「リビング階段」で間取りを決める前に注意すること

リビング階段とはその名の通りリビングの中に階段がある間取りのことです。このリビング階段のある間取りですが採用するにはいくつかの注意点があります。

リビング階段のある家って
お洒落な実例たくさん見るけど
実際はどうなの?

リビング階段はお洒落な実例が多いのは確かですが、実際住んでみて困ったことなどが多いのもこのリビング階段なのです。

今回はリビング階段のメリット・デメリットをとりあげ、実際に作るときに設計上で注意すべき点などをアドバイスできればと思います。

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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リビング階段のメリット

リビング階段のメリット
メリット

・顔を合わせる機会が増える
・リビングが広く見える
・お洒落な階段が映える
・吹抜けと相性がよい

顔を合わせる機会が増える

リビング階段にした場合、リビングを通らないと2階に上がれないので必然的に家族と顔を合わせる機会が増えます。

そのため家の中に誰がいるのか把握しやすくなり、子供が夜勝手に出歩いたりするのを防ぐこともできます。

リビング階段にすることで、家族のちょっとした変化に気づく機会が増えます。

リビングが広く見える

階段室の空間がリビングに取り込まれるのでその分、リビングが広くなります。

あまりリビングを広く取れない場合は階段を取入れて広く見せることも効果的です。

また、階段下の空間を作業スペースに使ったり工夫次第で広くなった空間を利用することができます。

お洒落な階段が映える

リビングは普通は自然光の入る明るい場所に設けます。その中に階段があるので日差しの入る明るい階段になります。

ストリップ階段(蹴込板がない)のようにデザイン性の高い階段が多く用いられ、インテリアのひとつとして考えられた階段が多いです。

吹抜けと相性がよい

階段は縦方向の移動ですのでリビング階段の部分を吹き抜けにすることでより開放的なリビングにすることができます。

吹き抜けと一緒のリビング階段は床面積に余裕がないとできませんが、家の中で1階と2階で緩やかな繋がりができます。

キッチンでご飯ができた時などわざわざ2階に行かなくても声が届きます。

リビング階段のデメリット

リビング階段のデメリット
デメリット

・プライバシーの確保が難しい
・ニオイや音が2階に伝わる
・来客と顔を合わせてしまう
・暖房の熱が上階に逃げやすい

プライバシーの確保が難しい

子供が小さい時はそんなには気にならないのですが、大学生や社会人になってくると友達を呼んだとしても、

毎回リビング階段を通らなければならないので、家族の誰かの眼に入ります。

家族が顔を合わせる機会が多いというのはメリットでもありデメリットにもなる場合もあります。

ニオイや音が2階に伝わる

リビング階段で2階につながっているので、やはりニオイや音は2階まで伝わりやすくなります。

料理で魚を焼いた時のニオイがなど気になったり、リビングでのテレビの音なども2階へ伝わってしまいます。

来客と顔を合わせてしまう

お客さんが来たときに子供が友達を連れて遊びに来ていてリビング階段を通るたびにお客さんとの話が中断してしまい、

来客にきまづい思いをさせてしまう場合もあります。

また大切な来客の際に子供や他の家族は気を使ってリビング階段を通ることを控えたりするケースもあります。

普段の家族の動線上にあるリビング階段なので、どうしてもそのようなことが起こってしまいがちです。

暖房の熱が上階に逃げやすい

暖められた空気は上階へと逃げていき、冬は暖房の熱が2階や吹抜け上部にたまりやすいです。

また、冷たい空気がリビング階段を伝わって下の階へと降りてくるので、リビング階段のあるリビングではどうしても寒くなる傾向があります。

家全体で断熱性と気密性を高める工夫も必要となります。

注意したいこと

注意したいこと

・生活スタイルを考える
・高気密、高断熱の家にする
・床暖房と基礎断熱にする

生活スタイルを考える

リビング階段にするとリビングで過ごす時間が多くなると思います。

テレビに集中したい時に子供が友達を連れてきて遊びだした場合などうるさくて集中できないことなど多々あります。

それでも、子供たちが何をして遊んでいるか会話や物音でわかったりできるので安心してキッチンで料理を作ることができたりします。

リビング階段を間取りに取りいれることは生活スタイルを考えなおすことになります。

家族と過ごすよりもひとりで集中できる書斎が欲しい場合など、音が2階まで聞こえてしまうデメリットは大きいです。

子供はいずれ大きくなり家を出て行きます。

個人で過ごす時間を大切にするのであればリビング階段はあまりおすすめではありません。

間取りを決める際にはもう一度、生活スタイルや将来の変化を考える必要があります。

高気密、高断熱の家にする

家全体を高気密、高断熱にすることが必要です。

いくら階段から冷気が降りてきたり、暖かい空気が2階に行ってしまうからといってカーテンや建具などで間仕切りを設けてしまってはリビング階段の意味がありません。

ニオイや音の問題もありますが、格子で間仕切りをしたり、床や天井に木製のグレーチングを設けて空気をうまく循環させ、

家全体で温度を均一に保つことを考えましょう。

床暖房と基礎断熱にする

吹き抜けと一緒のリビング階段にする場合などの冬場は、床暖房にするのと同時に基礎断熱にすることで、

床下からの冷気をシャットアウトし足元から空気が暖かくすることができるのでおすすめです。

また吹抜けに設けた窓から西日が差し込んでしまう場合、夏場は冷房が効きづらいことも考えなければなりません。

庇を設けて西日をさえぎることや、冷暖房設備は馬力の大きめのものを検討するようにしましょう。

まとめ

リビング階段はお洒落な実例が多いのですが、一方でニオイや音、プライバシーが保てなかったりなどデメリットもありました。

最初は家に誰かしらの気配が感じられることは子供にとって安心して遊べたり、

何か変化があれば気がつく機会が増えるのはいいことだと思いますが、生活スタイルは子供が成長するにつれて少しずつ変化していくものです。

間取りを決める際はしっかりと家族の生活スタイルを考えないと後で苦労することも多々あります。

この記事がリビング階段を取り入れた間取りを検討する際のお役に立てれば幸いです。

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