設計事務所に払う設計・監理料は無駄?注文住宅を設計事務所に依頼するメリット

注文住宅を考えるときに依頼先としては、

大手ハウスメーカー、地元の工務店、中堅ビルダー、FC(フランチャイズ)の会社、設計事務所、地元の大工さんなどいろいろとあります。

この中では設計事務所に注文住宅を依頼すると設計料が発生します。

なので、設計事務所で注文住宅を建てられる場合は施工費に設計料がプラスされることになります。

設計料って無駄なんじゃないの?

設計事務所に依頼するのは設計・監理料が無駄だという人がいますが間違いです。

設計事務所の設計力はお金を払うのに値する価値は十分にあると思います。

だだし、設計事務所でも注文住宅をメインに仕事をしているところに依頼するようにしましょう。

注文住宅の設計は他の建築とは異なり自分自身の生活スタイルや趣味嗜好、使い勝手など細かなところまで配慮が必要になるためです。

設計事務所にも色々なタイプがあり、それぞれに得意、不得意があるのでしっかりと見極める必要があります。

どんなタイプの設計事務所があるの?

意匠設計が得意

温熱設計が得意

申請業務が得意
(確認申請などを出したりする仕事)

などの得意分野があり、

意匠設計の中にも住宅やアパート、マンション、店舗、ホテルや旅館、オフィス、工場など用途によっても得意、不得意があります。

注文住宅を建てる際に依頼するのは意匠設計や温熱設計が得意な設計事務所になると思います。

意匠設計が得意な設計事務所は、意匠設計だけを主に仕事をしてるだけあって工務店レベルで考える設計とは違い細かいな配慮やディテールまで考えてくれます。

温熱設計が得意な設計事務所は、高気密高断熱の住宅性能だけなく、床下エアコンや小屋裏エアコンなどを設置して家の中の温熱環境を快適にしてくれます。

それらにすごく価値を感じるのであれば、設計事務所に依頼した方がいいと思います。

ただ最近では工務店さんも非常にレベルの高い設計をするところも非常に増えています

実際に私の周りでも工務店なのに設計力が高く、設計事務所並みの設計をするところもあります。

今回の対象者は以下の人たちに向けて記事を書いています。

この記事の対象者

▶︎設計事務所の設計・監理料は無駄だと思う人

▶︎設計事務所の設計・監理料がなぜ発生するのかわからない人

上記の方々に対して、設計・監理料なぜ必要なのかや注文住宅を設計事務所に頼むメリットについてご紹介します。

この記事で設計事務所に注文住宅を依頼する人が少しでも増えてくれれば幸いです。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!

住宅に関する悩みを解決すべく、ブログやTwitterで情報発信しています。

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それからコメント欄はこれまで皆さんが経験してきたことを発信する場として使っていただければ幸いです。

役立つ情報をみんなで共有できるような書き込みは大歓迎です。

設計・監理料が無駄だと思う主な理由

一般の人が設計・監理料が無駄だと思う主な理由は以下の場合が多いです。

設計・監理料が無駄だと思う主な理由

・ハウスメーカーや工務店では設計料がかからない

・設計事務所の仕事を知らない

・工事監理の必要性を知らない

ハウスメーカーや工務店では設計料がかからない

一般の人が設計料が無駄だと思う理由としては、ハウスメーカーや工務店では設計料がかからないからです。

ハウスメーカーや工務店の見積りには設計事務所のようにはっきりとした設計料の項目がないのが一般的です。

しかしながら、実際に注文住宅を建てる際には図面が必要であり、申請書類の作成などもしなければなりません。

ハウスメーカーや工務店でも設計作業をする人がいる以上は人件費がかかっているはずです。

結局ははっきりとした項目がない分は工事費用などに上乗せされて見えないようになっているだけです。

ハウスメーカーや工務店で設計料がかからないというのはウソです。

さらにいえば、ハウスメーカーでは広告宣伝費なども結局のところ工事価格に含まれているので、

かなりのパーセンテージが上乗せされていることに気づかないだけです。

どのくらい工事費に上乗せされているの?

実際に私の友達で工務店の社長に利益率を聞きましたが、

ぼったくり?

