空間的な広がりが心地いい!?快適で安全な勾配天井の空間を作るための10の作法
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勾配天井は空間的な広がりが生まれるため、開放感がでて心地よい空間を作ることができます。
快適で安全な勾配天井を作るためには注意しなければならない作法があります。
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どんな作法があるの?
屋根素材の選び方や屋根断熱の方法、屋根剛性をたかめるなどさまざまな作法があります。
私は18年間(2024年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、
平家や2階リビングの注文住宅を設計するときは、積極的に勾配天井を利用した内部空間にするように心がけています。
今回は勾配天井のメリット・デメリットや快適で安全な勾配天井の空間を作るための10の作法をご紹介します。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・勾配天井のメリット・デメリット
・快適で安全な勾配天井にするための10の作法
上記のことがわかります。
室内空間を勾配天井にすることで空間的な広がりや開放感が生まれます。
居心地の良い空間づくりにはさまざまな方法がありますが、
勾配天井が作れるのであれば積極的に取り入れて心地よい空間づくりを心がけましょう。
【自己紹介】
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Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
勾配天井のメリット
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勾配天井のメリットは以下になります。
勾配天井のメリット
・部屋に開放感がでる
・部屋を明るくできる
・通気が良くなる
部屋に開放感がでる
勾配天井のメリットは、部屋に開放感がでることです。
平な天井とは違い斜めになるため視覚的にパースペクティブになるからです。
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勾配天井の傾斜ってどのくらいがいいの?
屋根を4寸勾配にすることが多いので、それに近い勾配にすることが多いと思います。
勾配が緩やかすぎても、急すぎても空間に違和感が出てしまうので程よい勾配がいいと思います。
高い方の天井高が4mを超えると大きい脚立でも天井に手が届かなくなるので注意しましょう。
部屋を明るくできる
勾配天井のメリットは、部屋を明るくできることです。
高窓など天井の高いところに開口部をつけることができるからです。
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高窓ってそんなに明るくなるの?
高窓は高い位置に取り付けるので、トップライト(天窓)に近い明るさにすることができます。
周りに建物が近接している場合など、高窓をつけることで冬でも日光を室内に取り込むこともできます。
逆に、夏の日差しは室内に取り込まないように、日差しを遮れる庇を取り付けましょう。
通気が良くなる
勾配天井のメリットは、通気が良くなることです。
空気の性質上、暖かい空気は上へ、冷たい空気は下に動きます。
勾配天井でできた高い位置に高窓をつけて開くことで、自然換気を促すことができます。
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自然換気ってどれだけ通気が良くなるの?
夏の暑い時期でも自然換気がうまくできれば、エアコンを必要としない涼しさを保てます。
実際に私の事務所兼自宅は10年間エアコンを設置せずに、高窓を利用した自然換気だけで過ごしていました。
室内の熱気を高窓からうまく排出できれば、自然と低い開口部から外の空気を取り込んで通気が良くなります。
勾配天井のデメリット
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勾配天井のデメリットは以下になります。
勾配天井のデメリット
・メンテナンスに手間がかかる
・天井剛性がないとクロスにヒビが入る
・お金がかかる
メンテナンスに手間がかかる
勾配天井のデメリットは、メンテナンスに手間がかかることです。
高い部分のメンテナンスするのが難しく、場合によっては足場を組まなければならないからです。
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脚立で手の届く高さってどのくらいなの?
6尺(1.8m)の脚立なら3.6~3.8mが手の届く高さの限界だと思います。
今では照明はLEDなので頻繁に取替することはありませんが、シャンデリアやペンダントライトなどのホコリをとるのも大変になります。
天井のクロスにヒビが入ってしまった場合、クロスを貼り替えるのに足場を組まなければならなくなり、メンテナンスには手間がかかります。
天井剛性がないとクロスにヒビが入る
勾配天井のデメリットは、天井剛性がないとクロスにヒビが入ることです。
天井剛性がないと下地のPB(プラスターボード)が動いてしまいクロスにヒビが入ってしまうからです。
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天井の剛性を高めるにはどうすればいいの?
登り梁と火打梁を斜めに加工するなどの工夫や接合金物で補強すると剛性を高くすることができます。
登り梁を使わない在来工法の場合は、
勾配により小屋束の長さが違うので地震がきたときの揺れ方に違いが生じてヒビが入ってしまう場合が多いです。
しっかりと接合部を金物で補強したり、場合によっては筋交を検討して揺れに備えましょう。
お金がかかる
勾配天井のデメリットは、お金がかかることです。
壁や天井面積が増える上に、施工する場合に足場を組まなけれっばならないために手間がかかりコストアップします。
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その他でコストアップになることってあるの?
