独立するのはちょっと待って⁉︎独立したい建築士が準備すべきこと
設計事務所に勤めている建築士は独立したいと思っても、なかなか一歩が踏み出せずにいる人が多いと思います。
建築士として実務経験を積んだり、仕事にやりがいを感じるためには、一度は独立して自分で設計事務所をやってみた方がいいと思います。
独立したとしても自分に向いていなければ設計事務所に転職すればいいだけで、
独立して設計事務所を運営した苦労や経験が自分のキャリアに役立ってくれると思います。
しかしながら、せっかく独立するのであれば、なるべく長く続けたいところですが…
そのためには独立する前にしっかりと準備することが必要です。
独立したいけど準備って何が必要なの?
私は設計事務所を始めて16年目になりますが、独立前に準備しておけばよかったと思うことがたくさんありました。
今回は独立を考えている建築士が独立する前に準備すべきことなどをご紹介できればと思います。
私の主観や経験をもとにした記事になりますので、自分とは考え方が合わないと思うのであればごめんなさい。
この記事で独立を考えてる建築士の悩みを少しでも解決できれば幸いです。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!
住宅に関する悩みを解決すべく、ブログやTwitterで情報発信しています。
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目次
独立する前に準備すべきこと
独立する前に準備すべきことはたくさんありますが、
会社や設計事務所にまだ勤務している間に準備することの代表例は以下になります。
独立する前に準備すべきこと
・事務所内での引き継ぎ
・構造や設備の相談先を作る
・他の設計事務所との協力関係
・施主や取引先へのお知らせ
・建設会社とのコネクション
・クレジットカードの作成
まだ勤務しているからこそできることです。
最大限にまだ勤務していることを利用して独立する前の準備をしておきましょう。
事務所内での引継ぎ
勤務している会社や設計事務所で、自分がいなくなってしまうと回らない仕事がある場合は、必ず後継者(引継ぎできる人間)を育てておきましょう。
事務所内での引継ぎすることはとても重要です。
引継ぎがスムーズになり独立後も会社や設計事務所との関係が壊れないと思います。
私の経験ですが…
前の事務所にいた頃、引継ぎもせずにやめていった先輩のためにとても大変だったり、
自分が独立する時に、事務所内での引継ぎがうまくいかなかったために前の事務所との関係が壊れてしまいました。
いま勤務している会社や設計事務所は、独立する際に仕事を融通してくれたり、経理の相談など、何かと手助けしてくれます。
いま勤務している会社や設計事務所と良い関係を築くために事務所内での引継ぎはしっかりとしましょう。
構造や設備の相談先を作る
意匠専門の設計事務所の場合は、構造や設備設計のことを相談できる相談先を作りましょう。
いきなり個人で設計事務所を始めると、必ずぶち当たるのが構造と設備設計の相談先がないことです。
構造設計や設備設計事務所に勤務していれば自分のいた会社に相談すればいいのですが…
意匠設計の場合は、構造や設備設計との仕事上の関係値をゼロから築くのはとても大変です。
勤務している時に構造や設備設計と仲良くなっていれば、
独立後もちょっとした設計上の悩みなや相談などを無料でアドバイスがもらえたりします。
もちろん、構造や設備の相談先がない場合でも契約後の実施設計の仕事を発注することで関係値は築けますが、独立直後は仕事量が激減する恐れがあります。
構造や設備設計との仕事上での関係値をしっかりと築き、どんな仕事が来ても大丈夫なように構造や設備の相談先を作りましょう。
他の設計事務所との協力関係
独立して仕事がたくさん来るようになると、自分がどこまでその仕事に関わるのかを調整する必要があります。
仕事への関わり方とは、企画・基本設計までの段階なのかや実施設計から現場監理まで行うのかなどの関わり方のことです。
企画・基本設計は自分がやって、実施設計や現場監理は外部の設計事務所にお願いする場合は協力してくれる他の設計事務所が必要になります。
私は住宅設計の場合、基本設計・実施設計・現場監理まで一貫して行うようにしているのですが…
