納得の金額で住宅を作るには相見積もりを取って比較することが重要です!
私は設計事務所をやっているので友人などに住宅について相談される機会が多いいです。
その中で8割ぐらいの人が相見積もりを考えていないことに驚かされます。
相見積もりってなに?
相見積もりとは複数の会社から見積もりをとって比較することです。
住宅は数千万円の買い物なのに相見積もりを取らないなんて、設計事務所をしている私にとっては考えられないことです。
相談してくる人の多くはハウスメーカーや工務店で設計を頼んでいて、最終的に出てきた金額が適正かどうかわからないので見てほしいという相談が多いいです。
適正価格かどうか知るには
どうしたらいいの?
相見積もりを取らない場合は設計見積もりと比較することになりますが、メーカーの掛け率などを考慮していない分、設計見積もりは高めの金額になります。
相談された住宅の場合でも設計見積もりを出して比較したのですが、ほぼ同じかそれ以上の金額が提示されているケースがほとんどでした。
工事金額の高い部分の仕様を変更するようにアドバイスするのですが…
ハウスメーカーの場合はそれが標準仕様で安い仕様に変更したほうが逆に高くなってしまうケースもあります。
最初から設計事務所に注文住宅を依頼したほうがその辺は融通がきくし、何より相見積もりで適正価格を知ることができるので安くすることができるのですが…
と相談にのるたびに思います。
今回は相見積もりを取るメリットや相見積もりを取る時の注意点などをご紹介できればと思います。
この記事が納得のいく金額で住宅をつくるための参考になってくれれば幸いです。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
相見積もりとは?
相見積もりとは複数の会社から見積もりをとって比較することです。
見積もりは大きく以下のように分けられます。
・概算見積もり
・詳細見積もり
住宅の場合はAmazonなどの通販商品と違い、住宅会社によって様々なプランや仕様があるために単純に見積もりをとっただけでは比較することはできません。
また、実施設計をしないと正確な詳細見積もりはできないので、ハウスメーカーや工務店で出される見積もりは概算見積もりの場合が多いです。
概算見積もり
概算見積もりは、おおまかな数量や費用を仮定し金額を計算したものです。
図面や仕上げの詳細が決まっていない場合やとりあえず大まかな予算を知りたいというお客様に対して出すことが多い見積書です。
工事項目があまり細かく分類されず、業者によって項目や内容に差異があるため、単純比較しづらいです。
提示された金額はあくまで概算であり、工事を始めてから多額の追加料金を請求される可能性があります。
概算見積もり書の金額だけを見てハウスメーカーや工務店と契約をするのは危険だと思います。
詳細見積もり
詳細見積もりは、正確な図面を作成し、仕上げや工法に応じた単価を入れて計算した現実的な金額を記載したものです。
詳細見積もりを取るには実施設計をしなければならないため、ハウスメーカーや工務店では設計費用や期間が別途で必要になるか、実施設計を出してくれない場合がほどんどだと思います。
実施設計の成果物(図面や仕様書)がないと詳細見積もりでの相見積もりができないので設計事務所に相談することがおすすめです。
実施設計を設計事務所に頼むと住宅の仕様にもよりますが、木造40坪2階建てで120万〜140万円、1ヶ月〜1ヶ月半ほどかかります。
工務店や建設会社の場合は仕様の変更で150万円くらいまでなら比較的簡単に落とせるので詳細見積もりでも相見積もりを取りたい場合は設計事務所に相談してみましょう。
相見積もりをするならどっち?
前述したように概算見積もりでの相見積もりは追加工事が発生する場合が多いので、相見積もりをするなら詳細見積もりで比較したほうがいいと思います。
工務店や建設会社によって見積もりの書式が違うので、相見積もりをとる場合は見積もり項目を作って金額を入れてもらう方法が一番いいのですが…
見積もり項目や材料などの数量を拾うのは素人では難しいので、大まかに以下の項目で見積もりを作ってもらい比較してみましょう。
・共通仮設工事
・直接仮設工事
・基礎工事
・木工事
・屋根板金工事
・外壁工事
・タイル工事
・金属製建具工事
・木製建具工事
・塗装工事
・内装工事
・家具工事
・防蟻処理
・給排水衛生設備工事
・電気設備工事
・住宅設備工事
・空調換気設備工事
・外構工事
・諸経費
・解体工事
・その他工事
できれば5社くらいから相見積もりを取り、EXCELで比較してみると金額が飛び抜けて高い工事項目などがひと目でわかります。
相見積もりを取るメリット
相見積もりを取るデメリットは時間がかかることと、しつこく営業されることぐらいだと思います。
具体的に相見積もりを取るメリットは以下になります。
建築にかかる費用の把握
見積もり抜けがないかの確認
工事費を比較して各社の特徴を知る
予算オーバーが無くなる
適正価格で工事費を安くできる
建築にかかる金額の把握
詳細見積もりを取ると実際に使う材料を拾うので建築にかかる金額を把握することができます。
建築にかかる金額を正確に出さないで概算見積もりだけで契約してしまうと、追加工事が出てきたり、自分好みの仕様の選択肢がなかったりします。
実施設計をした上で詳細見積もりをとればかなり正確な金額が出てきます。
しかしながら、建設会社は利益をどこで取るのかを考えて見積もりを作るので、他社と比較しないと適正な価格での工事ができません。
建築にかかる金額を把握するには詳細見積もりでの相見積もりを取る必要があります。
