できるまではイメージしにくい!?後悔しない外観の色の決め方
注文住宅の形状や間取りが決まると次は外観の色選びです。
色々な色サンプルを見てこんな色にしたいなぁとイメージを伝えたはずなのに、
完成してみたら想像していた外観と全く違った…
なんて失敗が起こることもあります。
外観を決める時はどうしたらいいの?
外観の失敗例を参考にしてそうならないように注意すると決めやすいと思います。
私は17年間(2023年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきました。
外観の素材を決める時は大きな実物のサンプルを取り寄せて、太陽光のもとで色や素材感を確認するようにしています。
また、3DCGの外観パースを作り全体のイメージを確認しています。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・外観の失敗例と対策
・外観を決める際の注意点
上記のようなことがわかります。
外観はできるまでイメージしにくいので、いつも仕上がってクライアントに見てもらうまでドキドキしてしまいますw
私の場合、外観を決める際は今までの経験から失敗してしまった例を思い出してイメージを決めていきます。
今回は私が今まで経験した失敗例や違和感を覚えた例、注意点などを5つほど取り上げてみました。
ようやく完成したマイホームを眺めて大きなため息をつくようなことがないように、
今回は失敗する原因を探って、後悔しない外観にしましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!
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外観の色決めでの失敗例
外観の色決めでの失敗例は以下になります。
外観の色決めでの失敗例
・地味すぎた外観
・派手すぎた外観
・単色でまとめた外観
・艶(つや)のある外観
・ダサいツートンカラーの外観
地味すぎた外観
ブラウン系などの色で多いのが地味すぎるという後悔です。
サンプルでは明るさを迷ってトーンの低い方を選んだら地味すぎて驚いたという声を聞くことがあります。
ブラウン系は色によって「和テイスト」が強くなることがあります。
ちなみに暗めの色は面積が大きくなるとより暗く見えることがあります。
これは、「面積効果」といってサンプルのような小さなものを見ただけではわからないことです。
明るめの色は面積が大きくなると明るく見えるので、暗めの色も明るくなるんじゃない?
と勘違いしている人も多いです。
暗めの色はより暗く見えることに注意しておきましょう。
なので、暗めの色を選ぶ際はワントーン明るめにした方がいいかもしれません。
派手すぎた外観
人それぞれ好みの色やこだわりの色があると思いますが、外壁の色としてふさわしいかの判断は難しいです。
家の形状によっても向き不向きがあります。
真っ赤や真っ青、黄色、ピンク、紫など彩度・明度の高い色は周囲との調和も考えて避けた方がいいです。
海外では鮮やかな色の外観もあるけど?
確かに海外では街並み全体に鮮やかな色を使用して景観作りをしているところもあります。
下の写真はイタリアのブラーノ島の街並みです↓
以前に赤い外壁の家を見る機会がありましたが、緑豊かな自然の中に立ちオレンジ瓦屋根に白い窓枠など北欧風の外観でした。
このように大胆な色を使用する場合は、立地環境や住宅の形状にもこだわると良いでしょう。
ただ、外壁は多くても3色までに抑えるとまとまりがよくなります。
屋根や窓、玄関ドアの色も含まれるのでバランスは大切です。
真っ赤や真っ青などはアクセントとして使用するのも難しい色なので不安な方はプロのアドバイスを受けながら考えることをおすすめします。
単色でまとめた外観
屋根と外壁を同系色でまとめたいと考える方もいます。
スタイリッシュな外観の家ではシンプルな色使いが好まれ、白一色、黒一色などの家が多く見られます。
屋根も一色に見られるように軒のないキューブ型の住宅にすることもあります。
単色でまとめると何か問題はあるの?
