狭小間口の住宅など特殊な敷地の場合は設計事務所に頼んだほうがいい理由
狭小間口の住宅など特殊な敷地の場合は、暮らしやすい間取りや広々とした空間を実現することが難しいのです。
特殊な敷地は安く手に入れることができるのでおすすめなのですが…
ハウスメーカーに相談してもなかなか気に入ったプランができずに予算をオーバーしてしまうケースが多いです。
※狭小間口とは道路に接する間口が狭い敷地のことです。
じゃあ、どこに相談すればいいの?
私の意見ですが、
設計事務所に相談するのが一番だと思います。
私は設計事務所を長年やっているのですが、相談のある設計の仕事は何かしら特殊な敷地であったり、普通に建てると厳しい条件のものが大半を締めます。
ハウスメーカーで気に入ったプランができなかったので相談に来たケースも、特殊な敷地の場合が多い印象です。
どの設計事務所も特殊な敷地に強いとは限りませんが、設計事務所は厳しい条件でも可能な限り快適なプランニングをしてくれたり、解決策を親身になって考えてくれます。
実際、私が住んでいる事務所兼住宅は狭小間口で条件は厳しかったのですが、ローコストで快適に住むことができています。
今回は特殊な敷地の場合、設計事務所に相談するのがなぜいいのかや、特殊な敷地の問題点と解決策などご紹介できればと思います。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
設計事務所がいい理由
設計事務所に相談した方がいい理由は以下のとおりです。
・間取りの自由度
・暮らし方を見直し空間に反映
・外観のデザイン力がある
・予算内で仕上げる選択肢が多い
・厳しい敷地条件だとやる気アップ
となります。
住宅を建てる時に最初から住宅展示場に行って、そのままハウスメーカーと契約…ということが多いのですが
特殊な敷地の場合、まずは設計事務所に相談してみるという選択肢もあることを忘れないようにしましょう^^;
間取りの自由度
設計事務所は間取りの自由度が一番あります。
特殊な敷地でも、法規を遵守し、家族の暮らし方や要望をひとつひとつ反映しながらプランニングを進めてくれます。
設計事務所の住宅は、暮らし方がダイレクトに反映されるので、家事に対する考え方や生活スタイルが違えば設計も違ってきます。
私にとっても、家族の暮らし方をひとつひとつ聞きながらプランニングするのはとても楽しい作業です。
その人のまさに今(これから暮らし)の生活スタイルにあわせてオーダーメードの住宅をつくるようなものです。
間取りの自由度がある分、どんな敷地でも対応できるのが設計事務所の強みです。
暮らし方を見直し空間に反映
敷地条件が厳しい場合、自分が思い描いた暮らしがすべて実現できるとは限りません。
そんなときは暮らし方を見直し優先順位を付け、実現の可能性を検討し、空間に反映していきます。
設計事務所に限らずやることなのですが…
設計事務所は法的な解決策をみつけることが得意なところが多く、ゼロベースで解決策を考えるので、自分が想像していなかった新たな暮らし方を提案してくれたりします。
またコスト、設備、構造、法規などをトータルに考え、家族にとってよりよい空間にすることを第一に考える設計事務所がほとんどです。
思い描いた暮らしを空間に反映するノウハウは設計事務所が一番持っていると思います。
外観のデザイン力がある
敷地条件が厳しいと通常の外観にはならないケースが多いです。
そんなときは外観を模型や3DCGなどで検討して、ベストなデザインを目に見える形で表現してくれます。
設計事務所は設計の際に、数多くのボリューム検討を行います。
私が今やっている住宅ではボリュームを検討する模型を15個ほどつくりました。これは少ない方だと思います。
厳しい敷地条件からいいところを見つけ出し、何もない状態からボリュームを作り上げてく作業の繰り返しを日々行っています。
デザインは建てる人の好みに合うかどうかにもよりますが、設計事務所は厳しい条件下でもまとめ上げるデザイン力はあると思います。
予算内で仕上げる選択肢が多い
設計事務所の場合は仕上げ(外壁、屋根、内装などの材料)に関して、全く縛りのない状態から決めていきます。
コストや耐久性、使いやすさ、掃除のしやすさなど各部の材料をひとつづつ決めていきます。
ハウスメーカーや工務店の場合はメーカーのグレードが決まっていたりして、それをプランに落とし込めるように設計します。
敷地条件が厳しい場合はメーカーの製品が入らないケースもあります。
例えば、敷地が不整形でシステムキッチンが入らない場合や予算オーバーになってしまった時
