組織やアトリエ系だけじゃない?設計事務所は仕事内容で選びましょう

私は大学時代から独立するまでアトリエ系設計事務所や組織設計事務所で働いてきました。

それぞれに楽しい職場だったのですが、扱う建築自体が違うので仕事の進め方が全く異なりました。

私にとってはアトリエ系の事務所の仕事の進め方が合っていたと思います。

設計事務所は一般的に組織設計事務所とアトリエ系設計事務所に分けられています。

設計事務所って
組織やアトリエ系だけなの?

組織設計事務所とアトリエ系設計事務所とのどちらともいえない設計事務所が大多数だと思います。

今回は建築業界で働こうとしている初めての人に設計事務所の種類や選び方などをご紹介できればと思います。

この記事が設計事務所を選ぶ時の参考になってくれれば幸いです。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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設計事務所の種類とやるべきこと

設計事務所の種類は大きく分けると組織設計事務所とアトリエ系設計事務所に分けられます。

それぞれどのように違うのか見ていきましょう。

組織設計事務所

組織系設計事務所は大規模な建物の設計を行います。

一つひとつのプロジェクトの規模が大きいため、「資料作成」「クライアントへのプレゼン」「設計図の作成」「積算」「品質監理」など分野によって担当者を分けているのが一般的です。

そのため、組織系設計事務所では大きなプロジェクトの進めかたや各分野との調整など大きなプロジェクトを設計する上でのマネージメント力が身につきます。

一方で建築の総合的な設計・監理能力を身につけるのに時間がかかるデメリットがあります。

代表的な組織設計事務所は

・日建設計 web
・NTTファシリティーズ web
・三菱地所設計 web
・日本設計 web
・JR東日本建築設計 web
・梓設計 web
・久米設計 web
・佐藤総合計画 web

などがあります。

大手の組織設計事務所に就職できたとしてやるべきことは、大きなおプロジェクトの陣頭指揮を自分が中心になって行うことで実績をつくることだと思います。

アトリエ系設計事務所

アトリエ系設計事務所は、主に意匠・デザイン設計を得意とする個人事務所のことをいいます。

ほとんどは建築家が主宰する事務所で、デザイン性や作家性が高い建築物を手掛けているのが特徴です。

最近では有名建築家が主宰する事務所など、大規模なアトリエ系設計事務所も増えています。

住宅や小規模な店舗などを扱うことが多く、デザインで差別化し、徐々に大きな仕事を受注していくケースが一般的です。

代表的なアトリエ系設計事務所は

・隈研吾建築都市設計事務所 web
・安藤忠雄建築研究所 web
・槇総合計画事務所 web
・伊東豊雄建築設計事務所 web
・坂茂建築設計 web
・手塚建築研究所(手塚貴晴+手塚由比) web
・内藤廣建築設計事務所 web
・磯崎新アトリエ web

などがあります。

有名にアトリエ系の設計事務所に就職したらやるべきことは、主催する建築家の哲学や建築スキルを徹底的に学び自分のものにしましょう。

アトリエ系では個人に与えられる裁量が大きいので、自分のデザインをクライアントに直接提案するチャンスが多くあります。

しかしながら長時間労働になりがちで、朝から終電まで毎日働くケースも多々あります。

アトリエ系設計事務所での働き方に関してはこちらをご参照ください↓

その他の設計事務所や設計部門

前述しましたが、設計事務所は組織設計事務所やアトリエ系設計事務所とのどちらともいえない設計事務所が大多数です。

例えば、建設会社、工務店、ハウスメーカーの設計部門や個人の建築家が運営している設計事務所などです。

有名なアトリエ系設計事務所でも実施設計は個人の設計事務所に業務委託するケースもあります。

また組織設計事務所などでは基本設計やマネージメントだけを行い、実施設計は建設会社の設計部門にお願いするケースが多いです。

実施設計や現場監理の能力を身に付けたいのであれば、その他の設計事務所や建設会社、工務店、ハウスメーカーなどの設計部門に就職したほうがいい場合もあります。

仕事内容から選ぶには

設計事務所の仕事内容の本質は設計・監理をすることです。

しかしながら、扱っている建築物によって設計・監理の方法も異なってきます。

自分はどんな建物をつくりたいのかや、どのような用途の建物に今後関わっていきたいのかを明確にすることが必要です。

それを明確にした上で、以下のことに注意しながらめぼしい設計事務所の内情を調べましょう。

取引先を知る

まずは設計事務所の主な取引先を調べましょう。

取引先が県や市、大企業、中小企業または個人なのかで仕事内容は異なってきます。

県や市が主な取引先の場合は、福祉施設や学校などの公共事業が多くなります。

公共事業は国土交通省告示に規定された設計料で受注できたり、長期のプロジェクトが多いので設計事務所の経営としては安定しています。

大企業や中小企業が主な取引先の場合はオフィスビルや工場など民間の大きなビルの設計が多くなりますが、景気に左右されがちです。

車のショールームや飲食店などのフランチャイズは景気に左右されますが、店舗系の建物は5〜10年おきにリニューアルがあるので設計事務所としては安定した取引先だと思います。

