狭小地でもゆとりのある住まいになる!?3階建の注文住宅のメリットとデメリット
首都圏や都心の中心部は土地代が高くて物件自体も少ないので、狭小地でも床面積を十分に確保できる3階建ては人気があります。
2階建てと3階建てでは暮らし方も変わります。
3階建ては暮らし方がどう変わるの?
階段を使った上り下りが大変になりますが、フロアごと用途を分けられたり、高さを生かした空間を実現できたりします。
私は17年間(2023年現在)設計事務所を運営してきました。
私の暮らしている地域は旗竿地が多いので、3階建ての狭小住宅も数多く設計してきました。
工務店がSE構法が得意だったのでSE構法での設計がほとんどでした。
今回は3階建て住宅のメリットとデメリットをご紹介します。
狭小地を有効に活用することを考えると3階建ても視野に入れて設計することで、ゆとりのある自分好みの住まいが実現できます。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・3階建てのメリットとデメリット
上記のことがわかります。
狭小地でも間取りの工夫や3階建てをうまく作れば、ゆとりのある住まいを実現することは可能です。
首都圏の狭小地は立地や交通の便が良い敷地が多いです。
狭小地をうまく利用してゆとりある住まいを実現しましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
狭小地でゆとりのある住まいを実現するには
狭小地でゆとりある住まいを実現する前にフラット35利用者のアンケートデータを見てみましょう。
フラット35利用者のデータ
都市部で一戸建てをと考えたときに、希望の地域で理想的な土地を探すのはとても難しいです。
2020年度のフラット35利用者を対象にしたアンケートによると、
フラット35利用者のデータ
■建売住宅における敷地面積
全国平均:約130㎡(約40坪)
首都圏平均:約111㎡(約33坪)
■住宅面積
全国平均:約101㎡(約30坪)
首都圏平均:約97㎡(約29坪)
となっています。
このデータから全国平均と首都圏平均の土地面積には7坪程度の差があるのに、住宅面積はほぼ同じということがわかります。
首都圏の方が狭い土地でもゆとりのある住まいを実現できる3階建てを採用する傾向があることを表しています。
3階建てのメリット
3階建てのメリットは以下になります。
3階建てのメリット
・狭い敷地を最大限に有効活用できる
・フロアごとに用途を分けられる
・高さを活かした開放感のある開口部
狭い敷地を最大限に有効活用できる
建ぺい率や容積率にもよりますが首都圏では20坪未満という狭小地も珍しくありません。
3階建てにすれば狭い敷地でも駐車場を確保することができます。
駐車場が確保できれば駐車代が不要になります。
都市部で駐車場を借りると1万円以上は確実にかかり、高いところは5〜7万円というところもあります。
その分を住宅ローンにプラスできるとなれば、建築費用にゆとりができます。
また、狭小地は外構にかかる費用を削減でき庭を手入れする手間も省けます。
フロアごとに用途を分けられる
3階建てはフロアごと用途を分けることができます。
例えば、
・1階はビルトインガレージ、2〜3階は居住スペース
・1階は親世代、2〜3階は子供世代
・1〜2階は生活空間、3階は仕事部屋
・1階が店舗、2〜3階が居住スペース
フロアごと全く違った使い方をしてもプライバシーを保つことができます。
高齢になると親世代の生活空間を1階にまとめれば2世帯住宅も可能です。
平家や2階建てとは違って他の居室と干渉しない間取りにしやすいので、来客があっても気を使うことがないです。
3階建ての特徴といえば廊下を最小限にすることで、同じ床面積の平家や2階建てよりも部屋数を多くできることです。
家族間でも程よい距離を保ちながら趣味や仕事に集中できるところもメリットといえるでしょう。
高さを活かした開放感のある開口部
狭小地は隣家との距離が近く、採光・採風がうまくとれないことがあります。
都心部では隣家と50cmくらいしか離れていないことも珍しくないです。
