欠陥住宅を建てないために工事管理(たけかん)と工事監理(さらかん)は分けましょう
[管理:たけかん]、[監理:さらかん]と呼び分けている工事管理(工事監理)ですが、しっかりと役割の違いがわかると、自分の住宅を建てる際に工事監理が必要かどうか判断できるかと思います。
建設会社では
そんな説明なかったけど
工事監理ってそんなに重要なの?
この判断を抜きに住宅を作ってしまうと、欠陥住宅を建てることになりかねませんのでしっかりと理解した上で、必要かどうかの判断をするようにしましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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工事管理と工事監理ってどう違うの?
工事管理(たけかん)と工事監理(さらかん)の違いについて立場違いややる仕事の違いなどしっかりと理解して、
自分が頼もうとしている建設会社の工事監理は誰がやるのかしっかりと聞くことをおすすめします。
以下のチェックポイントを住宅を建てる建設会社などに質問して管理体制を確認することをおすすめします。
■工事監理は誰が行うのか
■監理者が実際に現場で指示するのか
■工事管理と兼任かどうか
■監理者と建設会社との利害関係
■建築主の意図が現場に伝わるかどうか
工事管理とは
工事現場を動かす責任者のことです。建設会社の現場代理人が工事管理者になります。現場監督とも呼ばれています。
具体的な業務としては、工程計画や施工順序を検討したり、大工などの職人の手配や、材料の発注・管理や、
作業員および周辺住民の安全確保などが多岐にわたって工事現場を管理し進めるのが仕事です。
職人さんたちに作業をお願いする立場なので、実際の作業はすることはありません。
工事監理とは
建築主の現場代理人として設計図のとおりに施工が進んでいるか確認し、
現場での打ち合わせが難しい建築主に代わりに専門知識を持った者が適切な施工のチェックを行います。
この際、図面だけでは伝わりきらない内容を現場の人に伝える役割もあります。
また、その建物が建築基準法やその他の法律に違反していないかなどのチェックも行います。
工事監理者はその建物の設計者や、建築に精通した設計者が任命されるのが一般的です。
工事監理の必要性
建設会社の現場代理人と建築主の現場代理人と違いは理解できたと思いますが、どちらも工事を進める上で必要だと思います。
しかしながら、コストカットのために工事監理を建設会社側の人間が行う場合があります。
その場合は、建築主(施主)として注意しなければ現場の都合で営業との打合せで決めてきた図面通りに施工してもらえないケースがあります。
工事監理は建築主(施主)側の代理人として建設会社の利益に関係なく図面通りに行うように指示することが仕事です。
工事監理を建設会社側の人間でなく、建築主(施主)から直にお願いした人にまかせたほうが利害関係にとらわれずにすむので工事監理だけでも信用している設計事務所などにお願いしたほうがいいと思います。
■ハウスメーカーの工事監理体制ですが、建築士から名義をかりて実際には現場で監理せずに工事管理(現場監督や職人)に任せる場合がほとんどです。
また、窓口は営業なのですが、建築士でない場合が多いので木造住宅工事仕様書など熟知しておらずに欠陥住宅がおおいのもハウスメーカーの欠点です。
設計施工一貫の問題点
設計施工一貫の建設会社の場合は、工事監理者を下請けの建築士や、自社の社員に兼任させているところが多いです。
この場合は「監理者がいない状態」になるリスクがあります。
雇われの監理者にとって大切なのは雇い主(建設会社)の指示です。そのため、雇い主の不利になるような指摘を行わない可能性があります。
本来ならチェックや建築主(施主)に報告しなければならない事柄がうやむやになる可能性もあります。
とくに建築物は外からの見た目が検査の多くを占めてしまうので、内部的な瑕疵は見つからないことがほとんどです。
責任施工であったとしても、工事監理については建築主の側に立ってくれる人にお願いするのが望ましいです。
費用はかかりますが、長い時間が経ってから瑕疵が見つかることに比べれば安いものだと思います。
欠陥住宅は工事監理していない?
平成14年には、施工会社の下請けで、確認申請書に設計及び工事監理を行うとして名前を記載し、
実際には工事監理を行わず欠陥を発生させた代願設計事務所に、高額な賠償を課した判決がありました。
欠陥住宅問題が大きく取り上げられることにともない工事監理の重要性が認められてきたことが大きな要因であると考えられます。
同じ利害関係にある施工会社側の人間や、それに雇われた人間では、そのような的確な工事監理など行われないでしょう。
ハウスメーカーなどでは経費節減の意味も含め、工事監理はほとんど行われていないのが実情です。
工事会社はだれにもチェックされていないことをいいことに、ずさんな工事や手抜き工事を行う可能性があります。
これは一例ですが…
窓の大きさや取付位置に関しても法律は規定しています。それを変更しても建築基準法に違反する可能性があります。
たまたま建築主がそれに気がついて工事会社に是正を要求しても
「素人はだまっていろ!」
などと言われたというような話をよく聞きます。
そういう意味において「建設会社とは何の利害関係もなくはっきりものを言える立場の設計事務所による監理」を分けることが重要だとおもいます。
まとめ
住宅を頼む際にはハウスメーカーにしても設計施工一貫の建設会社にしても以下のことを質問して工事の管理体制をはっきりと把握しましょう。
■工事監理は誰が行うのか
■監理者が実際に現場で指示するのか
■工事管理と兼任かどうか
■監理者と建設会社との利害関係
■建築主の意図が現場に伝わるかどうか
などです。
少しでも手間をはぶき、安く収めたいと思うのはどこの会社でも同じですが、安くした分の代償として欠陥住宅が生まれてしまっては元も子もありません。
上記のことに注意しながら、工事が始まる前にしっかりと確認しておきましょう。
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