中古物件を購入する時のポイントとリノベーションする時の注意点

新築よりも中古物件を買ってリノベーションした方が工事費用を安くすることができます。

中古物件は都市部や別荘地など立地の良い場所に多い傾向があります。

中古物件はマンションと戸建のどちらがいいの?

どちらにもメリット・デメリットがあるので、はっきりとどちらがいいのかは言えないです。

マンションと戸建のメリットデメリットについてはこちらの記事をご参照ください↓

私は18年間(2024年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、

リノベーションをするなら戸建の方が自由度があり工事はしやすかったです。

今回は中古物件を購入する時のポイントとリノベーションする時の注意点をご紹介します。

この記事を読むと以下のことがわかります。

この記事でわかること

・中古物件を購入する時のポイント

・リノベーションする時の注意点

上記のことがわかります。

2022年の建築基準法の改正により、2025年までにすべての新築一戸建てに省エネ基準への適合が求められることになりました。

これまでは断熱性能に関して、マンションより戸建物件の方が劣っていましたが、

この改正により、これから2022年以降の戸建物件でも等級4以上の断熱性能を確保している物件が多くなります。

これからは、戸建の中古物件を探す際に2022年以降の物件が狙い目になるでしょう。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!

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中古物件を購入する時のポイント

中古物件を購入する時のポイントは以下になります。

中古物件を購入する時のポイント

・違法建築に注意する

・外壁や屋根のリフォームも考える

・配管の劣化に気を付ける

・最寄りの駅までの距離を確認する

・家の前の交通量を確認する

違法建築に注意する

中古物件を購入する時のポイントは、違法建築に注意することです。

違反建築物を不動産屋にすすめられるのはそもそも問題なのですが…

違反建築物の場合は建築確認を必要とするリノベーションができないといったデメリットがあるからです。

建築確認を必要とするリノベーションってどんなものがあるの?

建築確認が必要なリノベーションは以下になります。

建築確認が必要なリノベーション

・準防火地域・防火地域の増築(面積に関係なく)

・準防火地域・防火地域以外の土地で10㎡を超える増築

・大規模な修繕・模様替え

→「建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕・模様替え

主要構造部とは「壁、柱、床、梁、屋根、階段」などのことです。

外壁や屋根の過半以上の修繕は確認申請を必要とします。

また、階段を壊して位置を変えたりするのも確認申請を必要とするリノベーションになります。

違反建築物の場合は基本的にこれら確認申請を必要とするリノベーションができません

また、違反建築物に関与した建築主・設計者・工事監理者・施工業者などは、行政指導や行政処分を受ける可能性があるので注意しましょう。

違反建築物についてはこちらの記事をご参照ください↓

違反建築物でないことを証明するには「検査済証」が必要になります。

確認申請を必要とするリノベーションの場合は「検査済証」の有無を確認しましょう。

外壁や屋根のリフォームも考える

中古物件を購入する時のポイントは、外壁や屋根のリフォームも考えることです。

戸建のリノベーションでは築年数が30年以上経っていると外壁や屋根のリフォームが必要になる場合が多いからです。

リフォーム済みの中古物件やしっかりとメンテナンスされていればいいのですが、

空き家期間が長い物件の場合は、屋根や外装が傷んでいるケースが多いです。

家の痛み具合ってどうやって確認すればいいの?

ホームインスペクター(住宅診断士)に依頼するといいと思います。

費用も目視で確認するだけであれば、基本的な診断は5〜7万円程度になります。

その他でも必ず大工さんや建築士などプロに調査を依頼しましょう。

不動産屋が費用を負担してくれる場合もあるので、購入前に住宅診断をして確認したい旨を不動産屋に話してみましょう

配管の劣化に気を付ける

中古物件を購入する時のポイントは、配管の劣化に気を付けることです。

古い中古物件の場合は水道管に鉄管が使用されていて、劣化して水漏れが起こっている場合が多いからです。

いまでの給水管としてはHIVP管やポリ管が一般的です。

※HIVP管とは水道用耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管のことで、プラスチック樹脂のためにサビ付きのトラブルが起きない水道管のことです。

※ポリ管とはポリエチレン管のことで、取り外しや取り付けが簡単で熱や振動、化学物質に比較的強い性質があります。

水漏れってどうやって調べればいいの?

