その店舗って基準法満たしてる?店舗を作るとき注意するべき法規の基礎知識
店舗を作るとき注意しておかなければならない法規があります。
これを無視して店舗を作っても行政代執行をうけ営業できなくなってしまうこともあります。
また、かかわった関係業者にも業務の停止、営業許可や免許の取消しなど実際に行政処分を受けるケースも増えてきています。
テナント借りるときそんな説明なかったし、知らなかったで済むんじゃない?
違反建築物には関係業者の処分、行政代執行、罰則が決められているので自分だけの責任では済まされません。
最大で懲役3年以下、300万円以下の罰則があります。
ここでは、代表的な法規をとりあげ概要を説明いたします。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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5つの代表的な法規
1.内装制限
2.排煙設備
3.消防設備
4.大規模修繕や模様替え
5.用途変更
1.内装制限
多くの人が使う施設であるホテル、劇場、百貨店、料理店、飲食店などは特殊建築物になります。
万が一火災が発生した際にその被害を最小限にとどめるため、内装で使用する素材などに細かな決まりがあります。
その決まりが内装制限といわれるものです。
料理店や飲食店では、1.2m以上の高さがある天井や壁が対象になります。
(床は内装制限の対象外となっていますが、それは火が上に燃え広がる性質があるからです。)
耐火建築物の場合は3階以上の部分の床面積が1000㎡以上、準耐火建築物では2階以上の部分の床面積が500㎡以上、それ以外の建物は床面積が200㎡以上のとき内装制限の対象となります。
詳しくはこちらをご覧ください。
対象に当てはまる居室のほか、廊下や階段、通路などの天井や壁も火災時に避難経路となるため、
準不燃材(または難燃材料)以上の耐火性がある材料を選ばなくてはいけません。
※下地に関しての規定ではないので木下地でも可能ですが、管轄する自治体や消防によって判断の違いはありますので、事前に相談することをおすすめします。
準不燃材、難燃材とは
建築基準法(以下基準法)にもとづき決められた素材で、通常の火災による火熱が加えられた場合に
1.燃焼しない
2.防火上有害な損傷を生じない
3.有害な煙やガスを発生しない
上記1~3の状態が保てなくなるまでの加熱時間の長さによって「準不燃材」「難燃材」に分類されます。
・準不燃材 : 加熱開始後10分
・難燃材 : 加熱開始後5分
準不燃材:9mm以上の石膏ボード、15mm以上の木毛セメント板など
難燃材:7mm以上の石膏ボード、難燃合板で5.5mm以上のものなど
製品に印刷されていたりラベルが貼られているので確認することができます。
※余談ですが、住宅などのガレージ(車庫)は内装制限がかかるので天井や壁は準不燃材以上で仕上げなければなりません。
※倉庫や物置として申請して実際は車庫として使うのは違法ですので注意しましょう。
これらの規定は政令により変わる場合があります。また、建物の規模や建物の構造によっても制限が変わってきます。
安全基準を満たした内装にするためにも、建築士や施工業者に使用する材料について確認しておきましょう。
※消防法によりカーテンやブラインド、絨毯など燃えにくい物(防災対象物品)を使用することが定められています。防災対象物品のラベルが貼られているものを使用しましょう。
2.排煙設備
排煙設備とは火災が起きた際に発生する煙を外へ出すことを目的とした設備のことです。サッシの上部についている排煙窓などがそれにあたります。
多くの人が使う施設であるホテル、劇場、百貨店、料理店、飲食店などは特殊建築物の場合は、居室の床面積の1/50以上を確保することが義務付けられています。
テナントなどの場合はあらかじめ建築に設置されている排煙窓を利用することになるわけですが、
開けられないようにふさいでしまったりすることはできません。
また、手動で開放するためのハンドルなどは床面より800~1500mmの範囲でしっかりと設置することが必要です。
※100㎡以内毎に天井や壁の下地を不燃材料で区画することで排煙設備が不要になるなどの場合もありまが、
各自治体では排煙設備に関して、独自の決まりを作っているケースもありますので各自治体に問い合わせてください。
平成12年5月31日建設省告示第1436号
3.消防設備
消防設備とは消防法や関係政令で規定されている「消防の用に供する設備、消防用水及び消火活動上必要な施設」の総称です。
一般的に消火器などの消火設備、自動火災報知設備などの警報設備、避難はしごなどの避難設備に大別されています。
消火器の設置はもちろんですが、自動火災報知設備のついているテナントの場合は改装などでの間取りの変更により自動火災報知設備も変更しなければなりません。
そのビルを担当している消防設備士などに相談する必要があります。
消防設備の設置基準に関してはこちらをご覧ください。
4.大規模修繕や模様替
戸建ての店舗などの場合で、外観を一新したいので外壁や屋根などを変更する場合があります。
これは基準法上、大規模改修・模様替と呼ばれるもので「主要構造部(外壁や屋根等)の一種類以上について行う過半の修繕・模様替(改修)」のことです。
この場合は建築の確認申請が必要となり、現行の基準法にのっとった改修が必要になります。
法改正や古い建物などの場合は現況の建物が現在の基準法に適合していない場合も多々ありますので、
確認申請が必要な場合はその部分の改修も必要になり、大掛かりな改修になってしまうケースもあります。
外観や構造を改修する場合など、現行の基準法に適合しているかどうかの判断を建築士などに相談することが必要です。
5.用途変更
用途変更とは既存建物の現在の用途から異なる用途へ変更することです。
例えば、もともと「事務所」の用途として使われていた建物を「簡易宿泊所」の用途に変更するなどが、「用途変更」にあたります。
このような場合は確認申請をはじめ、消防や保健所など、様々な手続きが必要になる場合があり、それに応じた工事を行う必要があります。
用途変更の確認申請は200㎡未満の場合は必要ないのですが、この取り扱いには注意する必要があります。
合算の面積で必要になるケース
各階の床面積が190㎡の3階建ての場合、各フロアのみでの用途変更は必要ないのですが、
1階と2階を用途変更する場合は合計で380㎡となり用途変更の確認申請が必要になります。
※平成30年6月27日に公布された「建築基準法の一部を改正する法律(平成30年法律第67号)」により、
2019年6月26日から建築基準法第6条第1項第一号建築物の面積要件が100㎡超から200㎡超に変わりました。
用途変更の確認申請が必要とならない場合でも消防法上の用途変更の届出は必要となります。
消防用設備などの設置・変更が必要な場合がありますので消防への事前相談は必要です。
まとめ
今まで大丈夫だったからといって、既存建物の法規チェックをしないでテナントをかってに改修してしまうケースが多いのが現状です。
万が一、店舗内で人身事故が起きてしまった場合、自分の行政代執行による営業停止だけでなく、かかわった関係業者にも業務の停止、営業許可や免許の取消しなど実際に行政処分を受けるケースも増えてきています。
しっかりと店舗を作るときは上述した事項に注意しながら、必要に応じて建築士や各自治体、消防などに事前に相談することをおすすめします。
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アーキトリック一級建築士事務所