個人のお客さんが主な取引先の場合は雑誌掲載や営業活動などでうまく次につながればいいのですが、単発で終わることも多々あります。

せっかく就職するのであれば、事務所経営が安定しているかどうかを取引先から知ることは重要です。

過去の実績を調べる

その設計事務所が過去に建てた建築物を調べましょう。

また、調べて近くにある建築物は実際に見学してみることをおすすめします。

雑誌に載っていいなと思った建築でも実際に見てみると細部の納まりが考えられていなかったり、逆にここまでこだわった納まりで関心する場合などがあります。

設計・監理の仕事はコンセプトも大事ですが、お施主さまやその施設を使う人の立場でどこまで考えるのかで良し悪しが決まると思います。

その設計事務所がどのようなところにこだわって設計・監理を行っているのかを知るために、過去に建てた建築物を実際に見学してみましょう。

設計監理の体制を知る

その設計事務所が案件に対してどのような設計監理の体制で取り組んでいるのかを調べましょう。

設計についてはチーム編成や設備、構造設計はどこで相談しているかなどを調べましょう。

監理については現場を何件まで掛け持ちするのかや一緒にやる建設会社とどのくらいの付き合いがあるかなどを調べましょう。

設計・監理を仕事にする上でどこまでが自分の責任なのかを明確にしておかないと際限なく自分の時間が奪われてしまいます

私も設計監理の体制を調べないで組織設計事務所に転職したことがありますが、いろいろなチームに首を突っ込み、寝る間もなく働きすぎて精神的に参ってしまった経験があります。

その設計事務所が案件に対してどのような設計監理の体制で取り組んでいるのかは実際に働いている先輩に話を聞いたり、面接時に質問したりしてみましょう。

選ぶ基準はどうする?

設計事務所を選ぶ時の基準ですが

・基本給
・勤務時間
・休日休暇
・仕事内容
・試用期間の有無
・賞与や手当
・交通費や家賃補助

などなど、自分の優先する条件の最低ラインを整理することで転職サイトでの求人募集も探しやすくなります。

しっかりと優先する条件を整理することをおすすめします。

その他に設計事務所を選ぶ時に考えたいのは以下になります。

・どんな建築に関わりたいか
・身につけたいスキルはなにか
・独立後の自分をイメージする

どんな建築に関わりたいか

店舗、住宅、集合住宅、旅館、オフィスビル、公共施設など、どんな建築に自分は関わりたいのかを明確にしておきましょう。

自分の好きな建築だったら設計監理に取り組むモチベーションも違ってきます。

自分が関わりたい建築と違ったとしても真剣に取り組めば結果的には自分のためになることもあります。

私の場合はもともと店舗設計をやりたかったのですが、途中から会社の新規事業として旅館を多くやるようになりました。

それまでやったことのなかった建築だったので、時間を作っていろいろな旅館を実際に見学して回りました。

会社では前例がなく相談できる人もいなかったのでとても大変でしたが、結果的に今の住宅設計に活かすことができているのでとても勉強になりました。

身につけたいスキルはなにか

自分の身につけたいスキルはなにかを明確にしておきましょう。

建築士、施工管理技士、CADやBIMオペレーター、宅地建物取引士、司法書士、土地家屋調査士などの資格がとれるのであれば積極的にチャレンジしましょう。

私の場合は店舗設計事務所にはいってフォトレタッチや3DCGなど用いたプレゼンスキルを身に着けました。

今ではすこし絵的に古くなってしまいましたが、自分が表現したい空間を説明するには十分な3DCGを描くことができるので、その時に頑張って身につけていてよかったと思います。

独立後の自分をイメージする

独立を考えてなくても、独立後の自分をイメージしてみましょう。

独立後の自分をイメージすることで、今の自分に何が足りないのかを改めて知ることができます。

独立したら仕事のすべてが自分の責任になります。

会社の後ろ盾がなくなった自分にどれくらいの価値があるのかは独立してみなければ実感できないところもあります。

就職してから自分の良いところや得意なことを伸ばすことも必要ですが、自分に足りないところをどのように補うのかも重要なことです。

例えば、自分には営業能力がないとわかれば、会社内や取引先の顔役の人と良好な人間関係をつくったり、プレゼン能力がなければデザイナーの知り合いを増やしたり…

独立後の自分をイメージすることで、今の自分に何が足りないのかを知ることができるので就職してからの人間関係構築の戦略をねることができます。

まとめ

今回は建築業界で働こうとしている初めての人に設計事務所の種類や選び方などをご紹介してきました。

設計事務所を仕事内容から選ぶとき注意することは

・取引先を知る
・過去の実績を調べる
・設計監理の体制を知る


実際に選ぶ時の基準は

・どんな建築に関わりたいか
・身につけたいスキルはなにか
・独立後の自分をイメージする


などを考えながら選びましょう。

実際に、設計事務所の内情は働き始めないとわからないことが多いと思います。

「若い時の苦労は買ってでもせよ」

という言葉があるようにどんな設計事務所に就職したとしても若い時にする苦労は貴重な経験となります。

自ら進んで面倒だったり大変と思われる選択をする必要はありませんが、ミスマッチがないよう自分に合った設計事務所へ応募することが大切です。

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