【最強の設計事務所】施工もできる設計事務所を作るメリットとデメリット

施工もできる設計事務所は設計から施工まで一貫して建築工事を請け負えるので、注文住宅やリノベーションでは様々なメリットがあります。

施工もできる設計事務所ってどんなの?

建築士事務所登録している建設会社や設計施工を一貫して行う店舗屋、施工部門を作っている設計事務所などです。

私は18年間(2024年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、

リフォームやリノベーションなど設計事務所が施工まで請け負える方がお客様にとっても良いのではないかと考えています。

今回は施工もできる設計事務所を作るメリットとデメリットをご紹介します。

この記事を読むと以下のことがわかります。

この記事でわかること

・施工もできる設計事務所の8つメリット

・施工もできる設計事務所の5つのデメリット

上記のことがわかります。

少額な工事の場合は設計事務所の設計監理料を工事費用に含めた方がお施主様にとってはわかりやすい場合が多いです。

また、設計施工を一貫して請け負った方が設計事務所としてのブランド力が強化できる場合もあります。

これから設計事務所を開業しようとする人は施工までできる設計事務所にすることをお勧めします。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!

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施工もできる設計事務所の8つメリット

施工もできる設計事務所のメリットは以下の8つになります。

施工もできる設計事務所の8つメリット

・工事費の大きな金額から利益が取れる

・急な変更や要望に自社で対応できる

・自社ブランドが確立できる

・スケジュールが短縮される

・施工ノウハウや専門技術で設計品質が向上する

・設計段階からのコスト管理がしやすい

・設計と施工のコミュニケーションがとりやすい

・アフターメンテナンスの窓口が分かりやすい

工事費の大きな金額から利益が取れる

施工もできる設計事務所のメリットは、工事費の大きな金額から利益が取れることです。

もちろん工事費を大きくするには建設業許可が必要なのですが、大きな金額を扱えると利益も多くなり設計料以外での収入が得られます。

設計料以外で利益を取れるとどうなるの?

設計料を安く見せることができます。

例えば、500万円のリフォームを依頼されたばあい①普通の設計事務所と②施工もできる設計事務所の内訳としては以下のようになります。

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①普通の設計事務所

500万円×10%=50万円→設計料:設計事務所の利益

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②施工もできる設計事務所

500万円×8%=40万円→設計料

500万円×5%=25万円→工事からの利益按分

(設計料)+(工事からの利益按分)=65万円:設計事務所の利益

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②の場合は設計料を安くすることで他社との差別化ができ、

かつ工事費からの利益按分によりトータルで設計事務所の収入を15万多く得ることができます。

当たり前ですが、工事金額が大きくなれば得られる収入は大きくなります。

急な変更や要望に自社で対応できる

施工もできる設計事務所のメリットは、急な変更や要望に自社で対応できることです。

設計事務所内で施工との意思疎通が密になるので、早めの対応をすることが可能になるからです。

自社で早急に対応することができればクライアントからの信頼が得られ、次の仕事につながる場合があります。

現場監理をしている経験上ですが、大きな施工会社ほど現場対応が遅れがちになることが多いです。

設計事務所内に施工部隊がいると急な変更や要望に自社ですぐに対応できるメリットは大きいです。

設計事務所に施工部隊を作れない場合はどうすればいいの?

職人さんたちとのコネクションを利用して現場を見てもらいアドバイスを受けたり、工事をしてもらいましょう

施工会社としても特殊な仕上げ工事や家具工事などは設計事務所に請け負ってもらった方が現場を納めやすいと思います。

自社で施工対応できる強みを活かした設計事務所を作りましょう。

自社ブランドが確立できる

施工もできる設計事務所のメリットは、自社ブランドが確立できることです。

設計や施工のノウハウが設計事務所に蓄積されていくので、ブランド化がしやすいからです。

自社ブランドの確立はクライアントの満足度を高めるのにとても有効な戦略となります。

自社ブランドはどうやって作るの?

例えば、洗面化粧台やキッチンを造作のオーダーメイドで作り自社ブランドとしたり、

床下エアコンで室内の温熱環境を快適にする手法をパッケージにすることでも作れます。

自社施工であれば特殊な工事などの秘密保持もしやすくなります

普通の設計・監理だけだとどうしても品質管理や自社ブランドの確立まではできないと思います。

設計事務所自身が施工することで得られる情報がとても大切になります

自社ブランドを確立して他の設計事務所と差別化することで最強の設計事務所にすることができます。

スケジュールが短縮される

施工もできる設計事務所のメリットは、スケジュールが短縮されることです。

相見積もりや施工会社の選定などの期間がなくなるからです。

また、設計がある程度できた段階で概算見積もりを作ることができます。

施工もできる設計事務所が工事を請け負えば、自社で設計施工するので工事期間の短縮にもつながります。

スケジュールが短縮されるとどのようなメリットがあるの?

