ほったらかしはダメ!基礎工事の流れをしっかりと理解しよう
住宅の基礎は建物を足元から支えてくれるとても重要な工事です。
最近では工事期間の短縮のために養生期間をしっかり取らないで型枠を外してしまうケースが増えています。
そんなこといっても
初めてだしわからないよ!
今回は基礎工事の流れを簡単に説明した上で、現場に実際に行った時にチェックするポイントなどをご紹介します。
ほったらかしで業者まかせしないで、なるべく時間が取れる時は現場に足を運びましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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基礎工事の流れ
以下は木造住宅2階建てのべた基礎の工事の流れと工事写真です。
※うちの基礎工事は㈱鈴創さんにお願いしました。まだ若い親方ですが非常に几帳面な性格でしっかりと堅牢な基礎を作っていただきました。
①根切り
②砕石地業(割栗地業)
③捨てコンクリート
④墨出し
⑤鉄筋工事
⑥金物の取付け
⑦型枠工事
⑧コンクリートの打設
⑨基礎の天端均し
⑩基礎コンクリートの養生
⑪型枠の取外し
①根切り
基礎を設ける部分の土をバックホウなどの重機で取り除く工事のことです。水貫に打った目印に合わせて水糸を張り、その位置の地盤面を掘り下げます。
水貫とは建物や基礎の位置や高さを決めるために配置した木材のことです。基礎の周りに杭を打ち、貫(平たい木材)を水平に囲ったものです。
②砕石地業(割栗地業)
根切りした底に砕石を敷き詰め、ランマーで突き固める工事のことです。地盤の支持力を増大させる効果があります。
③捨てコンクリート
砕石地業で固めた表面にコンクリートを薄く流し込みます。これを捨てコンクリートといいます。
強度には直接的に関係ありませんが、基礎の位置を正確に墨出しするのに必要な作業となります。
④墨出し
捨てコンクリートの表面に墨出しを行います。基礎の底部の型枠を組立てるための準備作業です。
水貫に糸を張り、下げ振りで捨てコンクリート表面に位置を出します。
⑤鉄筋工事
べた基礎の場合は墨出しをしてから外側の型枠を先に作り、その後に鉄筋を配筋するケースが多いです。
基礎に鉄筋を入れるのは、引張る力に弱いコンクリートを補強するために鉄筋を補強しています。コンクリートのひび割れ防止などにもなります。
配筋を終えた段階で住宅かし保険の基礎配筋検査を受けることになります。
⑥金物の取付け
アンカーボルトやホールダウンアンカーといった金物を設置します。
ホールダウンアンカーは基礎底盤までの長さのものもあるのでコンクリートで打設する前で鉄筋を配筋した後にしっかりと設置します。
2段階でコンクリートを打設する場合は、この段階まで終わったら次は基礎底盤のコンクリートの打設となります。
⑦型枠工事
基礎底盤のコンクリートの打設が終わったら立上がり部分の型枠を設置していきます。
排水管や給水管など外に貫通する部分のスリーブの設置や鉄筋の補強をしっかり行いましょう。
⑧コンクリートの打設
ミキサー車からポンプ車へコンクリートを注ぎ込み、ポンプ車のホースからコンクリートを立上がり部へ流し込みます。
近くの工場から何回もコンクリートのミキサー車が往復します。
ポンプ車やミキサー車の駐車スペースはしっかりと確保しておきましょう。
また間隔があまりあかないように注意しましょう。
⑨基礎の天端均し
コンクリートがある程度かがまってきたら型枠に印した水平位置まで基礎天端のレベラーを流し込みます。
基礎コンクリートを打設し終えてからその日のうちにレベラーを流し込むケースが多いです。
⑩基礎コンクリートの養生
コンクリート打設後は規定の強度がでるまでしっかりと養生をします。冬場は外気温が2℃以下にならないように凍結防止のためにシートで養生します。
また直射日光や高温による乾燥防止のために散水したりします。
⑪型枠の取外し
住宅の基礎の養生期間は一般的に5日以上とされています。5日~1週間以上たってから型枠をとりはずすようにしましょう。
ちなみにコンクリートの強度試験は7日と28日(4週)に行います。
建て方はしっかりと強度がでてから行うのが理想です。うちの場合は3週間(21日)の養生期間をとりました。
少なくとも2週間(14日)は取ったほうがいいと思います。
チェックするポイント
現場見学をする時にこんなところをチェックすればいいかと思います。
・現場の綺麗さ
・配筋について
・住宅かし保険の基礎配筋検査
・コンクリートの打設について
・しっかりと養生期間をとる
・現場の綺麗さ
どんな現場でもゴミが落ちているのはNGです。特にコンクリート打設前に型枠の中にゴミが落ちてないかチェックしましょう。
