店舗設計事務所はブラックが多いので就職は気をつけて!
正直なところ、店舗中心の設計事務所はブラックな会社が多いです。
建築系の仕事は[技を見て盗む]という考え方が染み付いた業界です。
設計事務所も同様に、いちから所員を教育するなんてことはまずないでしょう。
小規模の設計事務所だと最初から現場をまかされ、職人さん達とのやり取りの中で徐々に知識をつけていくのが一般的だと思います。
いきなり現場って…
せっかく建築士とったのに
イメージと違うよ?
建築士の資格があると現場ではそれなりの責任が発生します。
工事監理の責務についてはこちらへ↓
建築士の資格をとったから就職が有利になることや、職業の選択肢がひろがるなどはあるのですが、
資格を持っているが故の社会的責任も、もれなくついてくることを忘れないようにしましょう。
そんなブラックな設計事務所の多い店舗業界ですが、ブラックな店舗設計事務所のチェックポイントをおさえれば回避できる可能性があります。
今回はブラックな店舗設計事務所のチェックポイントなどを私の経験を踏まえてご紹介できたらと思います。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!
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目次
その前に私の職歴について
思えば、今まで数々の設計事務所で働いてきました。
学生時代から大手組織設計事務所(日本設計や日建設計など)やアトリエ系設計事務所(山本堀アーキなど)で、大学を卒業してからは大学教授のアトリエ系設計事務所でお世話になっていました。
静岡の地元に帰らなければならなかったのを機に、建築士の資格をとり地元の設計事務所へと就職したのですが…
いま思えば[ブラックな店舗設計事務所]でした。
魅力的な会社だったのですが、会社としての利益しか考えないブラックな野党集団?です。
[この会社で働くのは3年間]
と期限を決め(実際は4年半、管理建築士として3年半)、その間に会社に蓄積されていたノウハウを自分のものにしてしまおうと、ガンバッたわけです。
おかげで既存不適格建築物が多い店舗や旅館などの案件を3桁ほどこなす激務に耐えられ、それで得られたものも確かに多かったと思います。
今回は、そんな私が思う[ブラックな店舗設計事務所]の見分け方を紹介し、
建築士をとったけど、どこの設計事務所に就職しようか迷っているあなたにアドバイスできたらと思います。
ブラックな店舗設計事務所とは?
ブラックな店舗設計事務所のチェックポイントは以下の通りです。
これ以外にもたくさんあるのですが就職する前にある程度は調べられたり、面接時に聞くことができる事を挙げてみました。
1つでも当てはまっていたら注意しましょう。
チェックポイント
①代表が建築士でない
②建築士の在籍数が少ない(3人未満)
③設計・施工一貫で施工が優位
④法律を遵守しない
⑤アフターフォローをしない
①代表が建築士でない
設計事務所では代表が建築士でないケースがあります。意外に聞こえるかもしれませんが、代表は建築士でなくても設計事務所を開設することができます。
その場合、事務所を専任で管理する[管理建築士]が必要となります。
この[管理建築士]の1級、2級の資格種別によって[○級建築士事務所]と呼び名が違ってきます。
この代表が建築士でないケースの場合は注意が必要です。
代表は仕事を取ってくるために、お客さんとの打合せがメインとなるわけですが、
建築士としての知識がないがゆえに法的にアウトな案件も引き受けてしまうケースがあります。
[管理建築士]が打合せに同席できればその場でアドバイスできるのですが、店舗設計事務所の場合は案件数が多いのでなかなか同席できない場合が多いです。
代表が建築士としてしっかりと経験をつんでいる会社や、設計事務所としての管理体制がしっかりしている会社を選ぶようにしましょう。
②建築士の在籍数が少ない(3人未満)
店舗設計事務所は営業の人数にもよりますが、私の場合は忙しいとき週に3件ほどの案件をかかえていました。
案件によっては各行政機関へと足を運ばなければならなかったします。
業者との打合せやほかの人の案件の法チェックもしなければならなかったのでとても大変でした。