水道管の元栓バルブをあけた状態でトイレやキッチン、風呂の水栓を一度使ってみてから閉め、水道メーターが回っているかどうかを確認しましょう。

水道メーターが少しでも回っていれば毎月の水道代が高くついてしまいます。

特に、鉄管が使用されていた場合は修繕のための工事費用が高くなるので、

中古物件を探す際に配管は何を使っているのかなど確認し、劣化に気をつけましょう

最寄りの駅までの距離を確認する

中古物件を購入する時のポイントは、最寄りの駅までの距離を確認することです。

最寄りの駅やスーパーなどの市街地までに、開かずの踏切や交通渋滞があって時間がかかってしまう場合があるからです。

不動産情報だけを信用して、しっかりと自分の足で確認しないと後から情報と違うことに気づき後悔する場合があります。

不動産情報となんで違いがあるの?

不動産情報に載っている駅まで何分などの表記は、単純に距離からわり出したものが多く、

実際の信号や踏切の待ち時間などが含まれていません

そのため、思ったより駅まで時間がかかることもあります。

また、最寄りの駅までバスを利用して通勤しようとしている人も注意が必要です。

朝の時間帯は通勤の車で混雑して、時刻表通りに到着できない場合があるからです。

実際に自分の足で歩いて時間を測ったり、朝の時間帯に通勤してみて希望の条件に合っているかどうかを確認しましょう。

家の前の交通量を確認する

中古物件を購入する時のポイントは、家の前の交通量を確認することです。

閑静な住宅街だから静かに暮らせると思っていたら、

実は家の前の道が大通りの抜け道になっていて、夜中まで続く騒音や揺れに困るなんてこともあるからです。

車の通りが激しいと窓を開けづらくなったり、子供が外で遊ぶのも危なくなってしまいます。

どうやって確認すればいいの?

交通量を確認する場合は、時間帯や曜日を変えて何度か訪れてみることがおすすめです。

また、近所に駅やコンビニ、公園がある場合も注意が必要です。

生活の利便性や子供にとってはいい環境に思えるのですが、それらの施設が若者のたまり場になっている場合もあり、

深夜まで話し声が聞こえたりして不快に感じるなどの後悔もあります。

家の周辺がどのような環境なのかをしっかりと確認してから物件を決めるようにしましょう。

リノベーションする時の注意点

リノベーションする時の注意点は以下になります。

リノベーションする時の注意点

・要望を詰め込みすぎない

・要望の優先順位をつける

・プロのアドバイスをよく聞く

・既存の構造を考えて間取りを決める

・新築のようになんでもできると思わない

要望を詰め込みすぎない

リノベーションする時の注意点は、要望を詰め込みすぎないことです。

リノベーションの場合は既存の建物があっての工事になるので、どうしても要望が叶えられない場合が多いからです。

叶えられなくても要望は多いほうがいいんじゃない?

要望が多すぎると要望の中で矛盾する部分が生じて設計者を混乱させてしまいます。

理想の住まいを実現したい気持ちはわかりますが、無理な要望は予算や実現可能性に影響を及ぼす可能性があります。

これだけは必ず実現したいという要望以外はプロのアドバイスを参考にしっかりと要望を整理しておきましょう。

要望を伝える時にイメージ写真を利用するお客さんが増えていますが、イメージ写真を選ぶときは注意が必要になります。

イメージ写真の選び方についてはこちらの記事をご参照ください↓

要望の優先順位をつける

リノベーションする時の注意点は、要望の優先順位をつけることです。

優先順位がないと設計者がどの要望を採用できるかの判断がつかない場合があるからです。

例えば、ファミリークローゼットをブティックのように服をディスプレイしたいといった場合は、

機能性よりも造作家具のデザインやインテリアを重視することになります。

要望の優先順位ってどうやってつけるの?