・配筋について
鉄筋の配筋が型枠にくっ付いていないかチェックしましょう。この型枠と鉄筋までの隙間をかぶり厚といいます。
厳密に寸法を測る必要はありませんが、極端に狭い箇所は現場管理者に指摘しましょう。
・住宅かし保険の基礎配筋検査
現場管理者が立会うので施主として立会う必要はありませんが検査前の鉄筋が配筋された状態を一度見て回ったほうがいいかと思います。
※住宅かし保険とは新築住宅で検査を受けて合格したにもかかわらず、万が一かしがあった時に保証を受けられる保険です。
※かし(瑕疵)とは、新築住宅で出来上がった住宅が建築基準法で定められた性能を満たさない状態のことです。
この場合、売主または請負業者は、補修により必要な性能を確保する義務があります。
・コンクリートの打設について
コンクリートの打設に立会う場合は、ミキサー車が行ったり来たりす間隔に注意しましょう。
・気温が25℃より高い場合は90分以内
・気温が25℃より低い場合は120分以内
が目安となります。
夏場は時間との勝負になります。間隔をあけすぎるとコンクリートの品質が低下します。
バイブレーター(加振機)でしっかりと振動を与えコンクリートを隅々までいきわたらせているか作業を見ましょう。
基礎を底面と立ち上がり部分の2回に分けて打設するとき、打ち継ぎ面が発生します。打ち継ぎ面には、「レイタンス」という強度の弱い部分が出ています。
レイタンスはワイヤブラシや高圧洗浄機を使って取り除く必要がありますが、戸建ての基礎工事ではあまり行われていないのが現状です。
レイタンスを除去したあと、打ち継ぎ面に散水してコンクリートの上面を湿潤状態にしておくと、立ち上がり部分との接着性が良くなります。
打ち継ぎ部分への散水は簡単で、接着性の向上だけでなく表面のゴミなどを取り除く意味もあるため、ぜひやってもらいましょう。
・しっかりと養生期間をとる
住宅の基礎の養生期間は一般的に5日以上とされています。5日~1週間以上たってから型枠をとりはずすようにしましょう。
建て方はしっかりと強度がでてから行うのが理想です。
うちの場合は3週間(21日)の養生期間をとりました。少なくとも2週間(14日)は取ったほうがいいと思います。
設計段階で注意すること
設計段階で基礎の設計する上で下記のことはしっかりと行いましょう。
・地盤調査をしっかりとする
・基礎の種類の選択
・地盤調査をしっかりする
地盤調査しないと地耐力がどのくらいあるのかわからないので、基礎の種類も選択できません。
地盤調査はスウェーデン式サウンディング試験が一般的です。
※比較的規模の大きな建物を建てる場合には、頑丈な地層までくりぬいて調査する、ボーリング調査(標準貫入試験)を採用することもあります。
スウェーデン式サウンディング試験は基礎の四隅と建物の中心などを機械を使って掘り進めていき貫入抵抗を求める試験です。
地盤強度だけでなく土質(砂利や粘土など)や地下水の位置などもわかります。
半日の作業で30,000~50,000円程度でできる簡単な試験です。
・基礎の種類の選択
地盤調査の結果から基礎の種類が提案してもらえるのでそこから選択することになります。
軟弱地盤の場合は表層改良工法、柱状改良工法、鋼管杭工法などが必要な場合もでてきます。
地盤調査を頼んだ会社では周辺のボーリング調査データがあるので周辺の建物での対策をよく聞き、アドバイスをもらいましょう。
今での木造2階建ての住宅は、べた基礎か布基礎の2択だと思います。
べた基礎のメリット
・耐震性に優れる
・湿気が建物まで上がらない
・シロアリ被害を防ぎやすい
・敷地境界ぎりぎりで作れる
べた基礎のデメリット
・コストが高くなる
布基礎のメリット
・コストを抑えやすい
布基礎のデメリット
・耐震性はベタ基礎と比べて不利
・ベタ基礎と比べて湿気やシロアリ被害を受けやすい
まとめ
設計段階でしっかりと地盤調査し、その土地にあった基礎の種類を選択し、
基礎工事が始まったら基礎工事の流れをみながらチェックするポイントで現場を見学しましょう。
住宅を建てるとき基礎工事はあまり見学しない施主が多いかもしれませが、施主が来ると現場は引き締まるものです。
あたり前ですが建物の足元をしっかりとささえてくれる基礎なくして建物は建ちません。
基礎工事をしっかりと見学し、自分の家が出来上がっていく様子を写真に撮っておくとことをおすすめします。
※余談ですが、うちの基礎の鬼門にはドワーフが埋まっています。プラスチックの小さい人形で、家の鬼門を守ってくれていますw
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