窓には意外な欠点がある!?縦すべり出し窓のメリットとデメリット

窓にはさまざまな形状があり設置場所によってふさわしいものを選びますよね。

窓ガラスやサッシの素材は断熱性と密接な関係がありますが、開き方によって役割が変わります。

「縦すべり出し窓」とはどのような形状の窓なの?

縦型と横型タイプがあって、窓自体を押し出すような構造になっています↓

LIXILより

開き窓との違いは上下のレールで窓の軸がスライドして左右どちらかに回転するように外側に開く窓になります。

私は17年間(2023年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、

洗面所やキッチン、玄関、廊下など採光や採風が必要なときに縦すべり出し窓をよく使います。

今回はいろんな窓を見比べながら「縦すべり出し窓」のメリットやデメリットをご紹介します。

この記事を読むと以下のことがわかります。

この記事でわかること

・代表的な窓の種類

・縦すべり出し窓のメリットとデメリット

上記のことがわかります。

窓はさまざまな種類があるので、その場所にあった窓を選ぶにはしっかりと窓の特徴を理解する必要があります。

窓によってはデメリットや意外な欠点があるので、しっかりと設計の段階で確認することが大切です。

窓の特徴を知った上でふさわしい場所に取り入れてみましょう。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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代表的な窓の種類

LIXILより

まず初めに代表的な窓を5つみていきましょう。

代表的な窓は以下になります。

代表的な窓の種類

・引き違い窓

・掃き出し窓

・出窓

・開き窓

・すべり出し窓(縦型、横型)

引き違い窓

LIXILより

左右にずらして開け閉めする窓で、国内の住宅では1番よくみられる形状です。

メリットは価格が安いこと、開け閉めが簡単なことです。

デメリットは気密性が低いこと、外壁部分の掃除がしにくいことなどが挙げられます。

掃き出し窓

LIXILより

床からある大きな窓で「ほうきで庭へゴミを吐き出した」ことが名前の由来と言われています。

メリットは大きな窓で採光性がよく、人の出入りがしやすいことです。

デメリットは窓の面積が広い分だけ外気の影響を受けやすいことが挙げられます。

出窓

LIXILより

壁の外に張り出している分、奥行きがあって部屋が広く見え、インテリアをディスプレイする場所としても使えます。

デメリットとしては出窓の屋根に雨があたってうるさいことや雨漏りのリスクが他の窓より高いことなどが挙げられます。

開き窓

LIXILより

窓が1枚の片開きと2枚の両開きがありさらに内開きと外開きがあります。

メリットは引き違い窓に比べると隙間が少なく機密性が高いことです。

デメリットは可動域が大きいため、開閉にスペースが必要なことや風に煽られて破損しやすいことなどが挙げられます。

すべり出し窓(縦型、横型)

