どんな外観にしたらいい?シンプルな建築の注文住宅のメリットとデメリット

シンプルな建築は、その簡潔さと洗練された美しさによって、私たちの目を引きつけます。

注文住宅においてシンプルさを表現するためにはコツが必要です。

シンプルな建築にするためのコツってどんなことなの?

ゲシュタルト要因を理解してデザインに取り入れることが必要になります。

ゲシュタルト要因とは心理学的な原則で、複数の要素が組み合わさって一つのまとまった形やパターンを認識する傾向を指します。

これにより建築空間はひとつのまとまりを持つことができます。

このまとまりをどう構成するのかがシンプルさを表現するために必要な手法になります。

私は18年間(2024年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、

各部の納まりや注文住宅の外観を決めるときはシンプルさを重視して設計するようにしています。

今回はシンプルな建築の注文住宅のメリットとデメリットをご紹介します。

この記事を読むと以下のことがわかります。

この記事でわかること

・シンプルな建築とは

・シンプルな建築の注文住宅のメリットとデメリット

上記のことがわかります。

シンプルな建築は環境や時代にとらわれない美しさがあります。

しかしながら、シンプルな美しさを保とうとしているのに、

注文住宅の場合はどうしても生活感が出やすい性質があるので乱雑になってしまうこともあります。

内装に使う素材や生活感が出てもシンプルな美しさを保てるような工夫が必要となります。

シンプルさの表現は建築空間の把握のしやすさでもあり、落ち着いた雰囲気や無駄のない洗練された空間を実現することができます。

これを機に自分にあったシンプルな建築デザインを考えてみるのも良いかもしれませんね^_^

【自己紹介】

Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック一級建築士事務所

設計事務所を18年間(2024年現在)運営している現役の一級建築士です。

店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。

現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。

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シンプルな建築とは

シンプルな建築の魅力は、その無駄を削ぎ落とした美しさにあります。

何も余計なものがないデザインは、見る者に直感的な心地よさをもたらし、機能性と美しさが融合した作品を生み出します。

ここで、シンプルな建築の要素やそのゲシュタルト要因との関係について考えてみましょう。

シンプルさとゲシュタルト要因の関係

ゲシュタルト心理学によれば、我々は簡単な要素の組み合わせを認識しやすく、それが我々によって一つのまとまった形として捉えられます。

この原則は、シンプルな建築にも適用されます。

シンプルな形状や要素の組み合わせは、私たちの脳に親しみやすく、見る者にすっきりとした印象を与えます。

ゲシュタルト要因についてはこちらの記事をご参照ください↓

この記事ではシンプルな建築デザインとは

空間としての認識にまとまりがあり、

単純な上位下位の順序関係が成り立っているもの


と定義しています。

建築デザインのシンプルさとは、ゲシュタルト要因による空間のまとまりの単純な構成によって表現されます。

要素の最小化とミニマリズム

シンプルな建築空間を表現するには、要素の最小化が欠かせません。

素材や色、形状を最小限に抑えることで、情報の過多を防ぎ、各要素がより鮮明に浮かび上がるのです。

ミニマリズムとは、余計なものを削ぎ落とし、本質的なものだけを残す哲学です。

こうしたミニマリズムの考え方が、シンプルな建築において重要なデザインの基盤となります。

シンプルなデザインは、要素を洗練された形に簡潔にまとめることで、建築空間の美しさと機能性を最大限に引き出す手段となります。

シンプルな建築の例

シンプルな建築の魅力的な例は数多く存在します。

例えば、古代のギリシャ神殿や日本の伝統的な茶室、モダンなデザインの住宅など、さまざまな時代や文化でシンプルさが表現されています。

これらの建築物は異なる時代や文化でシンプルな美しさが見られます。

余計な要素を削ぎ落としつつも、美と機能性を高い次元で調和させた典型的な実例といえます。

シンプルな建築の注文住宅のメリット

シンプルな建築の注文住宅のメリットは以下になります。

シンプルな建築の注文住宅のメリット

・どんな環境でも調和しやすい

・流行に左右されない

・修繕などメンテナンスがしやすい

・将来の拡張性が広がる

・家族としてのまとまりが生まれる

どんな環境でも調和しやすい

シンプルな建築の注文住宅のメリットは、どんな環境でも調和しやすいことです。

どんな都市や郊外の街並み、自然豊かな環境といった異なるシーンにも違和感なく調和します。

なんでシンプルな建築がどんな環境でも調和するの?