と思うくらいの利益率でしたw

その他にも、ハウスメーカーや工務店は規格化された住宅を得意としています。

規格化された住宅なら新たに図面を必要とすることがないので、設計作業を簡略化することができます。

また、棟数が多いと施工業者にとっては同じ作業の繰り返しになるので、

説明の手間(設計図面作成など)が省けて施工が早くなるということもあります。

設計事務所の仕事を知らない

一般の人が設計料が無駄だと思う理由としては、設計事務所の仕事内容を知らないことが多いです。

設計料が無駄だという人は以下の場合が多いです。

設計事務所の仕事を知らない

・設計事務所の図面を見たことがない

・正式な相見積もりをやったことがない

設計事務所の図面をみたことがない

設計事務所の作成する図面は、2階建ての一般的な注文住宅でも実施設計の図面は60枚以上になり、図面量の多さに驚くことが多いです。

設計事務所の図面量が多いのは注文住宅がゼロベースで考えられているからです。

実際に実施設計に必要になる図面は、

・仕様書
・配置図
・公図、求積図
・仕上表
・平面図
・平面詳細図
・立面図
・断面図(矩計図)
・天井伏図
・展開図
・建具表
・家具図
・詳細図
・各階構造伏図
・電気設備図
・給排水衛生設備図

など、ざっくりですがこれらの図面が最低でも必要になります。

ハウスメーカーや工務店ではしっかりとした図面を作成しないところが多いです。

確認申請に必要な平面図、立面図、断面図(矩計図)だけしかお客さんに渡さないなんてザラですw

図面が多いのが一概にいいとは言えませんが、

注文住宅をゼロベースで考えて他の人に説明することを考えれば最低限の図面は必要になります。

図面がなくてもちゃんと施工できるの?

規格住宅なら間違えずに施工できる場合が多いのですが…

規格住宅をカスタマイズして少し違えるだけで施工方法を間違えるなんてことしょっちゅうあります。

ハウスメーカーや工務店の場合は監理者が自社の社員のため、施主にバレないように施工してしまうことも考えられます。

正式な相見積もりをやったことがない

正式な相見積もりをする場合はしっかりとした実施設計図面が必要になります。

当たり前のことですが、相見積もりをする業者ごとに違う建物になってしまったら相見積もりの意味がなくなってしまいます。

複数社から見積もりを取ったけど、これが相見積もりじゃないの?

ハウスメーカーや工務店の複数社から見積もりを取ったとしても、それは相見積もりではないので注意しましょう。

見積もりを依頼する際に条件を同じに整えないと比べようがないのは当たり前のことです。

しっかりと正式な相見積もりをする場合は、設計事務所に実施設計を依頼して図面を揃えてから見積もりを依頼するようにしましょう。

工事監理の必要性を知らない

一般の人が監理料が無駄だと思う理由として、工事監理の必要性を知らないことが多いです。

工事監理とは設計図のとおりに施工が進んでいるかの確認する仕事のことです。

ハウスメーカーや工務店の場合は自社の社員が工事監理をすることになります。

ハウスメーカーや工務店の担当者が信用できるのであればいいのですが…

自社で工事監理する場合は施工ミスが起きた場合に社内でうやむやに処理してしまうことが多いです。

設計事務所の工事監理ってどう違うの?

設計事務所の工事監理は、施主の代理として現場をプロの目線で図面通りに施工が進んでいるのかをチェックするのが仕事になります。

第三者として厳しく施工方法などをチェックしていきます。

工事が始まると施主の味方になってアドバイスしてくれる唯一の存在が設計事務所の工事管理者になります。

自社の社員が工事監理だと会社のために不利益になることは指摘しなかったり、しっかりと第三者としてチェックすることができないことが多いです。

注文住宅を設計事務所に依頼するメリット

設計事務所の注文住宅のメリットは以下になります。

注文住宅を設計事務所に依頼するメリット

・間取りや仕様の自由度がある

・高い設計力とデザイン性

・特殊な敷地でも対応

・適正な建築費になる

・手抜き工事を許さない

間取りや仕様の自由度がある

設計事務所の注文住宅のメリットは、間取りや仕様の自由度があることです。

設計事務所の注文住宅では敷地条件をもとにいちから間取りや仕様を決めていくからです。

例えば、ハウスメーカーの場合など基本プランがあり、それを敷地に当てはめていくのですが、

設計事務所の場合は、何も書かれていない状態から敷地に建物の線を描き始めます。

何もないところからだと遅くならない?

