不動産ではLDKって言うけど、そもそもリビング(L)ってなに?
リビングということばは非常にとらえにくいことばだと思います。単に[居間]と訳したとしても、そもそも[リビング]や[居間]とは何なのか?という疑問が次から次へとわいてきます。
2LDKとかってよく使うけど
実際どんな間取りなの?
一般的には2つの部屋がありリビング・ダイニング・キッチンがひとつの部屋となっている間取りを想像します。
正式には[2+LDK]と表記するべきでしょう。
※この時に用いる[+]で区切られた前後は部屋として独立していることを意味します。
[2+DK]と[2+LDK]の違いって何なの?
一般的に不動産業界では部屋の大きさで区分されていて
・6~10帖未満の場合 → [DK]
・10帖以上の場合 → [LDK]
と呼んでいます。
部屋の大きさで定義されているリビング[L]の存在ってすごくあいまいだということがわかります。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所
設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!
住宅に関する悩みを解決すべく、ブログやTwitterで情報発信しています。
「いいね!」や「フォロー」していただけるとうれしいです。ヨロシク(b・ω・d)デス♪
それからコメント欄はこれまで皆さんが経験してきたことを発信する場として使っていただければ幸いです。
役立つ情報をみんなで共有できるような書き込みは大歓迎です。
食寝分離という考え
部屋の間取りを[n+DK]や[n+LDK]と呼ぶようになったそもそもの始まりは、戦後の[食寝分離]の考えに起因しています。
[食寝分離]とは食事をする部屋と寝る部屋を別々にすること。1942(昭和17)年に、建築学者の西山夘三(にしやまうぞう)が、保健・精神衛生上、住宅が確保すべき最低レベルの条件として提唱されました。
この考え方から、[n+DK]型の間取りが日本住宅公団にとり入れられ発展してきたといわれています。
竪穴式住居にもあった!?
竪穴式住居の真ん中(4本の柱に囲われた部分)は土間になっていて、その外側の4本の柱と壁(屋根)の間に、床の一部を幅1m×長さ2.5mで10cmほど高く土を盛り上げている箇所があります。
土間とされたところの床は土が硬く、一段高くなっている箇所の床はやわらかいという違いがあるのでここは寝室コーナーとして使われていたのではないかと考えられています。
ひとつの空間の中でも食事をする場所と寝る場所を別々にしようとした古代からの人間の心理的な作用がそこには働いていることは確かでしょう。
茶の間について
食寝分離から[茶の間(ちゃのま)]の登場により、今度はキッチン(K)とダイニング(D)を分ける傾向が出てきます。
[茶の間(ちゃのま)]とは、日本家屋の中で、家族が集う、生活の中心となる部屋のことです。日本家屋においては[居間][リビングルーム(L)]に相当する空間であるが、食事をする[食堂][ダイニングルーム(D)]の役割も兼ねることが多いです。
[茶の間]のある間取りはこの式で表すと
■ n+K+DL
となるかと思います。
[茶の間]というと一般にイメージするのはサザエさんの家だと思いますが….
※以下の文章はリビング(L)のことばのわかりづらさを説明しています。
よくよく磯野家の間取りを見ると[客間]という8畳の部屋があることがわかります。
[客間]とは、来客を通して応接するための部屋のことです。
この[客間]の存在をG(Guest room)とすると
磯野家の間取りは
■3+K+DL+G
となります。
この[客間]の存在をG(Guest room)の存在はもともとアメリカではリビング(L)とされているので
アメリカ風に言えば磯野家の間取りは
■ 3+K+D+L
となります。
家族団らんとしての[茶の間]としてリビング(L)をとらえた時はDLとなり、[客間]としてリビングをとらえた場合はG=Lとなるなど、[リビング]や[居間]ということばに対しての用途のあいまいさが存在します。
※アメリカではダイニングルーム(D)の控えの間で家族がくつろけるスペースを居間(drowing room)としています。その点では[茶の間]のDL空間に似たものであると考えられます。
リビングで何をする?
結局、[リビング]や[居間]ということばの定義はしっかりとできないところにリビングということばのわかりずらさがあります。
リビングに[客間]としての用途を一緒に考えてしまうことがそもそも、「かっこいいリビングにしたい!」と考えるひとつの要因だと思います。
つまり[客間]として考えた場合、人が来たときに綺麗でカッコいいことを自慢したいなどの見栄が見え隠れしているともいえます。
一方で[茶の間]のように多目的に使うスペースとしてのリビングをとらえた場合は家族がそこで何をするのかが重要となり部屋のつくりも違ってくると思います。
このリビングを多目的に使うスペースとして考えることが、これからのリビングに必要な要素ではないかと思います。
まとめ
[n+DK]や[n+LDK]という表現は、日本の狭い住宅事情で部屋をいかに広く見せるかという考えのもと、ひと部屋にまとめることが都合がよかったからともいえます。
いつくるともわからない来客のための[客間]が必要かどうかや、もし来た場合はお客さんが泊まる予備室をつくっておく余裕が必要になるかもしれません。
[リビング]や[居間]はそこに暮らす家族のものに戻すために[茶の間]のように多目的に使うスペースとしてとらえ、そこで家族が何をするのか個々にそのためのコーナーを設けるようなリビングが理想ではないのかと思う今日この頃です。
この記事が役に立った、面白かったという方はコメントしてくださいね。
また、FacebookやTwitterでみなさんのお役にたてる情報発信しています!
「いいね!」や「フォロー」していただけるとうれしいです。ヨロシク(b・ω・d)デス♪
アーキトリック一級建築士事務所