設計事務所に頼まなくても大丈夫?注文住宅で相見積もりを比較するために必要なこと

相見積もりは設計事務所の注文住宅を作る上でとても重要な工程の一つです。

相見積もりとは、複数の施工会社に同じ内容での見積もりを依頼して比較することです。

注文住宅を適正な建築工事費で建てたいのであれば、相見積もりを取らないと素人にはわからないと思います。

同じ内容での見積もりの比較をするためには設計事務所の存在が不可欠になります。

設計事務所に頼まなくても大丈夫なの?

正直なところ設計事務所に頼まない場合には、実施設計図面を揃えるのに大変苦労すると思います。

しかしながら、実施設計図面を一度揃えてしまえば何度でも自分の納得するまで相見積もりを取ることができます。

基本設計と実施設計の違いについてのはこちらの記事をご参照ください↓

基本設計は自分で行い、実施設計だけを設計事務所にお願いするケースもあります。

今回の対象者は以下の人たちに向けて記事を書いています。

この記事の対象者

▶︎注文住宅での相見積もりを比較する方法が分からない人

▶︎相見積もりでどこを比較すればいいのか分からない人

▶︎自分が納得いくまで相見積もりを取りたい人

上記の方々に対して注文住宅での相見積もりを取る前に必要なことや比較することなどを紹介します。

設計事務所に頼めば全てやってくれることですが、実施設計図面を揃えれば自分で相見積もりを比較することは可能です。

この記事で注文住宅の相見積もりの取り方や比較する方法などを知っていただければ幸いです。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!

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相見積もりを取る前に必要なこと

相見積もりを取る前に必要なことは以下の7つの項目になります。

相見積もりでの必要なこと

①施工会社の会社情報を確認

②実施図面を揃える

③工事項目を揃える

④工事範囲の確認

⑤希望する予算総額を確認する

⑥工事期間を伝える

⑦見積書の提出期日を伝える

①施工会社の会社情報を確認

まずは見積もりを頼む施工会社の会社情報を確認しましょう。

会社情報は以下の情報を確認します。

・設立からの年数
・従業員数
・過去の実績


設立からの年数が長ければ、それだけ信頼できる会社だと思います。

従業員数ですが、住宅部門などを工事部から分けて少数精鋭でやっている会社もあります。

従業員数が多ければ会社組織の中での決定スピードが遅いなどのデメリットが考えられます。

また、過去の実績からどのような建築を作っているのか知ることができます。

住宅を年間で何棟建てているのかなどの情報も重要です。

住宅を多く建てているところであれば、メーカー製品などの仕入れ値が安くなりその分の値引きができます

②実施図面を揃える

相見積もりをするためには実施設計図面を揃えましょう。

基本設計で作った配置図、平面図、立面図、断面図だけでは建築を作るための情報として不十分です。

少なくとも、仕様書、仕上表、天井伏図、建具表、家具図、設備図、構造図は必要になります。

素人では揃えられないので、設計事務所にお願いして作成してもらいましょう。

しっかりと相見積もりで建築工事費が安くなれば、設計事務所に支払う実施設計料金なんて安いものだと思います。

設計事務所に実施設計を頼む場合は工事を減額するためのVE案まで作ってもらうようにしましょう。

VE案とは、「Value Engineering(バリューエンジニアリング)」の略で、性能や価値を下げずにコストを抑えることである。

③工事項目を揃える

相見積もりをすると施工会社の見積もりの書式によって工事項目が違かったりして比較しずらいです。

工事項目を揃えるために見積もりを頼む施工会社にリストを渡しましょう。

工事項目のリストは以下のようなもので十分だと思います。

工事項目
直接仮設工事
共通仮設工事
基礎工事
木工事
屋根工事
外壁工事
タイル工事
金属製建具工事
木製建具工事
塗装工事
内装工事
家具工事
防蟻処理
設備工事
外構工事
諸経費
調整値引き

