注文住宅のイメージ写真の選び方と実際の建築設計に活かす方法
最近ではInstagramやPinterest、RoomClipなどを利用してイメージを話されるお客さんが増えています。
イメージ写真を活用することで、自分たちの理想の家を具体的にイメージしやすくなり、建築家や工務店とのコミュニケーションにも役立ちます。
イメージ写真で伝えることのデメリットってあるの?
イメージ写真には現実的に実現が難しいデザインや素材が含まれていることがあるため、
現実的な制約や条件を考慮して、最終的な注文住宅のデザインを決定することが重要です。
私は19年間(2025年現在)注文住宅やリノベーションを中心に設計事務所を運営してきましたが、
お客さんのイメージや注文住宅の方向性、コンセプトを話し合うときにイメージ写真を多用しています。
今回は注文住宅のイメージ写真の選び方と実際の建築設計に活かす方法をご紹介します。
この記事を読むと以下のことがわかります。
この記事でわかること
・注文住宅のイメージ写真の選び方
・イメージ写真を実際の建築設計に活かす方法
上記のことがわかります。
イメージ写真はうまく利用すればコミュニケーションをスムーズにしてくれます。
しかしながら、自分の設計している間取りにピッタリと当てはまるイメージ写真はなかなか見つけるのが難しいです。
イメージ写真に頼りすぎると矛盾が生じたり、設計者を混乱させる危険性もあるので注意しましょう。
【自己紹介】
Bさん@アーキトリック
一級建築士 第303020号
耐震診断・耐震改修技術者
アーキトリック
設計事務所を19年間(2025年現在)運営している現役の一級建築士です。
店舗や旅館を中心に3桁の案件をこなしてきました。
現在は住宅設計やリノベーションを中心に活動をしています。
設計事務所のブログを始めて2年目で月間25000PVを達成!
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目次
注文住宅のイメージ写真の選び方
注文住宅のイメージ写真の選び方は以下になります。
注文住宅のイメージ写真の選び方
・自分の生活スタイルをイメージする
・自分の望む間取りと全体とのバランス
・機能や使い勝手への設計的な配慮
・依頼した工務店で施工可能かどうか
・予算オーバーにならないか検討
自分の生活スタイルをイメージする
写真を見る前に、自分がどのような生活を送りたいかをイメージしましょう。
例えば、家族が多い場合は、広いリビングや多数の寝室が必要です。
また、家族が一緒に過ごす時間を大切にする場合は、広々とした屋外スペースや、家族が集まって楽しめる大きなテーブルが必要になるかもしれません。
さらに、家族の趣味やライフスタイルに合わせたスペースも必要になります。
自分たちがどのように暮らすかをイメージし、それに合った写真を選びましょう。
そうすることで、自宅に帰ってからも理想の生活をイメージし、暮らしを楽しむことができます。
自分の望む間取りと全体とのバランス
写真で気に入った部分があっても、全体の間取りやバランスを考慮することが大切です。
例えば、一部のスペースが広くなりすぎると、他の部分が狭くなってしまい、使い勝手が悪くなることがあります。
そのため、適切なバランスを保つためには、以下のような方法があります。
・同じアングルの写真を探して広さを比較する
・複数の写真を見比べて他の部分とのバランスを考える
・間取り図と同じアングルから撮影した写真を選ぶ
全体的なバランスを考えて、自分の望む間取りと合わせた写真を選びましょう。
機能や使い勝手への設計的な配慮
見た目だけでなく、機能や使い勝手にも注目しましょう。
例えば、調理がしやすいキッチンや収納スペースが充実した物件が、日常生活で使いやすくなります。
また、家族構成やライフスタイルに合わせた設計がされているかも確認しましょう。
将来的なライフプランについても考慮することが大切です。
子育てや介護、趣味や仕事など、将来的なライフスタイルの変化に合わせてた設計的な配慮が必要です。
依頼した工務店で施工可能かどうか
写真で気に入った建物でも、その設計や構造が工務店で実現できるかどうかは重要なポイントです。
建物の見た目が好みであるという理由だけで選んでしまうと、
後になって設計や構造に問題が生じた場合に手遅れになってしまうかもしれません。
施工可能な設計かどうかを確認し、その工務店が信頼できるかどうかもチェックしましょう。
また、施工前には建物のデザインや材質について詳しく相談し、自分たちの要望や予算に合わせた最適なプランを作成してもらいましょう。
建物は何十年とそこに暮らすことになるため、慎重に選ぶことが重要です。
予算オーバーにならないか検討
最後に、予算オーバーにならないか考慮しましょう。
予算内で実現できる写真を選ぶことが重要ですが、それだけでは十分ではありません。
以下は、予算内で実現するための具体的な方法です。
・建物を小さくすることでコストを削減する
・マテリアルを変更してより安価に仕上げる
・なるべくメーカーの既製品から選ぶ
また、予算内で実現できる写真を選んだ場合でも、建物の詳細な見積もりを取ることで、後々のトラブルを防ぐことができます。
しっかりと建物の予算を把握し、トラブルを未然に防ぎましょう。
イメージ写真を実際の建築設計に活かす方法
イメージ写真を実際の建築設計に活かす方法は以下になります。
イメージ写真を実際の建築設計に活かす方法
・インスピレーションの源として利用する
・空間構成を分析し設計に取り入れる
・違った素材を用いて納まりを考える
・イメージを伝える素材として利用
・空間を演出する方法を再現する
インスピレーションの源として利用する
お気に入りの写真を実際の建築設計に活かす方法は、インスピレーションの源として利用することです。
納まりを考えているときに写真やスケッチを眺めているとアイデアが浮かぶ瞬間があるからです。
写真やスケッチを眺めるだけでいいの?