真っ青などで屋根と外壁を同じ色にする場合は、
屋根は雨や紫外線などの影響で外壁よりも塗装の劣化が早くなり、月日がたつにつれて屋根の色あせが目立つようになります。
一般的には外壁よりも屋根の色の方が濃い方がいいと思います。
同じ色は新築時はかっこよく見えても、屋根の方が先に劣化してバランスが悪くなってしまいます。
どうしても同じ色にしたい場合は屋根に劣化しにくい「屋根用耐候性強化色」を使うと良いでしょう。
これを使うと屋根と外壁の劣化度合いの差を小さくすることができます。
全体的な美しさを保つだけでなく、屋根と外壁の塗り替え周期も同程度になり、費用を削減することができます。
外壁も屋根も塗り替え時には足場を組むので一度で済めば足場代が節約でき、工期もまとめられます。
艶(つや)のある外観
歩きながら道沿いの家を眺めていると艶のある家とない家があります。
耐用年数でみると、同程度の塗装であれば艶がある外壁の方が若干長めです。
艶は光の反射角度によって
艶の度合い
・艶あり
・7分艶
・5分艶
・3分艶
・艶消し
の5段階に分かれています。
みるからにツヤツヤしているものから光があたらなければ艶がないように見えるもの、全く艶がないものまであります。
「艶」自体、数年経つとなくなっていきますが、劣化して艶なしと同じ質感になるわけではありません。
おしゃれさを考えた時にツヤツヤの外観はちょっと安っぽく見えるという声もあります。
これも完成してから失敗したと後悔することが多い点です。
艶の度合いを選ぶ際はサンプルだけで見て決めるのはちょっと危険です。
晴れた日の時間がある時に住宅街を歩いて艶あり、艶なしの住宅を見比べてみましょう。
特にブラウン、ブラック、ネイビーなどはわかりやすいかもしれません。
耐用年数や汚れにくさを重視して選ぶ場合は艶ありも良いでしょう。
ダサいツートンカラーの外観
最近では「バイカラー」とも言われるので「ツートン」という言葉自体がダサいと言われそうですね。
ダサいという言葉自体も死語かもしれませんw
上下で色分けしたりストライプにしたりする場合は、色の組み合わせやそれぞれの色の面積には十分に注意しましょう。
色の組合せ
暖色系と寒色系を組合せると垢抜けないチグハグな印象の外観になってしまいがちです。
暖色系とは、赤、ピンク、オレンジ、黄色など暖かみのある色のことです。
寒色系とは、青、青緑、水色など冷たいイメージの色のことです。
赤と青やパステルピンクとパステルグリーンなどの組合せは、塗り絵ではきれいな印象を受けますが、一戸建ての外壁に使う場合は難しいと思います。
同系色の組合せや有彩色と黒、白、グレーの無彩色の組合せ、無彩色同士の組合せは失敗が少ないです。
同系色の場合は濃淡で分けたり、ブラウンとクリームを組合せたり、無彩色と木目調を組合わせるとスタイリッシュな印象になります。
面積と割合
総二階を上下で2等分という分け方もありますが、
半分ずつというよりも6:4や7:3のように、どちらかの色の面積が広い印象にした方がきれいに納まります。
同じ2色でも、どちらを上にするかによってもかなり印象が変わります。
1階の方が濃い色ならどっしりと落ち着いた印象になり、2階の方が濃ければ個性的な印象になります。
上下の色の境目にセパレーションカラーを入れることで上下のバランスがよくなります。
セパレーションカラーとは
色と色の間に入れる色のことで、主に黒、白、グレーなどの無彩色が使われます。
また、縦のストライプで色分けをする場合は上下よりも2色の割合が難しくなります。
屋根と同じ色を縦に入れたり、建物の形状で凹凸があるところに入れたりして、ベースカラーとの割合が7:3や8:2になるようにするのも良いでしょう。
しましまになると一戸建ての外観としてはちょっとダサい印象になってしまいそうです。
しかし、この海外の住宅はしましまが並んでいてかわいいなと思いました↓
ポルトガルのコスタ・ノバだそうです。
まとめ
今回は外観の決め方がわからない人やイメージしにくい外観で失敗したくな人に対して、
失敗する原因を探って、後悔しない外観の決め方についてご紹介してきました。
まとめると以下になります。
外観の色決めでの失敗例
・地味すぎた外観
→暗めの色を選ぶ際はワントーン明るめにした方がいい
・派手すぎた外観
→外壁は多くても3色までに抑える
・単色でまとめた外観
→外壁よりも屋根の色の方が濃い方がいい
・艶(つや)のある外観
→耐用年数や汚れにくさを重視して選ぶ場合は艶ありも良い
・ダサいツートンカラーの外観
→同系色の組合せや有彩色と黒、白、グレーの無彩色の組合せ、無彩色同士の組合せは失敗が少ない
→6:4や7:3のように、どちらかの色の面積が広い印象にした方がきれいに納まる
今回は私が今まで経験した失敗例や違和感を覚えた例、注意点などを5つほど取り上げてみました。
ようやく完成したマイホームを眺めて大きなため息をつくようなことがないように、
今回は失敗する原因を探って、後悔しない外観にしましょう。
この記事が少しでも外観を決める時の参考になってくれれば幸いです。
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アーキトリック一級建築士事務所