セルフビルドでの施工に役立つ木造住宅のおすすめ参考書
DIYの延長でセルフビルドを始めてしまうと必ずぶち当たるのが木造住宅の施工方法です。
木造住宅の場合は基礎工事の配筋から木工事の接合金物の取り付け方、釘の種類やピッチ、屋根アスファルトルーフィングの張り方、サッシ周りの防水シートの張り方などなど、施工基準が細かく決められています。
フラット35を使わないから
自由に作ってもいいんじゃない?
極論ですがフラット35の住宅ローンを使わないのであればDIYの延長でいいのですが、
やはりそこで生活するのでせっかくつくったのにすぐに壊れてしまったりしては問題があります。
今回はそんな木造住宅をセルフビルドでつくるときに参考にしたい「おすすめ参考書」を紹介できればと思います。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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「おすすめ参考書」の紹介
建築基準法では
「–建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。」
という目的のもと定められています。
私は、フラット35の「木造住宅工事仕様書」は、木造住宅をつくる上での最低限の施工基準を定めたものだと考えています。
せっかくつくるのだから安全で快適にできるだけ長く住みたいのは当然だと思います。
木造住宅工事仕様書
フラット35の住宅金融公庫から融資を受けることのないセルフビルドは、この本に書いてあるとおりに家をつくる必要はないわけですが、
耐震性、断熱性など住宅に必要な一定レベルの性能を確保するにはどうしたらいいか非常に参考になる一冊です。
私はこのフラット35の木造住宅工事仕様書が木造をつくる上で基準となる施工方法だと考えています。
フラット35を利用しない木造住宅でも設計図書にこの仕様に準ずるよう記載して施工してもらうようにしています。
ゼロからはじめる木構造
なぜそのような施工方法になるのかなど、木構造が根本からわかる一冊です。
地震に強い木造住宅をどのように作ればよいのかなどとっつきにくいとっつきにくい木造の構造設計について、はじめての人にも分かりやすく解説しています。
柱・梁の役割、床・小屋の役割、地震に弱い建物のかたちなど、豊富なイラストと平易な文で、学生から設計初心者まで構造の基礎を手軽に学びたい人に最適です。
木造住宅 建築工事の進め方
木造住宅ができるまでの一通りの流れを実際の写真付で解説してくれる一冊です。
各工事ごと注意するポイントなどが簡潔に説明されているので、工事を実際に進めるときにはこの参考書を手元においておけば安心です。
細かな施工方法などは「木造住宅工事仕様書」に戻ることが必要ですが、セルフビルドをやっていると細かなところが気になりがちです。
工事を始める際に大まかに写真でイメージをとらえ、おさえるべきポイントをみるだけでも1日の作業のはかどり具合は違ってきます。
セルフビルドの現実な線引き
まったくの素人がセルフビルドで木造住宅を作るのはとても大変です。
セルフビルドといっても専門の工事は業者に頼んであくまでも主体(発注者)が自分自身にあり、
自分でできることは自分で施工を行うスタイルがほとんどだと思います。
セルフビルドの現実的な線引き
実際にセルフビルドでフラット35の「木造住宅工事仕様書」通りにつくろうとすると業者に頼まなければ難しい工事も出てきます。
その代表的な工事は
・基礎工事
・構造材の刻み加工(プレカット)
・建て方
・足場仮設
・屋根工事
・専門工事(電気、ガス、水道、電話など)
などです。
自分でやるにしても専門の資格が必要だったり、重機の免許が必要だったり、
人手を集めなければできなかったりしますので、しっかりと計画をたて業者に頼むというハーフビルドという選択肢を忘れないようにしましょう。
セルフビルドの定義にもよりますが、あくまでつくる主体が自分自身にあることが重要だと思います。一部分を業者に頼んでしまったらセルフビルドにならないなんてことを言う人などいないと思います。
※水道屋さんや電気屋さんなどが自邸を作る際なども実際は工事の一部分を自分が施工して、
全体は工務店が施工して工事監理するか、分離発注するやり方が一般的だと思います。
そのほかのおすすめ参考書
これは実際にセルフビルドした体験をもとに書かれた一冊です。全ての内容は実際の経験をもとに書かれているのでとても参考になります。
とにかく情報量を多く、楽しく分かりやすく、素人が一人で建てるための、建築本には書いていない裏ワザを多くということに留意したもりだくさんの内容で、
「自分で家を建てられないかな」
と漠然と考えている人には一読の一冊です。
まとめ
まずは木造住宅の構造を知ることから初めて、「木造住宅工事仕様書」が空気を吸うように自然に施工できるようになるまでには時間がかかります。
大工見習いも3年以上の修行期間が必要といわれています。
素人のセルフビルドでやるDIYの延長で考えていると後から後悔することが多々ありますので、
まずは「木造住宅工事仕様書」を熟読し、最初から一戸建ての木造住宅にチャレンジするのではなくリノベーションなどから始めてみることをおすすめします。
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アーキトリック一級建築士事務所