写真やスケッチに書き込まれたメモや実際に測った寸法などもインスピレーションの源になります。
写真やスケッチは何度も見返してどこに何が描かれているかを頭に入れておくとアイデアを見つけるのが早くなります。
インスピレーションは何気ない写真やスケッチから閃くことが多いので、
少しでも気になることがあれば、写真やスケッチに残しておくことをおすすめします。
空間構成を分析し設計に取り入れる
お気に入りの写真を実際の建築設計に活かす方法は、空間構成を分析し設計に取り入れることです。
空間構成を分析し設計に取り入れることでそのアイデアが実現可能かどうかを判断できるからです。
どうやって実際の間取りに当てはめるの?
設計の段階での間取りに写真やスケッチの空間構成をイメージしてみましょう。
実際の間取りでは広さや寸法などが足りなかったり、空間構成が構造上できなかったりする場合も多いです。
空間構成は空間を構成する要素をどのように配置するかで似たような空間構成を作ることができます。
全てを同じにできなくても同じような空間構成は可能なので実際の間取りに当てはめて考えるようにしましょう。
違った素材を用いて納まりを考える
お気に入りの写真を実際の建築設計に活かす方法は、違った素材を用いて納まりを考えることです。
違った素材を用いて納まりを考えると実現可能になる場合も多いからです。
どんな素材に変えればいいの?
例えば、天然石で構成されているところをタイル貼りで考えたり、無垢材で造作されているとことを化粧板で考えるとうまく納まったりします。
納まりによっては実際に同じ素材を用いようとすると高くついてしまう場合があるので、
実現可能な汎用性の高い素材で代用することを考えましょう。
イメージを伝える素材として利用
お気に入りの写真を実際の建築設計に活かす方法は、イメージを伝える素材として利用することです。
写真を利用することでイメージを簡単に伝えることができるからです。
どうやってお気に入りの写真を集めればいいの?
お気に入りの写真を集めるのであれば、Pinterest(ピンタレスト)を利用しましょう。
Pinterest(ピンタレスト)はGoogleやFBアカウントがあれば簡単に利用することができます。
階段や照明、屋根、外壁などカテゴリーを分けて写真を集めるとイメージを伝えやすくなります。
また、履歴からホーム画面に類似する写真などが表示されるので、お気に入りの写真を見つけやすいです。
空間を演出する方法を再現する
お気に入りの写真を実際の建築設計に活かす方法は、空間を演出する方法を再現することです。
空間を演出する方法を考えることで同じような素敵な空間演出ができるようになるからです。
どうやって空間を演出する方法を考えればいいの?
その写真のどこに魅力を感じるのかを見つけ出し、その空間を構成する要素や納まりを考えることで方法が見つかります。
写真には完成している部分しか見えないため、下地や裏側がどうなっているのかを考える訓練になります。
空間を演出する方法は実際の建築空間を見たり触らないとわからない部分が数多く存在します。
日頃から空間を演出する方法を考えるように訓練しましょう。
イメージ写真から空間構成を分析する方法
イメージ写真から空間構成を分析する方法は以下になります。
イメージ写真から空間構成を分析する方法
・心を動かされた空間の要素に着目する
・着目した要素の構成方法をことばで表す
・要素の細部の納まりを考える
・素材の使い方に着目する
・実際の寸法を考えてスケッチする
心を動かされた空間の要素に着目する
写真から空間構成を分析する方法は、心を動かされた空間の要素に着目することです。
空間の要素として着目することで、その空間を構成方法を捉えやすくなるからです。
空間の要素としてどのように着目すればいいの?
