ガスコンロとIHのどちらがいいの?注文住宅で迷いがちなコンロの特徴まとめ
せっかくの注文住宅ならキッチン設備にもこだわりたいですよね。
特にガスコンロにするかIHにするかは注文住宅を建てる多くの方が迷うポイントです。
ガスコンロとIHのどちらがいいの?
どちらにもメリット・デメリットがあり何を重視するかでどちらが向いているかが決まります。
私は17年間(2023年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきました。
コンロの種類に関してはお客様のそれぞれの考えで選ばれるますが、
新築の場合はIH、リノベーションの場合は既存のガスコンロにすることが多いです。
今回はガスコンロとIHの違いや光熱費についてそれぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・ガスコンロとIHの違い
・コンロのメリットとデメリット
上記のことがわかります。
ガスコンロとIHのどちらにしてもほとんど毎日使用することになるキッチン設備です。
メリット・デメリットを慎重に検討して選ぶようにしましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
ガスコンロとIHの違い
まず初めにガスコンロとIHの違いについて確認してみましょう。
ガスコンロ
ガスト空気が混ざった混合気を燃やすことで火を使った調理ができるのがガスコンロです。
IHが普及する前は加熱調理といえばガスコンロが主流でしたよね。
使用するガスはプロパンガスと都市ガスの2種類です。
プロパンガスの方が月々の料金は割高になりますが、ガスボンベを自宅に設置するため災害時の復旧が早いという特徴があります。
一方、都市ガスは月々の料金は安いですが、ガス管を設置するための初期費用が高額になります。
また、自宅近くの道路にガス管が通ってない場合は都市ガスを利用できません。
そのため郊外ではプロパンガスが主流となっています。
IHクッキングヒーター
火を使うガスコンロに対してIHクッキングヒーターは電気の力で加熱調理を行います。
IHとはInduction Heating(インダクションヒーティング)の頭文字で誘導加熱という意味になります。
誘導加熱でなぜ加熱調理ができるのかは以下で説明します。
誘導加熱の加熱調理の原理
・IH内部にあるコイルに電気を流すと磁力線が発生
↓
・ここに金属製の調理器具を置く
↓
・電気抵抗によってIHと調理器具が接している部分が熱くなる現象おこる
というのが誘導加熱の原理になります。
つまり、IHクッキングヒーターは誘導加熱で調理器具自体に熱を発生させているため加熱調理ができるのです。
光熱費が安いのはどちらか
ガスコンロとIHで光熱費が安いのは果たしてどちらでしょうか
結論からいうと答えはIHになります。
1KWhあたりのエネルギーコストを比較すると
1KWhあたりのエネルギーコスト
・夜間の電気 13.46円
・昼間の電気 31.40円
・都市ガス 15.94円
・LPガス 23.55円
となります。
電気会社や契約プランによっても変わりますが、電気料金が夜間料金になるのは午後11時からという電気会社が多いです。
キッチンを使用する時間帯を考えると一見都市ガスが1番やすいように見えますが、
ガスコンロは熱効率が悪いという問題があります。
IHは鍋などの調理器具自体を発熱させるため、熱効率は非常に高く90%なのに対して、
ガスコンロの熱効率の平均は50%前後でガスコンロはIHの約2倍近いエネルギーを消費することがわかります。
熱効率を考えるとガスと電気のエネルギーコストの差はほとんどなくなると考えても良いでしょう。
さらにオール電化にすると基本使用料を一本化できるため、総合的にみるとIHの方がお得となります。
コンロのメリットとデメリット
次にそれぞれのコンロのメリットとデメリットを見ていきましょう。
ガスコンロのメリット
ガスコンロのメリットは以下になります
ガスコンロのメリット
・コンロから調理器具を話した状態で加熱できる
・ガスコンロ対応の調理器具が豊富
・停電時にも使用できる
コンロから調理器具を話した状態で加熱できる
IHと違いガスコンロは調理器具がコンロ上になくても一定時間は火が消えません。
フライパンや鍋をコンロから離してあおったり振る動作が必要な調理ができます。
また、海苔やトマトなどをあぶることができるのも、火を使用するガスコンロならではです。
ガスコンロ対応の調理器具が豊富
ガスコンロ対応の調理器具がIHでは使用できないということは多いのですが、
逆にIH対応のものはガスコンロでも使用できることがほとんどです。
現在使用しているのがガスコンロであってもIHであっても調理器具を買い直さなくて良いのは大きなメリットです。
停電時にも使用できる
現在一般的に使用されている乾電池式のガスコンロであれば、停電時にも使用できるのも大きなメリットです。
また、100V電源が必要なタイプのガスコンロでも停電時対応電池ケースがついているものもあります。
例えば、Rinnai デリシアシリーズは普段は100V電源を使用しますが、停電時には単3アルカリ乾電池2本で約12時間コンロを使用することができます。
いずれの場合も換気は必要となりますので停電時は窓を開けるなど、十分に注意して使用しましょう。
ガスコンロのデメリット
ガスコンロのデメリットは以下になります。
ガスコンロのデメリット
・掃除が面倒
・夏場は暑い
・火災が起きるリスクがある
掃除が面倒
最近のガスコンロは汁受けがないものも多く以前のものと比べると凹凸の少ない天板が増えてきています。
しかし、フラットなIHと比較するとパーツの多いガスコンロは掃除が面倒です。
五徳(ごとく)はガスコンロに欠かせないパーツですが、いちいち取り外して洗うのは手間ですよね。
特にホーローでできた五徳はお手入れを怠ると錆びてしまうため注意が必要です。