シンプルな建築はそれ自体が余計な要素を排除した完成されたデザインである場合が多いからです。

例えば住宅街や自然豊かな環境にシンプルな建築があったとしても、それ自体の形状が完結した建築はまとまりとして把握しやすいです。

そのまとまりの良いデザインに美しさを感じたり愛着を持ったりすることができます。

流行に左右されない

シンプルな建築の注文住宅のメリットは、流行に左右されないことです。

建物の外観が時代や環境の変化に左右されないということは長期的にみても古めかしくならないことを意味します。

流行りの外観だとどこがいけないの?

流行りのある特徴的な外観だと数十年後に流行が去った後に後悔する場合もあります。

流行りに左右されないシンプルな建築の注文住宅は古さを感じずに美しさが強調されます

美しい外観は周囲と調和した景色と溶け込み、長い間愛着を持つことができるでしょう。

修繕などメンテナンスがしやすい

シンプルな建築の注文住宅のメリットは、修繕などメンテナンスがしやすいことです。

シンプルな建築は余計な凹凸のないので壁や屋根などの修繕の時に余計な手間がかからないからです。

屋根や庇の出があった方が建物は汚れないんじゃないの?

確かに屋根や庇の出があった方が外壁が雨風にさらされる範囲を減らすことができるので、修繕する箇所は減るかもしれません。

しかしながら、修繕する場合は手間がかかる形状の方がメンテナンスコストは高くなりがちになるので、シンプルな建築の方が安くなるケースもあります。

将来の拡張性が広がる

シンプルな建築の注文住宅のメリットは、将来の拡張性が広がることです。

シンプルな建築はそれ自体で完結した形のデザインが多いので、新たに要素を増やしてもデザイン的なまとまりを保つことが簡単できるからです。

どうやってデザイン的なまとまりを保てるの?

軸線に合わせて建物を配置したり、中心を作ったり、大きな庇や屋根で繋いだりすることでまとまりを保つことができます。

将来の拡張性が広がると家族構成の変化や新しいニーズにも対応できる建築になります。

住み手によって変わる状況に柔軟に対応でき、まとまりのあるデザインを保てるメリットは大きいです。

家族としてのまとまりが生まれる

シンプルな建築の注文住宅のメリットは、家族としてのまとまりが生まれることです。

シンプルなデザインの建築は家の形がイメージしやすくいので、そこで暮らす人に共通の価値観や統一感が生まれやすいからです。

家族としてのまとまりが生まれると何がいいの?

