他に収入の柱が必要!?設計事務所の収入源は設計・監理料だけでは難しい理由

純粋に設計・監理だけで設計事務所を運営できている人は上位の数%だと思います。

正直なところ設計事務所の運営は設計・監理料だけでは難しいと思います。

なんで設計・監理料だけでは運営が難しいの?

民間の設計監理料では工事費の10〜15%がほとんどですが、

工事費が安ければ設計料も安くなり、設計の労力に見合った金額にならないことがほとんどです。

例えば、100万円の工事費の場合は設計料は10〜15万円となります。

交通費や打合せの諸経費をさっ引くとほとんど利益がなくなってしまうなんてことザラですw

私は17年間(2023年現在)設計事務所を運営してきましたが、設計・監理料の入らない時期が何回もありました。

しかしながら、今現在も設計事務所を運営できているのは、ひとえに副業や他の収入源があったからです。

他に収入源があるメリットとして、

他に収入源があるメリット

・嫌な仕事が断れる

・設計を急がなくてもいい

・施主に対して強く主張できる

などが挙げられます。

他に収入源がないと嫌な仕事も断れずに、早く設計を完了したいという思考回路になってしまいます。

それでは本来は楽しいはずの設計が嫌いになってしまいます。

また、施主に対してもお金が絡んでくると強く出れない場面も多々あります。

この記事を読むと以下のことがわかります。

この記事でわかること

・設計・監理だけでは難しい理由

・他に収入の柱があるメリット

・他の収入源を増やす方法

上記のようなことがわかります。


私の結論として設計事務所を長く続けたいのであれば、純粋な設計・監理料だけでなく、他に収入の柱となるものを増やすべきだと考えています。

収入源の作り方は人それぞれ向き不向きがあるので一概に何がいいのかは言えませんが、

私のようなコネも金も知名度もない一般人が設計事務所を続けてこれたのは、他に収入源を作ってきたからです。

設計事務所の運営は設計・監理料だけでは難しいという厳しい現実を受け入れて、他に収入源を積極的に作りましょう。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!

住宅に関する悩みを解決すべく、ブログやTwitterで情報発信しています。

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設計・監理料だけでは難しい理由

設計・監理料だけでは設計事務所を運営することが難しい理由は以下になります。

設計・監理料だけでは難しい理由

・契約時に入るお金が少ない

・設計期間が長くなりがち

・嫌な仕事も引き受けなければならない

契約時に入るお金が少ない

設計・監理料だけでは設計事務所を運営することが難しい理由のひとつ目は、契約時に入るお金が少ないことです。

基本設計が終わり実施設計に入る前に設計・監理契約をすることが多いのですが、

その時に入る金額は設計・監理料の3割程度の場合が多いです。

例えば

総工事費3,000万円の10%、300万円が設計料の総額の場合

・設計・監理契約時:90万円(3割)

・実施設計終了時(又は着工時):120万円(4割)

・引渡し時:90万円(3割)

————————————————————-
合計120万円(税別)