登り梁や火打梁などの構造材や接合部の金物など材料費がかかったりします。
勾配天井を作る場合には、天井の剛性を高める工夫が設計段階から必要になります。
また、大工さんや施工業者が勾配天井に慣れていないと細部の納まりが悪かったりします。
勾配天井を考える際にはお金がかかるものだということを心に留めておきましょう。
快適で安全な勾配天井にするための10の作法
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快適で安全な勾配天井にするための10の作法は以下になります。
快適で安全な勾配天井にするための10の作法
①断熱性の高い屋根素材を選ぶ
②屋根断熱でしっかりと断熱材を施工する
③小屋裏換気のための空気層を設ける
④軒先や棟換気を検討する
⑤登り梁と火打梁の検討と接合部の金物
⑥エアコンの取り付け位置を考える
⑦シーリングファンやサーキュレーターを設ける
⑧開閉できる高窓を設置する
⑨照明計画をしっかりと考える
⑩床下エアコンを検討する
①断熱性の高い屋根素材を選ぶ
快適で安全な勾配天井にするための作法は、断熱性の高い屋根素材を選ぶことです。
屋根は太陽光の影響をいちばん受ける部位になるので、屋根素材によって遮熱性がかなり変わってきます。
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どんな屋根素材がいいの?
いちばん良いのは瓦屋根です。
ガルバリウム鋼板でも断熱材のつまった遮熱性能の高いものもあります。
瓦屋根は価格が高いのでなかなか選ばれない仕様ですが、断熱性や耐久性はいちばん高い屋根材になります。
屋根材の種類についてはこちらの記事をご参照ください↓
瓦屋根はさまざまなデザインのものがあるのですが存在感があるため、
シンプルな住宅にしたい場合は断熱材一体型ガルバリウム鋼板を選びましょう。
②屋根断熱でしっかりと断熱材を施工する
快適で安全な勾配天井にするための作法は、屋根断熱でしっかりと断熱材を施工することです。
屋根断熱は天井ふところが取れない場合が多いので、厚みがなくても高性能の断熱材を施工する必要があります。
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屋根断熱と天井断熱ってどう違うの?
屋根断熱と天井断熱の違いについてはこちらの記事をご参照ください↓
天井断熱は天井裏にグラスウールなどを敷き込むので厚くできます。
屋根断熱は以下の工法があります。
・充填断熱
・吹付け断熱
・外張り断熱
充填断熱であれば、グラスウールやロックウール、セルローズファイバーなど繊維系の断熱材です。
吹付け断熱であれば、発泡ウレタンなどの断熱材です。
外張り断熱であれば、スタイロフォームなどの発泡プラスチック系の断熱材になります。
屋根断熱の場合は工法によって厚みの制限があります。
屋根は太陽光の影響をいちばん受ける部位なのでしっかりと高性能の断熱材を施工しましょう。
③小屋裏換気のための空気層を設ける
快適で安全な勾配天井にするための作法は、小屋裏換気のための空気層を設けることです。
小屋裏換気のための空気層が無いと熱気や湿気が屋根にこもってしまうからです。
また、断熱材が結露する原因にもなります。
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屋根断熱の場合はどうやって空気層を設けるの?
通気垂木(45×90@455)にして、その上に野地合板を施工する方法が一般的です↓
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通気層が無いと、万が一でも雨水が侵入した場合や室内側からの湿気を含んだ空気などで結露の原因となってしまいます。
設計段階で小屋裏換気のための空気層をしっかりと設けるようにしましょう。
④軒先や棟換気を検討する
快適で安全な勾配天井にするための作法は、軒先や棟換気を検討することです。
軒先と棟で換気すれば高低差を利用した自然換気ができるからです。
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自然換気ってなに?
自然換気は建物内外の温度や気圧の差を活かして空気の流れを生み出し、新鮮な空気を導入し古い空気を排出する方法です。
棟で空気が排出されれば、気圧差で軒先から新鮮な空気が入ってくることになり、通気層に空気の流れができます↓
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片流れ屋根でもTOKOさんの「片流れ双快」などの専用の金物があります。
棟部分で換気するのがいちばん効率がよい(1/1600以上)のでなるべく、棟換気を検討しましょう。
片流れ屋根の小屋裏換気についてはこちらの記事をご参照ください↓
⑤登り梁と火打梁の検討と接合部の金物
快適で安全な勾配天井にするための作法は、登り梁と火打梁の検討と接合部の金物を設置することです。
登り梁と火打梁の検討と接合部の金物をしっかりと施工しないと、屋根剛性が取れなくなるからです。
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屋根剛性が取れないとどうなるの?
