設計・監理料を値切るとコストパフォーマンスが落ちる?適正な設計料の考え方
建築設計事務所は基本的には設計・監理料によって運営されています。
ハウスメーカーや工務店に直接、注文住宅をお願いする場合には設計・監理料というものが費用として見えてこないのですが…
設計・監理料って必要なの?
そのプロジェクトに人が関わっている時点で人件費は必ず発生しています。
設計・監理料という形ではないのですが、ハウスメーカーの見積もりの諸経費に含まれていたり、利益のパーセンテージに含まれていたりします。
私は17年間(2023年現在)住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、
しっかりと設計・監理料をいただいた物件はほとんどが、満足のいく建築に仕上がる傾向にありました。
今回は設計・監理料を値切るとコストパフォーマンスが落ちる理由や適正な設計料の考え方をご紹介します。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・適切な設計料の考え方
・設計・監理料を値切るデメリット
上記のことがわかります。
設計事務所に仕事を依頼する時にかかる設計・監理料は設計事務所のモチベーションに直結します。
設計の良し悪しはどこまでクライアントのために真剣に考えられるかにかかっています。
設計士事務所も人間なので報酬の低いプロジェクトでは高いモチベーションを維持するのが難しくなると思います。
適切な設計・監理料を支払い、設計事務所に高いモチベーションでプロジェクトに取り組んでもらえるようにしましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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目次
適切な設計料の考え方
適切な設計料の考え方は以下の点に注意しましょう。
適切な設計料の考え方の注意点
・設計料の役割と重要性
・良質な設計に必要な要素
・適正な設計料の計算方法とテンプレート
設計料の役割と重要性
建築などのプロジェクトにおいて、適切な設計料を支払うことは非常に重要です。
設計料は、良質な設計の実現に必要な費用をカバーし、プロジェクトの成功に直結します。
設計料は、設計者の専門知識や経験、労力に対する対価として支払われるものであり、
適正な設計料を考えることはプロジェクトの成否を左右する重要なポイントです。
良質な設計に必要な要素
良質な設計を実現するためには、設計者に十分な時間と資金を与えることが必要です。
適切な設計料は、設計者がプロジェクトに集中し、必要な調査や研究、アイデアの創出に十分な時間を費やすことができる環境を作り出します。
また、設計者が適切なツールやソフトウェアを使用し、最新の技術やトレンドを取り入れた設計を行うためにも、適正な設計料は欠かせません。
適正な設計料の計算方法とテンプレート
適切な設計料の計算とテンプレートについてはこちらの記事をご参照ください↓
適正な設計料を算出するためには、いくつかの要素を考慮する必要があります。
具体的なプロジェクトの要件やスケジュール、設計者の専門性などを考慮し、適切な単価を設定します。
また、プロジェクトの規模や内容に応じて、設計料のテンプレートを作成することも有効です。
テンプレートには、設計フェーズごとの業務内容や所要時間、費用などを詳細に記載し、設計料を客観的かつ透明性の高い方法で算出することができます。
設計・監理料を値切るデメリット
設計・監理料を値切るデメリットは以下になります。
設計・監理料を値切るデメリット
・デザイン品質の低下
・詳細設計の不足
・コミュニケーション不足
・追加費用や修正に対応できない
・設計的な配慮の低下
デザイン品質の低下
設計・監理料を値切るデメリットとしては、デザイン品質の低下が挙げられます。
設計・監理料を値切ることで、設計者が充分な時間をかけて品質の高いデザインを作り上げることが困難になります。
例えば、10万円と100万円の設計・監理料ではかけられる時間や打合せ回数にも違いが出てきます。
設計には図面作成のほか模型制作、3DCG制作などの費用がかかります。
10万円の予算では人件費の面で細かな修正や変更に対応できないといった問題が生じます。
