ヒートショックが起こりやすい絶対に避けたいバスルームの特徴5選

冬になるとリビングと脱衣所の温度差がありすぎて、お風呂に入る時に寒くてツラいという方はいませんか?

これはちょっと「危険」かもしれません。

なんで危険なの?

なぜなら、寒い時期には急激な温度差による「ヒートショック」が起こりやすいからです。

ヒートショックで意識を失ってしまうとその場で倒れて大怪我をしたり、最悪の場合は浴槽内で溺れて死にいたる危険があります。

これから何十年も暮らしていく家でそんなリスクは出来るだけ減らしたいですよね。

私は18年間(2024年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、

脱衣所と他の部屋の温度差が少ないように家全体を暖める床下エアコンをよく採用しています。

今回はヒートショックが起こりやすい危険なバスルームの特徴についてご紹介します。

この記事を読むと以下のことがわかります。

この記事でわかること

・ヒートショックリスクが高い人の特徴

・避けるべきバスルームの特徴5選

上記のことがわかります。

入浴時にヒートショックにより立ちくらみがして万が一、転倒してしまった場合でも、

しっかりと対策をしたバスルームにしておけば安心できます。

日本は入浴中に死亡する人の数が世界中で最も多いというデータもあるので、

しっかりとヒートショック対策をしたバスルームにしておきましょう。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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ヒートショックリスクが高い人の特徴

寒い日に肩までお湯に浸かるという入浴スタイルの影響により、

日本は入浴中に死亡する人の数が世界中でもっとも多いというデータがあります。

主な原因としては、失神などによる溺死や心疾患、脳血管障害(脳卒中などの脳の血管が原因の病気)などが挙げられます。

このような症状が起こるのは、持病を持っている方か高齢者の方に多いというイメージはあるかと思いますが、

普段健康な方であってもヒートショックによって脳卒中などを引き起こす可能性は十分にあります

ヒートショックは年齢だけでなく喫煙などの生活習慣や肥満もリスクを上げる要因となるため、「自分はまだ若いから大丈夫」という考えは危険です。

リンナイさんの調べによると、調査対象者の41%がヒートショック予備軍だったというデータもあります。

また、女性ホルモンであるエストロゲンには血圧上昇を抑える効果があるため、

女性ホルモンがほとんど分泌されない男性は、女性と比較してヒートショックが起こりやすい特徴があります。

事実70代以下の年齢層では女性よりも男性の方が入浴中の死亡者が多いという調査結果があります。

ヒートショックが起こりやすい人の特徴は以下になります。

ヒートショックが起こりやすい人の特徴

・湯船に浸かる習慣がある

・喫煙者

・肥満ぎみ

・生活習慣病を持っている

・男性や高齢女性

これらの特徴に心当たりのある方は、これからお話しする避けるべきバスルームの特徴を意識した家づくりをして、ヒートショック対策をしましょう。

避けるべきバスルームの特徴5選

避けるべきバスルームの特徴は以下の5つになります。

避けるべきバスルームの特徴5選

①水栓金具が洗い場の正面にない

②タオル掛けを手すりがわりにしている

③給湯器のリモコンに通話機能がない

④浴室暖房乾燥機がついていない

⑤バスルームのドアが外から取り外せない

①水栓金具が洗い場の正面にない

これは意外に思う方もいるかもしれませんが、水栓金具が洗い場の正面にないバスルームも実は危険です。

見逃しがちなポイントですが、大阪府福祉のまちづくり条例ガイドラインにも、

怪我をしないよう水栓金物の取り付け位置や形状の配慮が記載されているほど、水栓金具の取り付け位置は重要です。

いまいちピンとこない方はバスルームで転ぶ時のことを想像してみてください。

気絶してしまっている場合をのぞくと通常前に倒れた場合、反射で手をつきますよね。

手をつくことで水栓金具にぶつかったとしても衝撃を和らげることができますし、

目の前にある水栓金具なら人によって直撃を避けることもできるかもしれません。

しかし、横や後ろに倒れた場合はどうでしょうか?

