対策と施工会社とのトラブル対策
しっかりと実施設計を行なった注文住宅でも施主からクレームが来てしまうことがあります。
大半は現場が始まってから施工会社が対処することになるのですが、
気をつけないと設計事務所にまでクレームがくる場合もあります。
設計事務所へのクレームって多いの?
設計事務所へのクレームは年々多くなってきています。
注文住宅でもしっかりと建築設計をしないと、設計事務所の責任で工事をやり直さなければならないなんてこともあります。
私は17年間(2023年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、
現場でトラブルやクレームがあるのは現場監理の心構えがしっかりとできていない場合がほとんどでした。
今回は現場監理の心構えや施主からのクレーム対策と施工会社とのトラブル対策についてご紹介します。・
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・施主からのクレームと対策
・施工会社とのトラブル対策
・現場監理でうまく納める心構え
上記のことがわかります。
どんな現場でも少なからずクレームやトラブルはあります。
クレームやトラブルをうまく未然に防いだり、職人さんたちと一緒に代替案や納まりを考える経験が現場監督としての成長につながります。
設計事務所として現場監理する際にはしっかりと今回ご紹介した心構えを実践するようにしましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
施主からのクレームと対策
施主からのクレームと対策は以下になります。
施主からのクレームと対策
・イメージと違う
→ショールームで現物を確認する
→施工されている現場を見学する
→内観や外観パースでシミュレーションする
・工事費用が高い
→仕様変更はその都度見積もりをとる
→予算内での選択肢を作ってもらう
→施工会社としっかりと話し合う
・施工後に不具合が出る
→メーカーの施工図をしっかり調べる
→設備を設置したら使い勝手を確認する
→造り付け家具の寸法変更には注意する
イメージと違う
施主からのクレームで多いのが素材がイメージと違ってしまうことです。
イメージの違いは小さなサンプルや写真で判断してしまうとよく起こります。
施主からのクレームが出る前に対策できればいいのですが、なかなか難しいこともあります。
事前のクレーム対策としては以下のことをしましょう。
イメージと違う対策
・ショールームで現物を確認する
・施工されている現場を見学する
・内観や外観パースでシミュレーションする
しっかりと素材が施工されたところをイメージできるようになるには設計者でも難しいと思います。
素材のイメージの違いは起きやすいのでしっかりと現物のサンプルを取り寄せて現場で確認しましょう。
工事費用が高い
施主からのクレームで多いのが工事費用が高くなってしまうことです。
工事費用は施工会社に任せっきりだと、後で施主や施工会社からクレームがくることもあります。
工事費用の増加を事前に防ぐ対策は以下のことをしましょう。
工事費用が高い対策
・仕様変更はその都度見積もりをとる
・予算内での選択肢を作ってもらう
・施工会社としっかりと話し合う
しっかりと工事費用については施工会社と話し合い、予算内で納まるように選択肢を作ってもらいましょう。
施主の希望での変更の場合も工事予算内で納まるのか追加費用が発生するのかをはっきりとさせておくうことが必要です。
施工後に不具合が出る
施主からのクレームで多いのが施工後に不具合が出ることです。
引渡し後の不具合は施工会社の責任で直すことになるのですが、
設計変更により不具合が生じた場合は設計事務所にも責任が生じる場合があります。
例えば、造り付けの家具の寸法を変更したら入れようとしたものが入らなくなった場合など、
しっかりと入れるものの寸法を確認しな場合は設計事務所の責任になり、家具を作り直す費用を請求される場合があります。
施工後の不具合を事前に防ぐ対策は以下のことをしましょう。
施工後に不具合が出る対策
・メーカーの施工図をしっかり調べる
・設備を設置したら使い勝手を確認する
・造り付け家具の寸法変更には注意する
施工前にしっかりとメーカーの施工図を確認して、不具合が生じないように対策を取りましょう。
施工後の不具合は設置後の設備のトラブルが一番多いので、
使い始めてから1ヶ月は気をぬかづにクレームに対処できるようにしておきましょう。
施工会社とのトラブル対策
施工会社とのトラブル対策は以下になります。
施工会社とのトラブル対策
・設計図面での記載がない
→不明瞭な点は
「現場打合せにて決定のこと!」
と図面に記載する
・仕様を勝手に変更した
→しっかりと3者に確認を得てから変更
・納まりが悪い
→しっかりと現場で打合せして決める
・工事金額が増加した
→施主を説得してでも変更した方がいい場合もある
・工期が間に合わない
→他のメーカーの同等品を使うか、一時的に他の器具で代用する
設計図面での記載がない
施工会社とのトラブルで多いのは設計図面での記載がないことで起こるトラブルです。
設計図面で不明瞭な点は
「現場打合せにて決定のこと!」
などの文言を記載しておきましょう。
記載がないとどうなるの?