という内訳になります。

私の設計事務所の場合は実施設計に入る前段階で構造や設備設計に支払うお金を確保しておきます。

実施設計が終わった段階でその工事が流れてしまった場合に構造や設備設計に支払うお金がなくなってしまうからです。

構造や設備設計として確保しておきたい金額が一般の住宅で60〜70万円になります。

その場合、残りが30〜20万円になります。

長い期間、基本設計を精一杯やったのにこれだけだと正直少ないと思います。

もちろん実施設計終了時で120万円が入った時に構造や設備設計に支払いをすればいいのですが…

実施設計を進めたのに工事が流れてしまい施主から進めた分の実施設計料を取りっぱぐれてしまった苦い経験があります。

その時は自腹で構造や設備に設計料を全額支払いましたw

基本設計の段階でも相談に乗ってもらっているのに、

構造や設備に設計料を支払えないのは設計事務所の信用問題になると私は考えています。

設計期間が長くなりがち

設計・監理料だけでは設計事務所を運営することが難しい理由は、設計期間が長くなりがちなところです。

特に基本設計が長ければ長いほど設計事務所としてその期間はお金が入らないので苦しい経営状況になります

私の場合では、3,500万円の一般的な木造住宅で設計期間が3年間かかったなんてこともありました。

もちろんその間も週に1回は設計の打合せをしているのですが…

交通費と打合せ諸経費だけでも別で請求すれば良かったといま考えても思いますw

設計契約時に初めてお金が入る仕組みでは、設計期間が長くなればなるほど赤字経営に陥ります。

遠方の仕事や基本設計が長くなりそうな場合はある程度前金をもらっておいた方がいいと思います。

嫌な仕事も引き受けなければならない

設計・監理料だけでは設計事務所を運営することが難しい理由は、嫌な仕事も引き受けなければならないことがあるからです。

お金が入らなければ設計事務所を運営することはできません。

そのためには嫌な仕事でもお金のために引き受けなければならない場面が多々あります

それが違法建築のリフォームであったとしても、基準法のグレーゾーンを探して設計の仕事を引き受けなければならないこともあります。

違法建築のリフォームの仕事は施主のモラルが欠如している場合が多いので、

本来なら基準法に適合するようにリフォームをしなければならないのですが、

確認申請が必要ないので基準法を無視しなければならない場合もあります。

違法とわかっている設計の仕事はなるべくなら断りたいですよね。

他に収入の柱があるメリット

他に収入の柱があるメリットは以下になります。

他に収入源があるメリット

・嫌な仕事が断れる

・設計を急がなくてもいい

・施主に対して強く主張できる

嫌な仕事が断れる

他に収入の柱があるメリットのひとつ目は、嫌な仕事が断れることです。

前述したような違法建築のリフォームなど基準法を無視して行われる設計の仕事を断ることができます。

他に収入の柱がなければ、嫌な仕事もお金のために引き受けなければなりません。

また、自分にとって有益になる仕事だけを選ぶこともできます。

自分にとって有益な仕事を選べるようになれば、設計事務所としての知名度も上がるので自然と仕事は舞い込んでくる好循環になります。

みんなが嫌がる仕事でもリターンが大きければ引き受けるのですが、設計・監理料は苦労に見合ったほどもらえないのが現状です。

もちろん、自分自身の経験値は得られますがそれだけでは設計事務所を運営することはできません。

自分にとって有益な仕事を選べるように他に収入の柱を作ることを考えましょう

設計を急がなくてもいい

他に収入の柱があるメリットは、設計を急がなくてもいいことです。

安定した収入の柱があれば設計契約を急がなくてもいいので長丁場の基本設計でも対応することができます。

設計はお金のこと抜きにしたら本来時間を忘れるくらい楽しい仕事です。

ビジネスとして考えるから割に合わないと思うだけであって、他に収入の柱があれば楽しいままでいられると思います。

もちろん人を雇って給料を支払わなくてはならないのでなかなか難しいのですが…

例えばマンションや不動産の収入があったり、店舗を経営している収益から賄ったりしている設計事務所もあります。

他に収入の柱があって設計事務所は趣味でやっているくらいがちょうどいいのかもしれませんねw

施主に対して強く主張できる

他に収入の柱があるメリットは、施主に対して強く主張できることです。

もちろん基準法で違法性がある場合は建築士という立場上、強く主張しなければなりませんが、

お金が絡んでくると弱腰になってしまう場合も多々あります

なんとかその仕事をとりたいけれども基準法を無視することはできない…

なんて悩むことも、

その仕事を失っても他に収入の柱があれば、

「それは違法でありうちではできません」

とはっきりと施主に主張する勇気が出てきます。

私の経験上の話ですが…

お金欲しさに違法なことをやってしまうと、建築士としてのモラルが徐々になくなってしまい、