工事に関わる手間が軽減されるのでお施主様のストレスの軽減につながります。

また、仮住まいが必要な場合は費用の軽減になります。

設計事務所が施工の意見を聞きながら設計することで、施工手間のかからない工事にすることが可能になります。

施工ノウハウや専門技術で設計品質が向上する

施工もできる設計事務所のメリットは、施工ノウハウや専門技術で設計品質が向上することです。

施工で得られた知見により、設計の最適化や現実的な設計ができるようになるからです。

設計品質が向上するメリットってなに?

設計品質が向上すると設計的な配慮不足によるトラブルや施工ミスを防止することができます。

実際の施工から得られる知見は、設計する上でとても役にたつ情報になります。

施工ミスが起きやすい箇所を如何に減らすかやどのようにしたらトラブルが防げるかを考えながら設計するようにしましょう。

設計段階からのコスト管理がしやすい

施工もできる設計事務所のメリットは、設計段階からのコスト管理がしやすいことです。

設計がある程度できた段階で概算見積もりを作ることができるからです。

概算見積もりがあれば予算オーバーしてしまうことを防ぐことができます

コスト管理が厳しいと自由な設計ができないんじゃない?

確かに、コストのことばかり考えていると自由な設計がしづらくなるというデメリットはあります。

しかしながら、どこにお金をかけるのが効果的なのかを見極めることでより良い設計ができるようになります。

普通の設計事務所だとコストのことまで考えて設計できるようになるまである程度の現場経験が必要です。

設計段階からコスト管理をすることで予算配分をしっかりと考えながら設計するようにしましょう。

設計と施工のコミュニケーションがとりやすい

施工もできる設計事務所のメリットは、設計と施工のコミュニケーションがとりやすいことです。

同じ事務所内に設計と施工があると打合せが簡単にできるからです。

コミュニケーションがとりやすい環境だと設計意図がしっかりと伝わり、施工のアイデアも引き出しやすくなります。

設計と施工のコミュニケーションで気をつけることってなに?

お互いのアイデアや意見を尊重する姿勢が大切になります。

設計としてどうしても譲れないことや施工としては手間やお金がかかることはしたくないという意見の対立が起きやすいからです。

会社としての利益を考えると手間やお金をかけずに施工した方がいい場合もあります。

しかしながら、クライアントの要望を実現して満足してもらうことを最優先に考えれば、設計側の意見も重要になります。

お互いのアイデアや意見を尊重する姿勢で何がクライアントのためになるのかを考えながらコミュニケーションをとりましょう。

アフターメンテナンスの窓口が分かりやすい

施工もできる設計事務所のメリットは、アフターメンテナンスの窓口が分かりやすいことです。

施工もできる設計事務所が設計施工を一括で請け負えば窓口はひとつになるからです。

アフターメンテナンスの窓口がわかりやすいとクライアントに施工後の安心感を与えることができます。

アフターメンテナンスってどんなことがあるの?

例えば、設備機器の使い方からフローリングのワックスの選び方など様々な問合せがあります。

アフターメンテナンスをしっかりと行うと、リフォームが必要になった時に仕事を依頼される可能性が高まります。

アフターメンテナンスの窓口を分かりやすくして、クライアントに長く安心して暮らしてもらいましょう。

施工もできる設計事務所の5つのデメリット

施工もできる設計事務所の5つのデメリットは以下になります。

施工もできる設計事務所の5つのデメリット

・最低限必要な図面以外を描かなくなる

・設計デザイン料が明確に按分できない

・デザイン性より施工性が優先される

・施主の立場に立った設計的な配慮ができなくなる

・建築基準法の抜け道を探すようになる

最低限必要な図面以外を描かなくなる

施工もできる設計事務所のデメリットは、最低限必要な図面以外を描かなくなることです。

設計意図を口頭で施工に伝えることが多くなるからです。

また、共通の経験があれば過去に描いた図面を参考にできるので、図面を新たに描く必要がなくなります

必要最低限の図面以外を描かないと何がいけないの?