工務店や設計事務所などプロのアドバイスを参考にしましょう。

まずは要望をリストアップし、

・修繕など必ず実現したい要望
・快適性向上のための要望
・機能性向上のための要望
・将来のことを考えた要望
・予算次第で実現したい要望


などに分類して自分がどの要望を重視するのかで優先順位を決めましょう

優先順位を決める際は家族構成や自分のライフスタイルを改めて考えることが大切です。

プロのアドバイスをよく聞く

リノベーションする時の注意点は、プロのアドバイスをよく聞くことです。

プロのアドバイスをよく聞かないと予算オーバーになってしまったり、そもそも構造的に実現不可能なことになってしまうからです。

リノベーションには専門的な知識や経験が必要なので、

工務店や設計事務所などプロのアドバイスを積極的に聞くことが成功への近道となります。

リノベーションはなんで専門的な知識や経験が必要なの?

既存の建物のことを理解する必要があり、専門的な知識や経験からの想像力が必要になるからです。

小屋組や床組、壁の下地、筋交などの構造がどうなっているのか素人だとわからないと思います。

しっかりと木軸構造を理解していないと最悪の場合は建物が倒壊してしまう恐れがあります。

こうしたい!

と思っても実現可能かどうかの判断はプロのアドバイスを聞いたほうがいいと思います。

プロのアドバイスを素直に受け入れ、共に考えながらリノベーションを進めていきましょう。

既存の構造を考えて間取りを決める

リノベーションする時の注意点は、既存の構造を考えて間取りを決めることです。

リノベーションで自由な間取りが実現できるなんて幻想だからです。

あくまでも既存の構造ありきのリノベーションしかできない場合が多いです。

○○ホームでは要望に沿った間取りを提案してくれたけど?

既存の調査をしないでの間取り提案だったら契約してから色々な不都合が出てきます

要望に沿った提案でも、既存を解体してみて抜けない柱が出てきたり、移動できない筋交や構造があったりと、

工事を進めているうちに不具合が出てきて、結局希望が叶えられなかったなんてことになりかねません。

リノベーションは既存の構造を大きく変更するのには新築よりも難しいことが多いです。

既存の構造を無視した間取りの提案をしてくる会社には注意しましょう。

新築のようになんでもできると思わない

リノベーションする時の注意点は、新築のようになんでもできると思わないことです。

リノベーションすることに夢が膨らみすぎて、自分の希望が全て叶えられると考えている人が多いです。

リノベーションは既存ありきで間取りを考えるのが鉄則になります。

新築のように何でもできると勘違いしないように注意しましょう。

でも、高いお金をかければ可能なんじゃない?

時間とお金をかければ可能な場合もありますが…

構造体をいじって耐震性が下がったり、構造的に弱くなる場合が多いです。

また、構造体をいじる場合は確認申請をしなければならないため、現在の基準に満たない既存の場合は工事が大掛かりになってしまいます。

リノベーションで成功したように見える住宅は希望の全てを叶えてあるわけではなく、

無駄なスペースを有効に活用した間取りや不便さを許容した住宅の場合が多いです。

新築のように何でもできるという幻想は持たないように注意しましょう。

リノベーションで失敗しないコツ

リノベーションで失敗しないコツは以下になります。

リノベーションで失敗しないコツ

・リノベーション向きの物件を探す

・体験談や失敗例を参考にする

・実績のある施工会社を選ぶ

・担当者にしっかりと要望を伝える

・将来のことも考えリノベーションする

リノベーション向きの物件を探す

リノベーションで失敗しないコツは、リノベーション向きの物件を探すことです。

リノベーションを前提とした中古物件でないと、解体をはじめてから追加の工事が発生する場合が多いからです。

リノベーション向きの物件ってどうやって探せばいいの?

首都圏でリノベーション向き物件を探すはらひかリノベがおすすめです↓

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ひかリノベでは物件購入前にホームインスペクターによる調査を実施し、物件の老朽化具合や修繕が必要な箇所などを見つけてくれるからです。

ホームインスペクターによる調査によって、中古物件の配管や設備の劣化状況などがわかるので、後から追加で工事費用が増加することを防ぐことができます。

また、ひかリノベでは物件探しにデザイナーも参加してくれて、希望の間取りや設備機器の導入が可能かどうかその場で判断してくれます。

素人だとなかなかわかりにくいので、プロが見てくれるなら安心ですね。

体験談や失敗例を参考にする

リノベーションで失敗しないコツは、体験談や失敗例を参考にすることです。

体験談や失敗例を参考にすると、いいなと思っている物件に隠された不具合を見つけることができるからです。

どんな不具合があるの?

