中庭ってどんなタイプがあるの?中庭のある間取りのメリット・デメリット
明るくてプライベートな庭を確保する方法に「中庭」があります。中庭のある間取りは、安心してくつろげる、小さなお子さんを安全に遊ばせることができる、といったメリットもあります。
中庭を作りたいけど
デメリットや注意点って
どんなところ?
いいことばかりのようにも思えますが、デメリットや注意点がいくつかあります。
今回はそんな中庭のある間取りのメリット・デメリットを見ていき設計上の注意点などご紹介できればと思います。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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中庭のある間取り
中庭のある間取りのタイプは大きく分けて以下の5タイプあります。
・L型
・コの字
・ロの字
・2階の中庭
・屋根のある中庭
それぞれに特徴があります。自分の作りたい中庭がどのタイプなのかイメージしてみましょう。
L型
建物が中庭をL型に囲うようにつくった間取りです。
敷地が広く庭が大きく取れる場合などでよく用いられます。
中庭は南東に設けるのが一般的です。
朝日や南側の日差しを取り込むことがで、一日を通して明るい間取りとなります。
コの字
建物が中庭をコの字に囲うようにつくった間取りです。
リビングなど家族の空間と寝室などのプライベートの空間を中庭を挟んで分けることができます。
中庭は東側に設け朝日や南側の日差しを取り込むのが一般的です。
狭小間口など北側の部屋にも光を取り込みたい時によく用いられる間取りです。
ロの字
建物が中庭をロの字に囲うようにつくった間取りです。
コートハウスとも呼ばれています。
中庭は外から隔離されたプライベート空間となります。
都心部で自然を取り込みたい場合によく用いられる間取りです。
中央が外部空間なので光や風通しがどの部屋でも取れます。
2階の中庭
建物の2階部分に中庭のある間取りです。
2階で目線の高低差があるので1階にある中庭より周りの目線が気にならずにプライベート感が増します。
2階リビングの家などでリビングの続きとしての屋外リビングとして利用できます。
屋根のある中庭
建物が上に乗っかっている屋根のある中庭の間取りです。
1階ガレージなどの前庭や駐車場としての広めの中庭です。
屋根があるので半外部空間として使うことができます。
玄関先やガレージに隣接して屋根のある中庭があると、雨の日でもBBQや屋外での作業ができるのでとても便利です。
中庭のメリット・デメリット
次に中庭の代表的なメリット・デメリットを見ていきましょう。
中庭のメリット
中庭のある間取りの代表的なメリットは以下の通りです。
・開放感が楽しめる
・風通し
・光を取り込める
開放感が楽しめる
中庭があることでの一番のメリットは開放感が楽しめることです。
室内から庭を眺めたり、光や風を取り入れたり、中庭をリビングの延長として使ったりできます。
夏場の夕涼みや、月を眺めながらの晩酌など中庭があると室内で過ごすより季節の移り変りを感じられます。
中庭があることで家で過ごす時間の楽しみ方もふえることでしょう。
風通し
最近では室内を締めきってエアコンをかけっぱなしで1年を過ごす家も多くなりましたが、せっかく日本で住んでいるのであれば季節を楽しみたいものです。
南側から取り込んだ風を中庭に出すことができるので、梅雨時に自然の風を家に取り込みたい場合にとても役に立ちます。
光を取り込める
中庭があると北側の部屋でも南側からの光を取り込むことができます。
太陽が入らない場合でも中庭に面する開口部を設けることで明るさをとることができます。
冬場は太陽の光が取り込めると、ぽかぽかとあったかな部屋になります。
屋根や庇つきの中庭があると洗濯物や布団を敷地外からの目線を気にすることなく干すこともできます。
中庭のデメリット
中庭のある間取りの代表的なデメリットは以下の通りです。
・建築コストが高くなる
・メンテナンスが必要
