工事中に遺跡が出た!中止しなければいけないの?
家の基礎工事などで土地を掘削する時に土器片がばらばらと大量に出てきた!
工事を中止にしなければならないの?
ただでさえ工期がぎりぎりなのに発掘調査なんかやってられない。よし黙ってそのまま進めてしまえっ…
ってちょっとまって!
あらかじめ知っておけばそんなに期間も費用もかからずに済むので、まずは落ち着いて対処していきましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
遺跡が出た時の対処法
まずやることを下記にあげておきます。
・自治体の担当部署に電話する
・不動産家や建設会社との契約書を確認する
・工事を着手してしまった後でも届出を提出
自治体の担当部署に電話する
まずは、出てきた土地の該当市町村の文化財担当窓口に電話しましょう。
例)沼津市の場合、埋蔵文化財の担当は沼津市教育委員会となります。まずはこちらへ電話をすれば詳しく教えてくれます。
※むずしい用語は後ほど解説します 。
開発面積が10,000㎡を超える土木工事は「遺跡有無確認踏査願」を該当市町村の文化財担当窓口に提出しなければなりません。
※「遺跡有無確認踏査」とは地表調査や発掘調査のことです。
個人の住宅の規模でしたら問題なさそうですが、「埋蔵文化財包蔵地」に指定されている場所では事前に届出が必要になります。
後ほど日程や費用など詳しく解説します。
そのまま工事してしまったら罰則はあるの?
埋蔵文化財保護規定により各自治体で罰則があります。
例)重要文化財を損壊し、き棄し、又は隠匿した者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は30万円以下の罰金に処する。
埋蔵文化財とは、文化遺産保護制度に基づいて保護の対象となるもので、地中に埋蔵された状態で発見される文化財(文化遺産)のことです。
不動産家や建設会社との契約書を確認する
そもそも宅地建物取引法三十五条に、宅地建物取引業者が書面で告知せねばならない事項が定められているので「重要事項説明書」に埋蔵文化財であると記載されているはずです。
建設会社との契約書内に発掘調査が必要な場合の特約が記載されていると思います。費用負担や工期遅延の保証内容などを確認しましょう。
もし特約の記載がなかった場合でも該当市町村の文化財担当窓口に電話して必要な発掘調査の内容を確認し、どのように対処するのか建設会社としっかり話し合いましょう。
見つからないようにビクビクしながら工事するなんてことないように!
オラらそんな現場いやだぁ~
工事を着手してしまった後でも届出を提出
工事中に埋蔵文化財を発見した場合でもあわてずに、その現状を変更することなく、速やかに「埋蔵物発見届」を提出しましょう。
その結果、工事が遅延する場合もありますが、出てしまった以上は事情を理解して届出や発掘調査に協力する姿勢が大切です。
※出てきた埋蔵物の一番上から30センチの保護層が確保できる基礎や浄化槽の設置などは発掘調査をする必要がない場合もあります。
埋蔵文化財包蔵地じゃないけど遺跡が出てきた
●埋蔵文化財包蔵地について
「周知の埋蔵文化財包蔵地」とは埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地のことです(文化財保護法第93条第1項)。
埋蔵文化財包蔵地とは、石器・土器などの遺物が出土したり、貝塚・古墳・住居跡などの遺跡が土中に埋もれている土地のことです。
市町村の教育委員会が作成する遺跡地図および遺跡台帳において、その区域が明確に表示されています。
その土地が「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当するかどうか教育委員会にも判明できない場合には、教育委員会は現地踏査や試掘を行ないます。
●区域以外の土地でも遺跡がでてきた
遺跡地図および遺跡台帳に登載されている遺跡の区域以外の土地であっても、その地域社会において遺物や遺跡が埋もれていることが認識されている土地もあるので注意が必要です。
「周知の埋蔵文化財包蔵地」に該当しない土地であっても、出土品の出土等により、土地の所有者・占有者が、貝塚・古墳・住居跡などの遺跡を発見した場合には、
その現状を変更することなく文化庁長官に対して届出を行わなければならず、
文化庁長官は、その遺跡が重要なものであり、保護のため調査を行なう必要があると認めるときは、
その土地の所有者・占有者に対し、期間を定めて(最大3ヵ月)、その現状を変更することとなるような行為の停止、または禁止を命ずることができるとされています(同法第96条第1・2項)。
試掘作業の日数や費用について
●試掘作業の日数や費用負担はどうなるの?
届出の図書の作成や該当市町村の対応などの日数はまちまちですが、試掘作業の日数は規模や場所にもよりますが個人住宅の場合、1日から長くて1週間程度で終わります。
費用についても個人住宅の場合は原則として国や県の補助金制度があるので費用負担はありません。
※補助を受けない場合は工事主体者が全額負担となります。心配な方は該当市町村の担当窓口まで電話してご確認ください。
●工事期間は余裕をみておく
購入したい土地が埋蔵文化財包蔵地の場合は、建設会社との契約書に特約で発掘調査が必要な場合の旨(仮住まいの延長による家賃負担など)をしっかりと決めておく必要があります。
いかんせん掘削作業の工事期間にはある程度の余裕を見たほうがいいと思います。
実際の作業現場で思うこと
●敷地としての条件が良い証拠
工事期間の面で厄介ごとが多い印象のある埋蔵文化財包蔵地ですが、決して悪いことばかりでもないと思います。
出土した遺跡に大きな損傷がないなら、築かれてから現在に至るまで、大きな災害が起きていない証にもなります。
過去に大きな災害がないということは今後も大丈夫ということではありませんが、敷地条件が良いという目安となると思います。
厄介ごとを厄介なこととしてとらえるのかは自分の考え次第です。その土地の歴史を感じ誇りをもって住まうのも楽しいと思います。
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