見積もり抜けがないかの確認
相見積もりを取ると見積もり抜けがないか確認することができます。
見積もり抜けがあると追加工事や予算オーバーする原因となるためしっかりと確認する必要があります。
実施設計図面や仕様書がしっかりとない状態での見積もりでは建設会社による一般的な仕様となります。
相見積もりをお願いする建設会社には建物の図面や仕様書をしっかりと用意して、工事範囲や仕様、設備やサッシのグレードなどはしっかりと伝えましょう。
工事費を比較して各社の特徴を知る
相見積もりを取ると工事項目ごとの工事費を比較することができるので、各社どの部分が安いのかなど特徴を知ることができます。
住宅設備など設計見積もりと比較するとメーカーの掛け率がわかるので各社がどのメーカーのものが強いのか知ることができます。
※掛け率とは上代(販売価格)に対する下代(仕入れ価格)の割合のこと
金額が飛び抜けて高い工事項目がある場合は、工法や仕様が曖昧な箇所の場合が多いので仕様や工法をしっかりと伝えましょう。
なぜそのような金額になったのかや他社はこのぐらいの金額であったなど伝えて再見積もりをしてもらいましょう。
予算オーバーが無くなる
詳細見積もりでの相見積もりは予算オーバーすることが無くなります。
設計事務所の場合は、最終的に予算に合わせて工法や仕様を変更するVE案を作成します。
※VE案とは、「Value Engineering(バリューエンジニアリング)」の略で、性能や価値を下げずにコストを抑えることである。
しかしながら、以下のことでの予算オーバーは建設会社との話し合いで解決できない場合が多いです。
・予期できない追加工事が発生した
・契約後の追加変更
・外構工事を含めていなかった
工事する前にしっかりと現地調査を行い、契約するまでにしっかりと工事範囲や仕様を決定する必要があります。
適正価格で工事費を安くできる
詳細見積もりでの相見積もりは適正価格で工事費を安くすることができます。
相見積もりは工事項目ごと見積もり価格を比較するので、各社ごと適正な価格で金額を合わせてもらう交渉材料になります。
相見積により適正価格の根拠があるために建設会社は大きな利益を乗っけた金額の提示ができません。
(逆に値引きをする際にも適正価格がわかってしまう分、大きくそれた値引き交渉はできなくなります。)
住宅の工事は着工してからの追加変更がどうしても出てきます。
予算を削りすぎて変更や融通がきかないより、着工時は予算を少し多めに取り最終的に値引きしてもらった方がいい場合もあります。
相見積もりを取る時の注意点
詳細見積もりでの相見積もりを取る場合は以下のことに注意しましょう。
・図面や仕様書を用意する
・同条件にそろえる
また、比較しやすいように前述した工事項目ごとに見積もりを作ってもらうようにしましょう。
図面や仕様書用意する
設計事務所に注文住宅を頼む場合は実施設計をすることで図面や仕様書を手に入れることができます。
ハウスメーカーや工務店に設計施工を頼む場合は詳細見積もりに必要な図面や仕様書をそろえることが難しいです。
ハウスメーカーや工務店の場合は実施設計の費用を省略することで利益を得ている場合が多いです。
適正価格での住宅を望む場合は設計事務所に相談した方いいと思います。
同条件にそろえる
当たり前のことですが、各社に見積り依頼する時は同条件にそろえることが重要です。
相見積もりをする際に各社から質疑事項がたくさん出てきます。
不確定な仕様や未決定の設計部分などがある場合は見積もりができるように設計や仕様を決め、見積もりを依頼した全社に応答をする必要があります。
建築の専門でないと答えられないことが多々あるので設計事務所の無料相談を利用して建築士などに相談しましょう。
設計事務所に頼む
ハウスメーカーに住宅の設計を依頼すると、契約前の見積合せの段階まで進んでしまうと相見積をしたいといっても営業がなにかと理由をつけてなかなかさせてくれないと思います。
前述しましたが、住宅は数千万円のとても高い買い物です。
数千円のAmazonの通販商品は画面に穴が開くまでインターネットで比較するのに、住宅の価格を比較しないなんてとてもおかしいと思います。
詳細見積もりでの相見積もりをしないことで損をする前に設計事務所に相談しましょう。
※基本設計がある程度かたまっている場合は基本設計の費用は割引になり実施設計と現場監理費がかかるだけなので設計料をかなり抑えることができます。
まとめ
今回は相見積もりを取るメリットや相見積もりを取る時の注意点などをご紹介してきました。
まとめると以下になります。
建築にかかる費用の把握
見積もり抜けがないかの確認
工事費を比較して各社の特徴を知る
予算オーバーが無くなる
適正価格で工事費を安くできる
相見積もりを取る時の注意点は
・図面や仕様書を用意する
・同条件にそろえる
ハウスメーカーの営業は顧客の囲い込みがうまいので「建築費が高いな?」と思っても相見積もりという選択肢があることを決して言わないと思います。
とても重要なことなので繰り返しますが、納得のいく金額で住宅をつくるには、詳細見積もりでの相見積もりをすることが必須です。
工事費に比べれば設計料の10%など仕様変更で予算を捻出することはいくらでもできます。
ハウスメーカーや工務店の宣伝に踊らされ結局、建築費が高くなってしまったと後悔する前に設計事務所に相談してみましょう。
まよったらこちらからご相談ください↓
この記事が納得のいく金額で住宅をつくるための参考になってくれれば幸いです。
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アーキトリック一級建築士事務所