設計意図がうまく伝わらずに勘違いによる施工ミスが起きやすくなります

また、トラブルが起きた際の責任の所在が明確にならないなどの問題も起こります。

必要最低限の図面以外を描かなければ作業時間が短縮できるので、事務所としてのメリットは大きいのですが…

しっかりと設計意図が伝わるように図面化する癖をつけましょう。

設計デザイン料が明確に按分できない

施工もできる設計事務所のデメリットは、設計デザイン料が明確に按分できないことです。

設計施工の場合は設計料を明確に見積もり項目に入れない場合が多いからです。

設計施工の会社の場合は、会社としての利益の中から設計デザイン料が按分されています。

設計デザイン料をなんで見積もり項目に入れないの?

設計デザイン料を明記すると値引きしろと言ってくるクライアントもいるからです。

また、設計デザイン料を正規の金額で取ると総額で高いという印象を与えてしまう場合もあります。

施工もできる設計事務所のメリットは設計施工が一体となることでの作業の効率化やコストカットになります。

実際にかかる人件費は会社の利益の中から支払われるので、設計デザイン料を明記しない場合が多いです。

デザイン性より施工性が優先される

施工もできる設計事務所のデメリットは、デザイン性より施工性が優先されることです。

デザイン性を重視すると手間とお金がかかるので、会社としての利益を考えると施工性の方が優先される場合が多いからです。

デザイン性の方が優先される場合はあるの?

クライアントの要望がデザイン性を重視している場合や時間と予算が十分にある場合はデザイン性の方が優先されます。

また、設計事務所の作品として残したい場合は、施工が大変になってもデザインが優先される場合が多いです。

両方を両立させるためには、デザイン性を落とさずに施工性を高める設計的な工夫が必要になります。

施主の立場に立った設計的な配慮ができなくなる

施工もできる設計事務所のデメリットは、施主の立場に立った設計的な配慮ができなくなることです。

普通の設計事務所の場合は施工会社と独立しているのでしっかりと施主の立場に立った設計的な配慮ができるのですが、

設計施工を行う会社の場合はどうしても会社の利益優先になり、施主の立場に立った設計的な配慮ができなくなる場合があるからです。

施主の立場に立った設計施工ってできるの?

施主の要望を満たさなければクレームにつながるので、施主の立場に立った設計施工をする必要があります。

しかしながら、予算に余裕がないと会社としての利益を確保するために施主の立場に立って施工する余裕がなくなってしまいます。

施工もできる設計事務所の場合は施主の立場に立った設計的な配慮をするためには、しっかりと予算を確保する必要があります。

建築基準法の抜け道を探すようになる

施工もできる設計事務所のデメリットは、建築基準法の抜け道を探すようになることです。

施主の要望が建築基準法に反する場合に、工事を取りたいがために法規制を回避しようとするからです。

抜け道が見つけられなかった時はどうすればいいの?

しっかりと施主に建築基準法での規制を説明して納得してもらう必要があります。

違法建築を作ってしまうと施主だけでなく設計事務所にもトラブルの原因となる場合が多いからです。

仕事を確保するために短期的な利益を優先し、法規制を無視すると事故が起きた時に設計事務所にも責任が問われます。

建築基準法の抜け道を探す癖がつくと設計事務所としての倫理観が希薄になってしまうので注意しましょう。

まとめ

今回は施工もできる設計事務所のメリット・デメリットを知りたい人や最強の設計事務所を作ろうとしている人に対して、

施工もできる設計事務所を作るメリットとデメリットをご紹介してきました。

まとめると以下になります。

施工もできる設計事務所の8つメリット

・工事費の大きな金額から利益が取れる

・急な変更や要望に自社で対応できる

・自社ブランドが確立できる

・スケジュールが短縮される

・施工ノウハウや専門技術で設計品質が向上する

・設計段階からのコスト管理がしやすい

・設計と施工のコミュニケーションがとりやすい

・アフターメンテナンスの窓口が分かりやすい

施工もできる設計事務所の5つのデメリット

・最低限必要な図面以外を描かなくなる

・設計デザイン料が明確に按分できない

・デザイン性より施工性が優先される

・施主の立場に立った設計的な配慮ができなくなる

・建築基準法の抜け道を探すようになる

少額な工事の場合は設計事務所の設計監理料を工事費用に含めた方がお施主様にとってはわかりやすい場合が多いです。

また、設計施工を一貫して請け負った方が設計事務所としてのブランド力が強化できる場合もあります。

これから設計事務所を開業しようとする人は施工までできる設計事務所にすることをおすすめします。

この記事が少しでもこれから設計事務所を作ろうとしている人のお役に立てれば幸いです。

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