床下の断熱方法は床断熱と基礎断熱のどっちがいいの?
木造住宅の床下の断熱の方法は床断熱と基礎断熱(内、外)が一般的です。
床断熱と基礎断熱のどっちがいいの?
結論から言えば、どちらでもかまわないといったところでしょうか。
ただし、基礎外断熱の場合はシロアリ対策が難しいので、実質的には床断熱か基礎内断熱の2択になると思います。
床からの冷気の進入が問題となる床断熱ですが、しっかりと気密部材を使って施工されていれば、吹き抜けなど冬場の床下の断熱に支障をきたすことはないかと思います。
今回は床下の断熱方法について、種類とそれぞれのメリット・デメリットをみていきたいと思います。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
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床下の断熱方法について
床下の断熱方法は以下の3種類が一般的な方法となります。
・床断熱
・基礎内断熱
・基礎外断
それぞれにメリット・デメリットがあるので、方法を選ぶときや施工する時には注意が必要です。
床断熱
メリット
・安定した施工
・コストが安い
・シロアリ対策によい
デメリット
・気密性の確保が難しい
・床下から冷気が進入する
・夏場は湿気を含む外気で結露する
もっとも一般的に普及している床下の断熱方法となります。大工さんたちが施工になれているので間違いは起こりません。
材料も比較的安価なので施工性やコストの面では優れています。
また、床下は通気するのでシロアリ対策にもなります。
しかしながら、気密性を確保するのが難しく気密施工になれた大工さんでないと間違えてしまいがちです。
基礎内断熱
メリット
・気密性が確保しやすい
・床下からの冷気がない
・基礎の断熱性能が高い
デメリット
・シロアリ対策は中程度
・1~2年は床下の湿度が高い
・床断熱に比べて施工が大変
基礎の内側に断熱材を施工する方法です。床下は気密パッキンで外気が侵入しないため室内環境と同じになります。
床下が室内と同じ環境なので、冬など床下からの冷気の侵入はなく快適に過ごせます。
吹き抜けやリビング階段などを室内に作る場合は基礎内断熱を検討することをおすすめします。
シロアリの侵入は比較的少ないのが特徴です。施工してから1~2年は湿気が高いのですがそれ以降は比較的湿気も少なく、床下のカビや結露の心配はありません。
基礎外断熱
メリット
・気密性が確保しやすい
・床下からの冷気がない
・基礎の断熱性能が高い
デメリット
・シロアリ対策は必須
・1~2年は床下の湿度が高い
・床断熱に比べて施工が大変
外壁や屋根など外断熱の場合はヒートブリッジ(熱橋)が発生しないので、基礎外断熱の断熱性能がもっとも高いのかもしれません。
シロアリは狭い隙間に入り込みやすいので、地面に接している部分の断熱材は防蟻処理が必要となります。
床下は基礎内断熱と同じで室内環境と同じになるので、冬など床下からの冷気の侵入はなく快適に過ごせます。
基礎と一体で施工するので基礎の施工の手間やコストはかかります。
床断熱と基礎内断熱について
基礎外断熱はハウスメーカーや企画住宅などで外壁や屋根を外断熱で施工する工法でよく用いられています。
基礎の外側に張る断熱材が高価なことと、家全体を外断熱にしないと断熱性能が上げられないこともあり、一般的な床下の断熱方法としては床断熱と基礎内断熱の2択になるかと思います。
シロアリ対策について
床断熱の場合は地面から高さ1m以内の部分に防蟻処理を行います。建て方が終わって柱、筋交い、間柱、下地材、合板などがむき出しの状態で薬剤散布します。
1階が剛床ですでに断熱材や構造用合板が張られてしまっている場合は、床下にもぐって薬剤散布してもらいます。
基礎内断熱の場合は床下を室内と同じ環境にするために、床断熱のような薬剤散布の防蟻処理は行えません。
一般的には基礎天端に防蟻・防湿シートを貼ったり、土台にホウ酸塩水溶液を塗布したりします。※防腐・防蟻のために土台の底面と側面をバーナーで炙って焦がす場合もあります。
床下エアコンなど温熱環境
冬場は足元から暖かい最近はやりの床下エアコンですが、床下エアコンを採用する場合は基礎断熱にしなければなりません。
床下のコンクリートへの蓄熱効果もあるため1階の床面全体が温まり、床暖房みたいな効果があります。
冬場は気密性の高い家なら建物全体の温熱環境を床下エアコン1台で暖かくできます。
2階の部屋などへの空気の流れを考えなければならないので床下にガラリなど設けるのですが、そこから音も伝わります。床下エアコンはそのことを理解した上での採用をおすすめします。
夏場の湿気を含む外気について
床断熱ですが外気が床下に入るの工法ですので、夏場の湿気を含む外気を取り込むと、室内はエアコンで冷えているため床下の断熱材のところで結露します。
「床断熱は外気を床下に取込むので通気ができ乾燥しているのでシロアリがこない」
と説明する人もいますが、夏場の湿気を含む外気を取込むのは結露の観点から良くないので注意しましょう。
また、床下収納や点検穴などを設ける場合はしっかりと気密・断熱効果のある施工にしましょう。
床断熱でもユニットバスのある箇所は基礎内断熱になります。気密パッキンやスタイロフォームなどしっかりと施工してもらいましょう。
まとめ
今回は床下の断熱方法について、種類とそれぞれのメリット・デメリットをみてきたわけですが。
床下の断熱方法は以下の3種類が一般的な方法となります。
・床断熱
・基礎内断熱
・基礎外断
があり、それぞれにメリット・デメリットがありました。
シロアリ対策を考えると
1.床断熱→2.基礎内断熱→3.基礎外断熱
の順でシロアリ侵入の危険性が高くなります。
気密・断熱の温熱環境を考えると
1.基礎外断熱→2.基礎内断熱→3.床断熱
の順で断熱性能が下がっていきます。
施工とコストを考えると
1.床断熱→2.基礎内断熱→3.基礎外断熱
の順で施工の手間とコストが高くなっていきます。
床下の結露に関しては
1.基礎外断熱→2.基礎内断熱→3.床断熱
の順で結露しやすくなります。
※コンクリートが乾いた2年目以降について
吹抜けやリビング階段など床下からの冷気を考えると
1.基礎外断熱→2.基礎内断熱→3.床断熱
の順で床下からの冷気が入りやすくなります。
どれが一番優れているのかは判断がつきませんが、自分の住んでいる地域がシロアリ対策が必要なのかや吹き抜けの大きい部屋を作りたいのかなどで、床下の断熱方法を決めるといいかと思います。
この記事が床下の断熱方法を決めるのに役立ってくれれば幸いです。
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