設計事務所での注文住宅、ハウスメーカーや工務店ではどう違うの?

注文住宅を建てる際、ハウスメーカーや工務店側の人間ではなく、

施主側の立場で工事監理してくれる人が必要だと考えている方には設計事務所での注文住宅を考えられたほうがいいと思います。

工事監理の必要性に関してはこちらの記事をご覧ください↓

以下の項目でひとつでも当てはまっているかどうかチェックしてみましょう。

①専門的なことがまったくわからないので言いくるめられそうで不安

②ハウスメーカーや工務店のいうことが全然信用できない

③家づくりの判断に第三者的にアドバイスしてくれる専門家がいてほしい

④瑕疵保険・中間・完了検査だけでは不安なので、定期的な現場の見張り役がほしい

⑤工事監理者がハウスメーカーや工務店と同じでは不安なので第三者目線で現場をしっかりとチェックしてほしい

⑥引渡し後のトラブルのときも施工会社との間に入ってくれる専門家がほしい

上記にひとつでも当てはまる場合は、設計事務所での注文住宅を検討することをおすすめします。

設計事務所での注文住宅って
高そうなイメージがあるけど
実際はどうなの?

設計事務所の注文住宅は、ハウスメーカーや工務店などある程度仕様が決められたなかでの設計ではなく、

話し合いの中からひとつづつカタチにしていく作業なので時間がかかります

設計に時間がかかるからといって設計料が高くなることはないです。35坪の木造住宅2階建て住宅の場合は、

一般的に工事価格の10~15%程度が設計監理料だと思います。

今回は設計事務所、ハウスメーカー、工務店それぞれとの注文住宅を作る際のメリットデメリットをみていきたいと思います。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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設計事務所との注文住宅の特徴