隣家と接近していると湿気もこもりやすくなるので採光、採風をしっかり確保する必要があります。
空間を縦に伸ばすことで視線を気にせず窓を設けられる場所が増え、風通しもよくなります。
広い庭がない分、高さを活かして、眺望や空が見える空間を取り入れて開放感を満喫するのもよいでしょう。
3階建てのデメリット
3階建てのデメリットは以下になります。
3階建てのデメリット
・上り下りが大変
・1階と3階の温度差が大きい
・耐震性への配慮が必要
上り下りが大変
3階建てなので階段の上り下りが負担になるという声が多いです。
特に急いでいるときに3階に忘れ物があると大変さを思い知らされます。
駆け上がる、駆け下りるが大変なんですよね。
高齢者用のエレベーターを設置するご家庭もありますが、エレベーターは設置費用はもちろん固定資産税も高くなってしまいます。
狭小住宅の3階建てはどうしても階段が狭くて急になりがちです。
高齢者が完全に同居で一緒に暮らす場合は、2階をリビングにしても上り下りが大変でコミュニケーションがとりにくくなるかもしれません。
また、3階に大きな家具やピアノなどを設置する場合は搬入がとても大変で、費用もかなりかかります。
周囲に遮るものがなく作業車両が入れればよいのですが、クレーンで吊って3階まで上げるのが困難な場合もあります。
間取りを決める段階から搬入しやすい配置を考えておきましょう。
1階と3階の温度差が大きい
3階建ての住宅では、夏は3階が暑くなり、冬は1階が寒くなります。
屋根と床下の断熱と部屋の窓を複層ガラスにするなど、断熱性にはこだわったほうがいいと思います。
隣家と距離が近いと1階の日当たりが悪くなります。
1階に浴室や洗面所、トイレなどの水回りを配置すると冬は寒くて大変です。
3階は1階と対照的に高い建物がなければ遮るものがないので日当たりは抜群です。
だからといって、3階を寝室にすると冬は暖かくて良いのですが、夏は暑すぎて寝苦しくなりこともあります。
日当たりの良い場所に大きな窓を設置すると外気の暑さ、寒さの影響を受けやすくなるので、窓の大きさ、位置、断熱性能は重要視しなければなりません。
空気の流れがよくなるような工夫もしましょう。
耐震性への配慮が必要
狭小地に3階建て住宅を建てる場合は縦に高い建物になるので、狭い面積で重い建物を支えることになります。
平屋建てや2階建てよりも地盤対策をしっかりと行う必要があります。
また、横幅よりも高さがあるので上に行くほど揺れやすくなります。
地震や強風に耐えられるかどうかが重視されます。
3階建て住宅では、確認申請の際に建物の安全性を確認した構造計算書の提出が必要になります。
住宅にはさまざまな工法がありますが、在来木造工法で耐震性の高い安全な3階建て住宅にするには筋交が入った「耐力壁」を増やさなければなりません。
空間の区切りが増えて、大きな居室が作れなくなることもあります。
大開口の窓や吹き抜けなどが制限されてしまうこともあります。
3階建て住宅はハウスメーカーや工務店によって得意とする工法があるので、希望の間取りを叶えてくれる工法を得意とする会社を選びましょう。
まとめ
今回は3階建てのメリットとデメリットを知りたい人や狭小地でもゆとりある住まいを実現したい人に対して、
3階建ての注文住宅のメリットとデメリットをご紹介してきました。
まとめると以下になります。
3階建てのメリット
・狭い敷地を最大限に有効活用できる
・フロアごとに用途を分けられる
・高さを活かした開放感のある開口部
3階建てのデメリット
・上り下りが大変
・1階と3階の温度差が大きい
・耐震性への配慮が必要
狭小地でも間取りの工夫や3階建てをうまく作れば、ゆとりのある住まいを実現することは可能です。
首都圏の狭小地は立地や交通の便が良い敷地が多いです。
狭小地をうまく利用してゆとりある住まいを実現しましょう。
この記事が狭小地でも3階建てでゆとりある住まいを実現する人の手助けになってくれれば幸いです。
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