確かに基本プランがある方が早いかもしれませんが、

敷地の特徴をしっかりと捉えエスキースをした方が、その敷地にあった建物を設計することができます

また仕様の自由度があるので、既製品を使わないでオーダーメイドで家具や造作を作ることができます。

その敷地にあったオーダーメイドの住宅を作るには、間取りや仕様の自由度があることが必要だと思います。

高い設計力とデザイン性

設計事務所の注文住宅のメリットは、高い設計力とデザイン性があることです。

設計事務所では日頃から美的センスを磨いている建築家が多く在籍しているからです。

実際に、住宅の外観デザインは設計する人のセンスに左右されるところが大きいです。

デザインの良し悪しってどうやっ見分けるの?

デザインの良し悪しは、ぱっと見で感じる印象でわかると思います。

設計事務所のデザインは小手先だけのかっこよさではなく、構造からできる内部空間の面白さがあります。

ハウスメーカーや工務店の住宅だとカッコいい外観でも内部空間の面白さにつながっていない住宅が多いです。

よって、内部空間の面白さやデザイン性の高い注文住宅を望むのであれば、設計事務所に頼んだ方がいいと思います。

特殊な敷地でも対応

設計事務所の注文住宅のメリットは、特殊な敷地でも対応できることです。

設計事務所の注文住宅はハウスメーカーとは間取りの自由度が格段に違うからです。

特殊な敷地の場合は設計事務所に頼んだ方がいい理由についてはこちらの記事をご参照ください↓

例えば、狭い敷地で大きなリビングが作れない場合でも、

設計事務所では暮らし方の視点を変えてリビンを必要としない間取りを提案することもできます。

暮らし方の視点を変えるってどういうこと?

普通は当たり前のことでもそれが本当に必要なのかを根本から考え、その土地にあった暮らし方の最適解を求めることです。

暮らし方自体を考え直すことで、他とは違った自分達の暮らしにあった注文住宅を実現することができます。

適正な建築費になる

設計事務所の注文住宅のメリットは、適正な建築費になることです。

実施設計が終わった段階で施工会社から相見積もりをとり競わせることで施工会社を決めるからです。

相見積もりの重要性についてはこちらの記事をご参照ください↓

この相見積もりをとって競わせることが適正な建築費で工事を進めるためにはとても重要なことになります。

施工会社は当然ですが、会社の利益が取れる工事を見積の中に素人目にはわからないように潜ませてきます

その工事が適正な価格なのかは他社と比較してみないとわからないのは当然だと思います。

相見積もりってどうやってとるの?

ハウスメーカーや工務店の場合も見積もりを取って比較すればいいと思いがちですが…

ハウスメーカーや工務店の見積もりを比較しても、そもそもプランが違ったり、選んでいる仕様が違かったりして正確に比較することができません

しっかりと比較して適正な建築費で工事をしたいのであれば、実施設計をして比較する以外にないと思います。

手抜き工事を許さない

設計事務所の注文住宅のメリットは、手抜き工事を許さないことです。

設計事務所に設計・監理をお願いすると施主と施工会社以外の設計事務所という第三者が工事に関わってくるからです。

この第三者である設計事務所の監理はとても重要な役割だと思います。

工事監理についてはこちらの記事をご参照ください↓

第三者が工事に関わってくると何が違うの?

設計事務所が工事監理者になった場合は、施主側の意見と施工会社の意見が対立してしまった場合にその調整役をしてくれたり、

施工会社にしっかりとした工事を行うように監理してくれます。

ハウスメーカーや工務店など下請けの業者の質は正直なところまちまちです。

しっかりと施工してくれる業者ならいいのですが、そうでない場合もあります。

そんな場合でも、第三者の目が監理してくれれば、手抜き工事など許すはずもなく設計図通りの品質で作ることが可能になります。

自分に合った設計事務所を選ぶには

自分に合った設計事務所を選ぶには以下のことを知りましょう。

自分に合った設計事務所を選ぶには

・設計事務所の得意・不得意を知る

・設計事務所の仕事の進め方を知る

・設計事務所の過去の施工事例を知る

設計事務所の得意・不得意を知る

自分に合った設計事務所を選ぶには、依頼しようとしている設計事務所の得意・不得意を知りましょう。

設計事務所にも色々なタイプがあり、それぞれに得意、不得意があるのでしっかりと見極める必要があります。

・意匠設計が得意
・温熱設計が得意
・申請業務が得意

(確認申請などを出したりする仕事)

