注文住宅を建てる際にハウスメーカーや工務店の標準仕様で注意すべきポイント
ハウスメーカーや工務店の標準仕様をしっかり見ないと失敗してしまう場合があります。
注文住宅で住宅設備を選ぶときに「標準仕様」をもとに費用のプラスマイナスを考えることになります。
標準仕様ってなんなの?
ハウスメーカーや工務店が一般的とされる建材や住宅設備を予め想定して決めてあるもののことで、
それ以外のものを選ぶと別途オプション費用がかかります。
すべてを提案された標準仕様のまま採用すれば大きな予算オーバーもなく、安心だと考えられます。
しかし暮らしてみたら
・使いづらかった
・いらなかった
・あれがあったら便利だったのに
という場合もあります。
標準仕様はハウスメーカーや工務店ごとにかなり違いがあります。
私は17年間(2023年現在)設計事務所を運営してきましたが、
工務店の標準仕様はその工務店が注文住宅で売りにしたい特別なものが含まれているケースも多々あります。
今回は標準仕様で注意すべきポイントについてご紹介していきます。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・標準仕様で注意すべき建材
・標準仕様で注意すべき住宅設備
上記のことがわかります。
本来、注文住宅は仕様は決められていないまっさらな状態からスタートするものですが…
標準仕様が決められた注文住宅の方がメーカーや業者との掛け率の関係で安くできたり、工期を短くできたりするといったメリットがあります。
建材や住宅設備は決められた標準仕様の内容をしっかりと確認して自分に合っているかどうかを見極めましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を17年間(2023年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
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標準仕様ってなに?
注文住宅を建てる際にはさまざまなものについて、色や素材、機能などが自由に選べますが、
ハウスメーカーや工務店によって標準としているものが異なります。
標準仕様とは見積もりの中に含まれるもので他のものに変更したり、グレードを変えたりすると別途オプション費用が発生します。
モデルハウスなどでみられるものにはオプション費用がかかるものが採用されているので注意しましょう。
ちなみに、一条工務店さんのモデルハウスは標準仕様で建てられていてギャップがありません。
建材の標準仕様で注意すべきポイント
建材とは建築材料のことでそれらにもハウスメーカーや工務店ごとに標準仕様があります。
建材の標準仕様で注意すべきポイント
■屋根材
・スレート
・ガルバリウム鋼板
・瓦
■外壁材
・窯業系サイディング
・ガルバリウム鋼板
・モルタル
・タイル
■サッシ
・アルミサッシ
・アルミ樹脂複合サッシ
・樹脂サッシ
■ガラス
・単板ガラス
・複層ガラス
・トリプルガラス
■フローリング
・無垢フローリング
・挽板フローリング
・突板フローリング
・フロアタイル
■クロス
・量産品
・1000クラス(一般品)
■ドア
・アルミ製玄関ドア
・高断熱玄関ドア
・木製玄関ドア
などが建材の仕様にあたります。
屋根材
屋根材は以下の理由で変更が考えられます。
・見た目を変えたい
・機能性をプラスしたい
屋根は本体価格に含まれているので提案されたものをそのまま採用する方が多いかもしれません。
屋根材によって変わることは初期費用はもちろんですが、暮らしはじめてからのメンテナンスコストや断熱性、耐震性、耐風性などがあります。
「スレート」は初期費用が安価でこれを標準仕様にしているところも多いのですが、
10年ごとに塗り替えや部分補修が必要になるなどメンテナンスコストは高めになります。
「ガルバリウム鋼板」は耐震性や耐風性に優れていますが、断熱性が低いです。
「瓦」は軽量で色あせしにくいものもあり断熱性能も高いのですが、初期費用がかなり高くなります。
このように屋根材それぞれの特徴を知った上で標準仕様でよいかを検討できるといいと思います。
失敗しない屋根選びのコツについてはこちらの記事をご参照ください↓
外壁材
外壁材には以下のものがあります。
・窯業系サイディング