屋根剛性が取れないと地震などで下地のPB(プラスターボード)がバラバラに動いてしまいクロスにひび割れが入る場合が多いです。
天井クロスのひび割れは、束を筋交や接合金物で補強したり、そもそも下地から直さなければ地震が来るたびにひび割れしてしまいます。
しっかりと屋根剛性が取れるように、登り梁と火打梁の検討と接合部の金物を設計段階から検討しておきましょう。
⑥エアコンの取り付け位置を考える
快適で安全な勾配天井にするための作法は、エアコンの取り付け位置を考えることです。
エアコンの取り付け位置は取り付けられる範囲でなるべく高い位置に設置しましょう。
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なんでなるべく高い位置がいいの?
冬に暖かい空気は上の方に溜まってしまうからです。
しかしながら勾配天井のいちばん高い位置に設置してしまうと、フィルターの掃除が困難になってしまいます。
日頃のメンテナンスを考えると脚立を使って手の届く高さに設置した方がいいと思います。
勾配天井の場合は床の方が寒くなりがちなので、床暖房か床下エアコンを併用した方がいいでしょう。
⑦シーリングファンやサーキュレーターを設ける
快適で安全な勾配天井にするための作法は、シーリングファンやサーキュレーターを設けることです。
暖かい空気が上の方に溜まってしまうため、快適な室内環境にするには空気を拡散させる必要があるからです。
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夏は冷たい空気が下に溜まるので上の方は暑くてもいいのでは?
確かに夏の冷房は効きやすいです。
しかしながら、上の方の暖かい空気があるとエアコンを止めるとすぐに部屋が暑くなってしまいます。
室内温度はなるべく均一にした方がエアコンの消費電力を抑えることができます。
シーリングファンやサーキュレーターで空気を拡散させて室内温度を均一に保ちましょう。
⑧開閉できる高窓を設置する
快適で安全な勾配天井にするための作法は、開閉できる高窓を設置することです。
開閉できる高窓があると高低差を利用した自然換気ができるからです。
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高窓ってどんな種類があるの?
高所用のオペレータがついたものや自動で開閉するものなどがありますが、
普通の引き違い窓でもフックのついた伸縮棒があれば開け閉めできます↓
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私の場合はDIYでフックを取り付けた伸縮する棒を作りました。
高窓は換気だけでなく、冬の日差しを室内に取り込むことにも役立ちます。
特に狭小間口の家では隣家の視線を気にせずに開閉できる窓はとても重要になります。
⑨照明計画をしっかりと考える
快適で安全な勾配天井にするための作法は、照明計画をしっかりと考えることです。
勾配天井の場合は平らな天井よりも照明計画が難しくなるからです。
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なんで難しくなるの?
斜めの天井にダウンライトを取り付ける場合など光の広がり方が傾いてしまうため、斜め天井用のダウンライトを選ぶ必要があります。
また、使う器具によっては勾配天井では取り付けられない照明器具があるためしっかりと照明計画をしないと失敗してしまいます。
勾配天井の照明計画についてはこちらの記事をご参照ください↓
⑩床下エアコンを検討する
快適で安全な勾配天井にするための作法は、床下エアコンを検討することです。
冬は暖かい空気が上の方にたまってしまい、床の方が寒くなるからです。
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床下エアコンってなに?
床下エアコンについてはこちらの記事をご参照ください↓
床暖房と違い室内用エアコンの暖かい空気を床下に充満させて、足元から温める方法です。
床下エアコンにするときは高気密高断熱の家であることが前提条件になります。
その上で、基礎内断熱にしたり第一種の床下換気にする必要があります。
冬の勾配天井の部屋はエアコンの暖かい空気が天井の方にたまりやすいので、足元から温める暖房設備を考えましょう。
まとめ
今回は勾配天井のメリット・デメリットを知りたい人や勾配天井を作るための作法や注意点を知りたい人に対して、
勾配天井のメリット・デメリットや快適で安全な勾配天井の空間を作るための10の作法をご紹介してきました。
まとめると以下になります。
勾配天井のメリット
・部屋に開放感がでる
・部屋を明るくできる
・通気が良くなる
勾配天井のデメリット
・メンテナンスに手間がかかる
・天井剛性がないとクロスにヒビが入る
・お金がかかる
快適で安全な勾配天井にするための10の作法
①断熱性の高い屋根素材を選ぶ
②屋根断熱でしっかりと断熱材を施工する
③小屋裏換気のための空気層を設ける
④軒先や棟換気を検討する
⑤登り梁と火打梁の検討と接合部の金物
⑥エアコンの取り付け位置を考える
⑦シーリングファンやサーキュレーターを設ける
⑧開閉できる高窓を設置する
⑨照明計画をしっかりと考える
⑩床下エアコンを検討する
室内空間を勾配天井にすることで空間的な広がりや開放感が生まれます。
居心地の良い空間づくりにはさまざまな方法がありますが、
勾配天井が作れるのであれば積極的に取り入れて心地よい空間づくりを心がけましょう。
この記事が少しでも勾配天井を作ろうと考えている人のお役に立てれば幸いです。
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