副業での3DCGパースの依頼が殺到していた時期は、自分でやれない仕事は外部のパース屋に外注したり、紹介して直接やってもらいました。
設計の仕事に対しての向き合い方は人それぞれですが、自分ひとりで抱え込みすぎると精神的なストレスになってしまいます。(独立当初の自分がそうでした)
設計事務所に勤務している間に、他の設計事務所との協力関係は作るようにしましょう。
施主や取引先へのお知らせ
独立を決めたら、勤務している間に施主や取引先へ独立する旨を伝えましょう。
長い間、自分が窓口となっている場合、施主や取引先は窓口が変わってしまうと混乱してしまったり、仕事がキャンセルになったりする場合があります。
独立する旨を伝えると、前の会社より独立後の自分に仕事を依頼してくれる可能性も上がります。
もちろん、前の会社にはバレないようにしなければなりませんが…w
独立してから挨拶回りに行くことも必要ですが、独立当初は開業準備に忙しいのでなかなかできないと思います。
独立前に施主や取引先へのお知らせをしておけば、挨拶回りに行くことを断られたりしないと思います。
建設会社とのコネクション
会社や設計事務所に勤務している間に、建設会社とのコネクションを作っておきましょう。
これは、賛否両論あるのですが…
実施設計の相見積もりをとる場合など、建設会社とのコネクションがあると安い見積もりを作ってくれたりします。
また、仕事がない時に図面作成の仕事を振ってくれたりします。
建設会社とのコネクションは設計監理をする場合でもメリットがあります。
建設会社としっかりとした信頼関係があれば、
現場がスムーズに進むため、手離れの良い現場になり新しい次の仕事に集中することもできます。
設計事務所出の建築士は意匠を重視してコスト感覚が薄い傾向があるため、建設会社が苦手な人が多いです。
中小企業の建設会社の社長は癖の強い人が多いので、コネクションを作るのはなかなか難しいので取扱?には注意が必要ですが、
仲良くなればメリットが多いので、勤務している間に建設会社とのコネクションを作っておきましょう。
クレジットカードの作成
建築士として独立する前に準備すべきことは、クレジットカードを作成することです。
独立した直後はクレジットカードの審査が通らない可能性があるからです。
必ず独立前の会社に勤務している間にクレジットカードを作成しておきましょう。
できれば独立後に法人用のクレジットカードを作りたいんだけど?
個人事業主の場合は法人用カードの審査が通らない場合があります。
法人用のクレジットカードは作成できる場合もありますが、あくまでも法人用で本人確認書類提出(法人代表者)が求められる場合が多いです。
建築士事務所を法人化するのであれば、ベストなのは法人用のクレジットカードと個人用のクレジットカードを作成し、使い分けることです。
カード会社から送付される利用明細書を経費の明細としてそのまま使用すれば、経費作業が楽になるのでおすすめです。
退職するまでに準備すること
次は、独立を決めてから退社するまでに準備した方がいいことをみていきましょう。
退職までに準備した方がいいことは以下になります。
退職するまでに準備すること
・設計事務所スペースの確保
・最初の運転資金を確保する
・管理建築士講習を受ける
・退職証明書を用意する
・建築士事務所登録を準備する
設計事務所スペースの確保
退職するまでに準備することは、設計事務所スペースの確保することです。
まずは自分の仕事場(事務所)を探しましょう。
もちろん、自宅を事務所にしてもいいのですが…
仕事場を別に持つことで家賃が発生し、支払わなければならない使命感で仕事を頑張れる場合があります。
私の場合、最初は実家の空き家を自分で改修して設計事務所を始めました。
仕事が順調になった時期に事務所兼自宅を建てました。
お客さんやメーカー、業者との打合せは事務所がしっかりとあると何かと便利ですし、設計事務所としてしっかりとしている印象を与えると思います。
今の時代ではレンタルオフィスやコーワーキングスペースを借りてもいいと思います。
コーワーキングスペースで仕事をするとグラフィックデザイナーやアーティスト、建築士の同業者などとの横のつながりができるメリットがあります。
コーワーキングスペースで設計事務所を立ち上げるメリットについてはこちらの記事をご参照ください↓
東京・神奈川・埼玉でコーワーキングスペースを探すなら「アントレサロン」がおすすめです↓