例えば、配管の老朽化での水漏れや外壁のシーリングの割れなどに注意するようになります。

また、既存の断熱性能などをチェックして断熱工事の必要性が出てきたり、

サッシをカバー工法で断熱性能を上げる工事が必要だという考えも出てきます。

体験談や失敗例は知っておくだけでも自分のリノベーションで回避することができます

工事を希望する際にしっかりとそのリノベーションをするデメリットなども確認しておきましょう。

実績のある施工会社を選ぶ

リノベーションで失敗しないコツは、実績のある施工会社を選ぶことです。

実績のある施工会社との信頼関係ができれば、7割がたリノベーションは成功したといっても過言ではないからです。

どうやって実績のある施工会社を探せばいいの?

Googleで「施工会社名、口コミ、施工例」などと検索すると知りたい情報が探せます。

実際に施工した事例や施工後のアフターケアなどを調べることで、より良い比較検討ができます。

施工会社との信頼関係がなければ、手抜き工事や施工不良などの心配で現場から目が離せなくなったり、施工会社とトラブルになる可能性もあります。

現場の施工が心配な場合は、設計事務所に現場監理をお願いすることがおすすめです。

設計事務所に現場監理をお願いすれば、施主側の立場に立ってプロの目線で現場をしっかりと監理してくれます。

担当者にしっかりと要望を伝える

リノベーションで失敗しないコツは、担当者にしっかりと要望を伝えることです。

自分が求めている理想の住まいを実現するためには、自分の希望や要望をしっかりと伝えないと実現することは難しいからです。

イメージをどのように伝えればいいの?

InstagramやPinterest、RoomClipなどでイメージ写真を利用する方法があります。

イメージ写真を選ぶ際の注意点についてはこちらの記事をご参照ください↓

イメージ写真はうまく利用すればコミュニケーションをスムーズにしてくれます。

しかしながら、自分の設計している間取りにピッタリと当てはまるイメージ写真はなかなか見つけるのが難しいです。

イメージ写真に頼りすぎると矛盾が生じたり、設計者を混乱させる危険性もあるので注意しましょう。

将来のことも考えリノベーションする

リノベーションで失敗しないコツは、将来のことも考えリノベーションすることです。

家族構成やライフスタイルがどのように変化するのかを考慮してリノベーションしないと数年後にまたリノベーションが必要になってしまうからです。

将来のことってどうやって考えればいいの?

例えば、子供が生まれる場合、新しい子供部屋を作る必要があるかもしれません。

また、将来的に高齢化する場合、バリアフリーの設備を導入する必要があるかもしれません。

家族構成やライフスタイルの変化に対応するためには、リノベーションの計画段階で将来の変化を予測することが重要です。

将来を見据えたリノベーションによって、家族のライフスタイルに合わせた快適な住環境を実現することができます。

まとめ

今回は中古物件の購入を考えている人やリノベーション向き物件を探している人に対して、

中古物件を購入する時のポイントとリノベーションする時の注意点をご紹介してきました。

まとめると以下になります。

中古物件を購入する時のポイント

・違法建築に注意する

・外壁や屋根のリフォームも考える

・配管の劣化に気を付ける

・最寄りの駅までの距離を確認する

・家の前の交通量を確認する

リノベーションする時の注意点

・要望を詰め込みすぎない

・要望の優先順位をつける

・プロのアドバイスをよく聞く

・既存の構造を考えて間取りを決める

・新築のようになんでもできると思わない

リノベーションで失敗しないコツ

・リノベーション向きの物件を探す

・体験談や失敗例を参考にする

・実績のある施工会社を選ぶ

・担当者にしっかりと要望を伝える

・将来のことも考えリノベーションする

2022年の建築基準法の改正により、2025年までにすべての新築一戸建てに省エネ基準への適合が求められることになりました。

これまでは断熱性能に関して、マンションより戸建物件の方が劣っていましたが、

この改正により、これから2022年以降の戸建物件でも等級4以上の断熱性能を確保している物件が多くなります。

これからは、戸建の中古物件を探す際に2022年以降の物件が狙い目になるでしょう。

この記事が少しでも中古物件を購入してリノベーションしようと考えている人のお役に立てれば幸いです。

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