設計事務所ならシンク、水栓、ガス(IH)レンジなどを個別に選び集成材などの比較的安い材料を使用して、オーダーメードでいちから作ることも可能です。
数多くのメーカーの選択肢の中から決めたり、その空間に合うようにオーダーメードでいちから作ることができるので、予算内で仕上げを決めるのは設計事務所が有利だと思います。
厳しい敷地条件だとやる気アップ
設計事務所は子供が難しい問題にチャレンジしたがるのと同じく、厳しい敷地条件だと燃える人が多いと思います。
建築はある程度お金をかければきれいに納まるケースが多いのですが、お金をかけても厳しい敷地条件だと暮らし方や生活スタイルを根本から考え直さないと解決しないケースにぶち当たります。
例えば、建ぺい率、容積率、道路斜線など法規的な条件で可能な建物のボリュームや述べ床面積は決まります。
それにより、ほしい部屋数がつくれなかったり、リビングが狭くなってしまったりするケースなどです。
そんな場合でも部屋になる必要があるときだけ建具で間仕切れる仕組みを考えたり、狭い空間を立体的につなぐことで空間的な広がりを作ったりするなど…
暮らし方や生活スタイルを根本から考え直し、建築的に解決策を考えることはまさに設計事務所の仕事だと思います。
特殊な敷地と解決策
特殊な敷地とはどのようなものなのか、代表例をあげてみると
・狭小間口
・変形敷地
・旗竿地
それぞれに難しい敷地条件があり、代表的な解決策があります。
狭小間口
狭小間口とは道路に接する間口が狭い敷地のことです。
私の住んでいる東海道沿いなど短冊状の間口が狭くて細長い敷地が多いです。
このような敷地の場合、間口の狭さからプランが細長くなり広いと空間が確保しづらいです。
また、建物と隣地との距離が狭くなるので採光、通風が取りづらいなどの問題もあります。
代表的な解決策として、安藤忠雄さんの「住吉の長屋」のように中庭を設け外部空間を介して部屋を配置する方法などがあります。
狭小間口の住宅の間取りで注意することはこちらをご参照ください↓
変形敷地
変形敷地とは三叉路の交差点付近など不整形な敷地のことです。
このような敷地の場合、普通に直交軸でプランを考えると広々とした間取りが取れない場合があります。
また、鋭角の部分の敷地をうまく利用することが難しいといった問題もあります。
このような変形敷地の場合の代表的な解決策としては、複数軸でプランニングする方法などがあります。
複数軸でのプランニングは鋭角部分をいかに納めるかで良し悪しが決まってきます。
遠近法のような目の錯覚により空間に方向性や奥行きがうまれ、思いもよらない広さを感じる快適な空間をつくることができます。
旗竿地
旗竿地とは道路に接している狭い路地の奥に開けた土地がある敷地のことです。
旗の形に似ていることから旗竿地と呼ばれています。
このような敷地の場合、東西南北に隣地があるので採光や通風をとるのが難しいです。
また、四方からの視線によりプライバシーを確保するのが難しい敷地でもあります。
このような旗竿地の場合の代表的な解決策としては、スキップフロアーにして隣地との視線を合わせないことやコートヤードを設ける方法などがあります。
まとめ
今回は狭小間口などの特殊な敷地の場合、設計事務所に相談するのがなぜいいのかや、特殊な敷地の問題点と解決策などをご紹介してきました。
設計事務所がいい理由をもう一度確認すると
・間取りの自由度
・暮らし方を見直し空間に反映
・外観のデザイン力がある
・予算内で仕上げる選択肢が多い
・厳しい敷地条件だとやる気アップ
などがあげられます。
厳しい敷地条件だとやる気がアップするのは私の嗜好によるところが大きいのかもしれません。
たしかに、設計の仕事を商売として考えれば、広々とした敷地で予算の大きな仕事のほうが儲かると思います。
しかしながら、限られた予算で厳しい敷地条件のもと、お施主様にとってベストな住宅を作って満足してもらえたときの達成感はお金をもらう以上の喜びを感じます。
設計事務所を営む者としては問題があるかもしれませんが、厳しい条件でもチャレンジする姿勢を忘れないようにしたいと思います。
厳しい敷地条件でなかなか自分にあったプランができずに困っているのでしたら、まずは設計事務所に相談してみるという選択肢もあることを忘れないようにしましょう^^;
最後まで読んでくれてありがとうございます。
この記事が設計事務所に相談してみるきっかけになってくれれば幸いです。
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アーキトリック一級建築士事務所