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「アントレサロン」は全店舗が最寄駅から徒歩5分以内なので、利便性が高く、取引先にも案内しやすいといったメリットがあります。
全拠点のコワーキングスペースの席を、営業時間中いつでもご利用可能なフリーデスクプランが大好評です。
商談、会議などで利用できる無料のオープンラウンジを完備し、4名様までであれば予約不要で利用できます。
また、セミナーや交流会など様々なイベントも開催しているので、人脈作りや自社の商品、サービスの販路拡大などが期待できます。
運営会社が起業支援会社なので、これから事業を拡大しようと考えている人の悩みにも親身になって相談に乗ってくれます。
弁護士、税理士、弁理士、公認会計士、中小企業診断士、社会保険労務士などの専門家を要望に合わせて紹介してくれるのもいいですね。
最初の運転資金を確保する
退職するまでに準備することは、最初の運転資金を確保することです。
もちろん、最初から仕事があり収入の当てがあれば話は別ですが、
一年分の家賃や光熱費、コピー代などは確保しておいた方がいいと思います。
仕事の収入が見込める場合でも会社で決められている締め日があるので、報酬の支払いが2ヶ月遅れになることもあります。
取引先の締め日と支払日はしっかりと確認しておきましょう。
また、運転資金だけでなく設計事務所としてスタートできる最低限の準備金も必要になります。
代表的なものは以下になります。
スタートするための設備投資
・名刺を作る
・HPを作る
・家具を揃える
・PCやソフトを買う
・ハンコを揃える
等々があります。
最初から全てを揃えるのは難しいかもしれませんが、最低限の設備投資はしておいた方がいいと思います。
管理建築士講習を受ける
退職するまでに準備することは、管理建築士講習を受けることです。
自分が管理建築士になり設計事務所を開業するのであれば、まだ勤務している間に管理建築士講習を受けましょう。
設計事務所を開業する際に、管理建築士講習の修了証が必要になります。
まだ勤務していれば、講習料が会社の経費で落ちたりします。
ちなみに、建築技術教育普及センターでは16,500円かかります。
この講習は一度だけ受ければいいものなので、建築士として3年以上たったら早いうちに受けておくことをおすすめします。
この講習は一度だけ受ければいいものなので、建築士として3年以上たったら早いうちに受けておくことをおすすめします。
退職証明書を用意する
退職するまでに準備することは、退職証明書を用意することです。
退職する日が決まったら、その日までに退職証明書を書いてもらうように準備しておきましょう。
退職証明書は設計事務所を開業する際に、管理建築士の専任性を証明するために必要な書類となります。
円満退社ならいいのですが、退職してから会社に行くのは何かと気まずいことがあります。
私がそうでしたw
退職に納得のいかない人たちと顔を合わせてしまい、とても面倒な言い合いになったりと…
かなりストレスを感じた過去がありますw
そうならないよう、退職する日が決まったら、その日までに退職証明書をもらうようにしましょう。
建築士事務所登録を準備する
退職するまでに準備することは、建築士事務所登録を準備することです。
建築士事務所登録は自分の地域の建築士事務所協会で手続きを行います。
詳しくはこちらの記事をご参照ください↓
建築士事務所登録しないと設計監理業務をしても報酬を得ることができないです。
これにはデザインやコンサル料として報酬を得るというグレーゾーンがあるのですが…
建築確認申請や正規の設計料をもらうためには建築士事務所登録した方がいいです。
建築士事務所登録すると以下の制約や業務、義務が発生します。
建築士事務所登録すると発生する業務
・管理建築士としての制約
・毎年の設計等業務報告書の提出
・5年毎の事務所更新手続き
・3年毎の建築士の定期講習
・管理建築士の講習
・その他で必要になる業務
その他で必要になる業務としては、
その他で必要になる業務
・帳簿の記録
・閲覧のための書類作成
・設計監理業務委託契約書の保管
・設計図書の保存
・標識(看板)を提示する
などがあります。
なれればどれも簡単なことなのでそれほど負担になることはないと思います。
