持家と賃貸どっちがいいの?どちらが向いているか考える時の目安について
持家と賃貸のどちらがいいのかは、いろんな方がよく比較されています。
私の印象ですが、賃貸派の方は持家に住んでいないケースが多いと思います。
持家に住んでいてもローンの返済に苦労している人は、引き渡されたその日からどんどん資産価値が下がる住宅に嫌気がさして、賃貸派の言っていることに「ごもっとも!」と賛成してしまうケースもあります。
結局、持家と賃貸どっちがいいの?
どちらがいいのかの決定的な結論はありませんが、「賃貸のほうがいい」と答える人のほうが多いと思います。
しかしながら、持家には賃貸では実現できない空間づくりなどメリットがあります。
今回は持家と賃貸のメリット・デメリットを取り上げ、どちらが向いているのかの目安について考えていきたいと思います。
※これはあくまでも賃貸と持家を経験してきた私個人の考えであり、人それぞれの置かれている状況により変わるのであくまで参考としてお読みください。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
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店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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持家のメリット・デメリット
youtubeやネット情報では持家派の方が少ない印象があります。
経済的な側面で見れば確かにデメリットのほうが多いです。
しかしながら持家でしか実現できない間取りや空間があります。
持家のメリット
持家の代表的なメリットは以下のとおりです。
・設備のクオリティーが高い
・自由な間取りに住める
・ローンを完済すれば老後が楽になる
設備のクオリティーが高い
高級マンションは別として一般的な賃貸と比べて、持家のほうがユニットバス、システムキッチンなどの設備のクオリティーが高いと思います。
設備は日々進化を続けているので、築年数が20年の賃貸とではかなりの違いが出ます。
また、賃貸だと間取りに制約があるため自分好みの設備を入れたくても入らない場合があります。
その点、持家の場合はまず入れたい設備をリストアップし、それに合わせてプランを作ることができるので自分好みの設備を入れることができます。
自由な間取りに住める
自由な間取りに住めるのも持家のメリットとしてあげられます。
家族の生活スタイルは様々です。
私の場合は、設計事務所兼長屋に住んでいるのですが、働くところと生活するところに適度な干渉空間となるアウトドアリビングなどを設けて自分の生活スタイルにあった持家を実現しています。
在宅ワークが多い人は仕事部屋として1部屋余裕のある賃貸に引越せばいいのでは?
と思うかもしれませんが、部屋が増えただけで仕事の環境としては不十分だと思います。
アイデアをまとめる時や休憩時間をいかに快適にすごせるのかが在宅ワークをしている人にとっては重要だと思います。
持家の場合、どんな生活スタイルでもそれにあった間取りを実現することができます。
ローンを完済すれば老後が楽になる
あたりまえのことですが、ローンを完済すれば賃貸より月々にかかる住居費は安くなります。
できれば老後の蓄えのこともあるので、退職前の50歳代で完済したいところです。
退職後、働かない場合は年金や退職金を切崩して生活することになります。
収入が減ったなりの賃貸に引越すのも1つの手だと思います。
しかしながら、一生、家賃を払わなければいけないので高齢になればなるほど生活レベルを落とさなければならないのは大変だと思います。
持家のデメリット
持家の代表的なデメリットは以下のとおりです。
・簡単に引越せない
・メンテナンス費用がかかる
・固定資産税がかかる
簡単に引っ越せない
ご近所付き合いで上手くいかなかったとしても、簡単に引越すことはできません。
また、郊外や人里離れた場所などで、車で買い物しなければいけない場合など高齢になると大変だと思います。
宅配サービスやおうちCO-OPなど利用できればいいのですが食費が割高になってしまいます。
土地購入は歩いていける範囲にスーパーやコンビニがあるなど、老後のことも考えて決めたほうがいいと思います。
メンテナンス費用がかかる
住宅は建てたその日から劣化していきます。
5年、10年、15年、…30年とメンテナンス費用がかかります。
一般的に木造住宅の耐用年数は30年ですが、その間に外壁塗装、コーキング、屋根塗装、水回りの修繕など600万〜800万円ほどかかります。
月々17,000〜20,000円程度はメンテナンス費用として貯蓄しておかないと大変なことになります。
建てる段階で外壁材や屋根材などを高耐久のものにすることでその後にかかるメンテナンス費をおさえることがでるので、可能な限り高耐久のものを選ぶようにしましょう。
固定資産税がかかる
持ち家の場合は固定資産税がかかります。
例えば、新築の木造住宅で下記の場合
土地の評価額:1,500万
建物の評価額:2,500万
税率:1.4%
土地の固定資産税
1,500万円×1/6×1.4%=35,000円
建物の固定資産税
2,500万円×1.4%×1/2=175,000円
固定資産は合計で210,000円となります。
※あくまで簡単な例です、自治体や不動産の条件、その他の特例などにより、実際の税額が異なる場合があります。
月々にすると17,500円となり、メンテナンス費用17,000円と合わせるとローン返済のほかに月々34,500円が必要になります。
賃貸のメリット・デメリット
正直なところ経済的な面ではやはり賃貸のほうが有利です。
それに加えて現在日本では賃貸住宅や空き家が増加しています。
選択肢が増えている分、自分にあった賃貸住宅を見つけられる機会も増えています。
賃貸のメリット
賃貸の代表的なメリットは以下のとおりです。
・自由に引越しができる
・設備の交換や修繕費用の負担がない
・収入に合わせて住み替えられる
自由に引越しができる
引越そうと思えば自由に引越しができるのは賃貸の大きなメリットです。
