和室のメリットってなに?注文住宅に和室を取り入れる場合の6つの注意点

昭和の和室といえば、押入れ、床の間、障子があるのが当たり前でした。

最近の一戸建てではモダンな和室が主流になっていていて、昭和の和室はあまり見掛けられなくなりました。

昭和の和室は「レトロな和室」と言われるものになりつつあります。

「レトロな和室」ってなんで作らなくなったの?

本格的な和室を作るとなると建築費が高くなってしまうことも原因のひとつです。

しかしながら、和室には大人数のお客さんが来たときにテーブルと座布団を出せば対応できたり、

出ているものを片付けて布団を敷けば眠れたりと様々な用途に対応できます。

最近はリビングの一角にあった和室を洋室にしてリビングを広くとるリノベーションが多くなりましたが、

和室を最近の住宅にうまく合うように作ればオシャレで落ち着けるスペースにすることも可能です。

私は長年、和室をオシャレに演出する旅館の設計をやってきました。

和室の部屋の魅力をもっと住宅に活かせないかを日々考えて設計をしています。

和室を住宅に取り入れる場合の6つの注意点は以下になります。

和室の6つの注意点

①砂壁は劣化で砂が剥がれる

②堀りごたつは掃除が大変

③床の間は費用がかかる

④吊り押入れをうまく作る

⑤障子や襖を雰囲気に合わせる

⑥天井板と照明をモダンにする

などに注意して和室を作る必要があります。

和室は様々な用途に対応できることが一番のメリットになります。

この記事を読むと以下のことがわかります。

この記事でわかること

・和室のメリット

・和室を取り入れる場合の6つの注意点

上記のようなことがわかります。

最近の一戸建ては和室を作らないので、まともな和室を作れない大工さんも増えています。

予算やスペース的に和室を作ることができるのであれば、ひと部屋は和室を作ることをおすすめします。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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和室のメリット