設計事務所は施工会社とのかかわりがなく、施工中の利益から完全に独立した設計監理をすることができる特徴があります。

設計事務所のメリット

・家族のライフスタイルにあった住宅
・狭小住宅など特殊な土地に対応
・適切な工事監理が行える
・建築主の利益を最優先

・家族のライフスタイルにあった住宅

趣味に特化した空間を作りたいとか、ペットと共に暮らしたいなど家族にあった個性的でプライベートな要望に対応するのが得意で自由度が高いのが特徴です。

・狭小住宅など特殊な土地に対応

敷地の状況や予算に合わせて設計するので、狭小住宅や特殊な土地でも対応できます。

敷地のデメリットもその特徴をいかした設計をすることでそこでしか建てることのできない個性的な住宅が建てられます。

・適切な工事監理が行える

建築主の代理として工事監理するので適切な工事監理が行えます。

建築工事に対してチェックされる側とチェックする側が明確なので、施工中のミスを減らし確実な工事が行えます。

工事監理の必要性に関してはこちらの記事をご覧ください↓

・建築主の利益を最優先

工務店など在庫をかかえてしまった設備機器や建材を使いきりたいなどの施工上の都合があったりする場合もあります。

設計事務所はこのような施工側の都合とは無関係に設計監理するので施工の制約を受けずに建築主の利益を最優先にした設計監理が行えます。

設計事務所のデメリット

・打合せ回数や設計に時間がかかる
・自分に合う設計者を探す必要性
・設計監理費用が別途かかる
・完成までに時間がかかる

・打合せ回数や設計に時間がかかる

全てがオーダーメードなので建築主の要望を事細かに把握するために頻繁な打合せが必要となります。

間取りの大きさと予算からある程度の仕様は決まりますが、それでもこれだけは作りたいなどのこだわりがある場合などしっかりと話し合いが必要となります。

・自分に合う設計者を探す必要性

建築主の要望を設計者が打合せから正しく読み取ってくれるかどうかや伝えたいイメージを理解して設計にいかせるかどうかは設計者の力量によります。

写真や絵などで自分の意図しているイメージをしっかりと理解してもらうためには、自分の感覚に合った設計者を探す必要があります。

・設計監理費用が別途かかる

設計事務所との注文住宅の場合、設計施工一貫のハウスメーカーや工務店とは違い設計監理料が別途かかります。

ハウスメーカーや工務店などは基本的に一括での住宅の金額提示となりますが、示さないだけで設計監理料や利益分はしっかりと含まれています。

・完成までに時間がかかる

設計事務所が設計した住宅は完成までに時間がかかります。

設計を終えた段階でから施工会社の見積もりや選定などが始まり、予算内にできるように見積もり合わせをした後に施工会社と契約します。

施工会社も契約して着手金が入ってから材料発注や職人の手配し、工程表を作成するのですぐに工事に入れるというわけではありません。

完成までの時間はある程度の工期が必要となります。

こんな方に向いています

・個性的な家を作りたい
・工務店などでは満足できない
・工事監理に安心感を得たい

個性的な家を作りたい方やしっかりと工事監理をしてもらい安心感を得たい方、

ハウスメーカーや工務店が提案した設計が自分のイメージするものではないと思う方には設計事務所との注文住宅が向いています。

オリジナリティーや自然素材などの材料まで気配りをしてひとつひとつこだわりぬいて造りたい

「家は買うものではなく、造るもの」

と思っている方に向いていると思います。

ハウスメーカーとの注文住宅の特徴

ハウスメーカーはあらかじめメニューが用意されているファミリーレストランの食事とおなじで、全国どこでも同じメニュー、同じ味、調理が早い、味のイメージがつきやすいなどの特徴があります。

ハウスメーカーのメリット

・モデルハウスでイメージしやすい
・窓口がひとつで手間がかからない
・選択肢から選ぶのであまり迷わない
・完成までの工期が短い

・モデルハウスでイメージしやすい

多くのハウスメーカーはモデルハウスを持っています。設備機器や仕上げの質感、部屋の大きさなどを実際に見られるので雰囲気を建てる前に確認することができます。

住宅展示場などは多くのメーカーのモデルハウスがあるので違うメーカーとの比較ができたり実際に営業と話ができたりするメリットがあります。

・窓口がひとつで手間がかからない

住宅の計画当初からローンの相談や分譲住宅などの土地とあわせて購入することもできます。

土地取得、設計(建築相談)から建物の完成まで一社のハウスメーカーに任せればよいので手間がかかりません。

・選択肢から選ぶのであまり迷わない

設備機器や仕上げなどの仕様は限られている選択肢の中から選ぶことになります。

もちろんグレードを上げることも可能です。あらかじめ選択肢があるので選ぶのにはあまり迷わなくて済みます。

・完成までの工期が短い

工場で製作されたパーツを現場で組立てるだけになっているものが多いので、建て方からあっという間に外壁、屋根まで完成します。

内装仕上げも既製品などを利用することでなるべく職人さんたちの工程数が少なくなるよう工夫されています。

ハウスメーカーのデメリット

・選択肢が少なく自由度が低い
・営業や宣伝広告費が価格に含まれる
・オプション工事が割高になる
・適切な施工か確認できない

・選択肢が少なく自由度が低い

注文住宅のフリープランといっても間取りは規格の範囲内に制限されている場合が多いです。外観や内装に関しても選択肢が少ないのであまり自由度はありません。

建築主がこれを取付けたいとかこの建材や設備機器を使いたいなどのこだわりがあるときはオプション扱いとなり高額になりがちです。

・営業や宣伝広告費が価格に含まれる

全国各地にある住宅展示場の建設費や維持管理費、人件費やテレビや雑誌の宣伝広告費などのコストは建物の価格に含まれているので結局は設計事務所での注文中宅と同じ金額に落ち着くケースなど多々あります。

・オプション工事が割高になる

規格の範囲外のオプション工事は、材料の手配や工程が伸びたり職人の手間などが余計に発生するために割高になります。

基本的にハウスメーカーの大工さん達は材料のロスがなく簡単に作ることや限られた時間より工期を短くすることで利益を得ていますので、工事途中での建築主からの注文には対応できないことは多々あります。

・適切な施工か確認できない

施工する側の人間が工事監理を行うのでチェックされる側とチェックする側が同じとなります。

工事中の手抜きや間違い、不備などの品質を確認する第三者がいないので職人によっては本社への報告を怠ったり、ごまかしてそのまま工事を進めてしまうなんてこともあります。