気づいたらブラックな建築士になっていたなんて人たくさん見てきました

そうならないために、又は引き返せるうちに建築士としての倫理観を軌道修正しておきましょう。

他の収入源を増やす方法

他の収入源を増やす方法は以下になります。

他の収入源を増やす方法

・副業を探す

・飲食店などの店舗を経営する

・工務店からバックをとる

副業を探す

他の収入源を増やすには、副業を探すことです。

副業を禁止している設計事務所は私の周りでは少ないです。

副業には色々なものがあるのですが、中には設計事務所にいながらでもできる仕事もあります。

建築士におすすめの副業10選はこちらの記事をご参照ください↓

「建築士におすすめの副業10選」

私がおすすめする副業は以下になります。

建築士におすすめの副業10選

①図面のトレースや図面作成

②建築パース作成

③ブログ運営やアフィリエイト

④WEBライター

⑤工務店のリフォームプランの作成

⑥実施設計や申請代行

⑦建築設備等の定期報告

⑧専門学校の講師

⑨建築アドバイザー

⑩副業マッチングサイト

私は④WEBライターと⑧専門学校の講師以外は全てやってきましたが、一番楽に稼げたのは⑦建築設備等の定期報告の副業です。

私がやっていたのはパチンコ店の定期報告の仕事です。

知り合いの設計事務所が廃業するので引き継いだ仕事だったのですが、一時期は安定した収入源でした。

いま力を入れているのが③ブログ運営やアフィリエイトです。

なかなか収入源になりませんが、焦らずにやっています。

私の設計事務所ではいまは設計・監理の仕事がコンスタントにありますが、いつ設計の仕事が途切れるかわからないので副業は続けています

飲食店などの店舗を経営する

他の収入源を増やすには、飲食店などの店舗を経営することです。

店舗の場合はシェアオフィスやカフェなどの店舗を経営しながら活躍している人もたくさんいます。

インテリアや設計の知識やノウハウを自分のシェアオフィスやカフェなどに活かしてリノベーションを行い、その店舗を経営する働き方です。

店舗の雰囲気を気に入ってくれたお客さんに、自分が設計するとこんな空間が作れるということをアピールするにはとてもいい方法だと思います。

店舗経営だけではなく、

収入源を増やす方法

・フリーランスの建築士として複数社に出向

・不動産業をしながら設計事務所を運営する

・建設会社を立ち上げる

などの方法もあります。

フリーランスの建築士として働きかたについて詳しくはこちらの記事をご参照ください↓

工務店からバックをとる

他の収入源を増やすには、工務店からバックをとることです。

これは私はあまり好きではないので滅多にやることはないのですが…

知り合いの設計事務所は、相見積もりでその施工会社に決まるように便宜を図り施主をコントロールし、見返りとして施工会社からバックをもらうという強者もいました。

私の場合は、

施主の最初のお問い合わせ窓口が工務店で、協力設計事務所として仕事をしたときは設計・監理料を工務店の出す工事見積書内に含めてもらうようにしています。

また、自分が建築の相談窓口になって設計をして、最終的に工務店を紹介した時など設計料を工事費に含める場合もあります。

これをバックと呼ぶのかは少し疑問ですがw

いずれにしても、設計事務所をうまく運営するならどこからならうまくお金をとれるのかを嗅ぎ分けられなければならないと思います。

まとめ

今回は設計事務所の運営に困っている人や設計事務所の収入源を増やしたい人に対して、

設計事務所の収入源は設計・監理料だけでは難しい理由と他の収入源を増やす方法をご紹介してきました。

まとめると以下になります。

設計・監理料だけでは難しい理由

・契約時に入るお金が少ない

・設計期間が長くなりがち

・嫌な仕事も引き受けなければならない

他に収入源があるメリット

・嫌な仕事が断れる

・設計を急がなくてもいい

・施主に対して強く主張できる

他の収入源を増やす方法

・副業を探す

・飲食店などの店舗を経営する

・工務店からバックをとる

私の結論として設計事務所を長く続けたいのであれば、純粋な設計・監理料だけでなく、他に収入の柱となるものを増やすべきだと考えています。

収入源の作り方は人それぞれ向き不向きがあるので一概に何がいいのかは言えませんが、

私のようなコネも知名度もない一般人が設計事務所を続けてこれたのは、他に収入源を作ってきたからです。

設計事務所の運営は設計・監理料だけでは難しいという厳しい現実を受け入れて、他に収入源を積極的に作りましょう。

この記事で他の収入源を増やして設計事務所をうまく運営する人が少しでも増えてくれれば幸いです。

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アーキトリック一級建築士事務所

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