和室のメリットは以下になります。

和室のメリット

・様々な用途に対応できる

・湿度調整に優れている

・リラックス効果

様々な用途に対応できる

和室はこたつを置けば居間に、布団を敷けば寝室になります。

現在の住宅環境のなかで和室を設ける一番のメリットは、様々な用途に対応できることです。

床が柔らかいのでそのまま昼寝をしたり、こたつを置いて居間として使ったり、布団を敷いて寝室として使ったりすることができます。

洗濯物をたたむなどのちょっとした作業スペースにもなりますし、

親戚や友人が来た時は来客スペースとしてそのまま宿泊もできるなど、様々な用途で活躍してくれます。

湿度調整に優れている

和室は高温多湿な日本にとって、湿度調整してくれる畳は環境に適しています

和室の主役である畳は、藁(わら)と藺草(いぐさ)でできており、とても吸湿性に優れた素材です。

湿度が高いときに吸湿してくれるだけでなく、湿度が低いときには放湿する特徴をもっているので、調湿性に優れた素材といえます。

ちなみに、畳一畳分で約500ml分もの水分を吸湿できるので、6畳一間であれば約3Lもの水分を吸湿できます。

じめじめした梅雨の時期でもしっかりと室内を調質してくれます。

リラックス効果

和室は藺草(いぐさ)の心地の良い香りは、心を落ち着かせてくれます。

よく「畳のにおいが好き」という方がいらっしゃいますが、実は科学的にも畳のにおいにリラックス効果があると証明されています。

畳表に使われる藺草は、もともと薬草として日本に伝わり、病気の治療などにも使われてきました。

藺草に含まれるフィトンチッドという成分には殺菌や防腐効果があり、森林浴のように呼吸を整えて精神を安定させるリラックス効果があるとされています。

さらに畳には抗菌作用があるので、水虫やO-157などの原因菌の繁殖をおさえ、人への感染をある程度防御。気持ち良く寝転がることができます。

和室の6つの注意点

和室の6つの注意点は以下になります。

和室の6つの注意点

①砂壁は劣化で砂が剥がれる

②堀りごたつは掃除が大変

③床の間は費用がかかる

④吊り押入れをうまく作る

⑤障子や襖を雰囲気に合わせる

⑥天井板と照明をモダンにする

砂壁は劣化で砂が剥がれる

和室の床の間の壁として利用される砂壁は雰囲気づくりとしてはもちろん、

調湿機能があり有害物質も吸収してくれるのでアレルギー対策になります。

砂壁はその名の通り着色した砂をのりのようなもので練って上塗りした壁です。

デメリットしてはこすったりモノをぶつけたりすると砂がポロポロ落ちる特徴があり、掃除や気配りが大変になります。

また、劣化によって砂が剥がれてきたり、カビが発生したりすることもあります。

砂壁を取り入れたい場合は下側でものがあたりそうな部分を腰壁にするとよいでしょう。

現在、砂壁になっている和室をリフォームする場合は手間や技術が必要になるので、クロスの貼り替えに比べて費用や時間がかかります。

そのようなことを考えると砂壁にこだわりがなければ、他の素材を検討した方がいいと思います。

堀りごたつは掃除が大変

新築時に和室に堀りごたつを設置して、冬以外は堀り座卓として使用するご家庭もあります。

座卓を使用しない場合は畳で蓋をして床下収納にすることもできます。

堀りごたつのデメリットとしてはこたつだけを購入するよりも費用がかかることです。

また、床下部分の掃除が大変ということも挙げられます。

座卓を移動して掃除機をかけたり、雑巾がけをしなければなりません。

座卓を移動せずに掃除するときはもぐらなければならないので面倒ですが、

掃除を怠ると床下は湿気がたまりやすいのでカビやダニが発生することもあります。

床下収納にする場合は調湿剤を用いるなど対策をしておくと安心です。

小さなお子さんが怪我をする危険性もあるのでその点も気をつけましょう。

床の間は費用がかかる

和室とは単に畳の部屋ということではなく、床間や鴨居(かもい)、欄間(らんま)などを設けることがあります。

床の間を設けると床柱(とこばしら)、床板(とこいた)、床框(とこがまち)などが必要になります。

床の間とは元来、お客様をお招きする部屋に設けられ、掛け軸や花を飾る場所とされていますが、

最近では和室がお子さんの遊び場や来客者の寝る場所と考えられることも多くなっています。

床の間を設置すると床柱などに使用する木材の費用も高くなり、何よりその分のスペースを確保する必要があります。

最近は和室を広くとるというご家庭が少なくなっているので、床の間は省かれることが多くなっています。

また、設置したはいいけど使わないものを置く場所のようなデッドスペースになってしまうこともあります。

それならば、床の間よりも収納スペースを設置した方が有効活用できます。

床の間を必要とするのは

・掛け軸や美術品に興味がある

・花を飾る習慣がある


などのご家庭では欠かせないものですが、用途が思いつかない場合は無くしても良いと思います。

吊り押入れをうまく作る

和室は収納スペースを取りづらかったり、設置する家具が難しかったりします。

和室といえば押入れを思い浮かべますが、最近の琉球畳を使用したモダンな和室は吊り押入れといったものを採用するご家庭も増えています。

吊り押入れとは上から吊るしたような形状になっている押入れのことです↓

キッチンの吊戸棚の押入れバージョンみたいな感じのものです。

通常の押入れより収納力は落ちますが、

下にスペースが生まれるのでこの部分を間接照明を使用したディスプレイにしたり、地窓(じまど)にすることもできます。

RoomClip_KotoRiの部屋より

また狭い和室でも床面積が多くなるので開放感が出てきます。

特に地窓を設けることで採光や採風が得られるので湿気を防ぐことができます。

和室は日当たりがよい南側に設置することが少ないので、風通しが良くなることは大切です。

何よりも通常の床から設置されている押入れよりも見た目がオシャレですよね。

そして、この形状だと観音開きにも使えるので布団を出し入れするのも楽になります。

ただし、重量がありすぎるものを収納する場合は注意が必要です。

障子や襖を雰囲気に合わせる

最近ではリビングの一角に和室が設けられることも多くなり、小上がりにするご家庭も多いようです。

そうなると障子や襖が雰囲気に合わない場合があります。

和室と洋室をなじませるためにはフローリングにあった扉にすることが多く、

木枠に紙や布を貼ってある白を基調とした襖では重厚感がなくなってしまいます。

障子は和室側は襖にしてリビング側には化粧板で仕上げるなど、障子や襖を雰囲気に合わせる必要があります。

また、小さなお子さんの遊び場にするようであれば障子を破いてしまったり、

落書きをしてしまうことも考えてカーテンやシェードなどを使う場合もあるようです。

最近では独立した和室を設けるというよりも、畳コーナー、畳のスペースという考え方になっているかもしれません。

どうしても家具が置きにくいので広々とした和室は減ってきています。

天井板と照明をモダンにする

和室の印象を左右するものには天井板と照明があります。

これらは様々な種類があります。

最近のモダンな和室には、竿縁天井や目透かし天井、傘付きの照明は使用されなくなりました。

後に和室を洋室にしたいと考えた時に、特に竿縁天井は工事が大掛かりになってしまう場合があります。

和室や畳スペースも洋室同様のクロスにするご家庭も多いようですが、和室でもモダンさを失わないような天井板や照明もあります。

このように和室をダウンライトにすると狭い4畳半でも広く感じられます。

また、オシャレな照明器具を選んだり間接照明をうまく利用したり、様々な工夫をすれば和の雰囲気を損なわずに済むようになります。

最近では和室のない一戸建ても多くなってきていますが、私としてはやはりどこかに和の雰囲気を取り入れておきたいと思います。

まとめ

今回は和室のを作ろうか迷っている人や和室を取り入れる時の注意点を知りたい人に対して、

注文住宅に和室を取り入れる場合の6つの注意点と和室のメリットをご紹介してきました。

まとめると以下になります。

和室のメリット

・様々な用途に対応できる

・湿度調整に優れている

・リラックス効果

和室の6つの注意点

①砂壁は劣化で砂が剥がれる

②堀りごたつは掃除が大変

③床の間は費用がかかる

④吊り押入れをうまく作る

⑤障子や襖を雰囲気に合わせる

⑥天井板と照明をモダンにする

最近の一戸建ては和室を作らないので、まともな和室を作れない大工さんも増えています。

予算やスペース的に和室を作ることができるのであれば、ひと部屋は和室を作ることをおすすめします。

この記事が少しでも和室を一戸建てに取り入れる人のお役に立てれば幸いです。

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アーキトリック一級建築士事務所

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