注文住宅で平屋にして後悔すること10選と設計することでの解決策を考える

最近、ハウスメーカーでは平屋の住宅がさかんに宣伝されています。

老後のことを考えると平屋はとてもいいのですが、まだ子供が育ち盛りの家庭では不向きだと私は思います。

ハウスメーカーの口車に乗って都心で平屋を建てるのは少し考えた方がいいと思います。

平屋にすると後悔することが多いの?

都心の狭い土地に平屋を建てると後悔することが多くなると思います。

平屋は広い土地が必要なことや、2階建てより屋根や基礎の面積が大きくなるために工事金額が高くなること、

快適に暮らすためにはしっかりとした対策が必要となり、その面でも工事金額の増加になります。

しかしながら…

平屋は老後の夫婦2人が生活をコンパクトにして暮らすにはとても良い、まさに理想の「終の住処」とも言える住まいが実現できます。

今回の対象者は以下の人たちに向けて記事を書いています。

この記事の対象者

▶︎注文住宅で平家にしようか悩んでいる

▶︎平家にすると後悔することを知りたい

上記の方々に対して平家にして後悔すること10選や解決策などをご紹介します。

この記事で平家にして後悔する人を少なくすることができれば幸いです。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!

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平屋で後悔すること10選と解決策

平家にして後悔する代表的な10この事柄は以下の通りです。

平屋で後悔すること10選

①広い土地が必要
②周囲からの視線が気になる
③プライバシーの確保が難しい
④日当たりが悪い
⑤風通しが悪い
⑥防犯面での不安
⑦動線が悪い
⑧収納が少ない
⑨洗濯物が干せない
⑩夏の暑さを感じやすい

広い土地が必要だったり、うまく設計したりお金をかければ解決できることが多いのが正直なところです。

①広い土地が必要

先にも述べましたが平屋には広い土地が必要になります。

平屋で2LDK〜3LDKを作るのに25〜30坪は必要だと思います。

土地の建ぺい率が50〜60%の場合は

25〜30坪÷50〜60%=50〜60坪

つまり、50〜60坪の土地が最低でも必要になります。

土地代を2,000万以下にしたいと考えると、土地の坪単価33〜40万以下の土地になります。

東京都だと青梅市やあきる野市、西多摩郡など必然的に郊外になってしまいます。

(私の住む沼津市でも郊外の土地でないと坪単価33万以下の土地はないです。)