生活するのに便利な場所は土地代が高いので家を建てるとなると手狭になったりかかる金額が高くなります。
ご近所付き合いが上手くいかなかったり、子供が学校でいじめを受けたりした場合でも自由に住む環境を変えることができます。
設備の交換や修繕費用の負担がない
もともとついている設備などが古くなった場合は大家さんが交換してくれたり直してくれるので、設備の交換や修繕費用の負担がない(少ない)のは賃貸のメリットです。
外壁の塗替えや屋根の修繕なども基本的に大家さんが費用を出すので家賃や共益費、管理費以外の出費はありません。
収入に合わせて住み替えられる
収入に合わせて簡単に住み替えられるのは賃貸のメリットです。
不労所得があればいいのですが、収入が安定していないと住宅ローンの返済に苦労してしまいます。
幸いなことに賃貸住宅や空き家などは年々増え続けています。
賃貸住宅の選択肢が増えた分、自分の収入や好みに合った賃貸住宅が選びやすくなっています。
賃貸のデメリット
賃貸の代表的なデメリットは以下のとおりです。
・間取りや設備など自分で決められない
・一生、家賃の支払いが続く
・高齢になったとき契約更新が難しい
間取りや設備など自分で決められない
間取りや設備など自分で決められないのは賃貸のデメリットです。
ユニットバスやシステムキッチンなどグレードの高い設備が付いているのは、高級マンションは別として一般の賃貸では少ないと思います。
長年、賃貸に住んでいる人が設備メーカーのショールームに行くと、設備のグレードや選択肢の多さに驚くと思います。
これらの多くの選択肢の中から自分の好みに合った設備を選ぶのは大変ですが、金額に折合いをつけながら選ぶことで自分には何が必要なのかを確認することができます。
一生、家賃の支払いが続く
賃貸は家賃の支払いが一生続くことになります。
住宅ローンを払い終えた人と比べると家賃負担は大きくなります。
老後のことを考えると、家賃を払い続けなければならないのは大きな負担になります。
高齢になったとき契約更新が難しい
高齢になり収入が減った場合、家賃の安い賃貸に引越せればいいのですが、高齢者だと契約を断られたりするケースもあります。
現在日本では独居老人や孤独死などが増えています。年をとればとるほど身元保証人が求められるケースが増えており契約更新を断られるケースもあります。
現役時代はなるべく家賃の安い賃貸で過ごし、貯蓄したお金で老後の「終の棲家」を建てるのもいい方法だと思います。
持家・賃貸に向いている人
次に、持家に向いている人と賃貸に向いている人の代表的な特徴をみていきましょう。
持家に向いている人
持家に向いている人の代表的な特徴は以下のとおりです。
・退職までローンを完済できる
・収入が安定している
・建てる土地がある
・仕事が在宅ワーク
退職までにローンを完済できないと老後に収入が減少した時にローン返済に苦労すると思います。
土地付き一戸建て4,000万で頭金500万、残りの3,500万をローンにする場合、借入期間25年だと月々の返済額は13万ほど、借入期間35年だと月々の返済額は10万ほどとなります。
私の意見ですが、借入期間35年は長いと思います。老後の蓄えも必要なので、できれば50歳代で払い終えたいところです。
また、仕事が在宅ワークの人の場合は作業スペースや休憩スペースなど間取りに余裕がないと気持ちよく仕事ができないと思います。
賃貸だとそれなりの家賃を払えば高級なつくりのマンションに住めるのですが、間取りを工夫すればローコスト住宅でも実現可能です。
賃貸に向いている人
賃貸に向いている人の代表的な特徴は以下のとおりです。
・転勤が多い
・収入が安定していない
・大きな借金を背負いたくない
・健康状態に不安がある
転勤が多い人で住まなくなった持家は貸すという方法もありますが、戸建住宅の場合はあまりおすすめではありません。
前述しましたが、住宅は5年、10年、15年、…30年とメンテナンス費用がかかります。
家賃収入があったとしても修繕費をしっかりと確保しておかないと大変なことになります。
また、健康でなければ団体信用生命保険に入ることができず、住宅ローンの審査に落ちることもあります。
※団体信用生命保険とは、住宅ローンの返済中に万が一のことがあった場合、残りの住宅ローンが全額弁済される保障制度
健康状態に不安がある人は住宅ローンの借り入れに心配があるので持家には不利になります。
まとめ
今回は持家と賃貸のメリット・デメリットを取り上げ、どちらが向いているのかの目安について考えてみました。
どちらにもメリット・デメリットがあります。
もう一度確認すると
■持家のメリット
・設備のクオリティーが高い
・自由な間取りに住める
・ローンを完済すれば老後が楽になる
■持家のデメリット
・簡単に引越せない
・メンテナンス費用がかかる
・固定資産税がかかる
■賃貸のメリット
・自由に引越しができる
・設備の交換や修繕費用の負担がない
・収入に合わせて住み替えられる
■賃貸のデメリット
・間取りや設備など自分で決められない
・一生、家賃の支払いが続く
・高齢になったとき契約更新が難しい
■持家に向いている人
・退職までローンを完済できる
・収入が安定している
・建てる土地がある
・仕事が在宅ワーク
■賃貸に向いている人
・転勤が多い
・収入が安定していない
・大きな借金を背負いたくない
・健康状態に不安がある
となります。
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持ち家であれば、年金だけでは生活費が心もとないなどの場合、家と土地を担保にして借り入れをするリバースモーゲージという方法があります。
リバースモーゲージとは、家と土地を担保にして借り入れ、自らの持ち家に継続して住み続け、借入人が死亡したときに担保となっていた不動産を処分し、借入金を返済する仕組みです。
持家と賃貸のどちらがいいかはその人の考え方次第だと思います。
老後のことを考えると、現役時代はなるべく家賃の安い賃貸で過ごし、貯蓄したお金で老後の「終の棲家」を建てるのもいい方法だと思います。
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