上記の工事項目以外に解体工事地盤改良などが必要な場合は項目として含めるましょう。

工事項目を揃えれば各社から取った見積もりをエクセルで入力し簡単に比較することができます

④工事範囲の確認

相見積もりを取る前に工事項目に含まれる工事範囲を確認する必要があります。

例えば、玄関までのアプローチまでタイルを敷く場合など、タイル工事に含めるのか外構工事に含めるのか迷ってしまう場合があります。

玄関タイルはタイル工事にアプローチのタイルは外構工事に含めるなどしっかりと工事範囲を確認しておきましょう。

⑤希望する予算総額を確認する

相見積もりを取る前に希望する予算総額を確認しておきましょう。

設計事務所に注文住宅を頼むと設計価格でおおよその建築工事金額が分かります。

希望する予算総額やこの建築工事にいくらまで出せるのかのを確認しておくと、

相見積もりで出た金額が予算内なのかどうかを判断することができます。

希望する予算総額を施工会社に伝えるのはあまりお勧めではありません

施工会社が見積もりを調整して少し高い金額で合わせてくる場合があるからです。

伝えるのであれば、予算総額より安い金額を伝えましょう。

⑥工事期間を伝える

相見積もりをお願いするときに工事期間をしっかりと伝えましょう。

もちろん、どのくらい建築工事がかかるのか素人ではわからないのですがいつまでに入居したい旨を伝えるだけでも構わないです。

施工会社は工事期間が短ければ、大工の人数を増やして間に合わることができますが、人数が増える分かかる人工が増えるため工事費用が割高になります。

適切な工事費にするためには、工事期間はある程度余裕を持っておき、施工会社の都合を優先した方がいいと思います。

⑦見積書の提出期日を伝える

相見積もりをお願いするときに見積書の提出期日を伝えましょう。

提出期日を揃えることで、施工会社がどれだけ真剣に見積書を作ってきてくれるのか判断することができます

見積書を見ればこの工事にかける意気込みがわかります。

質疑を受け付ける期間もしっかりと伝えましょう

質疑に対する応答書も相見積もりを頼んだ各社に期日までにメールしましょう。

大体ですが、見積もり期間は全体で2〜3週間程度、質疑を受け付ける期間は見積もりを初めて1週間から10日までとする場合が多いです。

相見積もりで比較すること

相見積もりが揃ったら以下のことを比較するとわかりやすいと思います。

相見積もりで比較すること

・工事項目ごとの金額の比較

・拾ってある数量の確認

・メーカーからの仕入値の比較

エクセルで数値を入力して比較しましょう。

工事項目ごとの金額の比較

まずは揃えた工事項目ごとの金額を比較します。

工事項目ごとの金額を比較すると、施工会社のどこの工事が高いのかがわかります。

複数社の相見積もりを取ることで、その施工会社がどの工事で利益を取っているのかがわかります。

その部分を他社はこの金額でやっているので、もう少し安くできないか?

とういうように値引き交渉することができます。

複数社の相見積もりを取って比較するからこそできる交渉の仕方だと思います。

拾ってある数量の確認

金額があまりにも違いすぎる場合は、工事範囲を間違えて含めてしまっていたり、見積もり抜けしていることが考えられます。

見積もり内容で拾ってある数量を確認してしっかりと見積もり抜けがないか確認しましょう。

実施設計図面ではしっかりと指示されているのに、見積もり抜けがあった場合は施工会社にそのことを伝えてあげましょう。

施工会社のミスとはいえタダで工事をさせるのはかわいそうなのですが…

最後の値引き交渉のときにその工事箇所を指摘することで工事費が安くなるなんてこともあります。

メーカーからの仕入値の比較

見積もり内容から以下のメーカー設備を抜き出し比較してみると仕入値の安いのかがわかります。

・ユニットバス
・キッチン
・サッシ
・エコキュート
・エアコン


これを設計価格と比較すると施工会社の仕入値の掛け率がわかります。

どのメーカーの設備が強いのかが分かれば、VE案を作るときにそのメーカーのものに揃えることで安くすることができます

見積もり後に確認すること

相見積もりが終わり施工会社がある程度絞れたら、その施工会社の以下のことを確認しておきましょう。

見積もり後に確認すること

・追加工事の有無

・仕様変更による減額方法

・現場監督の実務経験

追加工事の有無

実施設計図面では想定していなかった追加工事が発生する場合があります。

しっかりと追加になる工事の有無を確認しておきましょう。

また、フェンス、カーポートなどの外構工事や解体工事など建築工事以外にかかる見積もりも取りましょう。

外構工事は建築本体工事の10%が目安となります。

敷地が広い場合は10%を超える場合があるので注意しましょう。

仕様変更による減額方法

予算をオーバーしてしまった場合は仕様変更による減額方法を施工会社と考えましょう

メーカー設備の変更や設計の仕様変更などである程度は減額することができますが、

施工会社の得意な住宅の仕様を用いることでの減額方法もあります。

それでも予算がオーバーしてしまっていたら、床面積を小さくするなどプラン自体を変更する必要があります。

設計事務所が最初から入っていれば予算をオーバーすることはあまり少ないのですが、

ウッドショックなどによる建築材料の高騰などで想定していた予算をオーバーする場合もあります。

現場監督の実務経験

実際に工事を担当する現場監督の実務経験を確認しておきましょう。

現場がスムーズに進むためには現場監督の実務経験がとても重要になります。

現場監督があまり住宅をやったことがない場合や実務経験があまりない場合には注意が必要です。

施工会社の人員配置にもよりますが、実務経験が豊富な現場監督を担当にしてもらうようにしましょう。

設計事務所が工事監理をする場合でも現場監督がしっかりしていないととても大変で現場が納まらないでトラブルになるケースが多いです。

まとめ

今回は、注文住宅での相見積もりを比較する方法が分からない人や自分が納得いくまで相見積もりを取りたい人に、

注文住宅での相見積もりを取る前に必要なことや比較することなどを紹介してきました。

まとめると以下になります。

相見積もりで必要なこと

①施工会社の会社情報を確認

②実施図面を揃える

③工事項目を揃える

④工事範囲の確認

⑤希望する予算総額を確認する

⑥工事期間を伝える

⑦見積書の提出期日を伝える

相見積もりで比較すること

・工事項目ごとの金額の比較

・拾ってある数量の確認

・メーカーからの仕入値の比較

見積もり後に確認すること

・追加工事の有無

・仕様変更による減額方法

・現場監督の実務経験

相見積もりは適正な価格で建築工事をするためにはとても重要は工程の一つです。

設計事務所にしっかりと実施設計図面を作ってもらい同じ条件下で相見積もりを取り、比較するようにしましょう。

この記事で注文住宅の相見積もりの取り方や比較する方法などを知っていただければ幸いです。

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アーキトリック一級建築士事務所

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