郊外の広い土地に建てた場合でも後悔することは出てきます。

代表的ことは

・通勤や通学が大変
・スーパーまで遠い
・土地が売却時に安くなる
・生活インフラが整っていない


などが挙げられます。

批判されること覚悟で現実的なことを言わせてもらうと…

都内で平屋を建てて快適に暮らすのであれば、親からの贈与で土地がすでにある人かお金持ちの人でないと難しいと思います。

仮に都内で60坪の土地があったとして、敷地いっぱいに建物を建てた場合でも次に述べる後悔する事柄に当てはまることが多くなります。

平屋で快適に暮らそうと考えるのであれば、郊外の広い土地で生活するのには多少の不便さがあることを許容できる人でないと難しいと思います。

②周囲からの視線が気になる

平屋にすると周囲からの視線が気になります。

人通りや車が多い道に面していたり、隣地に2階建ての家が多かったりすると家の中が丸見えになってしまうからです。

目隠しフェンスや窓から道路までの距離を確保することで視線は気にならなくなりますが、

あまりやりすぎると閉鎖的になってしまったり、外の景色が楽しめなくなってしまいます。

そんな場合にはコの字やロの字、Lの字型の建物にするなど平屋の間取りを工夫してみたり、軒をふかくとることがおすすめです。

コの字やロの字、Lの字型の建物にすると中庭を作ることができ閉鎖感を和らげたり、中庭が干渉になり道路からの視線が気にならなくなります。

中庭についてのメリット・デメリットはこちらの記事をご参照ください↓

また、軒をふかくとることで高い位置から室内が見えなくなったり、室内が暗くなるので外から見えずらくなったりします。

③プライバシーの確保が難しい

平屋にするとプライバシーの確保が難しくなります。

ワンフロアーなので生活動線が重なりプライバシーの確保が難しいからです。

例えば、廊下がなくリビングを通って各部屋にいく間取りの場合は、来客時にお客さんと顔を合わせなければ自分の部屋にたどり着けなかったりします。

しかしながら、来客時にしっかりと挨拶できる子に育ったり、家族とのコミュニケーションが取りやすかったりするなどのメリットもあります。

しっかりとプライバシーを確保したいのであれば、平家の間取りを工夫したり廊下を作ることがおすすめです。

最近流行りの間取りでは廊下を作らない住宅が多いのですが…

廊下があることで玄関から直接部屋に行けてプライバシーを確保できることはもちろんですが、

部屋の中の音が直接リビングに聞こえなくなったり、冷暖房の負荷を減らすことも出来ます。

④日当たりが悪い

平屋にすると2階建てより日当たりが悪くなります。

南側に大きな窓を設置したのに南側に建物があり日差しが入らなかったなんてこともあります。

2階建てだと南側の2階の部屋はとても日当たりがいい部屋になりますが、平家だとどうしても隣地の建物の影響を受けてしまいます。

また、平屋の北側の部屋はどうしても日当たりが悪くなってしまいます。

そんな場合は間取りを工夫して中庭を作り日差しを確保する方法がおすすめです。

平屋の中庭の作り方についてはこちらをご参照ください↓

中庭をうまく作ることで北側の部屋でも冬場に日差しを取り入れることが出来ます。

⑤風通しが悪い

平屋にすると風通しが悪くなります。

どの部屋も開口部が2ヶ所あると風通しが良くなるが、間取りの都合上難しい場合があるからです。

いまでの住宅は一年中窓を閉めっぱなしで、換気は換気扇でおこなっているという作りになっていますが、

春や秋の晴れた日には窓を開けて外の心地よい風を取り入れたいと思うのは自然だと思います。

花粉症が大変でそれどころではないという人もいるかもしれませんが…

10分だけでも自然の風を家に取り入れることで気分がリフレッシュしたり、コロナ対策にもなります。

どの部屋にも開口部を2ヶ所作り風通しを良くするには、中庭を作ることで実現できることが多いです。

平屋では中庭があることで日差しや風通しの問題を解決することができます。

⑥防犯面での不安

平屋にすると防犯面での不安が出てきます。

平屋の開口部は地面から近い位置にあるため、どの窓からも侵入されてしまう危険性があるからです。

2階建ての住宅でも浴室やトイレ、寝室が一階にあると怖いといったお客様もいます。

そんな場合には、高基礎にして床高を高くする設計にしたり、縦長窓や格子をつける方法があります。

高基礎にして床高を高くすると必然的に開口部の位置が高くなり外から簡単に入れなくなります。

⑦動線が悪い

平屋にすると動線が悪くなります。

平屋だとワンフロアーであるために生活動線が重なってしまうためです。

家族の生活リズムがバラバラだと大変になります。

寝室に風呂場が近いと寝ている時にシャワーの音がしたり、寝室とトイレが近いと水の流れる音が気になったりします。

またトイレまでの動線が長くなってしまったという間取りの後悔も多いです。

そんな場合は思い切ってトイレを2つ作ることや、生活するゾーニングをしっかりと分けることで解消できます。

ゾーニングとは類似した性格の空間(部屋や区画)をまとめて計画していくことです。

しっかりとゾーニングできれば生活リズムがバラバラでもさほど気にならない間取りを実現することができます。

⑧収納が少ない

平家にすると収納が少なくなります。

収納を大きく取ると居室部分が削られるので収納が少なくなってしまいがちになるからです。

敷地が広ければ建ぺい率の関係で建築面積を大きくすることは可能ですが、建築面積が大きくなればその分、工事金額も高くなります。

建築面積を大きくしたくない場合にはスキップフロアやロフトを作り収納を設けることもできますが、こちらも工事金額が高くなってしまいます。

しっかりと納戸を作ったり廊下に収納を設けるなど無駄なスペースを作らない間取りの工夫が必要です。

そもそも、ものを溜め込まない生活スタイルにするのが一番安上がりだと思います。

⑨洗濯物が干せない

平屋にすると洗濯物が気兼ねなく干せないといった後悔がでてきます。

平屋の場合は道ゆく人の視線と同じ高さになるので洗濯物が干しづらいかったり、

人通りの多い道路に面している場合で周囲から庭が見える環境だと洗濯物や布団を気兼ねなく干すことができなかったりします。

部屋干しや浴室暖房乾燥機、洗濯乾燥機などで代用できますが…

天気の良い日でも外で思い切り干せないということがストレスになってしまうケースもあります。

洗濯物が干せる屋根のある中庭を作ったり、洗面脱衣室や納戸で部屋干しできるようにしたりする工夫が必要になります。

⑩夏の暑さを感じやすい

平家にすると2階に部屋がある場合と比べて夏の暑さを感じやすくなります。

平屋は屋根からの影響を受けやすいので屋根が熱くなるとその熱が室内に入ってしまうためです。

また平屋は屋根面積が大きくなるので屋根が熱くなると部屋に入ってくる熱の量も多くなってしまいます。

小屋裏にしっかりと厚めの断熱材を敷いたり、吹き付けの場合はしっかりと厚みを確保しないと熱の侵入を許してしまうことになります。

屋根材をガルバリウム鋼板にする場合でも、遮熱機能のあるものを選ぶなどの配慮も必要になります。

まとめ

今回は注文住宅で平家にしようか悩んでいる人や平家にすると後悔することを知りたい人に対して、

平家にして後悔すること10選や解決策などをご紹介してきました。

まとめると以下になります。

平屋で後悔すること10選

①広い土地が必要
②周囲からの視線が気になる
③プライバシーの確保が難しい
④日当たりが悪い
⑤風通しが悪い
⑥防犯面での不安
⑦動線が悪い
⑧収納が少ない
⑨洗濯物が干せない
⑩夏の暑さを感じやすい

■解決策

①→なし

②→間取りの工夫、軒をふかくとる

③→廊下を作る

④⑤→中庭を作る

⑥→床高を高くする、縦長窓や格子をつける

⑦→しっかりとゾーニングする、トイレを2つ作る

⑧→スキップフロアやロフトを作る、廊下に収納を作る

⑨→屋根のある中庭を作る、部屋干しする

⑩→断熱性能を高くする、遮熱性能のある屋根材を使う

となります。

どの後悔も土地が広かったり、費用をかければ解決する問題が多いと思います。

平屋を建てる時には十分な土地の広さと周りの環境を考慮しましょう。

また、基礎や屋根などの面積増加で2階建てよりも予算がかかることを覚悟しておきましょう。

平屋は子供が大きくなり家を出た後、

老後の夫婦2人暮らしのように生活をコンパクトにできる生活スタイルだと、

ちょうど良い大きさの平屋を作ることができ快適に暮らせます

平屋が流行っているから自分の家も平家にしたいと安易に考えることは後々の後悔につながります。

この記事で平家にして後悔する人を少なくすることができれば幸いです。

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