LIXILより

縦型と横型タイプがあって、窓自体を押し出すような構造になっています。

メリットは縦型は通風性がよいこと、横型は開いた窓が「ひさし」のようになって雨が入りずらいことです。

デメリットは縦柄は雨の時に開けると内側が濡れてしまうこと、横型は縦型に比べて通風性が劣ることなどが挙げられます。

縦すべり出し窓のメリットとデメリット

今回のテーマである「縦すべり出し窓」について詳しくみていきましょう。

縦すべり出し窓の使い方

縦すべり出し窓は上下のレールで窓の軸がスライドして左右どちらかに回転するように外側に開く窓で欧米の住宅でよくみられます。

こちらはLIXILさんのサイトに紹介されているものですが、このように2種類の開き方があります↓

カムラッチハンドルは取手を持って押し出したり引いたりして開閉するもので、開閉の際にある程度の力が必要です。

オペレーターハンドルは室内側に設置されているハンドルをくるくる回して窓を開閉するもので、窓の下側にあるので身長の低い子供でも開閉できます。

縦すべり出し窓のメリット

縦すべり出し窓のメリットは以下のようなことが挙げられます。

縦すべり出し窓のメリット

・気密性が高い

・風通しがいい

・省スペース

・防犯性がある

縦すべり出し窓は開き戸のように外側に開きます。

引き違い窓に比べて気密性が高く、風が窓ガラスにあたって室内に入るので風通しがいいというメリットがあります。

省スペースなので引き違い窓を設置できないスペースに採用することができます。

また、いくつか並べて設置することでおしゃれなデザインになります。

防犯面では人の頭が入らないような幅が狭いものであれば、開けっぱなしにもできるので換気窓としてよいでしょう。

縦すべり出し窓のデメリット

縦すべり出し窓のデメリットは以下のようなことが挙げられます。

縦すべり出し窓のデメリット

・雨が吹き込む

・強風で煽られることがある

・開けられないことがある

・開閉しにくい

・虫が入りやすい

縦すべり出し窓は風通しがよい一方で雨も吹き込みます。

雨があたって、室内側もぬれてしまうので引き違い窓よりも大変です。

縦すべり出し窓は気密性が高いという特徴があるだけに、サッシが温度によって膨張することを考えて若干の「あそび」が設けられています

雨が吹き込む

ロックをしない状態では少しゆるみます

暴風雨のときにはしっかりとロックしておかないと雨が隙間から入ってくることもあります。

数年前ホテルに宿泊しているときにひどい台風で縦すべり出し窓から雨がポタポタと室内に漏れていました。

しっかりとロックしておかないと縦すべり出し窓自体が暴風雨に弱いんでしょうね、そのような意外なデメリットがあることも知っておいてください。

強風で煽られることがある

また、窓を開けるときには角度を調整してストッパーで固定することもできますが、強風や突風があたって壊れてしまうこともあります。

締め切っていてもロックを忘れてしまうと台風で風速40メートルのような強風のときには、ちょっとした隙間からこじ開けられてしまうこともあります。

開けられないことがある

隣家と密着していたり、カーポートの支柱などがあったりすると全開にできないことがあります。

特にカーポートの支柱と干渉することが計算されていなかったというミスは少なくないです。

全開にしなければ開けておいても大丈夫と思っていても、強風にあたるとストッパーが効かずにぶつかって壊れるという危険性もあります。

開閉しにくい

カムラッチハンドルは閉めるときにグッと力を入れる必要があり、開けるときにも力がいります。

オペレーターハンドルはくるくる回すのでちょっと手間がかかります。

急いでいるときには不便に感じることもあります。

虫が入りやすい

縦すべり出し窓の網戸はロールスクリーンタイプや横引きロールタイプなど、通常の網戸よりもすき間ができやすいものです。

縦すべり出し窓の設置場所

設置場所はメリットであげたように、風通しが良い窓なので換気が必要なスペースに向いています

例えば、洗面所やキッチン、玄関、廊下などです。

特に洗面所は窓の前に洗濯機などがあってもオペレーターハンドルであれば、窓よりも手前のハンドルで開閉ができて便利です。

LDKではキッチンやダイニング側に設置しておくと調理のニオイや煙、湯気を逃すことができます。

また、サイズも幅30〜80センチ、高さ80〜140センチ程度とさまざまで、玄関や廊下の採光・採風窓としておすすめです。

縦すべり出し窓は使い勝手のよさやデザイン性から人気のある窓ですが、設置場所によって断熱性能の高いものを選ぶなど慎重に検討しましょう。

まとめ

今回は窓の意外な欠点を知りたい人や「縦すべり出し窓」のメリットとデメリットを知りたい人に対して、

いろんな窓を見比べながら「縦すべり出し窓」のメリットやデメリットをご紹介してきました。

まとめると以下になります。

代表的な窓の種類

・引き違い窓

・掃き出し窓

・出窓

・開き窓

・すべり出し窓(縦型、横型)

縦すべり出し窓のメリット

・気密性が高い

・風通しがいい

・省スペース

・防犯性がある

縦すべり出し窓のデメリット

・雨が吹き込む

・強風で煽られることがある

・開けられないことがある

・開閉しにくい

・虫が入りやすい

窓はさまざまな種類があるので、その場所にあった窓を選ぶにはしっかりと窓の特徴を理解する必要があります。

窓によってはデメリットや意外な欠点があるので、しっかりと設計の段階で確認することが大切です。

窓の特徴を知った上でふさわしい場所に取り入れてみましょう。

この記事が少しでも窓の配置や形状を選ぶときの参考になってくれれば幸いです。

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アーキトリック一級建築士事務所

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