建築士として独立してから最初にやるべきこと
建築士として独立してから最初にやるべきことは以下になります。
独立してから最初にやるべきこと
・設計事務所としての強みやブランディング
・契約書の作成や設計監理料の設定
・認知度を上げるためのマーケティング
・ポートフォリオやHPの作成
設計事務所としての強みやブランディング
建築士として独立してから最初にやるべきことのひとつ目は、設計事務所としての強みやブランディングを考えることです。
設計事務所としての強みやブランディングができていないと、営業の時に自分の設計事務所を売り込むことができないからです。
例えば
「お金をかけずにちょっとカッコいい家を作る」
「ホテルのような非日常を演出する家」
など設定しておくと自分の仕事内容がイメージしやすいので設計事務所としての強みとなります。
ブログを活用してブランディングする方法もあります↓
自分の設計スタイルに合ったブランディングを心がけましょう。
契約書の作成や設計監理料の設定
建築士として独立してから最初にやるべきことは、契約書の作成や設計監理料の設定することです。
契約書の作成や設計監理料の設定をしておかないと相手の会社の言い値になってしまうからです。
設計監理料の設定は最初は安くしておいて、仕事が増えてから少しずつ上げていくのが理想です。
契約書は四会連合協定の建築設計・監理等業務委託契約書類を利用してもいいのですが、
できれば自分で作ったほうが細かい設定や自分にあった契約書が作れます。
契約書の作成や設計監理料の設定は自分の仕事に対しての価値を決めることと同じなので、しっかりと考えておきましょう。
設計料の決め方に関してはこちらのテンプレートをご参照ください↓
認知度を上げるためのマーケティング
建築士として独立してから最初にやるべきことは、認知度を上げるためのマーケティングすることです。
自分の仕事がどの層に届けばいいのかを調べることでそれに合った戦略が違ってくるからです。
認知度を上げるためにはSNSやブログ、youtubeなどを利用すると効果的です。
認知度を上げて自分の仕事を知ってもらいたい層に情報が届けば仕事の依頼は自ずと増えていきます。
また、教えて!gooやyahoo知恵袋、SUMIKAなどで質問に答える方法もあります。
しっかりと質問に答えれられれば建築士事務所の知名度も上がります。
また、注文住宅のカテゴリーでどのような疑問や質問が多いのかを知ることもできます。
まずは自分の設計事務所の存在を知ってもらうことが最優先でやらなければならないことになるので、
しっかりとマーケティングをして自分の仕事を売り込みましょう。
ポートフォリオやWebサイトの作成
建築士として独立してから最初にやるべきことは、ポートフォリオやWebサイトを作成することです。
お客さんや挨拶回りをする際に自分の実績や作風がひと目で伝えることができるからです。
ポートフォリオやWebサイトってどうやって作ればいいの?
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まとめ
今回は独立を考えている建築士が独立する前に準備すべきことなどをご紹介してきました。
まとめると以下になります。
独立する前に準備すべきこと
・事務所内での引き継ぎ
・構造や設備の相談先を作る
・他の設計事務所との協力関係
・施主や取引先へのお知らせ
・建設会社とのコネクション
・クレジットカードの作成
退職するまでに準備すること
・設計事務所スペースの確保
・最初の運転資金を確保する
・管理建築士講習を受ける
・退職証明書を用意する
・建築士事務所登録を準備する
独立してから最初にやるべきこと
・設計事務所としての強みやブランディング
・契約書の作成や設計監理料の設定
・認知度を上げるためのマーケティング
・ポートフォリオやHPの作成
私の主観や経験をもとに色々とご紹介してきましたが、この他にしなければならないことはたくさんあります。
誰しもが、独立したらなるべくトラブルなく長く続けたいと思うはずです。
長く安定的に仕事を続けるために、独立前の勤務している間にしっかりと準備しておきましょう。
この記事で独立を考えてる建築士の悩みを少しでも解決できれば幸いです。
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