などの得意分野があり、

意匠設計の中にも住宅やアパート、マンション、店舗、ホテルや旅館、オフィス、工場など用途によっても得意、不得意があります。

注文住宅を建てる際に依頼するのは意匠設計や温熱設計が得意な設計事務所になると思います。

意匠設計が得意な設計事務所は、意匠設計だけを主に仕事をしてるだけあって工務店レベルで考える設計とは違い細かいな配慮やディテールまで考えてくれます。

温熱設計が得意な設計事務所は、高気密高断熱の住宅性能だけなく、床下エアコンや小屋裏エアコンなどを設置して家の中の温熱環境を快適にしてくれます。

設計事務所の提案にすごく価値を感じるのであれば、その設計事務所に依頼した方がいいと思います。

設計事務所の仕事の進め方を知る

自分に合った設計事務所を選ぶには、設計事務所の仕事の進め方を知りましょう。

注文住宅の設計は長丁場になるため、設計事務所の仕事の進め方が自分に合っているかどうかがとても重要になるからです。

気の合わない設計事務所とは話も弾まないですよね…w

設計事務所の中にはこだわりが強い建築士などもいて、素材や色決めなどは一切オーナーさんにさせないという設計事務所もあります。

設計事務所の仕事の進め方で少し違うなと感じたら、途中までの設計料を払ってでも他の設計事務所に変えた方がいいと思います。

注文住宅は少しの違いが暮らし始めてからの快適さや満足度を左右するからです。

注文住宅は建てるのが初めての人がほとんどなので、その設計事務所の仕事の進め方が自分に合っているのか判断するのは難しいのですが、

生活の細かなところまで要求してみて、それを解決するアイデアを出してくれたり、言わなくても配慮をしてくれる設計事務所を選びましょう。

設計事務所の過去の施工事例を知る

自分に合った設計事務所を選ぶには、設計事務所の過去の施工事例を知りましょう。

設計事務所に行くと過去の作品の竣工写真や施工事例を見せてくれます。

自分のイメージする注文住宅にピッタリと合ったものが見つかることもあります。

施工事例がピッタリと自分のイメージに合わなかったとしても、

ピンタレストやルームクリップなどでイメージを伝えればそれに合わせてデザインしてくれる設計事務所がほとんどだと思います。

また、過去の施工事例としてどんな仕事をしてきたのかもしっかりと聞きましょう。

過去の仕事内容で何を得意とする設計事務所なのかを知ることができるからです。

設計事務所はほとんどがホームページを持っているのでホームページから過去の施工事例を知ることもできます。

まとめ

今回は設計事務所の設計・監理料は無駄だと思う人や設計事務所の設計・監理料がなぜ発生するのかわからない人に対して、

設計・監理料なぜ必要なのかや注文住宅を設計事務所に頼むメリットについてご紹介してきました。

まとめると以下になります。

設計・監理料が無駄だと思う主な理由

・ハウスメーカーや工務店では設計料がかからない

・設計事務所の仕事を知らない

・工事監理の必要性を知らない

注文住宅を設計事務所に依頼するメリット

・間取りや仕様の自由度がある

・高い設計力とデザイン性

・特殊な敷地でも対応

・適正な建築費になる

・手抜き工事を許さない

自分に合った設計事務所を選ぶには

・設計事務所の得意・不得意を知る

・設計事務所の仕事の進め方を知る

・設計事務所の過去の施工事例を知る

設計事務所に依頼するのは設計・監理料が無駄だという人がいますが間違いです。

設計事務所の設計力はお金を払うのに値する価値は十分にあると思います。

意匠設計が得意な設計事務所は、意匠設計だけを主に仕事をしてるだけあって工務店レベルで考える設計とは違い細かいな配慮やディテールまで考えてくれます。

温熱設計が得意な設計事務所は、高気密高断熱の住宅性能だけなく、床下エアコンや小屋裏エアコンなどを設置して家の中の温熱環境を快適にしてくれます。

それらにすごく価値を感じるのであれば、設計事務所に依頼した方がいいと思います。

この記事で設計事務所に注文住宅を依頼する人が少しでも増えてくれれば幸いです。

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