木造住宅の場合は木造住宅工事仕様書などで定められた施工法が決まっています。

床下や小屋裏、壁の中の断熱材の施工など見えない部分の工事が適切な施工かどうか確認することができません。

こんな方に向いています

・住宅を作る際の手間をかけたくない
・なるべく速く入居したい
・大手の安心感を得たい

住宅を作る際の手間や考えることが面倒な方やなるべく速く入居したい方、

大手のハウスメーカーだからつぶれることもなく保証もしっかりしているので安心できるなど考えている方には向いています。

既製品でも工夫次第ではローコストで見栄えのよいものができたりします。「家は買うもの」と考えている方に向いています。

工務店との注文住宅の特徴

設計事務所が設計監理、工務店が施工する場合もありますが、ここでは設計から施工まで一貫して業務を行っている工務店のことです。

工務店はハウスメーカーと比べると小規模ですが、全国展開ではなく地域密着型での住宅の設計施工を行っています。

工務店のメリット

・地域密着で担当者の顔が見える
・ハウスメーカーより自由度が高い
・規格住宅などローコスト住宅がある
・メーカーの既製品などが安くなる

・地域密着で担当者の顔が見える

工務店は地域に根ざして活動しているのでその地域での評判の良い評価の獲得のために丁寧な施工を心がけてくれます。

経営者の異動や転勤がないため、立てた後のアフターメンテナンスなどの責任感も強くなります。

・ハウスメーカーより自由度が高い

フランチャイズの家では特定の材料や工法が決められていますが、そうでなければ比較的に自由な設計をしてくれます。

規格の範囲内しか対応できないハウスメーカーよりも、建築主の要望に基づいた自由度の高い家づくりができます。

・規格住宅などローコスト住宅がある

規格住宅などのローコスト住宅をやっている工務店もあります。

規格住宅やローコスト住宅では設計は限られた範囲でしか選択肢はないのですが、

同じ仕様で注文住宅を作ることもできる場合があるので一度きいてみることをお勧めします。

・メーカーの既製品などが安くなる

工務店では取引の多い建材や設備機器は安く手に入ります。工務店によって掛率があるので何が安くなるのかきいてみることもおすすめです。

また、ローコスト住宅をやっている工務店ではその仕様や設備機器などは安く手に入る場合があるので、

注文住宅でもローコスト住宅の仕様で建てることが可能な場合があります。

工務店のデメリット

・施工上の都合が組み込まれる可能性
・工務店により得意とする工法がある
・職人によって品質に差がでる
・間取りやデザインが無難にまとまる

・施工上の都合が組み込まれる可能性

施工業者が設計を行うのでどうしても施工性を重視した設計になる可能性があります。

施工業者としては施工が容易で手間がかからない工法や材料を使いたいので、いつもの仕様や材料に落ち着くので目新しさなどは特にありません。

・工務店により得意とする工法がある

フランチャイズの家では特定の材料や工法を使わなければならない場合があったり、

SE工法など積極定期に取り入れている工務店があったりと工務店によって得意とする工法があります。

それ以外の工法で家を建てたい場合はその工法ができるほかの工務店を選んだほうがいいと思います。

・職人によって品質に差がでる

かかえている職人によって施工方法や納め方など品質に差がでる場合があります。

腕の良い職人さんは手一杯で経験の浅い職人さんが手配されてしまったなんて場合も多々あります。

工務店のかかえている職人さんの良し悪しは工務店がどれだけあなたの家に力を注いでいるかでかわるので、

少し厄介な建築主だと思われるくらいにしっかりと要望を伝えましょう。

・間取りやデザインが無難にまとまる

工務店によっては基本設計だけを外注の設計事務所に依頼することもあるので一概には言えませんが、

施工御者が設計を行う場合は無難な間取りやデザインになります。

こんな方に向いています

・地域産木材などで住宅を作りたい
・作った人の顔が見える家にしたい
・建てた後も長くお付合いしたい

工務店との注文住宅は作った人の顔が見える家にしたい方や立てた後も工務店と長くお付合いしたい方などに向いています。

工務店によっては地域産木材を推奨している場合があるので、地域産木材での家づくりをしたい方などおすすめします。

まとめ

設計事務所、ハウスメーカー、工務店との注文住宅の家づくりのメリットとデメリットを見てきたわけですが、

自分がどれに向いているのか判断するポイントは以下の通りです。

設計事務所

・個性的な家を作りたい
・工務店などでは満足できない
・工事監理に安心感を得たい

ハウスメーカー

・住宅を作る際の手間をかけたくない
・なるべく速く入居したい
・大手の安心感を得たい

工務店

・地域産木材などで住宅を作りたい
・作った人の顔が見える家にしたい
・建てた後も長くお付合いしたい

注文住宅を建てる際、どこに頼もうか迷ったときは上記のポイントや記載したメリットデメリットを参考にし、

自分がどれに当てはまるのか判断してから選ぶことをおすすめします。

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アーキトリック一級建築士事務所

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