記載がないと、施工会社の選択肢の中から選ぶしかないのですが…
設計図面の記載ミスで不具合が生じた場合は設計事務所に費用が請求される場合があります。
私の経験上、設計事務所として費用を負担したことは一度もないのですが、
それでも責任の所在が設計事務所にある場合は責任を追わなければならないと思います。
設計図面を描く時は不明瞭な点がある場合は、しっかりとそのことを記載して、
その工程が始まる前に現場監督としっかりと打合せして決めましょう。
仕様を勝手に変更した
施工会社とのトラブルで多いのは仕様を勝手に変更したことで起こるトラブルです。
仕様変更のトラブルは、設計事務所が施主と相談して変更してしまい施工会社に伝え忘れていたことが原因になる場合が多いです。
また、施工会社が提案してきたものに変更した場合でも、性能が足りなかったりイメージと違ったりしてトラブルになることがあります。
仕様を変更して違った場合はどうすればいいの?
施主や設計事務所、施工会社の3者が納得して仕様を変更した場合は誰かに責任を負わせることはできませんが、
3者のうち誰かが欠けていた場合にはトラブルが生じてしまいます。
仕様を変更する場合はしっかりと3者に確認を得てから変更するようにしましょう。
納まりが悪い
施工会社とのトラブルで多いのは納まりが悪いことで起こるトラブルです。
建築の細かいところの納まりは現場監督と職人、設計監理者によって決めていきます。
職人が勝手に納まりを決めてしまった場合はどうするの?
それで上手く納まればいいのですが、見た目や使い勝手で支障が出てしまった時には施主の意見も必要になります。
納まりが悪い場合はやり直しもあるので、設計監理者は重要な箇所の納まりについてはしっかりと現場で打合せして決めるようにしましょう。
工事金額が増加した
施工会社とのトラブルで多いのは工事金額が増加したことで起こるトラブルです。
工事金額の増加する原因は色々とありますが、一番大きいのは使う仕上材や仕様の変更などです。
現場が始まってからの工事金額の増加って施工会社が負担するんじゃないの?
確かに、施工会社が負担する場合がほとんどですが、
明らかに施主の要望によって金額が増加した場合は、最終的に施主が負担する場合が多いです。
設計事務所の設計監理は工事予算まで握っていないので予算内で納めるのは現場監督の裁量によるところが大きいのですが、
予算が増加しても仕上がりや使い勝手が良くなるのであれば、施主を説得してでも変更した方がいい場合があります。
工期が間に合わない
施工会社とのトラブルで多いのは工期が間に合わないことで起こるトラブルです。
最近では半導体を使った設備や照明器具などの納期が遅れています。
設備機器の納期の遅れが原因で工期が間に合わないことは多々あります。
その機器を選ぶ時に予想できなかったの?
確かにメーカーに問い合わせれば納期が遅れることはわかったかもしれませんが、
カタログに載っている製品でも突然、生産中止になってしまったものもあります。
工期が間に合わない場合は、他のメーカーの同等品を使うか、一時的に他の器具で代用するしかないと思います。
現場監理でうまく納める心構え
現場監理でうまく納める心構えは以下になります。
現場監理でうまく納める心構え
・伝えるための設計図面を描く
・わからないことを素直に認める
・失敗したら素直に謝る
・監督や職人のアドバイスを聞く
・日頃からコミュニケーションを取る
伝えるための設計図面を描く
現場監理でうまく納める心構えは、伝えるための設計図面を描くことです。
納まりが曖昧な意匠図をそのまま描いてしまうと施工者が勘違いしてしまいます。
施工方法がわからない場合は「打合せにて決定のこと」という記載をして、施工会社と具体的な打合せを行いましょう。
伝えるための設計図面ってどうやって書けばいいの?
自分が説明することを想定して図面を描くようにすれば意図は伝わると思います。
意匠図の段階ではまだ施工方法や細かな納まりまで突き詰めて描くことはできない場合が多いですが、
「このように見せたい!」
という気持ちが伝わるような図面を描くように心がけましょう。
わからないことを素直に認める
現場監理でうまく納める心構えは、わからないことを素直に認めることです。
わからないことを知ったかぶりしていると現場が意図しない方向に進んでしまう場合があるからです。
建築のプロなら知っていて当たり前でしょ?