・ガルバリウム鋼板
・モルタル
・タイル
日本国内の住宅では窯業系サイディングが多く選ばれています。
窯業系サイディングは初期費用が安くデザインも豊富ですが、コーキング材の打ち替えと再塗装などメンテナンスコストは高めです。
最近ではコーキングレスの工法もありメンテナンスコストが抑えられ、寿命が長めになっています。
また、窯業系サイディングはグレードによって厚みが変わり、厚みがあった方が高級感があります。
そのような点にも注目してみるとよいでしょう。
サッシ、ガラス
窓は暮らしの快適さにとても重要な役割を持っています。
窓枠も同様です。
サッシの標準仕様が
・アルミサッシ
・アルミ樹脂複合サッシ
・樹脂サッシ
ガラスの標準仕様が
・単板ガラス
・複層ガラス
・トリプルガラス
なのかを必ず確認しておきましょう。
複層ガラスの内側に熱の伝わりを抑える金属膜をコーティングしたLow-E複層ガラスというものもあります。
これは熱が入りにくい「遮熱タイプ」と熱が逃げにくい「断熱タイプ」があるので、窓の位置によって性能を変えるのもよいと思います。
フローリング
床材には以下のものがあります。
・無垢フローリング
・挽板フローリング
・突板フローリング
・フロアタイル
居室、水まわりなど場所によって標準仕様は変わります。
それぞれの床材の特徴を知っておけば標準仕様のままでよいか検討しやすくなります。
「突板」「挽板」「無垢材」の違いは知っておきましょう。
「突板」は天然木を0.3〜0.5mmにスライスした木材を表面に貼ったものです。
「挽板」はのこぎりなどで挽いて2〜3mmの板状に切り出した板を表面に貼ったもの
どちらも板を貼り合わせた複数層ですが、見た目は挽板の方が無垢材と変わらない感じです。
標準仕様としては突板フローリングが採用されることが多いようです。
無垢材は予算的に厳しいけど天然木のぬくもりを感じたいという場合は突板よりも挽板を選びましょう。
クロス
標準仕様のカタログにあるクロスは物足りないと感じる方も少なくないようです。
クロスは大きく3色程度から色を作る量産品、多色のインクから作る1000クラス(一般品)に分かれています。
1000クラスはオプションになっていることが多く、色柄の種類が豊富で防汚、調湿、消臭などの機能性にすぐれたものもあります。
量産品と1000クラス、アクセントクロスなどをうまく取り入れてみるとよいでしょう。
ドア
室内ドアは開き戸を引き戸にしたい、天井までハイドアにしたい、使い勝手やデザイン性で選びたいと考える方も多いようです。
標準仕様以外のものを選ぶと同じグレードでも費用がアップすることがあります。
玄関ドアは標準仕様となっているもののほとんどがアルミ製のドアです。
玄関ドアは外気の影響を受けやすく断熱性が低いと玄関まわりが暑かったり、寒かったりして居室との温度差が大きくなります。
玄関ドアには軽くて錆びにくいアルミ素材が使われることが多いです。
アルミ製のドアは熱が伝わりやすく断熱性が低いとされています。
玄関ドアを断熱材入りのものや木製にすると費用はアップしますが、検討する価値はあると思います。
また、鍵を身につけてタッチするだけで開閉できるスマートキーを備えた玄関ドアが標準仕様の場合も多くなってきました。
この機能はオプションになっていてもつけると便利です。
住宅設備の標準仕様
住宅設備とは以下の設備のことを指します。
住宅設備の標準仕様
・キッチン
→食洗器が浅型か深型かに注意
・洗面台
→洗面ボウルは手洗いすることも考慮
・浴室
→浴槽のサイズに注意
・給湯器
→給湯器の号数に注意
・トイレ
→自動開閉機能や自動洗浄機能
→タンクレストイレは水圧が弱い
注文住宅ではこれらを選ぶのが楽しみという人も多いです。
キッチン
システムキッチンはグレードによって機能や価格がかなり変わります。
標準仕様で食洗器がビルトインされていることも多くなってきましたが、サイズなどもしっかりと確認しましょう。
標準仕様で浅型の食洗器がついている場合、家族の人数に合っているかよく考えてみましょう。
例えばLIXILさんのシステムキッチンで選べるリンナイ製のビルトイン食洗器を比べてみると
・浅型では37点:約5人分
・深型では47点:約6人分
となっています。
深型であれば鍋やフライパン、まな板まで一度に洗えることが多いので家事の効率を上げたい場合は深型にグレードアップすることをおすすめします。