建築士の在籍数が少ない店舗設計事務所では当然ですが、法チェックが追いつかないケースが出てきます。
建築士の在籍数が少ないと、建築士を取ったばかりの自分自身に全て厄介な仕事をふられてしまうケースが多くなるので、
少なくとも3人以上の建築士が在籍する店舗設計事務所を選ぶようにしましょう。
③設計・施工一貫で施工が優位
店舗設計事務所は設計だけを行う会社と設計・施工一貫で行う会社のタイプ分かれると思います。
私は設計・施工一貫の設計事務所で働いていたのですが、施工が優位な店舗設計事務所の場合は注意が必要です。
施工側が工事の予算を握っているので、どうしても施工側の意見での素材選定や納まりになり、設計業務がおろそかになりがちです。
また、設計1人がかかえている案件数も多いので施工主導で進められる現場では図面作成や法チェックがおろそかになりがちで、やり直し施工などのロスも多いです。
設計・施工一貫で行う会社の場合は、設計より施工が優位かどうかはなかなか外からだと判断しずらいのですが、
その会社の過去の実績からどのような設計を行っているかなどで判断するようにしましょう。
※外注の設計事務所を使っているケースもあるので見極めは難しいです。
就職してからこの会社は施工が優位だと感じたら早めに転職を考えましょう。
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④法律を遵守しない
法律を遵守するのはあたり前なのですが、既存不適格建築物などなかなか正当な方法では手がつけられない案件もでてきます。
その場合の案件をどのように会社が対処するのかでブラックかどうか判断しましょう。
また[○級建築士事務所]として事務所登録しているかも判断基準となります。
法律を遵守しない設計事務所の場合は、資格を持っている自分自身に火の粉が降りかかってきます。
建築士事務所として事務所登録していれば安心というわけではありませんが、
社会的な責任をしっかりと認めていることになるので、法律を遵守しない場合は罰則が用意されています。
⑤アフターフォローをしない
会社の過去の実績からいまでも付合いがありアフターフォローしている案件がどのくらいあるのかでブラックかどうか判断できます。
店舗の場合は5~10年以内に改装するのが一般的ですので、しっかりとアフターフォローしていれば同じ会社で工事を行うと思います。
やりっぱなしの会社ではその先の仕事につながらないので営業がいくらがんばったところでだんだんと案件数が少なくなります。
住宅の耐用年数は30~50年なのに比べて、店舗は5~10年以内に改装するのでしっかりとお客さんをつかめば安定した収入も見込めます。
アフターフォローがしっかりとしていて、安定した顧客がいる店舗設計事務所を選びましょう。
ブラックでも得られるもの
自分の就職した店舗設計事務所がブラックだったとわかったとしても落ち着いて対処しましょう。
自分の場合は3年間という期限を設けて会社のノウハウを身につけることに専念しました。
仕事はつらくても得られるものがあるのがブラックの悪魔的な魅力でもあります。
具体的に私が就職して得られたノウハウは以下に代表されるようなものです。
①マルチタスクが身につく
②法チェックが早くなる
③3DCGパースなどの表現能力
④カッコいい意匠と納まり
⑤建築素材についての知識
実際に私が設計事務所として独立できたのは、このブラックな店舗設計事務所で得た経験や知識のおかげだった部分が大きいです。
もちろんそんなに自分を酷使しなくてもノウハウは長年やっていれば身につくものですが、
若い頃にした苦労や経験はその後の人生を劇的にかえると思います。
いまの職場で得たいものがないのであれば早めに転職を考えたほうがいいと思います。
ブラックな店舗設計事務所のチェックポイントのおさらいです。
チェックポイント
①代表が建築士でない
②建築士の在籍数が少ない(3人未満)
③設計・施工一貫で施工が優位
④法律を遵守しない
⑤アフターフォローをしない
せっかく建築士の資格をとったのに上記に当てはまるブラックな店舗設計事務所に就職しないようにしっかりと就職先の下調べをしてストレスや無駄のない人生を送りましょう。
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アーキトリック一級建築士事務所