家族としてのまとまりが生まれるとコミュニケーションが向上したり、

支え合いの機会が増えたり、安定感や安心感、共有する喜び、争いごとの減少などにつながります。

また、隣人との関係でもイメージのしやすさから親近感が生まれる場合もあります。

シンプルな建築で暮らすことで家族としてのまとまりが生まれるメリットは大きいです。

シンプルな建築の注文住宅のデメリット

シンプルな建築の注文住宅のデメリットは以下になります。

シンプルな建築の注文住宅のデメリット

・個性が欠如する

・落ち着ける隙がない

・生活感が欠如する

・建築のコストがかかる

・綺麗さを保つのが難しい

個性が欠如する

シンプルな建築の注文住宅のデメリットは、個性が欠如することです。

シンプルすぎるデザインの建築は一部の人にとっては個性不足と映ることがあるからです。

また独自の魅力や趣味を建物に反映させることが難しくなり、家自体が単調に感じられる可能性もあります。

このため、シンプルな外観の注文住宅を検討する際には、バランスを考慮し、

住む人々の個性や好みを十分に反映できるようなデザインやアクセントを取り入れることが重要です。

落ち着ける隙がない

シンプルな建築の注文住宅のデメリットは、落ち着ける隙がないことです。

シンプルな建築が過度になると、柔軟性や居心地の良さが不足する可能性があり、

無駄を徹底的に取り除くあまり、家の温かみや居住感が不足するからです。

例えば、ミニマリストな外観や単純なデザインが強調される場合、空間が単調になり、家庭的な雰囲気が薄れてしまうことがあります。

家具や装飾が極力少ない状態は、居住者にとって冷たい印象を与え、居心地を損なう可能性があります。

したがって、シンプルな建築を採用する際には、バランスを重視し、無駄を排除する一方で、

居住空間に足りない温かみや快適さを補う工夫が必要です。

生活感が欠如する

シンプルな建築の注文住宅のデメリットは、生活感が欠如することです。

シンプルな外観が美的な要素を排除することは一つの側面ですが、

その反面、居住者の個性や趣味が建物に表れにくくなり生活感が不足すると感じることもあるからです。

シンプルな外観は、細部のディテールや飾りを最小限に抑えることで、視覚的な簡潔さを追求し、

建物全体が洗練された印象を与え、一部の人々には美的な満足感を提供します。

しかし、同時に、個性的な装飾やアートが少ないことから、居住者のライフスタイルや趣味が十分に反映されにくくなります。

例えば、ミニマリストな外観の家では、壁に飾りを控え、家具も最小限に抑えられることがあります。

シンプルで整った印象が得られますが、同時に、家族のアートコレクションや趣味のアイテムが見当たらないことで、生活感が不足すると感じることがあります。

このようなバランスの取れたアプローチが重要であり、

シンプルな外観の建築においても、居住者の個性や趣味を表現できる余地を残すことが大切です。

建築のコストがかかる

シンプルな建築の注文住宅のデメリットは、建築のコストがかかることです。

シンプルなデザインの建築は、美的な要素を排除することで生活感を抑え将来の変更に柔軟に対応できる一方で、

高品質の素材やデザインへのこだわりは建築コストを押し上げる可能性があります。

外観と内部仕上げにおいて予算のバランスを取ることが重要であり、賢明な選択が必要です。

建築プロジェクトを始める際には、美しさと機能性、予算の三位一体を考慮し、

将来的な状況にも対応できるよう計画することが成功するポイントとなります。

綺麗さを保つのが難しい

シンプルな建築の注文住宅のデメリットは、綺麗さを保つのが難しいことです。

シンプルな建築の外観は汚れや傷が目立ちやすく、美観を損なう可能性があるからです。

そのため、定期的で綿密なメンテナンスが欠かせません。

清潔感をキープするためには、汚れや傷を早期に発見し、適切な手入れを怠らないことが大切です。

建物の外観が美しさを保ち、長期間にわたって良好な状態を維持することが大切になります。

まとめ

今回はシンプルなデザインの建築が好きな人やシンプルな建築のメリット、デメリットを知りたい人に対して、

シンプルな建築の注文住宅のメリットとデメリットをご紹介してきました。

まとめると以下になります。

シンプルな建築の注文住宅のメリット

・どんな環境でも調和しやすい

・流行に左右されない

・修繕などメンテナンスがしやすい

・将来の拡張性が広がる

・家族としてのまとまりが生まれる

シンプルな建築の注文住宅のデメリット

・個性が欠如する

・落ち着ける隙がない

・生活感が欠如する

・建築のコストがかかる

・綺麗さを保つのが難しい

シンプルな建築は環境や時代にとらわれない美しさがあります。

シンプルさの表現は建築空間の把握のしやすさでもあり、落ち着いた雰囲気や無駄のない洗練された空間を実現することができます。

これを機に自分にあったシンプルな建築デザインを考えてみるのも良いかもしれませんね^_^

この記事が少しでも建築の外観を考える際の手助けになってくれれば幸いです。

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アーキトリック一級建築士事務所

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