夏場は暑い
ガスは熱効率が悪いため、まわりに逃げた熱によって室温が上昇して夏場はキッチンが暑くなってしまいます。
火災が起きるリスクがある
消防庁の発表によると令和3年に発生した火災の出火原因第3位はコンロです。
火を使う以上避けられないことではありますが、ガスコンロには火災が起きるリスクがあります。
このリスクを下げるために2008年から義務化されたのがSIセンサーの搭載です。
SIセンサーとは温度センサーのことで、
・「調理油加熱防止装置」
・「立ち消え安全装置」
・「消し忘れ消化機能」
の3つの安全機能が搭載されています。
SIセンサーを搭載したガスコンロであれば、火をつけっぱなしで忘れてしまったり、天ぷらを作っていたら油の温度が発火点を超えて火がついたなんてことを未然に防ぐことができます。
とはいえ、火災のリスクがゼロになるわけではありません。
安全機能を過信せずガスコンロを使用する際には火の取り扱いに最新の注意を払うようにしましょう。
IHのメリット
IHのメリットは以下になります。
IHのメリット
・お手入れがしやすい
・火災が起きるリスクが低い
・夏場でも暑くない
IHのメリットはガスコンロとは真逆になります。
お手入れがしやすい
IHの大きな特徴であるフラットなトッププレートは、使用後にサッと拭くだけでキレイになるためお手入れが非常にラクです。
火災が起きるリスクが低い
火を使わないためガスコンロと比較して火災のリスクが低く、小さな子どもがいるご家庭でも安心して使用することができます。
夏場でも暑くない
ほとんど周りに熱が逃げないほど熱伝導率が高いため、夏場に長時間使用しても暑くならないというのもメリットです。
IHのデメリット
IHのデメリットは以下になります。
IHのデメリット
・IHから調理器具を離すと使えない
・IH対応の調理器具が必要
・電気がないと使えない
IHから調理器具を離すと使えない
IHはトッププレートと調理器具が接触することによって熱が発生するため、調理器具を浮かせてしまうと加熱されなくなってしまいます。
そのためフライパンや鍋をあおったり、振ったりという調理に向いていないです。
IH対応の調理器具が必要
IH対応の調理器具でないと電気抵抗が発生しないため、IHは鉄とステンレス以外の素材は使用できないものが多いです。
オールメタル対応のIHであれば問題ありませんが、価格が高いというデメリットがあります。
PanasonicのIHクッキングヒーターはベーシックグレードであるKシリーズにも「ラジェントヒーター」が搭載されています。
この「ラジェントヒーター」があれば火力は弱いですが、通常のIHでは使用できない金属やホーロー鍋、土鍋などを使うことができます。
また、プレート部分が高温になるため海苔をあぶるといった調理も可能になります。
電気がないと使えない
IHは電気の力で加熱しているため停電時には使用できません。
キッチン設備にIHを選択する場合は別途カセットコンロを用意しておく必要があります。
ガスコンロがおすすめの人
ガスコンロがおすすめの人は以下になります。
ガスコンロがおすすめの人
・調理器具の買い替えをしたくない人
・強火でフライパンをあおるような調理をする人
・災害に強い家にしたい人
もし現在使用している設備がガスコンロの場合は新居にIHを選ぶとなると調理器具の買い替えが必要になります。
鍋やフライパン、圧力鍋など全て買い替えるとなるとコストがかかるため、調理器具の買い替えをしたくない方はガスコンロがおすすめです。
フライパンをあおりながら強火でチャーハンをつくるのもガスコンロならではのため、
このような調理をする方もやはりガスコンロの使用が向いています。
また、ガスコンロは停電時にも使用できるため災害に強い家にしたい方にもおすすめです。
プロパンガスを使用する場合はガス漏れや配管などの破損がなければ、地震が起きてた後でも自分で復旧することができます。
IHがおすすめの人
IHがおすすめの人は以下になります。
IHがおすすめの人
・火力調整が苦手な人
・お手入れの手間を減らしたい人
・光熱費を抑えたい人
火力や油の温度をボタンで簡単に調整できるIHは、火力調整が苦手な人におすすめです。
中火や強火の火加減がガスコンロだと曖昧でも、IHなら数字で設定するだけなので簡単です。
パーツを取り出して掃除する必要がないIHは、掃除の手間がほとんどかからいないためまめに掃除ができない人にもおすすめです。
また、オール電化にして光熱費を抑えたい人もIHを選択することになります。
まとめ
今回はガスコンロとIHでどちらがいいか迷っている人やガスコンロとIHのメリット・デメリットを知りたい人に対して、
注文住宅で迷いがちなコンロの特徴についてご紹介してきました。
まとめると以下になります。
ガスコンロのメリット・デメリット
◾️メリット
・コンロから調理器具を話した状態で加熱できる
・ガスコンロ対応の調理器具が豊富
・停電時にも使用できる
◾️デメリット
・掃除が面倒
・夏場は暑い
・火災が起きるリスクがある
IHのメリット・デメリット
◾️メリット
・お手入れがしやすい
・火災が起きるリスクが低い
・夏場でも暑くない
◾️デメリット
・IHから調理器具を離すと使えない
・IH対応の調理器具が必要
・電気がないと使えない
ガスコンロがおすすめの人
・調理器具の買い替えをしたくない人
・強火でフライパンをあおるような調理をする人
・災害に強い家にしたい人
IHがおすすめの人
・火力調整が苦手な人
・お手入れの手間を減らしたい人
・光熱費を抑えたい人
ガスコンロとIHのどちらにしてもほとんど毎日使用することになるキッチン設備です。
メリット・デメリットを慎重に検討して選ぶようにしましょう。
この記事が少しでもコンロを決定する時のお役に立てれば幸いです。
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