天井断熱と屋根断熱どっちがいいの?それぞれのメリットとデメリット
家の上部の断熱方法として天井断熱と屋根断熱があります。
断熱材は、夏場は外部からの熱を室内に入れない、冬場は部屋の熱を外に逃さない役割があります。
夏の日差しは屋根を直に温めるため、壁の約2倍の断熱性能が必要になります。
天井断熱と屋根断熱の
どっちがいいの?
正直なところしっかりと施工すればどちらでも構わないです。
※ただし、勾配天井であらわしの場合は天井断熱では実現できません。
どのような内部空間にするのかで決めるのが一般的だと思います。
今回は天井断熱と屋根断熱の違いを確認し、両方のメリットとデメリットを比較します。
この記事が天井断熱と屋根断熱で迷っている人の参考になってくれれば幸いです。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
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目次
天井断熱と屋根断熱の違い
天井断熱と屋根断熱の違いは以下のとおりです。
天井断熱
天井断熱は室内の天井の裏側(小屋裏)に断熱材を敷き込む工法になります。
断熱材は一般的にグラスウールやロックウールが使われます。
セルローズファイバーやその他繊維系の断熱材をを吹き込む方法もあります。
天井のある部屋なら断熱材を敷き込むことは可能です。
断熱された空間が小さくなります。
屋根断熱
屋根断熱は屋根勾配の裏側に断熱材を充填する工法と、野地板の上に断熱材を敷き込む外張り工法があります。
充填断熱であれば、グラスウールやロックウール、セルローズファイバーなど繊維系の断熱材です。
吹付け断熱であれば、発泡ウレタンなどの断熱材です。
外張り断熱であれば、スタイロフォームなどの発泡プラスチック系の断熱材になります。
いずれも屋根勾配に沿って断熱材を施工します。
断熱された空間は大きくなります。
天井断熱のメリット
天井断熱のメリットは以下になります。
■メリット
・断熱材を厚くできる
・面積でのコストが安くなる
・冷暖房の空間が小さくなる
断熱材を厚くできる
天井裏には空間があるので断熱材が納まるかを気にせずに厚くすることができます。
断熱材を厚くできるので、断熱性能をできるだけ高めたいという場合には有利です。
面積でのコストが安くなる
屋根断熱に比べて断熱する面積が小さくなるので断熱材の量が減りコストが安くなります。
大工さんでもできるので施工費も安くなります。
冷暖房の空間が小さくなる
屋根断熱に比べて断熱された空間が小さくなるため、冷暖房の空間が小さくなります。
冷暖房の空間が小さくなると部屋を早く涼しくする(暖かくする)ことができます。
また、冷暖房にかかる負荷が小さくなるため電気代が安くなります。
天井断熱のデメリット
天井断熱のデメリットは以下になります。
■デメリット
・小屋裏空間が利用できない
・小屋裏換気が必要
・隙間ができやすい
小屋裏空間が利用できない
小屋裏空間を利用したりロフトを作る場合は天井断熱では難しくなります。
小屋裏空間を囲うように壁や天井をつくり断熱材を敷き込まなければならないため施工手間やコストが高くなります。
小屋裏換気が必要
夏場は小屋裏に熱い空気が充満するので、十分な小屋裏換気が必要になります。
小屋裏に熱い空気が充満すると、天井から輻射熱が室内側に侵入してきてしまいます。
湿気による結露やカビの発生で小屋裏が傷んでしまう原因となるため十分な小屋裏換気をしましょう。
隙間ができやすい
大工さんが施工する場合は丁寧に敷き込まないと隙間ができやすいです。
天井裏は野縁を吊る木材や小梁、小屋束などが込み入っているので隙間なく丁寧に敷き込む必要があります。
屋根断熱のメリット
屋根断熱のメリットは以下になります。
■メリット
・小屋裏空間が利用できる
・熱い空気の輻射熱がない
・気密性が高くしやすい
小屋裏空間が利用できる
屋根勾配に沿って断熱材を施工するので、勾配天井やロフト、小屋裏収納などの小屋裏空間を有効に利用することができます。
外張り工法の場合は天井あらわしでも大丈夫です。
屋根勾配をいかした空間を作ることができます。
熱い空気の輻射熱がない
充填断熱の場合は断熱材と野地板の間に、外張り断熱の場合は断熱材と屋根材料の間に通気層を取ります。
通気層は天井断熱のように大きな空間ではないので、熱い空気がとどまることなく輻射熱による室内への影響はありません。
気密性を高くしやすい
発泡ウレタンなどで裏側から充填する場合は、断熱材が隙間なく充填されるので気密性を高くしやすいです。
複雑な形状にもピッタリ付着させる事ができるので、グラスウールによくある隙間からの熱損失を発生させる事がありません。
屋根断熱のデメリット
屋根断熱のデメリットは以下になります。
■デメリット
・断熱材の厚さに制限がある
・冷暖房の空間が大きくなる
・面積でのコストが高くなる
断熱材の厚さに制限がある
充填断熱の場合は垂木や梁の間に充填するので、垂木や梁のせいよりも大きくすることはできません。
外張り断熱の場合も垂木のせいより大きくすることはできないため、断熱材の厚さには制限があります。
冷暖房の空間が大きくなる
天井断熱に比べて断熱された空間が大きくなるため、冷暖房の空間が大きくなります。
冷暖房の空間が大きくなると部屋が涼しくなる(暖かくなる)のが遅くなります。
また、冷暖房にかかる負荷が大きくなるため電気代が高くなります。
面積でのコストが高くなる
天井断熱に比べて断熱する面積が大きくなるので断熱材の量が増えてコストが高くなります。
大工さんでもできるのですが、屋根勾配に合わせて張り付けるために天井断熱より施工手間がかかります。
発泡ウレタンの場合は専門の業者でないと施工できないので施工費は高くなります。
まとめ
今回は天井断熱と屋根断熱の違いを確認し、両方のメリットとデメリットを比較してきました。
まとめると次のようになります。
■天井断熱のメリット
・断熱材を厚くできる
・面積でのコストが安くなる
・冷暖房の空間が小さくなる
■天井断熱のデメリット
・小屋裏空間が利用できない
・小屋裏換気が必要
・隙間ができやすい
■屋根断熱のメリット
・小屋裏空間が利用できる
・熱い空気の輻射熱がない
・気密性が高くしやすい
■屋根断熱のデメリット
・断熱材の厚さに制限がある
・冷暖房の空間が大きくなる
・面積でのコストが高くなる
勾配天井やロフトなど小屋裏空間を利用したい場合は屋根断熱に、天井を設ける部屋は天井断熱にするなど、つくりたい空間にあった断熱方法を選びましょう。
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