例えば、素材の違いや方向性の異なる素材の組合せ、光の取り入れ方、天井や壁の配置や方向性、床の高低差など、
それらの空間の要素に着目することで、なぜ自分が感動したのかその仕組みや構成方法を考えるきっかけとなります。
ひとまとまりの空間から切り離して要素として捉えるにはゲシュタルト要因などが関係してる場合が多いです。
ゲシュタルト要因についてはこちらの記事をご参照ください↓
まずは、自分の感覚を頼りにその空間を構成する要素としてどのようなまとまりが見えてくるのかに着目してみましょう。
着目した要素の構成方法をことばで表す
写真から空間構成を分析する方法は、着目した要素の構成方法をことばで表すことです。
構成方法をことばで表すことにより、要素間の関係性をより明確に認識できるようになるからです。
構成要素をどうやってことばにしたらいいの?
例えば、違う要素が重なってみえることや連続した方向性があること、
対称性または非対称になっているなど簡単なことばにしてみるといいと思います。
着目した要素の構成方法をことばで表すことは慣れればすぐにできるようになります。
構成方法がわかるとそれを自分ならどのようにするのかや別の素材の場合はどうすればいいのかなど、
様々な構成方法をイメージすることができるようになります。
ことばで表せないことは再現性が難しいので、構成要素をことばで表す訓練をしておきましょう。
要素の細部の納まりを考える
写真から空間構成を分析する方法は、要素の細部の納まりを考えることです。
要素の細部の納まりを考えることで再現性が生まれるからです。
再現性ってなに?
再現性とは「同一の結果が同一の手法によって得られたときのそれら結果の一致度合いの高さ」のことをいいます。
同じ要素を用いるとき細部の納まりまで再現しないと再現性は得られない場合が多いです。
表側では見えないところに工夫が施されていたり、端部の納まりにひと手間加えられていたり、
要素の細部には様々な設計者の意図が隠れていたりします。
納まりは自分の経験がないと仕組みがわからなかったり、それをする手間の大変さが分からない場合が多いです。
日頃から要素の細部の納まりについてどのようになっているのかを考えるようにしましょう。
素材の使い方に着目する
写真から空間構成を分析する方法は、素材の使い方に着目することです。
素材の使い方に着目することでどの素材がどこに適しているのかを知ることができるからです。
同じ素材でも使い方の違いってあるの?
例えば、同じ木材でも外部ようなのか内部の仕上げに用いるのかで使われる木材の種類が異なってきます。
また、室内で用いる木材でも床に使うのか棚として使うのかで仕上げる塗装の種類も変わってきます。
同じ素材のように見えてそもそも種類が異なるなんてことよくあります。
素材の使い方に着目することは素材の性質や特性をよく理解することにつながります。
その場所に適した素材を使う感覚は設計する上でとても大切になるのでしっかりと素材の使い方に着目するようにしましょう。
実際の寸法を考えてスケッチする
写真から空間構成を分析する方法は、実際の寸法を考えスケッチすることです。
実際に寸法を考えスケッチすることで、より詳しくその空間の全体像を把握することができるからです。
また、実際に寸法をはかることで再現性を高めることができます。
スケッチが得意じゃないんだけど…
スケッチが得意じゃない場合は写真でも構わないのですが、
写真を撮ったら何に着目したのかや、はかった寸法などをその写真に描き込むようにしましょう。
写真を撮っただけだと記憶に残らない場合が多いからです。
正確な寸法をはかりたい場合は常にコンベックスを持ち歩きましょう。
コンベックスがない場合でも、自分の体の部位の寸法を把握しておき大体の寸法を割り出すこともできます。
スケッチを残すことや具体的に寸法として数値化するは、自分が設計する時にとても役立ちます。
まとめ
今回は注文住宅のイメージ写真の選び方を知りたい人やイメージ写真を実際の設計に活かす方法を知りたい人に対して、
注文住宅のイメージ写真の選び方と実際の建築設計に活かす方法をご紹介してきました。
まとめると以下になります。
注文住宅のイメージ写真の選び方
・自分の生活スタイルをイメージする
・自分の望む間取りと全体とのバランス
・機能や使い勝手への設計的な配慮
・依頼した工務店で施工可能かどうか
・予算オーバーにならないか検討
イメージ写真を実際の建築設計に活かす方法
・インスピレーションの源として利用する
・空間構成を分析し設計に取り入れる
・違った素材を用いて納まりを考える
・イメージを伝える素材として利用
・空間を演出する方法を再現する
イメージ写真から空間構成を分析する方法
・心を動かされた空間の要素に着目する
・着目した要素の構成方法をことばで表す
・要素の細部の納まりを考える
・素材の使い方に着目する
・実際の寸法を考えてスケッチする
イメージ写真はうまく利用すればコミュニケーションをスムーズにしてくれます。
しかしながら、自分の設計している間取りにピッタリと当てはまるイメージ写真はなかなか見つけるのが難しいです。
イメージ写真に頼りすぎると矛盾が生じたり、設計者を混乱させる危険性もあるので注意しましょう。
この記事が少しでもイメージ写真をうまく活用したい人のお役に立てれば幸いです。
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