・部屋の間取りが狭くなる
建築コストが高くなる
中庭を取り囲む外壁やサッシ、屋根、庇、ウッドデッキなどが増えるために建築コストは高くなります。
部屋が外壁に囲われているため太陽の直射日光や外気温による温熱環境は非効率となります。
中庭を作る場合は建築コストがかかっても光や風を取り込み自然環境によりそった家づくりに魅力を感じる人に向いていると思います。
メンテナンスが必要
中庭を取り囲むので外部に接している部分が多くなり、日常のメンテナンスが必要となります。
ウッドデッキは定期的な塗替えが必要だったり、外壁シーリングの補修、サッシの掃除、植栽などの落ち葉の掃除などメンテナンスをする箇所が多くなります。
中庭は家の中心でいつも目に付くところなので、綺麗にメンテナンスや掃除をしたいところです。
部屋の間取りが狭くなる
中庭を作るのでその分、部屋の間取りが狭くなります。
部屋数や室内の部屋の広さを求める場合は中庭を作ることはおすすめではありません。
中庭はあくまで部屋の延長として使うことが目的です。
段差をなくした中庭と一体に使えるリビングなどサッシや床の納まりには注意が必要です。
中庭を作る時の注意点
中庭を作るときに特に注意する点は以下の通りです。
・屋根や庇
・サッシ
・ウッドデッキ
・屋外設備
屋根や庇
中庭に面して開口部を設ける場合は屋根や庇をしっかりとつくりましょう。
屋根や庇があることで、梅雨時に雨が降っても窓を開けっぱなしにできたり、夏場の日差しをさえぎってくれます。
サッシ
2階に中庭を作る場合のサッシは剛床の場合、またぎ部分が出てきてしまいます。
全開放型のサッシを用いて中庭と一体にしたい場合にはサッシと床面との納まりに注意しましょう。
2階のウッドデッキへの段差をなくすために、剛床の上に根太床を採用するなど段差をなくす工夫が必要です。
ウッドデッキ
ウッドデッキはセラカンバツ材やイペ材など外部でも腐らない木材を使用しましょう。
最近では樹脂系のウッドデッキの種類も多くでています。
メンテナンスのことを考えウッドデッキの材料を考えましょう。
セラカンバツ材などの場合は3~4年に1回はメンテナンス塗装が必要です。
塗装材はできればキシラデコールなど少し高めの塗料を使うと水をはじく効果が長く続きます。
屋外設備
屋外でノートパソコンを使用したり、スピーカーの充電をすることを考えて、しっかりと使いやすい場所に屋外用のコンセントを設けましょう。
夜の手元の明るさが欲しければランタンなどで代用できるので、屋外の過剰な照明器具は必要ないと思います。
ウッドデッキやサッシの掃除など水栓は必要です。冬場に温水が使えれば足湯をしながら読書なんてことも可能です。
まとめ
今回は中庭のある間取りのメリット・デメリットなどを見てきました。
もう一度確認すると、
中庭のある間取りのタイプは大きく分けて以下の5タイプ
・L型
・コの字
・ロの字
・2階の中庭
・屋根のある中庭
ありそれぞれに特徴があります。
中庭のある間取りの代表的なメリットは
・開放感が楽しめる
・風通し
・光を取り込める
中庭のある間取りの代表的なデメリットは
・建築コストが高くなる
・メンテナンスが必要
・部屋の間取りが狭くなる
中庭を作るときに特に注意する点は
・屋根や庇
・サッシ
・ウッドデッキ
・屋外設備
あたり前ですが、メリットだけでなくデメリットもありますが、中庭があることで自然によりそった家づくりができると思います。
この記事が家に中庭をつくりたいと考えている人の参考になれれば幸いです。
追記:
私の家は2階に屋外リビングのある間取りになっています。
家にいる時の大半はこの屋外リビングで過ごしているのですが、自然や季節の移り変りを肌で感じられます。
雨の日、1階に下りるときは傘差さなければならなかったり、風呂の時は屋外を通るので不便さはあります。
しかしながら開放的な屋外リビングで過ごす時間はそんな不便さなど忘れてしまうほど気持ちがいいです。
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