店舗付き住宅のメリット・デメリットって?店舗付き住宅を新築する時の注意点
店舗付き住宅とは同じ建物内に居住スペースと事業を行うスペースが共存している住宅のことです。建築や不動産業界では「店舗併用住宅」とも呼ばれています。
店舗付き住宅の新築を
考えているんだけど
デメリットってなに?
店舗付き住宅には居住スペースと事業を行うスペースが共存しているからこそのメリットデメリットがあります。
今回は店舗付き住宅を新築する場合のメリットデメリットを考え、これから新築する場合の注意点などをご紹介できればと思います。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
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目次
店舗付き住宅のメリット
店舗付き住宅の代表的なメリットは以下の通りです。
・通勤時間がない
・店舗部分の家賃がかからない
・建築費の一部を経費にできる
・仕事と家庭を両立しやすい
・貸し店舗にできる
通勤時間がない
店舗付き住宅なので無駄な通勤時間はありません。朝起きたらすぐに店舗を開けることができます。
通勤時間が必要ないので自分の都合に合わせて店舗の開け閉めができたり、ちょっとした休憩時間に家で休んだり、昼食を家族と一緒にとったりできます。
店舗部分の家賃がかからない
住宅と別に事業所を借りるといった場合は固定費の家賃がかかりますが、店舗付き住宅の場合は住宅と一体なので店舗部分の家賃はかかりません。
建築費の一部を経費にできる
店舗部分にかかった費用はその割合に応じて減価償却としての経費となるので節税できるメリットがあります。
仕事と家庭を両立しやすい
住宅と一体なのですぐに家に戻れます。子供が帰ってきてからの様子も把握しやすいので仕事と家庭を両立しやすいです。
自分の親などが高齢の場合は介護しながら仕事をすることもできるます。
子共にとっても親にとってもすぐ近くで仕事をしているので安心して家庭生活を送ることができます。
貸し店舗にできる
将来的に貸し店舗として住宅部分とを分けることも可能です。
貸し店舗にした場合は事業所の家賃分を住宅ローンにあてることができます。
店舗付き住宅のデメリット
店舗付き住宅の代表的なデメリットは以下の通りです。
・駐車ペースがとりにくい
・設備が多くなる
・用途地域で建てられない場合がある
・全部を住宅ローンにできない
・基礎断熱が難しい
駐車スペースがとりにくい
店舗用と住宅用の駐車スペースを分ける場合は敷地に余裕がないと店舗用の駐車スペースを確保するのは難しいです。
店舗用は近くの月極め駐車場をかりるにしても月々の費用がかかってしまいます。
店舗付き住宅を新築する場合は駐車スペースをどのようにするのか考えておく必要があります。
設備が多くなる
美容院などの店舗付き住宅の場合は専用の給排水設備が必要になります。
エアコンなど店舗用のものを設置すると月々の電気代がかかったり、一般の住宅よりも設備の増加分があるので建築にかかるコストが増加します。
飲食店やテイクアウトのお店など場合はキッチンを住宅と共用にするなどの工夫が必要です。
商材のストックや在庫などの収納スペースもしっかりと確保しましょう。
用途地域で建てられない場合がある
用途地域によって建てられる面積が制限されることがあります。
第1種低層住居専用地域の場合は商業だけを目的とした建築物は制限されています。
店舗付き住宅の場合は店舗部分が建築物の延べ床面積の1/2未満、かつ50㎡以下であることとされています。
第2種低層住居専用地域の場合は延べ床面積が150㎡を超える店舗は建てられません。
全部を住宅ローンにできない
店舗部分は「住宅」ではないため、低金利の住宅ローンが利用できないこともあります。
一般的には住宅部分が50%未満の場合は、住宅ローンに該当しないことが多いので、事前に金融機関で確認することをおすすめします。
「フラット35」を申し込む場合には、「住宅部分が全体の半分以上を占める」といった条件があるため、設計の段階で店舗部分の面積を考慮しておきましょう。
住宅ローン控除はあくまでも「住居部分」のみの適用となります。
ローン合計残高が4,000万で住宅部分50㎡、店舗部分30㎡の場合
4,000×50/80=2,500
となり2,500万が住宅ローン控除の対象となります。
基礎断熱が難しい
店舗の出入口の段差をなくすために1階の床面は基礎天端より下の基礎スラブに土間床を設けるようになります。
基礎断熱を考える場合は床断熱や基礎内断熱では土間床での施工は難しいので、基礎外断熱となります。
基礎外断熱とした場合はシロアリ対策が必須となります。
また出入口部分にはヒートロスが生じやすいので断熱・気密性の高いサッシの取り付けを考えましょう。
新築する場合の注意点
店舗付き住宅を新築する時に注意する点は以下の通りです。
・住居と事業スペースのゾーニング
・周辺環境に配慮する
・防音の対策をする
住居と事業スペースのゾーニング
玄関を一緒にするのか別にするのかでも敷地の使い方やプランが違ってきます。
住居と事業スペースをうまくゾーニングし適度な距離感を保つことが必要となります。
将来的に貸し店舗にする場合も考えると玄関や駐車場は別にしておいたほうがいいと思います。
そのために、ある程度の敷地の広さが必要になるので土地代が高くなってしまいます。
周辺環境に配慮する
住宅街に店舗付き住宅を建てる場合は騒音やニオイ、ゴミなどの苦情が出たりします。
住宅街に建てると近隣住民に利用してもらえるといったメリットがあります。
口コミで評判が広がれば、宣伝広告費をかける必要もなく店舗が繁盛します。
集客力の見込めそうな立地や周辺環境にうまく溶け込んだ店舗づくりが必要となります。
防音対策をする
住宅と店舗部分の防音対策は必要になります。
店舗付き住宅の場合は2階の住宅部分で子供が飛び回っていて1階の店舗に音が響いてしまったりするケースがあります。
収納スペースなどでうまく住宅部分とを緩衝スペースを設けたり、床や間仕切壁にロックウールなど吸音性の高いものを使用する工夫も必要になります。
まとめ
今回は店舗付き住宅を新築する場合のメリットデメリットを考え、これから新築する場合の注意点などを見てきました。
もう一度確認すると
店舗付き住宅のメリットは以下の通りです。
・通勤時間がない
・店舗部分の家賃がかからない
・建築費の一部を経費にできる
・仕事と家庭を両立しやすい
・貸し店舗にできる
店舗付き住宅のデメリットは以下の通りです。
・駐車ペースがとりにくい
・設備が多くなる
・用途地域で建てられない場合がある
・全部を住宅ローンにできない
・基礎断熱が難しい
店舗付き住宅を新築する時に注意する点は以下の通りです。
・住居と事業スペースのゾーニング
・周辺環境に配慮する
・防音の対策をする
店舗付き住宅には居住スペースと事業を行うスペースが共存しているからこそのメリットデメリットがあります。
最近ではリモートワークなどで家で仕事をする方も増えています。
小商いだけに限らず、事務所用途としての店舗付き住宅の需要は増えるかもしれませんね。
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