また、タッチレス水栓やビルトイン浄水器などの機能をプラスしたり、
ワークトップの素材やフロアキャビネットをグレードアップしたり、レンジフードを機能性の高いものにすると10万円単位で価格もアップします。
本当に必要なものかどうかをしっかりと見極めるようにしましょう。
洗面台
洗面台も見るべきところはさまざまですが、まず考えることは必要なのは洗面台か洗面化粧台かということです。
洗面化粧台とは化粧や身支度をするための機能やミラーキャビネットの容量などが充実しているものです。
また、洗面ボウルの大きさも大切な要素です。
洗顔や歯磨きだけでなく、洗濯物を手洗いすることも考えて使いやすいかどうかも確認しましょう。
浴室
浴室には浴室暖房乾燥機が標準仕様になっていることも多くなりました。
洗濯物を乾かすだけでなく寒い時期は浴室全体を暖めておいたり、
送風や換気ができたりするのでヒートショックを防止し、湿気やカビの発生も軽減してくれます。
また、浴槽は大きすぎないか、余分な機能はついていないかも確認してみましょう。
足を伸ばしてゆったりつかれる大きな浴槽はみんなのあこがれですが、暮らしはじめてから光熱費が負担になったと後悔する人もいます。
節水型のエコベンチ浴槽を検討してみるのもよいと思います↓
浴槽の機能としては
・追い焚き機能
・保温機能
・自動洗浄機能
・ジャグジー機能
などがありますが、実用性とメンテナンスコストや故障のリスクを天秤にかけて検討しましょう。
給湯器
給湯器は思いのほか消費エネルギーが大きい設備です。
エコキュート、エネファーム、エコジョーズなどの省エネ性の高い給湯器か、号数は適しているかの確認も必要です。
給湯器の号数が小さいと冬期にシャワーと給湯が同時にできないこともあります。
標準仕様の給湯器で十分かどうかそのような点も確認しましょう。
トイレ
標準仕様がどのタイプになるかはハウスメーカーや工務店によってさまざまです。
一般的には以下のいずれかになっています。
・組み合わせ便器
・一体型トイレ
・タンクレストイレ
どの機能がついているかしっかり確認しましょう。
暮らしはじめてから不要だと思ったという声が多いものには、自動開閉機能や自動洗浄機能などがあります。
特に自動開閉機能は故障のリスクもあるので手動でよかったと後悔しないようにしましょう。
また、タンクレストイレは水圧が弱かったり配管が詰まりやすかったりで後悔しているという声も聞かれます。
トイレは家族みんなが毎日使用するものなので、機能がたくさんついている最新のものよりもストレスにならないものの方がいい場合もあります。
まとめ
今回は標準仕様をどう変えていいかわからない人や標準仕様で注意するべきポイントを知りたい人に対して、
ハウスメーカーや工務店の標準仕様で注意すべきポイントをご紹介してきました。
まとめると以下になります。
建材の標準仕様で注意すべきポイント
■屋根材
・スレート
・ガルバリウム鋼板
・瓦
■外壁材
・窯業系サイディング
・ガルバリウム鋼板
・モルタル
・タイル
■サッシ
・アルミサッシ
・アルミ樹脂複合サッシ
・樹脂サッシ
■ガラス
・単板ガラス
・複層ガラス
・トリプルガラス
■フローリング
・無垢フローリング
・挽板フローリング
・突板フローリング
・フロアタイル
■クロス
・量産品
・1000クラス(一般品)
■ドア
・アルミ製玄関ドア
・高断熱玄関ドア
・木製玄関ドア
住宅設備の標準仕様
・キッチン
→食洗器が浅型か深型かに注意
・洗面台
→洗面ボウルは手洗いすることも考慮
・浴室
→浴槽のサイズに注意
・給湯器
→給湯器の号数に注意
・トイレ
→自動開閉機能や自動洗浄機能
→タンクレストイレは水圧が弱い
本来、注文住宅は仕様は決められていないまっさらな状態からスタートするものですが…
標準仕様が決められた注文住宅の方がメーカーや業者との掛け率の関係で安くできたり、工期を短くできたりするといったメリットがあります。
建材や住宅設備は決められた標準仕様の内容をしっかりと確認して自分に合っているかどうかを見極めましょう。
この記事が標準仕様をうまく利用して自分好みの注文住宅を実現したい人の参考になれば幸いです。
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