私も建築のプロですが、職人さんたちの使う専門的な言葉など知らないことはたくさんあります。
わからないことを素直に認めて聞くのは恥ずかしいと思いますが、現場が意図しない方向に進んで失敗するよりマシだと思います。
わからないことを素直に認めてその場で理解するように心がけましょう。
失敗したら素直に謝る
現場監理でうまく納める心構えは、失敗したら素直に謝ることです。
自分の失敗を素直に認められない人は現場では嫌われるからです。
人間なら誰しも失敗はすると思いますが…
その失敗を認めて素直に謝れるか、誤魔化して人のせいにするかで人間性が分かれます。
現場で嫌われたらどうなるの?
現場監督や大工さん、職人さんたちとうまくコミュニケーションをとることが難しくなります。
現場監督や職人さんたちに自分の失敗を押し付けたりする人は人間として信用できないと思います。
設計図面が間違っていたらしっかりと間違いを認めて素直に謝りましょう。
監督や職人のアドバイスを聞く
現場監理でうまく納める心構えは、監督や職人のアドバイスを聞くことです。
現場での監督や職人のアドバイは納まりを決める上でとても重要になるからです。
アドバイスが正しいかどうかわからないんだけど…
監督や職人さんのアドバイスが正しいかどうかは現場監理の経験がないとわからないと思います。
もちろん、そのままだと面倒なので安くて簡単な納まりにするためにアドバイスをしてくることもありますが、
それでもしっかりと現場の意見やアドバイスに耳を傾けて、
それを踏まえた上で現場監理者として納まりを決めていきましょう。
日頃からコミュニケーションを取る
現場監理でうまく納める心構えは、日頃からコミュニケーションを取ることです。
日頃からコミュニケーションを取らないと現場の現状を理解することができないからです。
コミュニケーションをしっかりととると現場の雰囲気も明るくなり、行くのが楽しい現場になります。
職人さんたちと昼休みに趣味の話をすると意外な共通点があって仲良くなれたりします。
職人さんたちと仲良くなると何がいいの?
職人さんたちと仲良くなると失敗した時でも無償で助けてくれたり、たくさんのアドバイスをもらえたりします。
建築はたくさんの人たちと一緒に作る共同作業なので、助け合いがある現場は物事がスムーズに進みます。
日頃からのコミュニケーションを取り、どんな人が現場で働いているのかを把握しておきましょう。
まとめ
今回は施主からのクレーム対策を知りたい人や施工会社とのトラブル対策を知りたい人に対して、
現場監理の心構えや施主からのクレーム対策と施工会社とのトラブル対策についてご紹介してきました。
まとめると以下になります。
施主からのクレームと対策
・イメージと違う
→ショールームで現物を確認する
→施工されている現場を見学する
→内観や外観パースでシミュレーションする
・工事費用が高い
→仕様変更はその都度見積もりをとる
→予算内での選択肢を作ってもらう
→施工会社としっかりと話し合う
・施工後に不具合が出る
→メーカーの施工図をしっかり調べる
→設備を設置したら使い勝手を確認する
→造り付け家具の寸法変更には注意する
施工会社とのトラブル対策
・設計図面での記載がない
→不明瞭な点は
「現場打合せにて決定のこと!」
と図面に記載する
・仕様を勝手に変更した
→しっかりと3者に確認を得てから変更
・納まりが悪い
→しっかりと現場で打合せして決める
・工事金額が増加した
→施主を説得してでも変更した方がいい場合もある
・工期が間に合わない
→他のメーカーの同等品を使うか、一時的に他の器具で代用する
現場監理でうまく納める心構え
・伝えるための設計図面を描く
・わからないことを素直に認める
・失敗したら素直に謝る
・監督や職人のアドバイスを聞く
・日頃からコミュニケーションを取る
どんな現場でも少なからずクレームやトラブルはあります。
クレームやトラブルをうまく未然に防いだり、職人さんたちと一緒に代替案や納まりを考える経験が現場監督としての成長につながります。
設計事務所として現場監理する際にはしっかりと今回ご紹介した心構えを実践するようにしましょう。
この記事が少しでも現場監理をスムーズに進める手助けになってくれれば幸いです。
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