とっさに体の横や後ろに手をつくことは難しいですし、倒れる先に何があるのかを目視して避けることなんてできないです。

転倒した時のことを考えて、蛇口などの水栓金具は洗い場の側面や背後ではなく、正面に取り付けるようにしましょう。

②タオル掛けを手すりがわりにしている

タオル掛けを手すり代わりに使用している方が時々いらっしゃいますが、今すぐにやめましょう

なぜなら、タオル掛けはタオルをかけるためのものなので、当然手すりとは耐荷重が違います

あるメーカーのバスルーム用タオル掛けの耐荷重は3kg、一方同じメーカーの手すりの耐荷重は60kgとなっています。

単純計算して、手すりはタオル掛けの20倍の重さに耐えられるようになっています。

耐荷重3kgのタオル掛けでは立ちくらみを起こして体を支えようとしても、支えきれない可能性が高くとても危険です。

必要な箇所には、確実に体を支えられるだけの強度のある手すりを設置するようにしましょう。

また、昔は当たり前に設置されていたバスタブ横の手すりですが、最近は見た目や掃除のしにくさから取り付けないという方もいます。

インスタで人気のあるホテルライクなバスルームには手すりがないものが多いですよね。

しかし、バスタブ内での立ちくらみから転倒してしまうと、最悪の場合は溺死してしまう危険性があります。

このような危険を回避するために、バスタブ横の手すりは取り付けた方が安全です。

それでも、見た目にもこだわりたいという方はバスタブから手の届く位置に手すり機能がついているシャワースライドバーの設置がおすすめです。

例えば、リクシルさんのスライドフック付き握りバーなどのシンプルなものなら、安全を確保しつつデザイン性の高いバスルームになります↓

③給湯器のリモコンに通話機能がない

例え同居家族がいても給湯器のリモコンに通話機能がないと溺死のリスクは上がると思った方がいいです。

溺れて心肺停止状態になった後8分以内に救急処置が行われないと、蘇生はとても難しくなりますが、

日本法医学会の調べによると入浴開始から溺没(できぼつ)、水に沈んで発見されるまでの時間は不明を除くと6時間以上がもっとも多く、僅差で1時間から6時間未満となっています。

この調査は一人暮らしの方も含んでいるので、同居家族がいる方だけに絞れば発見時間はもっと早くなるかと思いますが、それでも溺れてから15分以内に発見されるケースは少ないです。

つまり、一度バスルーム内で溺れてしまうと助かる確率が低いと思った方が良いでしょう。

しかし、入浴中に体に異変を感じた時にリモコンの通話機能を利用してリビングにいる家族に助けを求めれば

自力でバスタブから立ち上がってバスルームに出る必要がないので、少なくとも転倒からの溺死のリスクは減ります

普段は健康な若い方でも体調不良や飲酒後の血圧変化によって、立ちくらみを起こす危険性はあるため、

歳をとってから後付けするのではなく、はじめから通話機能がついたリモコンを選びましょう。

④浴室暖房乾燥機がついていない

ヒートショックは温度差が危険なため、あらかじめ浴室と脱衣所の室温を上げて、リビングと同じくらいにしておくことが大切です。

冬の間は入浴30分前くらいに浴室暖房をつけておくことで、体にかかる負担を減らすことができます

基本的に浴室暖房で暖められるのはバスルームだけですが、

脱衣室暖房機能付きの浴室暖房乾燥機や脱衣所暖房機であればバスルームだけでなく脱衣所を暖めることも可能になります。

もしご予算や間取りの関係で難しい場合は脱衣所に小型のヒーターを置いておくだけでも十分な効果があります。

可能であれば家全体、居室との温度差をなくすことができるのが一番のおすすめです。

ちなみに浴室暖房乾燥機の後付けは費用が10万円以上と高額になります。

もし迷っているのであれば、健康のために設置してみてはいかがでしょうか

⑤バスルームのドアが外から取り外せない

引き戸や折れ戸は開閉の際に省スペースというメリットがありますが、ドアの近くで気絶してしまうと、

倒れた方の体が引っかかりドアが開けられなくなることがあります。

ドアが開かないと救助に時間がかかるため、心肺停止状態などの一刻を争う状態な時は致命的なタイムロスになります。

バスルームのドアは外から取り外しが可能なタイプにするか、脱衣所側に開閉するタイプの開き戸を設置するようにしましょう。

バスルームを選ぶときのポイント

注文住宅を検討中の方へ、これからバスルームを選ぶときのポイントをご紹介します。

①標準で給湯器のリモコンに通話機能がついているか浴室暖房機能がついているかを確認する。

もしついていないのなら、オプション費用を支払ってもつけることをおすすめします。

②手すりは必要な位置に設置されているか確認する

スライドバーをつけるのであれば手すり機能付きのタイプにしましょう。

③バスルームのドアは外から取り外しができるタイプを選ぶ

浴室で倒れてしまった時以外にも、地震などでバスルームに閉じ込められてしまった時にも、外からドアを外せると安心です。

まとめ

今回はバスルームをどうしようか迷っている人やヒートショックの起きないバスルームにしたい人に対して、

ヒートショックが起こりやすい危険なバスルームの特徴についてご紹介してきました。

まとめると以下になります。

ヒートショックが起こりやすい人の特徴

・湯船に浸かる習慣がある

・喫煙者

・肥満ぎみ

・生活習慣病を持っている

・男性や高齢女性

避けるべきバスルームの特徴5選

①水栓金具が洗い場の正面にない

②タオル掛けを手すりがわりにしている

③給湯器のリモコンに通話機能がない

④浴室暖房乾燥機がついていない

⑤バスルームのドアが外から取り外せない

入浴時にヒートショックにより立ちくらみがして万が一、転倒してしまった場合でもしっかりと対策をしたバスルームにしておけば安心できます。

日本は入浴中に死亡する人の数が世界中で最も多いというデータもあるので、

しっかりとヒートショック対策をしたバスルームにしておきましょう。

この記事が少しでもこれから注文住宅を検討している人のお役に立てれば幸いです。

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