また、打合せに関しても交通費や駐車場代など実質的にお金がかかるので回数を増やせないといった問題も生じます。
デザイン品質の低下は、見た目の魅力やクライアントへの配慮不足といった形で現れる可能性があります。
設計者が適切な時間と予算を使ってデザインを練り上げることは、建築物の魅力を高めるためにとても重要です。
詳細設計の不足
設計・監理料を値切るデメリットとしては、詳細設計の不足が挙げられます。
適正な設計料を支払わない場合、設計者は詳細な設計に充分な時間を割くことができません。
詳細設計を省いて現場で納める場合でも、現場の担当者に負担をかけることになります。
結果として現場監理が大変になり時間をかけなければ納まらないなんてことになります。
詳細設計は、建築物の実現可能性や機能性を確保するために欠かせない工程です。
設計者が詳細設計を急いだり、省略したりすると、建築物のデザインや品質、耐久性に問題が生じる可能性があります。
コミュニケーション不足
設計・監理料を値切るデメリットとしては、コミュニケーション不足が挙げられます。
設計料を削減するために、設計者とのコミュニケーションの機会が制限されることがあるからです。
現実的に打合せには交通費や駐車場代などがかかります。
予算のないプロジェクトでは実費で支払って赤字になったなんてことよくあります。
設計者との十分なコミュニケーションは、プロジェクトの要件やクライアントのニーズを正確に把握するために不可欠です。
コミュニケーション不足は、設計の誤解やミスを引き起こし、最終的にプルジェクトが失敗する可能性があります。
追加費用や修正に対応できない
設計・監理料を値切るデメリットとしては、追加費用や修正に対応できないことが挙げられます。
設計料を値切ることで、プロジェクトの進行中や完成後に追加費用や修正に対応する余裕がなくなる場合があるからです。
プロジェクトを進める上でどのくらいの追加費用や修正が発生するかは予測が難しいところです。
設計の過程で発生する変更や修正には、追加の時間と労力が必要です。
十分な設計料が確保されていないと、予想外の変更に対応できず、プロジェクトのスケジュールや予算に影響を与える可能性があります。
設計的な配慮の低下
設計・監理料を値切るデメリットとしては、設計的な配慮の低下が挙げられます。
設計者も人間ですので高いモチベーションを維持できないでおざなりに設計してしまうこともあるからです。
また、予算が少ないとあまり時間がかけられないといったことも生じます。
時間がかけられないと設計的な配慮の低下は避けられません。
結果として適正な設計料が支払われない場合、設計者は細部にわたる配慮や最適化を行うことが難しくなります。
設計的な配慮は、建築物の機能性や効率性を向上させるために重要です。
設計料の削減によって設計者の余裕が奪われると、必要な配慮や改善策を十分に行うことができなくなります。
結果として、建築物の性能や利便性が低下し、ユーザーの満足度に影響を及ぼす可能性があります。
まとめ
今回は設計・監理料を少しでも安くしたいと考えている人や設計・監理料が何にかかる費用なのかわからない人に対して、
設計・監理料を値切るとコストパフォーマンスが落ちる理由や適正な設計料の考え方をご紹介してきました。
まとめると以下になります。
適切な設計料の考え方の注意点
・設計料の役割と重要性
・良質な設計に必要な要素
・適正な設計料の計算方法とテンプレート
設計・監理料を値切るデメリット
・デザイン品質の低下
・詳細設計の不足
・コミュニケーション不足
・追加費用や修正に対応できない
・設計的な配慮の低下
設計事務所に仕事を依頼する時にかかる設計・監理料は設計事務所のモチベーションに直結します。
設計の良し悪しはどこまでクライアントのために真剣に考えられるかにかかっています。
設計士事務所も人間なので報酬の低いプロジェクトでは高いモチベーションを維持するのが難しくなると思います。
適切な設計・監理料を支払い、設計事務所に高いモチベーションでプロジェクトに取り組んでもらえるようにしましょう。
この記事が少しでも設計・監理料に対する理解のお役に立てれば幸いです。
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